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04 2011

エド・ブルベイカー&トレバー・ヘアシン他/X-MEN:デッドリー・ジェネシス

表紙デッドリー_convert_20111130214226

『…チャールズ・エグゼビアが、どれほど卑劣な人間なのかを…
 …彼はまた助けを求めて来た。
 行方不明になったX-MENを救い出すのに、私の力を借りたいって…』
『…神にかけて誓うわ、私は彼に私の…彼らはまだほんの子供なのに…
 全員、彼が死なせた…』

※本レビューは過去に邦訳された『ハウス・オブ・M』の結末に触れています。未見の方は閲覧注意!

M-デイを機に激減した世界のミュータント人口。
人類の未来どころか、絶滅危惧種へと身を落としたミュータント達を待つ、さらに過酷な運命とは…。

同胞を取り巻く新たな世界秩序に戸惑いを隠せないX-MEN。行方不明の指導者、プロフェッサーXの消息も掴めないまま、憔悴の日々を送る彼らを驚愕の事件が襲う。それは……。
『ハウス・オブ・M』によって一変したX-ユニバースの姿とは?そして、知られざる3人目のサマーズとは?

激変した世界を舞台に、X-MENの師であるプロフェッサーXの忌まわしき過去が暴かれる!


◆収録作品

2006年01月:X-Men: Deadly Genesis #1
2006年02月:X-Men: Deadly Genesis #2
2006年03月:X-Men: Deadly Genesis #3
2006年04月:X-Men: Deadly Genesis #4
2006年05月:X-Men: Deadly Genesis #5
2006年06月:X-Men: Deadly Genesis #6


スカーレット・ウィッチの現実改変能力によって、ミュータントの数が激減したという状態の世界観。
チャールズ・エグゼビア教授はこの事件以降まるで姿を現さず、X-MENメンバーにも死んだものと思われています。

一刻も早く教授を発見するために、キトゥンは世界最強クラスのテレパス能力を持つエマの能力と、さらにその能力を増幅させる『セレブラ』という装置を用いて世界中を調査していました。
そしてその調査中に、強大な力を持つ謎のミュータントの存在を感知。

教授発見の糸口になるかもしれないことと、軍との衝突を避ける前にそれほどの力の持ち主の正体を知っておく必要があるという理由で動き出すX-MENメンバー。

サイクロップス、ウルヴァリン、マーベルガールは急いでそのミュータントが居るという現場に急行。
するとそこにはジーンの姿が!

しかしジーンはすでに死亡しているメンバー。
マーベルガールはその姿を追いかけるものの、サイクとウルヴィーは『ジーンなワケがない』と漏らし、彼女の後を追う。

そして、例の強大な力を持つ謎のミュータントと接触。
いきなり攻撃を加えられ、なすすべも無く3人はやられてしまい…
謎のミュータント戦_convert_20111204142143
何故か一部メンバーを知っている謎のミュータント

そして、サイクとマーベルガールは謎のミュータントに連れ去られてしまう(ウルヴィーは放置)

一方その頃、ビーストから『教授の居場所を探るためにミュータント研究の第一人者であるモイラ(故人)のファイルを持ってきてほしい』との依頼を受け、ミューア島に来ていた元X-MENのバンシー。
彼は彼で恋人だったモイラの幻影を見つけ、エグゼビアの機密書類のある場所に誘導される。
モイラの独白_convert_20111204143901

そのファイルには、X-MENメンバーが知らない驚愕の事実が記録されていた…
と、ここまでがデッドリー・ジェネシスの冒頭のストーリー。
#1から色々気になる伏線の多い展開です。
そして、ストーリーの合間には一見本編と関係なさそうな、とあるミュータントの半生が挿入されます。
全5回_convert_20111204145326
全5回。ミュータント差別を受ける姿や、自分の持つ力に戸惑う姿が描かれる

