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28 2021

ニック・スペンサー&スティーブ・リーバー他/スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン:悪人(ヴィラン)には友多し

スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン3巻

「さっきは最高だったぜ。ついにチームらしくなったな。
 お前たちに…一言言っておきたい…お前らが仲間でよかったよ」

「何、急に」
「殴られすぎた?」
「マジだって!さっきも言ったが…
 仲間としてやっていこうとしてたのに、揃って俺のことをバカにしやがって。
 無駄な争いを避けていたのは、俺がナイスガイで賢いからだ!
 俺たちは取り柄のないクズだ!
 だけど仲間を信じて背中を預けあえばチャンスはある。
 それだけなんだ!わかるか?」

「同じようなことを誰かが言ってた気がするけど?」
「知らン」
「気のせいだろ?」
「つまり俺が言いたいのは…俺たちがこの街を仕切る…
 今まで俺たちが目指してきたことが現実になる日が来たんだ…
 俺たちは一心同体だ」


スパイダーマンの真の強敵スーペリア・フォーズ
新シニスター・シックス
最後の戦い!!

ブーメランを中心に結成された、泣く子も黙る犯罪集団、新シニスター・シックス!彼らの目的はもちろん、宿敵スパイダーマンを叩きのめし、裏社会の大物としてのし上がることだ。行き当たりばったりで敵にも味方にも嘘をつき、ひたすら周囲の人間を裏切り続けたブーメランは、とんでもない秘策で一発逆転を狙っていた。一方でショッカーは、成り行きで手に入れた幻のお宝“シルバーメインの首”を持て余す。そのお宝を巡って、血で血を洗うギャング戦争が勃発!誰が死に、誰が生き残り、誰が最後に笑うのか!?


◆収録作品

2014年08月:Superior Foes of Spider-Man #12
2014年09月:Superior Foes of Spider-Man #13
2014年10月:Superior Foes of Spider-Man #14
2014年11月:Superior Foes of Spider-Man #15
2014年12月:Superior Foes of Spider-Man #16
2015年01月:Superior Foes of Spider-Man #17


◆関連作品過去記事
【スーペリア・スパイダーマン:ワースト・エネミー】
【スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン:嘘つきは泥棒(ヴィラン)のはじまり】
【スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン:盗人(ヴィラン)にも三分の理】

◆全員ヴィランのドタバタコメディ、衝撃の完結編!!
大物とは言い難い……というかぶっちゃけ小物ヴィランなブーメランを筆頭に寄り集まったしょっぱい悪人たちが勝手に『シニスター・シックス』を名乗り、この裏社会でのし上がるために大仕事で一発逆転を狙うというクライム・コメディ、『スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン』の最終巻がついに邦訳!!
前巻は本作のヒットもあって連載話数が予定よりも長くなった結果、メインキャラクターの掘り下げを行うエピソードが追加される事になり若干ストーリーの進みが停滞していましたが、この第3巻『悪人(ヴィラン)には友多し』は最終巻だけあって、ものすごいハイテンポで衝撃のラストへと突き進んでいきます。

敵を欺くだけじゃなく、味方も欺きまくって、入手すれば『マギア』のボスになれる伝説の『シルバーメインの首』……ではなく、『ビクター・フォン・ドゥームの素顔』が描かれた価値の高い肖像画を入手していよいよ『一人勝ち』に近づいたブーメランだったが、元々ブーメランに仕事を依頼していたカメレオンにその肖像画を奪われ、さらに肖像画を所持していたオウルから命を狙われる羽目になってしまう……が、ここでもブーメランは嘘八百を並べ立てて、『カメレオンが変身能力を駆使して全ての人間を欺いて肖像画を盗み出した』とオウルに勘違いさせる事に成功!
なんとか命を奪われることなくその場を後にするブーメランだったが、そこで今度は『自分たちを危険な場所に置き去りにした』という怒りを向けるシニスター・シックスのメンバー、ビートルとオーバードライブに再会してしまう……というところから3巻の物語がスタート。

