ツルゴアXXX

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28 2011

ハワード・マッキー&ジャビアー・サルタレス他/ゴーストライダー

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「邪悪な目的のためにお前が苦しめた人々と同じ苦痛を味わうがいい」
「私のペナンス・ステアでお前の身も心もずたずたに引き裂いてやる」
「秩序を求める善良な人々の苦痛を知れ これぞアナーキー これぞ苦痛だ」


ダニエル・ケッチ、18歳。
ニューヨーク市ブルックリンに住む平凡なこの青年が、ふとしたことから夜中のごみ捨て場で一台のバイクを見つけた。この瞬間から彼の平凡な毎日は、夜毎の復讐劇と、そしてつきることない苦悩の日々に変わってしまったのである。

一体、彼に何が起こったのか。それは誰にもわからない。ただ、罪のない人々がいわれのない血を流す時、ダニエルの体に復讐の精霊がのり移り、ゴーストライダーとなって情け容赦ない復讐を遂げるのだ。ダニエルが我に返った時、そこには戦いの記憶と血塗られた両手だけが残されることになる。

自分は暴力を憎んでいたはずではなかったのか、毎夜恐ろしい復讐劇を繰りかえすあの怪物は、本当に自分なのか、そもそも復讐の精霊とは一体何者なのか、そして、なぜゴーストライダーは自分を「選んだ」のか、終わりのない苦悩が彼を苦しめる。ただ一つはっきりしていることは、ゴーストライダーは悪人ではない、か弱き者や罪なき者の恨みをはらそうとしているということだけだ。

街にいわれのない血が流される限り、ゴーストライダーの復讐劇は終わらない。ダニエル・ケッチの苦悩をかかえながら、今宵も復讐の精霊が動き始める……。


◆収録作品

○Vol.1
1990年05月:Ghost Rider Vol.3 #1
1990年06月:Ghost Rider Vol.3 #2
1990年07月:Ghost Rider Vol.3 #3

○Vol.2
1990年08月:Ghost Rider Vol.3 #4
1990年09月:Ghost Rider Vol.3 #5
1990年10月:Ghost Rider Vol.3 #6
1990年11月:Ghost Rider Vol.3 #7

○Vol.3
1991年12月:Ghost Rider/Wolverine/Punisher: Hearts of Darkness
1994年12月:Ghost Rider/Wolverine/Punisher: The Dark Design


◆ゴーストライダーのテーマ曲(UMVC3より)

◆復讐の精霊『ゴーストライダー』
本書は95年に小学館プロダクションから3巻まで発行された邦訳版です。

邦訳されたのは『初代主人公・ジョニー・ブレイズがゴーストライダーとなって活躍する』1972年版ではなく
1990年に再度スタートした2代目主人公・ダニエル・ケッチのゴーストライダー
2007年の映画版UMVC3に登場するのはジョニーの方なので2代目はちょっぴり馴染みが薄いかも。

~初代ゴーストライダーのストーリー~

かつて、地獄の覇権を求めて悪魔王メフィストに挑戦した魔人ザラゾスは、戦いに敗れメフィストの下僕となった。そして、長い年月が流れてから、スタントライダー、ジョニー・ブレイズが奇病に苦しむ養父の命を救うため、メフィストと取り引きを行なった。

自分の命とひきかえに養父を病から救うという契約は、養父の事故死という意外な結末を迎えた。ジョニーは悪魔祓いの報復として、メフィストは下僕ザラゾスの魂をジョニーの体に植え付けてしまったのだ。
こうして、人間と悪魔の魂を持った不気味なヒーロー、ゴーストライダーが誕生したのだ。

だが、暴走しかねない程に強大化したザラゾスの力を恐れたジョニーは、ザラゾスの魂を「魂のクリスタル」の中に封印することに成功したのだった。

かくして、ゴーストライダーの物語は、ひとまず終わりを告げた…。


そして時は過ぎ、ストーリーはサイプレス・ヒルズ墓地から始まります。
好奇心旺盛な姉・バーバラに連れられて墓地にやってきたダニエルは、そこで運の悪い事に犯罪組織の抗争を目撃してしまいます。
さらに相手に気づかれてしまい、口封じにとバーバラがダニエルの目の前で胸を撃たれてしまうという衝撃の展開が。

傷ついたバーバラを引き連れてごみ捨て場の方に逃げ込むダニエル。
そこで彼は新品のオートバイを発見します。

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この光り輝くオートバイに触れた瞬間、彼は彼で無くなり、
復讐の精霊・ゴーストライダーと化したのだった!

