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20 2021

スコット・スナイダー&フランシス・マナプル他/バットマン・デスメタル:ダーケスト・ナイト

ダーケスト・ナイト表紙
“バットマンの本質は反作用だ。路地での銃撃に反応して生まれた。
 闇のバットマンたちもそこは同じ。
 どんなにおぞましく強力でも、
 なんらかの恐怖に対する反動として生まれた点では変わりない。
 だったら、私はバットマンではない。
 フー・ラフズやバットマンハッタンはもちろん、
 他のあらゆる闇のバットマンとも異質な存在だ。
 それ以上の…反作用を生み出す・・・・側の存在。
 私は凶弾だ。
 そして多元宇宙は私にとっての路地。
 世界は路上に散らばる首飾りの真珠と化す”

『デスメタル』の物語は
さらに

広がっていく!

注目の新キャラクターであるロビンキングをはじめとした、新たな闇のバットマンたちの誕生譚から、変わり果てたDCユニバースの全貌、そして本編で語られなかったヒーロー達の戦いをこの一冊に収録!DCユニバースの運命を変えた『デスメタル』の重要エピソードがいま明かされる!


◆収録作品

2020年10月:Dark Nights: Death Metal Legends of the Dark Knights
2020年10月:Dark Nights: Death Metal Guidebook
2020年11月:Dark Nights: Death Metal Trinity Crisis
2020年11月:Dark Nights: Death Metal Speed Metal
2020年11月:Dark Nights: Death Metal Multiverse's End
2020年12月:Dark Nights: Death Metal Robin King


◆関連作品過去記事
【クライシス・オン・インフィニット・アース】
【インフィニット・クライシス】
【ファイナル・クライシス Vol.1&Vol.2】
【ブラッケスト・ナイト】
【フォーエバー・イービル(THE NEW 52!)】
【ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 2】
【DCユニバース:リバース】
【バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン】
【バットマン・メタル:プレリュード】
【バットマン・メタル】
【バットマン・メタル:ライジング】
【ジャスティス・リーグ:ノー・ジャスティス】
【ジャスティス・リーグ:新たなる正義】
【ヒーローズ・イン・クライシス】
【ジャスティス・リーグ:神々の墓所】
【バットマン・フー・ラフズ】
【ジャスティス・リーグ:偽りの帝国】
【ジャスティス・リーグ:正義の代償】
【バットマン/スーパーマン:シークレット・シックス】
【ドゥームズデイ・クロック】
【ジャスティス・リーグ:破滅の凱歌】
【バットマン・デスメタル】

◆世界に死の音楽(デスメタル)が鳴り響く!
笑うバットマンことバットマン・フー・ラフズ率いる闇の多元宇宙『ダーク・マルチバース』の軍勢との戦い、そして過去に何度も起こってきた『クライシス』の物語も包括して繰り広げられた、DCコミックスの超大スケールとなるクロスオーバーイベント『バットマン・デスメタル』
こないだはその本編を纏めた邦訳版が刊行されたわけですが……なんと今回は“デスメタルのタイインの中でも重要度の高いエピソード”を厳選した日本独自編集の邦訳本『バットマン・デスメタル:ダーケスト・ナイト』も刊行!!
まあ独自編集と言っても原書の『Dark Nights: Death Metal: The Darkest Knight』に後述の『Dark Nights: Death Metal Robin King』を追加収録したという形ですが。

実質ダークなバットマン短編集って感じでもあった『バットマン・メタル:ライジング』とは異なり、本書はかなり本編の補完的要素が強まっていて読み応え十分な一冊。
とはいえもちろんライジング同様、デスメタルで初登場した闇のバットマンたちのオリジンも色々収録されているので楽しい。
それではさっそくその作品群を、ちょっとした感想とともに紹介!!