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一方、ブーメランが皆を騙そうとあれこれ企てていた現場を目撃してしまい、口封じのために殺されかけるも運良く生き延び、そこで偶然にもシルバーメインの首を発見したショッカーはショッカーで、友人と思って今の状況を打ち明けたハイドロマンことモリスに裏切られて首の在り処の情報を売られてしまい、今度は現マギアを率いるオウルに命を狙われるという窮地に陥ってしまってます。自分に自信を持てず、リスクをつい回避しようと後ろ向きな行動を取ってしまうショッカーはいつも皆に裏切られてババを引き続けているので実に不憫。

しかしその後シルバーメインに発破をかけられて奮い立ち、ようやく自分をバカにし続けるシニスター・シックスのメンバーに一矢報いる行動に出る!!その結果がどうなったのかは……ぜひ本編で。
そんでまあその後の展開で、この『シルバーメインの首』の奪い合いの勝者になったシニスター・シックスがいよいよ街の大物になれるチャンスを掴むわけなんですが、『他人を簡単に信用するヤツから喰われる』このヴィランの世界では“仲間と仲良く何かを勝ち取る”なんて事はありえないわけで、この首を巡ってさらなる大騒動が巻き起こる事になってしまいます。

第3巻も相変わらずコメディ要素が盛り盛りで、ブーメランのお調子者っぷりやガールフレンドとの恋の行方を筆頭に、ヴィランから転身し現在はマッハ7というスーパーヒーローとして活動しているアブナーの小物ヒーローっぷりや、スピードデーモンがペットの犬とお別れする下りなどなど見どころ満載なんですが、個人的に好きなのはシニスター・シックスのメンバーの一人、オーバードライブのあまりにバカバカしすぎて面白いオリジン。

オーバードライブことジェームズ・ビバリーは幼い頃からスーパーヒーローに……特にスパイダーマンに憧れていた青年であり、スーパーヒーローとして覚醒するためにわざとクモに噛まれたり謎の結成を飲んだりガンマ線を自分に照射したりと色々試してはみたものの何の効果も現れず失敗。
それならばと能力なしでも戦えるよう格闘技を学んだものの、そっちの才能もなく失敗。
結局父親が勧めたカーレースのドライバーになる道を歩んだものの、今度はレース中にクラッシュして入院してしまう散々っぷり。
しかし入院先で自分の運転手になる人間を探していたミスター・ネガティブというヴィランに出会い、そこで彼が提案した『どんな車も思い通りにアップグレードできるスーパーパワー』を獲得できるナノバクテリアの被験者となる事を承諾する。
その理由は、「ホークアイやクイック・シルバーといったヒーローは元々ヴィランだし、自分も最初はあえてヴィランとなる事で一目置かれ、そこから立場を越えて認められればヒーローに転身できるのでは!?」という超浅はかなものだった!!

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でも今度は『ナノバクテリアを使用した事による高額な費用の返済』に追われる人生になってしまい、シニスター・シックスのメンバーとなって結局ヴィランとして活動し続ける羽目になってしまったのである!!
オーバードライブのこのオリジン、ブーメランからも「飛び抜けてバカな話だな」と罵られるくらいには作中で呆れられてたり。

◆感想
最っ高に面白いクライム・コメディだった!!!!!!

特にラスト2話から怒涛の勢いで回収される伏線の数々と、ブーメラン……フレッド・マイヤーズの『真の目的』が明らかになっていく物語の流れがあまりに痛快かつ秀逸で唸る。
大ウソつきなキャラである本作の主人公……このブーメランというヴィランを『小物ヴィラン』とナメた目で見ちゃう展開をニック・スペンサーはおそらく意図的に積み上げてきていただけに、この最終3巻の終盤では本当に「見る目が変わる」感じです。
ヴィラン達による騙し騙されの大騒動の行き着く先がこうなるとは……!!ラストシーンも非常に味わい深くて良い締めくくられ方。
今年読んだ邦訳本でも一二を争うレベルで面白かった作品でした。マジで超おすすめのシリーズだ!!

スーペリア・フォーズ・オブ・スパイダーマン最終号カバー
どっかで見たことある構図

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