…とまあ、まさにダークヒーローのオリジンの鏡と言いたくなるような暗いスタートなんですが、
実際読んでみると弱きもののために戦い続けるゴーストライダーは割と普通の正義のヒーローに見えなくもないです。

こどもたちのヒーロー!_convert_20111128212415
『救いだした子供を病院に送り届けるまでがヒーロー』とばかりに
ゴーストライダーの姿のまま来院。

外見の割にまっとうなヒーローなんでちょっと黄金バットを連想しちゃいました。

しかし、明らかに正義のために戦っていても誤解はされるもので、世論がゴーストライダーを英雄視し始めても、警察はゴーストライダーが何かと事件の背後に係わっていると思い込んでいます(これまたダークヒーローもののテンプレ)

ダニエル自身はゴーストライダーに変身している時の記憶は全く無くて不安を感じ始めるのですが、『復讐を果たしたくなる』という謎の衝動に駆られて、毎回結局変身してしまいます。
そんな自分を不思議がり、恐ろしく感じてしまうダニエル…

ダニエルの時、ゴーストライダーの時でキャラクター性に強いギャップがあるのも2代目ゴーストライダーの魅力の一つでもあります。

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心優しい普通の青年のダニエル。しかしゴーストライダーに変身するとこのとおり

2巻からはパニッシャーが登場。
共通の敵に立ち向かうために手を組むという展開に。
パニッシャーが好きな人にはたまらないストーリーです。
二大鬼畜ヒーローがチンピラを尋問するシーンがあるんですが、
こんな2人にリアルに対面したら生きた心地がしないでしょうね。

ゴースト&パニッシャー_convert_20111128212513
互いの戦い続ける目的は違うためちょっとピリピリするものの、最後には2ケツのバイクで仲良く帰る

◆感想
この邦訳版の1巻から2巻まではGHOST RIDER#1~#7(原書発売日は1990年5月~11月)が丸々邦訳されているので非常にとっつきやすい収録内容です。

ただ、3巻急に時間が飛んで1991年12月に刊行された『HEART OF DRAKNESS』1994年12月刊行『THE DARK DESIGN』の2作の収録となっており、かなりの話が抜け落ちてます。

パニッシャー再登場ウルヴァリンの登場、そしてブラックハートとの対決という知名度高めなキャラの応酬となっているので見ごたえがあるのですが、
2話目として収録されている『THE DARK DESIGN』明らかに続きものの長編ストーリーの最終部分だけを切り取ってきた内容となっており、ものすごく展開が唐突に映ってしまうのが残念。

VSブラックハート_convert_20111128212540
カプコンのゲームのおかげで知名度バッチリの図

よく知られているキャラが多く登場し、さらに盛り上がるエピソードをチョイスしたのは分かるのですが、普通に#8以降の邦訳で良かった気も。
ただ、当時小プロの邦訳版X-MENがある程度まで刊行され続けたのに対して、ゴーストライダーはすぐに続刊を止めてしまった感じなんで、仕方なくシメにふさわしい感じのエピソードをチョイスして3巻を刊行したのかもしれません。
勝手な憶測ですけど。

決戦!_convert_20111128212552
ダークヒーロー揃い踏みの図

兎にも角にも二度目のブラックハート戦。
前話からいきなり『A FEW YEARS LATER…』で作中の時間軸が飛んでしまう。
世界観が世紀末なものになってる上に唐突に新キャラが登場するのでちょっぴり戸惑うエピソード。
ここに至るまでの顛末をせめてあらすじで纏めて欲しかった…

◆PICK UP キャラクター ブラックハート
ブラックハート_convert_20111130021215「…メフィストを殺すのだ 父を…魔人を…悪魔を!」

地獄の王メフィストの息子であるブラックハート。
彼は父メフィストの古いやり方に反抗して、王座から追い落とそうとして失敗してしまい、メフィストに苦悩する呪いをかけられ人間界に落とされてしまいます。
それでもブラックハートは呪いによって堕落、腐敗、狂気に支配されながらも決して諦めず、メフィストの支配を終わらせるために地獄の王の座を狙い続けているのです。

そしてブラックハートは強大な力を持つメフィストに対抗するため、「光の領域と闇の領域の『境界』に近づくことをいとわない者たち」(要はダークヒーロー)であるゴーストライダー、ウルヴァリン、パニッシャーの3人をわざわざ手紙で呼び出して協力を持ちかけます。
「お前たちに強大な力を与えてやるから最も邪悪な敵であり、我が父であるメフィストを打ち倒そう!」というもの。

当然ながらこの3人が地獄のお家事情に興味を示すはずもなくきっぱりと断られてしまいます。
その結果ゴーストライダーの宿敵として立ちはだかるのでした。

ヴィランとして登場していながらこれが一風変わっているキャラクターで、
戦う理由が一貫して『父メフィストを殺すため』というもの。
人間に危害を加えるのも、そもそもはゴーストライダー達がブラックハートとの共闘を断ったため。
協力を仰ぐための脅しの手段として取っている行動なのです。

メフィストによって人間を堕落させるために作られた存在でありながらも、彼自身には別に人間界を支配するとかそういう目的は無いようで。

ゴーストライダーに敗北した際に言った台詞も印象的。

「頼む ゴーストライダー…手を貸してくれ!
 分かってくれ 私こそがこの地獄の支配者にふさわしいのだ!」
「父を殺せば罪のない魂を底無しの苦痛から救ってやれるのだぞ」

「頼む…」


『自分が地獄の王になるからにはしっかりと統治していくつもりだ』という王子としての責任感が感じられる発言です。

とはいえ地上の人間を巻き込んで大騒動を起こした前科があるので聞き入れられることは無く、ゴーストライダー、ウルヴァリン、パニッシャーの3人にボコられるのですが。

単なる悪人として描写されているわけではない、なかなか面白いキャラクターだと感じました。
  
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