◆Dark Nights: Death Metal Legends of the Dark Knights
本作は様々な闇のバットマンのオリジンを収録した、短編6本からなる作品。
本編だけだと『どういう経緯でドクター・マンハッタンの力を手に入れてたの?』って感じだった、バットマン・フー・ラフズがダーケスト・ナイトとなる詳細が描かれている『最暗の騎士』

そしてその次が、本編でもその強さと狂人っぷりで衝撃を与えたダーケスト・ナイトのサイドキック、ロビンキングのオリジンを描く『苦痛の申し子』
ロビンキング自体はてっきりどこかの世界のディックかジェイソンかティムかダミアンかがダーク・マルチバース化した姿だと思っていたので、その正体には驚かされました。いやー騙された!
しかもあのバットマン・フー・ラフズですら元々はちゃんと正義のヒーローとして活躍していた人物だったのに、ロビンキングは生まれながらにして純粋悪というキャラクターなのも衝撃。ひょっとして闇のバットマンの軍勢の中で一番の危険人物ってコイツなのでは……?あとP.27のシーンは、『バットマン・メタル:ライジング』収録のバットマン・フー・ラフズのオリジンのあの場面を踏襲しているようにも見えて印象深い。

その次はBレックスのオリジン『最恐の竜』、ゴッサムそのものと化したあのバットキャッスルのオリジン、『都市に棲む魔』、バットモービルに精神を移したバットマンであるバットモビーストのオリジン『駆動する守護者』が展開。
3名とも本編では存在自体がギャグだったのに、オリジンはわりとシリアスで感情がおかしくなる……!

ベイビーバットマン

でも個人的にこの短編集で一番インパクトがあったのは、なにげに参加していたガース・エニスによる『転生』というエピソードで描かれるベイビーバットマンのオリジン。
この世界のブルースは何らかの理由で肉体が滅びてしまったものの、こういう事態に備えて遺伝子操作によって用意した新しい肉体に精神を移しておいた……のだが、なんと生まれたての乳児に転生してしまっていた!という内容。
たった2Pしかないギャグエピソードとはいえ、あまりにアホらしくて強く印象に残る内容でした。
ちなみにこのベイビーバットマンは本編には登場しておらず、後述のタイイン『Dark Nights: Death Metal Multiverse's End』でヒーロー達が対峙することになる闇のバットマンです。

◆Dark Nights: Death Metal Guidebook
破滅の幕開け

こちらは本編でさらっと描かれていた部分を色々補完している短編エピソード集。
デスメタル本編ではいきなりアース0のヒーロー達が完全敗北し、『メタルバース』に改変され尽くしたところから始まってましたが、これの最初に収録されている『破滅の幕開け』は、アース0がバットマン・フー・ラフズの軍勢に侵攻され敗北するまでの過程を詳細に説明した、本編のプロローグ的な一編になってます。

そこからは本編でハーレイが引き連れていた相棒のコヨーテとの出会いを描いた『砂漠の女王』、海坊主をこちらの仲間に引き入れようと奮闘する過程で闇のバットマン、バソメットと対峙することになるアクアマンのエピソード、『海坊主』、ワンダーウーマンが管理する地下世界から脱出し、緑のある地上に帰還しようとするボイズンアイビーの姿を描く物哀しい一作『一握の希望』を挟み、本編冒頭ではすでにタッグを組んでいたバットマンとジョナ・ヘックスの共闘の過程が判明する『竜を狩るもの』が展開されます。
この『竜を狩るもの』はライターがクリストファー・プリースト、アートがエデュアルド・リッソというコンビの作品で終始渋カッコイイ短編なので必見……!!

◆Dark Nights: Death Metal Trinity Crisis
『バットマン・デスメタル』本編第4章でスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンの3人がパーペチュアに力を与えている『3つのクライシスの世界』へと向かう展開を掘り下げた、全3部からなるエピソード。
こちらでもその過程で様々な闇のバットマンが登場するんですが、その中でも『パール』という闇のバットマンはマーサ・ウェインがバットマンとなった姿であり、さらっと描かれてるもののなかなかショッキングな描写でした。別世界とはいえ悪堕ちした実の母親と相対したブルースの表情がかなり切ない……。

弱体化著しいバルバトスくん

そんなシリアスが描かれる一方で、『バットマン・メタル』の時の強大さはどこへやら……とばかりにスープスに一撃でのされるバルバトスくんの弱体化、あまりに著しくて笑ってしまった。

◆Dark Nights: Death Metal Speed Metal
スピードメタル

これもデスメタル本編の第3章~第4章の補完となるエピソードで、ウォリー・ウェストの身体に残っている反クライシスのエネルギーを狙って追いかけてきたダーケスト・ナイトからスピードスター……フラッシュことバリーアレン、ジェイ・ギャリック、ウォレス・ウェストの4人が超スピードの逃走劇を続けつつ、スピードフォースが枯渇する前になんとか対抗策を練っていく……という内容。
DCリバース、ザ・ボタン、ヒーローズ・イン・クライシスと続いてきた物語の中で、『世界そのものに邪魔されているような感覚』を味わい続けてきたウォリーが、歴代フラッシュの後押しと、特に尊敬するバリーからの激励を受けてようやく本当にヒーローとしての希望を取り戻す、最高にアツい一編だ!
P.156からのシーンで感動しないウォリーファンは居ないはず……!!

