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05 2022

ドニー・ケイツ&ガブリエル・ヘルナンデス・ ウォルタ他/ドクター・ストレンジ:ゴッド・オブ・マジック

ドクター・ストレンジゴッド・オブ・マジック表紙

「なに!?ヴィシャンティよ…何をおっしゃるのです?」
「スティーブン・ストレンジ。我らは新たな至高魔術師を選んだ。
 今までの働き、ご苦労であった」

「だ…だが、勝ったのは私だ!」
「確かにお前は他の魔術師たちを倒した。だが勝ってはいない」
「新たな者が至高魔術師の座を継ぐ。お前の力添えに改めて感謝しよう」

「…では誰が?」
「ロキ・ラウフェイソンである」
「…はぁ!?」


邪悪な魔力から世界を守る
至高魔術師ソーサラー・スプリーム
その名はもちろん……ロキ!?


邪悪な魔力が世界を包み込もうとし、人々は世界を守る至高魔術師を必要としていた。
その魔術師の名は天才外科医ドクター・ストレンジではなく……嘘の神、ロキであった。
かつての至高魔術師はその職を辞して、行方をくらませてしまったのだ。
一体、ストレンジの身に何が起こったのか?
そして至高魔術師として君臨するロキは、何を企んでいるのか?
謎が謎を呼ぶ、奇想天外な物語が幕を開ける……。


◆収録作品

2018年01月:Doctor Strange #381
2018年02月:Doctor Strange #382
2018年02月:Doctor Strange #383
2018年03月:Doctor Strange #384
2018年04月:Doctor Strange #385


◆Say hello to the Master of the Mischief Arts !
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』公開もあり、にわかにドクター・ストレンジ熱が上がっているのと、今小プロが5月12日までマーベル邦訳電子書籍版の一部タイトルのセールをやっているので、まだ読んでなかったドニー・ケイツ作品の一つ、『ドクター・ストレンジ:ゴッド・オブ・マジック』を買っちゃいました。って事で久々にドニー・ケイツタイトルのレビューだ!!

本書はドクター・ストレンジ第1シリーズの#381-385収録となっていますが、物語的にはドクター・ストレンジ第4シリーズの続きであります。これは当時マーベルが行っていた『マーベル・レガシー』企画の一環で、これまでのドクター・ストレンジ誌全ての号数を合算したものに変更したためだとか。アメコミはちょくちょくこういう事をやるから、知識がないと物語がどういう順番で続いているのか確認する必要があるから困る。ちなみにドクター・ストレンジ第4シリーズの第1巻だけはヴィレッジブックスから刊行済みです。僕は未読のまま本作に手を出しましたが、一部キャラクターや本作の時期のドクター・ストレンジの世界観を把握するなら実際にこっちを読んでおいたほうが楽しみやすいかもしれない(本書の解説冊子に第4シリーズの全あらすじが掲載されているのでそれで把握もできますが)

そろそろ本作の内容を紹介。
超魔法存在であるヴィシャンティは数十年に一度世界の魔術を集めて競技会を開いており、その勝者になる事で至高魔術師の地位を得ることができるようにしている。
で、ストレンジは過去2回この競技会で勝利しており、今回の3回目の出場でも勝利を収めた……んですが、第4シリーズではいろいろな失態を重ね続けてきたのもあって勝ち残ったにも関わらず失格に。
そしてヴィシャンティが新たな至高魔術師として選んだのは……なんと「競技会ってどんなんだろう」くらいの気持ちでたまたま見学に来ていたロキであった!!!

でも信じてもらえないロキ
「至高魔術師になったよ!」とめちゃめちゃ調子をこくが、
他の魔術師から信じてもらえないロキの図

こうして現在の至高魔術師の座にはロキが新たに就任し、ストレンジの家でもあったサンクタム・サンクトラムに移り住み、ストレンジの弟子であるゼルマもそのままロキの下に。
一方のストレンジはしゃべる犬のバッツとコンビを組んで動物病院を開き、ただの獣医としての日常を送ることになってしまう……という、なかなかぶっ飛んだシチュエーションから始まるのが本作のストーリー。

そうしてまさかの至高魔術師となったロキは、ゼルマにも手伝ってもらい、とある幻の呪文『シンスーンの放逐』の捜索に乗り出す。そしてサンクタムに一つだけ厳重に封印された扉がある事を発見し、そこにシンスーンの放逐があるのではとあたりを付けて必死に解錠しようとするも、うまくいかない。
ドクター・ストレンジはロキが超危険な呪文であるシンスーンの放逐を手に入れようとしている事、そしてその封印は『ロキの近くにある』ため、気づくのは時間の問題であると焦り、急いでサンクタムに向かうのだが……!!

脳が破壊される
脳が破壊される(※そういうシーンではない)

◆感想
めちゃくちゃ面白かった!!!!!
ドニー・ケイツ作品はどんでん返しなどのストーリーテリングが巧みなだけでなく、基本的にギャグ成分もかなり多めな作りが実にイマドキな作風で楽しい。もちろん『シルバーサーファー:ブラック』のような終始シリアスな作品もありますが。

ロキとゼルマを引き離し、彼のシンスーンの放逐の捜索を辞めさせるためにストレンジが用意したまさかの協力者や、前述した封印された扉の中に潜んでいた『モノ』ベンディスのニューアベンジャーズシリーズを読んでいると「おおっ!」となる展開。終盤イエス・キリストみたいなスゴいビジュアルになるストレンジや、ド派手な魔法合戦で戦うストレンジとロキだけれども、ぶっちゃけそのやりとりは『子どものケンカ』のソレなのでゼルマによって諌められるシーンなど、シリアスな場面や不利な状況を覆すための秀逸な頭脳戦をやりつつも、けっこうな頻度でギャグが挟まるその緩急の付け方がクセになる。

子どものケンカ、話し合え

本作は『サノス・ウィンズ』同様、今やマーベルの主力ライターであるドニー・ケイツのデビュー作でもあり、本作でさっそく大きな話題をかっさらったらしいんですがこの面白さなら納得。
ただ一つ注意点を挙げるとするならば、本作は実質ロキとのダブル主人公的な内容であり、かつロキがなんだかんだ格好良さと愛嬌あるキャラクターとして描かれている一方で、このストーリー内だけだとストレンジは全体的に空回りしているキャラとして描かれているので、ドクター・ストレンジのカッコいい活躍を期待して読むと少しがっかりするかもしれない。ロキを止めるために取ったストレンジの数々の奇策は見ている分には面白いんだけど、あまりヒーローのソレではないのも事実だしね……!!
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