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08 2011

ブライアン・マイケル・ベンディス&オリビア・コワベル/X-MEN/アベンジャーズ ハウス・オブ・M

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「この世界の方が幸福じゃないの?私はそう思うわ。みんなは違うの?
 私達の望みが叶えられたのは、私達にその資格があるからだとは思えない?
 幸福を掴む権利がね…
 とにかく私は…なるべくしてこうなったんだと思うわ」


このままでは、宇宙の成り立ちそのものが危うくなる。
現実改変能力を暴走させたスカーレット・ウィッチの処遇を決定すべく、アベンジャーズとX-MENは会合を開いた。
かつての戦友の運命を巡って議論が紛糾する中、……白い光が世界を包み、次の瞬間、世界は生まれ変わった。

ハウス・オブ・M、Mの治世。それは一切が異なる世界。人類は磁界王マグニートーとその一族に支配され、ミュータントばかりが繁栄を謳歌していた。
ミュータントの支配者に抗うのは、ほんの一握りのレジスタンスだけ。
そんな中、唯一、過去のあるべき世界の記憶を取り戻したウルヴァリンは、マグニートーの治世を突き崩すべく行動を開始する。

全てのマーベルファンに贈るクロスオーバー超大作、ここに登場!


◆関連作品過去記事
【アストニッシングX‐MEN:ギフテッド】
【アストニッシングX‐MEN:デンジャラス】
【ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト】

◆収録作品

2005年08月:House of M #1
2005年08月:House of M #2
2005年09月:House of M #3
2005年09月:House of M #4
2005年10月:House of M #5
2005年10月:House of M #6
2005年11月:House of M #7
2005年11月:House of M #8


◆BRAVE NEW WORLD
2005年8月に第1号が発売、『アストニッシングX-MEN』『ニューアベンジャーズ』のストーリーが合流するという大規模なクロスオーバーとなったHoM。
AOAのように『世界が改変された』という展開で話が進む作品です。

現実改変能力を抑えて療養生活を送っていたスカーレット・ウィッチことワンダ・マクシモクが突如、世界全体を巻き込んで能力を発動させてしまう所からストーリーが始まります。

なぜワンダが療養中なのかというと、このHoM事件の前に子供を失うという悲劇が起こり、心に闇を抱えるという話があり、その後、『アベンジャーズが子供達を奪った張本人だ』と思い込み始め、2代目アントマン、ホークアイ、ビジョンが死亡、他の大勢のメンバーにも重症を負わせるという大事件を起こしてしまったからなのだとか。

そういった大きなトラブルもあり、エグゼビア教授はX-メンとアベンジャーズを招集し、ワンダの今後の処置を決めることにするのですが、『始末すべき』という意見と『他の道を模索するべき』という意見が出てしまい平行線に。
とりあえず彼らはワンダを匿っているジェノーシャという島に向かうのですが、島にはワンダや一緒に居るはずのマグニートー、クイックシルバーの姿が見えない。

皆が探索を続けている最中、唯一スパイダーセンスで『何か』を感じ取るスパイダーマン。
そして突然世界が白い光に包まれて…

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マグナス王家が統治しているミュータントと人間が(微妙なバランスとはいえ)平和的に共存している世界に改変されたのでした。

ワンダーマンは俳優として大成功を収め、パイロットとなったサイクロップスは心理カウンセラーのエマ・フロストと結婚、キャプテン・アメリカは老人として普通のアメリカ人に、ドクター・ストレンジは心理学博士に、キャプテン・マーベルはスーパーヒーローとして大活躍、ビーストはミュータントとしての身体能力は持ちつつも姿は人間に…などなど、どのヒーローも現実では叶えられなかった理想の自分を手に入れているという世界です。

そして、自分の望みが『元の記憶』だったウルヴァリンのみが改変前の世界の記憶を、そして『失っていた自分の記憶』も取り戻すという重要なポジションに。

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ヴルヴァリン「とうとう記憶喪失キャラじゃなくなってしまった…」

長い間持っていた記憶喪失設定が無くなるという一大展開
ウルヴァリンはこの改変世界では本名『ジェームズ』を名乗り、ミスティークと付き合い、しかもシールドに所属しているという設定。
余談ですがウルヴァリン、このシーンで記憶を取り戻す前日の夜はミスティークに姿を「ジーン・グレイ」に変えてもらってイチャイチャしていたようです。
ジーンにはとっくにフラれているうえに、彼女自身は既に戦死している(2005年時点)のですが、ウルヴァリンは未だにひきずっているらしい。

M1_convert_20111108215535.jpg改変されたヒーローの中で特に印象深いキャラになっていたのがスパイダーマンことピーター・パーカー。
この世界での彼の外見は非常にゴツい。プロレスラーとして人気を博しており、さらに映画界にも進出して世界的なスーパースターになってます。さらに、本来の世界では死亡してしまったかつての最愛の恋人・グエンと結婚して子供をもうけている上、かつて自分のとった行動によって死亡してしまったベンおじさんまで生存しておりメイおばさんも含めた5人で幸せに暮らしていたのでした。まさにピーターにとっては最高の、理想の世界。それだけに本来の記憶を取り戻してからのショックはかなり大きかったようで、本作品では最終話になるまでずっと腐り続けてます。
「ローガン、僕は必ずマグニートーを殺す!あの娘も一緒にだ」「この手で殺してやる!」というセリフはスパイダーマンとは思えない衝撃的な発言。

唯一記憶を持っていたウルヴァリンがルーク・ケイジこの世界では生存しているホークアイらと手を組んでヒーロー達の記憶を取り戻していくという展開でストーリーは進み、後半はヒーロー達がマグナス王家を襲撃するという展開に。

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果たして、ヒーロー達は元の世界を取り戻すことが出来るのか!?

◆感想
パラレルワールド物というものあって普段のヒーローを知っていればいるほど改変世界のギャップが楽しめる本作。
といってもAOAのようなディストピアなものではなく、『本来の世界のトラブルがほぼ解決している』というまさに理想的で平和な世界なのが特徴的。
それだけにキャラクター一人一人の掘り下げに注目したかったのですが、本書はあくまで本編ストーリーのみの邦訳。
大規模なクロスオーバーだけに多くのタイトルとクロス、さらに新規タイトルも発行されていたのですがそれらは本書には未収録。

【ハウス・オブ・M関連誌リスト】

そのために登場キャラクターがやたらと多いのに出番が少ない、掘り下げが少ないヒーローがとても多いです。
大量のエピソードを邦訳したAOAがそもそも珍しい例というのは重々承知していますけども…。
(この辺はシビルウォーのレビューでも愚痴ったのですが)

邦訳では現在、『ニューアベンジャーズ:コレクティブ』と今後発売される『X-MEN:デッドリー・ジェネシス』でHoM関連の後日談的エピソードが読めるようです。

本編のみだと内容がかなり削られているような印象は受けますが、ストーリーそのものの完成度はやはり高いです。
解説の小冊子も出来る限りのフォローは行ってくれていますし、その後のマーベル世界での余波も大きかったという重要エピソードなので、マーベルの流れを抑えておきたい場合は必携の作品。

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