◆Dark Nights: Death Metal Multiverse's End
ブチギレオウルマン

こちらはヒーローとヴィランが逆転しているアース3を舞台とした、番外編色が強いエピソード。
グリーンランタン組が多元宇宙のヒーローを集めたジャスティス・インカーネイトと共闘し、振動音叉装置の塔を破壊しようと行動するものの、この世界の最強のヴィランチーム、クライムシンジケートに妨害されてしまう。囚われたグリーンランタンのジョンはシンジケートのメンバーの一人、バットマンが反転した存在であるオウルマンをなんとか説得して共闘を持ちかけようとするが…………というストーリー。
他の多元宇宙が滅ぶことは歓迎しつつも、バットマンの鏡像を名乗るバットマン・フー・ラフズが許せないという面倒くさい感情を抱えているオウルマンの姿や、前述したベイビーバットマンが様々な色のリングの力を手にしているレインボー・バットマンという強敵部隊を率いて出現する展開が面白い。
特にレインボー・バットマンの軍勢はヒーロー達を一気に劣勢にするほどの強敵チームなんですが見た目がギャグだけに、ハル・ジョーダンの「こんなバカみたいな終わり方、認めんぞ」というセリフの感情がスゴい。

◆Dark Nights: Death Metal Robin King
ロビンキング覚醒

ロビンキングが『ロビン』を名乗るようになった過程や、ダーケスト・ナイトとなったバットマン・フー・ラフズによって『解放』されるまでの経緯を詳細に掘り下げた『ロビンの王』が収録されている作品。
様々なヒーローを殺害するための準備を常に用意しているロビンキングの強キャラっぷりが存分に堪能でき、また各ヒーローたちが容赦なく残虐な殺され方をするのが実にエグい一編です。
ちなみに以前紹介した『バットマン・メタル:ライジング』収録のバットマン・フー・ラフズのオリジンや、前述した『苦痛の申し子』、そしてこの『ロビンの王』のアートはどれもライリー・ロズモが担当しているため、なんだか氏が彼らの専属アーティストのような印象を受けますね……。

最後はバットファミリーの一人、『シグナル』ことデューク・トーマスを主役としたエピソード『街を継ぐ者』で本書が締めくくられます。
シグナルが対峙する闇のバットマンは、シグナルが死ぬたびにバットマンがラザラス・ピットで彼を蘇生させてきたという並行世界の存在であり、何度も死ぬシグナルのためにピットを乱用する様を止めようとしたラーズ・アル・グールとバットマンが争いになった結果相打ちで死亡。そしてピットの中で3人の死体が混ざりあった結果生まれた、クワイータスというバットマン。
様々な闇のバットマンが『ゴッサムシティは自分にしか守れない』というある種の傲慢さを見せてくるのに対し、『ゴッサムシティはいつまでもバットマンの街ではない』という、いつかは訪れる世代交代を予感させる締めくくりが印象深い一編です。

◆〆
……ってわけで、どのエピソードもめちゃくちゃ面白かった!!!!!
やっぱりクロスオーバーはタイインも読んでおいたほうがストーリーに厚みが出る……!!本編だけだとどうしても重要シーンがあっさり目の描写で流される事が多いので。

ちなみに、ジャスティス・リーグ誌で展開されたタイインや、モビウス・チェアの持ち主であるメトロンが復活するエピソード『ライズ・オブ・ニューゴッド』、ロボがデスメタルを集める展開の詳細が描かれる『インフィニット・アワー・エクストリーム!』、ロビンキングが狂言回し役の短編集『マルチバース・フー・ラフズ』、最終決戦前のヒーロー達のひとときを描いた短編集『ラスト・ストーリーズ・オブ・DCユニバース』、スーパーボーイ・プライムが主役の『シークレット・オリジン』、デスメタル本編最終章の戦いをより掘り下げた内容の『ラスト52:ウォー・オブ・マルチバース』といった今回未邦訳のエピソード群は下記の単行本に収録されています。
ざっくりとしたあらすじ自体は本邦訳の解説冊子に記載がありますが、実際に読みたければもう……原書を買おう!!

  

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