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10 2022

カレン・バン&ラモン・ロザナス他/ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドプール

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドプール表紙

「世界の終末がやって来た!俺ちゃんは地球最後の男!
 ウィル・スミス!チャールトン・ヘストン!バージェス・メレディス!
 しかも眼鏡つき!俺ちゃんの人気も上昇しそうだ!」


タコスを食べていたら……
いつのまにかゾンビだらけ!
満腹になってひと休みしたデッドプールが目を覚ますと、ニューヨークにゾンビがあふれていた。
彼らはわずかな思考能力を残しており、新鮮な肉を食べたいと心から望んでいるわけでもなかった。
冗舌な傭兵はゾンビの餌になってしまうのか?
さあ、食事のベルを鳴らして、ドアを釘で打ちつけよう。
デッドプールが歩く死者どもと対決するぞ!


◆収録作品

2014年03月:Night of the Living Deadpool #1
2014年03月:Night of the Living Deadpool #2
2014年04月:Night of the Living Deadpool #3
2014年05月:Night of the Living Deadpool #4


◆喰うか喰われるか?デッドプールとゾンビの戦いが開幕する!
ゾンビ映画の原点であり、今現在ゾンビもので扱われる基本設定を作り出した、1968年の偉大な名作ホラー映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』
そんな名作映画を容赦なくパロったデッドプール作品が、今回紹介する『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドプール』だ!!!
ちなみに正史世界の話ではなく、アース14031という並行世界の出来事なので本作単独で楽しめます。

いつものように傭兵稼業の仕事を終えて、レストランで腹いっぱい食事をしてそのまま店内で寝てしまった(迷惑な)デッドプール。
数日間も眠り続けようやく目が覚めると店内には誰ひとりおらず、表に出ると人が見当たらず街は荒れ果て、静かな世界に様変わりしていた!
落ちていた新聞を見ると、「死者が歩く」という不可思議な記事。
「こんな簡単に世界が終わるわけない」「俺を騙すドッキリだろ?」と困惑するデッドプールだったが、よく考えてみたら眠りこける前からおかしな前兆はあったのだ。

前兆あったなそういや
めちゃくちゃゾンビもののプロローグ的な場面に出くわしまくっているが、
ことごとくスルーしちゃってたデッドプール

多くのヒーローは既に死に絶え、このゾンビパンデミックで生き延びたヒーローはただ一人、デッドプールのみ。
デッドプールは道中、隔離地域の境界線付近に向かい安全地帯へ避難しようとする一団……小学生の兄妹、ジョーイウィローグランマというあだ名の口の悪い老婆、軍人のラドクリフと、安全地帯へのツテを持っている負傷した兵士という5人と出会い行動を共にするのだが、この異常事態は彼らにさらなる絶望を突きつけるのであった……というストーリー。

死者が蘇り、次々と人の死を目の当たりにして重苦しい雰囲気な中、デッドプールは良い感じにムードメーカー的な存在となっているのがミソな一作なんですが、ぶっちゃけ本作はかなり重めな内容。
生き残りの一団と共に逃避行を続けるデッドプールが直面していく悲劇と、なによりもこのゾンビパンデミックの真相が判明するシーンは相当にショッキングであり、あの明るいデッドプールがその事実に衝撃を受けて深く心に傷を負うのもむべなるかな……といった感じ。
それはそれとして本作のデップー、普段のコミカルでサイコなキャラクター性は本作では(比較的)抑えめで、この世界で唯一のスーパーヒーローたらんとする姿が普通にカッコいい。
カレン・バンが描くデッドプールの話ってユーモラスというよりはシリアス・悲劇寄りの作品が多い気がする。個人的印象だけど!

子どもを優先するデッドプール
普段はムードメーカーをやりつつも、
貴重な食料を配分する場面では大真面目に子どもを優先する

世界観が一変するまではフルカラーなものの、ゾンビパンデミックが起こってからはデッドプール以外の人物含めて白黒映画である『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のようにモノクロで描写されているのも面白い演出。これがまた終盤の真相判明からの演出に活かされていて上手い。
とはいえぶっちゃけ本作、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のパロディ要素はタイトルぐらいであり、作中に登場するゾンビたちも元ネタ作品とは異なり、知性がしっかり残りつつも本人の意に反して他人の肉を喰らってしまうという独自設定っぷり。
ストーリー展開もこれといって『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を踏襲しているわけではないので、元ネタである映画を見てなくても全然大丈夫です。

◆感想
面白かった!!!

……けども本作は全4話で100ページにも満たないかなりあっさりめのストーリー……言うなれば短編映画を一作見るくらいの感覚で望んだほうが良いかも。ただ尺の短さもあってものスゴいハイテンポで物語が進行しつつも、前述した『全ての真相』が判明する展開でのショッキング度合いや、最後のスーパーヒーローとしてしっかりヒーローたらんとするデッドプールの姿など見どころはかなり多め。
そして最後のオチがかなりぶっ飛んだ展開でまあまあポカンとする。

実は本作には続編があり、今年8月に刊行予定『リターン・オブ・ザ・リビング・デッドプール』で真に完結する模様です。
本書の時点だけでも尖ったB級ホラー映画的な終わり方って感じでけっこう味わい深いのだけれど、「このラストからどういうストーリーを続けていくんだ……?」というのもあり、続編の邦訳発売がやたら楽しみだったりする。
いやほんと……本作、ブラックユーモア作品かと思いきや意外にも真っ当なシリアスをやり続けていた中で「なんだこのオチ!?」って感じだったんで……!

傷が痛み続けるデッドプール

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