このサイドストーリーに登場するキャラクターは、ストーリー後半で非常に重要な位置づけとなっているため、なかなかに印象に残る魅せ方。

本作のメインはM-デイ云々ではなく『X-MENの隠された過去』となっています。
教授…プロフェッサーXが過去にやらかしてしまった失態が描かれる内容。

この『デッドリー・ジェネシス』は、1975年に描かれた『ジャイアントサイズX-MEN』のエピソードの印象を大きく変えてしまう展開になってます。
ポップコーン
かつて光文社が発行していたポップコーンという雑誌に邦訳が掲載されていたようで。
ストーリーをざっくり説明すると、『強力なミュータント反応を感知した教授は、X-MENメンバーを南太平洋の孤島クラコアに向かわせるが消息を絶ってしまう。そしてサイクロップスのみが能力を失って帰還。
教授は残りのメンバーを救出するため、新たにナイトクローラー、ストーム、コロッサス、サンダーバードなど7名の新X-MENメンバーをサイクロップスの指揮でクラコアに送り込む。
クラコアは核実験の影響でミュータント化した島だったという事実が明らかになり、新旧13名のX-MENの攻撃によりこれを撃破した』
という内容です。

ネタバレになるのでちょっとぼかした言い方になりますが、この旧作エピソードの印象を根っこから変えてしまう本作は、案の定賛否両論だったようです。
どえらい後付け設定を作ってしまったって感じ。

こういう事態になったのも教授が取ってしまった行動が原因というのもあって、
なんというか『教授やっちまったな』な感想を持ちました。
邦訳の宣伝で『X-MENの師であるプロフェッサーXの忌まわしき過去が暴かれる!』というアオリ文が目を引く本作ですが、実際読んでみると『忌まわしすぎだろ!』っていう。

もちろん教授は悪意があってやらかしたわけじゃないのですが。
ていうか一番やらかしたのはマーベルなんですが。

本書一冊でストーリーには一区切り付いているものの、教授とX-MENメンバーの関係は修復されないまま終わります。
今後の邦訳が待たれる感じ。
歩いてる_convert_20111204152337

先が気になる作りなので、読んでいて面白かったのは確かな作品なんですけど。
これどうやって収拾付けたのかなー…
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4 Comments

久仁彦  

「僕に触るな」

プロフェッサーXはマーベルやらかしキャラの筆頭と聞いてますが、
もうこれ以下はねーだろというところでさらに踏み込んでトドメ刺された感じが。
個人的には教授も色々辛かったのねと同情的に見てるクチですがそりゃサイクロプスも縁切るわなあ。

>一番やらかしたのはマーベル
心の底から同意させていただきます。
コレの読後に『X-MEN:ファーストクラス』読み返すと何だか物悲しくなりますね。

2011/12/04 (Sun) 17:38 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>久仁彦さん
X-MENが立ち向かうことになる事件の中には『教授の過去と関連するものも多い』とは聞いていました。
それにしてもデッドリー・ジェネシスで(後付けで)明かされる教授の過去の悪事はインパクト大きかったですよー。

今回教授のあまりにひどい事実が明らかになってどう収拾付けたのか気になってしまい、結局この後どうなったのか調べてしまいました。
こう、ある程度持ち直すまで色々なエピソードがこの後に入るみたいですねー。

>コレの読後に『X-MEN:ファーストクラス』読み返すと何だか物悲しくなりますね。
ファーストクラスのレビューでよく見る「話が明るくてイイね!」という文の根っこの意味がちょっと分かった気もします。

2011/12/04 (Sun) 22:40 | EDIT | REPLY |   

流浪牙@  

長くかきつづけると、そこにヒズミやキズができてくるということでしょうか…」

これ等近年のX-MENの路線に対する直接の指摘では無いのですが、数年ほど前に誰かが

>いまのヒーローコミックスはこうした「とりかえしのつかない事」をバンバンやってしまうので、
>何だか荒廃した雰囲気が漂い始めている。「とりかえしのつかない事」をやればやるほど、
>将来の展開に行き詰まったり矛盾をきたしたりする危険性がふくらみ、コンテンツの寿命を縮めかねない。

といった指摘をなさっていたそうですので、ひとつ宜しく。
それにしてもマーベルは結局、X-MENというタイトルをどういう方面へ持って往きたいんだろうか……

2012/06/07 (Thu) 19:32 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>流浪牙さん
こう『ヒーローが重大な事件を引き起こす』みたいな展開は実際読んでみると衝撃があってなんだかんだで引き込まれるものはあるのですが…あんまそういう展開が続くと読者がキャラクターに幻滅してしまう結果になりそうな気がします。

>それにしてもマーベルは結局、X-MENというタイトルをどういう方面へ持って往きたいんだろうか……
最近は同姓婚という展開が話題になってるみたいですね!
DCではアラン・スコットがゲイになったりしててアメコミ界に何が起こっているのか良く分かりません。

2012/06/08 (Fri) 21:24 | EDIT | REPLY |   

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