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19 2011

ロバート・カークマン&トニー・ムーア 他/ウォーキング・デッド

ウォーキング_convert_20111016132956
「あのさ…いい考えだと思うんだ。」
「人生で一番楽しかった日のことを話していれば、
 ひどいことをぜんぶ忘れられるんじゃないかな…。」

昏睡から目覚めると文明は崩壊していた。
田舎町の警官リックは、ようやくのことで愛する妻子と再会するが、それは長く過酷な旅の、ほんの序章に過ぎなかった……。

「ゾンビ発生」という極限状況でむき出しになる人間の本質とその中で変容してゆく人間性を克明に描く「ホラー」や「ゾンビもの」というジャンルを超えた正統派ヒューマン・ドラマ。

町山智浩氏推薦!
「これはゾンビ・コミックの傑作というだけではない。国家も法律も消滅したアメリカの荒野を約束の地を求めて生き抜く主人公は、自らの手探りで十戒を創出せざるを得ないモーゼであり、フロンティア・スピリッツの再生者なのだ。」


2010年にドラマ版が放送されて話題になった『ウォーキング・デッド』の原作コミック。
ドラマ_convert_20111019000635
ドラマ版は独自要素がありつつもかなり評判が良いようです

原作はイメージコミックスで2003年から連載され続けているかなりの長期連載の作品。
しかも月一でリーフの新刊が発売されているというハイペースっぷり。

この邦訳版は原作の単行本3冊の合本で400P以上という非常に大ボリュームな本。出版した飛鳥新社は発売前から特設サイトを開設しており、本書発売における力の入れようが伺えます。

【公式サイト】(※一部コンテンツにネタバレがあるので注意)
ゾンビだらけ_convert_20111018230500
これはゾンビですか?(※ゾンビでした)

主人公である田舎町の警官・リックは冒頭で脱獄囚との銃撃戦で重症を負ってしまう。
病院で目が覚め、部屋から抜け出すともう外はゾンビだらけだったという理不尽すぎる展開から話はいきなり始まります。

目が覚めたらいきなり世界が悪夢のような状況になっているというのは何というかてんやわんやでしっちゃかめっちゃかな状況ではないでしょうか。

そしてゾンビたちの群れを切り抜けつつ生存者達と出会い、集団生活を始めていくようになるというのが基本的な流れ。
そのため、本作はゾンビ達との戦いは見所の一つではあるんですがそれ以上に極限状態に置かれた人間同士の間で起こるトラブルの方が大きく目立つストーリーです。
グループ行動_convert_20111018232116
チャプター2以降はペンシラーが交代。絵柄に差があるのでちょっとキャラを把握する際に戸惑う

仲間の死により大きく動揺したり、心変わりによって敵対したり、考えの相違により口論になったり…。
ゾンビ云々よりもこちらがメインな気が。
サバイバルホラーだけでなく、人間ドラマもしっかりと描かれるために単なるスプラッタな作品にはなっていないのが良い感じ。
登場人物が少しづつ変貌していく様がもう…

ゾンビ物といったらとにかく阿鼻叫喚やたらと人が惨たらしく死にまくるスプラッタ描写ちょっと狙ったおバカ描写で構成されているといったイメージがあったのですが(偏見)
そういったイメージが全て吹き飛びました。

冒頭はものすごく唐突な始まり方なのに、この人間トラブルの行く末が気になってしまいグイグイと読み進めてしまいます。
『真に恐ろしいのはゾンビではなく人間なのだ』とかいう感じでしょうか。
(本作は主人公までこの枠に当てはまるのがまた恐ろしい。作中では「リックは不快なほどの楽観主義と徹底的な激高のあいだを行ったり来たりしている」なんて評されたりして)

なおかつゾンビに、もしくは同じ人間に襲われてはちょっと前まで生存してたキャラがあっさり死亡してしまうので先が読めないです。
それもあって中だるみすることが無くページが進む進む。
ポカーン_convert_20111018233050
ゾンビと戦い続けるうちにリアクションもやや薄めになってくる

出てくるゾンビは色々と『お約束』から外れない設定で襲い掛かります。
『一度噛まれれば感染してゾンビになる(この辺はちょっと謎もあるんですが)『頭を潰さない限り活動し続ける』『知能は乏しく鈍足』などなど…
ゾンビとの戦いを重ねるうちに、主人公達もベターな戦い方を模索するようになっていくという成長要素も見ていて楽しい。
そんなわけで、単なるサバイバルホラーに終わらない…というかヒューマンドラマ寄りなこの作品、かなりおススメです。
(訳文がやや平仮名多めなのがちょっと気になりますが…)
この翻訳版は非常に気になる『引き』で終わってしまっているので一刻も早く続きが読みたい!!

ただ、ちょっぴり不安なのはこの邦訳版は「売れたら続刊しますよ」というスタンスな所。
原作は現在進行形で連載中なので最後まで翻訳され続けるのかは正直分からない…

海外コミックの刊行が打ち切られる例は少なくないので是非飛鳥新社さんには頑張ってもらいたいです。
(※訳者の風間賢二さんのツイートによると続刊が決定したそうです!)【11月4日追記】

とりあえず湧き上がるゾンビ熱は、冬にヴィレッジブックスから発売予定の同じくロバート・カークマンによる作品
『マーベルゾンビーズ』を読んで発散する事にします。
ゾンビーズ!_convert_20110630145019

Juice Filmsによるモーションコミック】

ドラマ『ウォーキング・デッド 第1シーズン』感想

ウォーキングデッドドラマ版

レンタルでドラマ版も一気見しちゃいました。

全6話構成のシーズン1。
邦訳版での第1章の途中までを実写化した感じです。
とはいっても1話辺りは原作エピソードに肉付けを行いつつ忠実に展開するのですが、2話以降からはオリジナル要素が多め。

例を挙げると、リックが原作コミックで最初に出会う生存者親子のエピソードが増加していたりリックが2度目に落ち合う生存者メンバーが原作よりも増えていたり妻ローリのビッチ描写がコミック以上に激しくなっていたりなどですね。

リックが病院内で一人無事だった理由など、ドラマ版独自の解釈で追加されたシーンも必見。
(原作コミックでもそのうち説明されるんだろうか?)

そんな感じで結構独自要素は多いものの、『極限状況下で垣間見える人間の怖さ』という部分はドラマ版でもしっかり表現されています。
ドラマ版も決してゾンビパニックが作品のメインではありません。

シーズン1終盤はこの問題の対策にあたっている『疾病対策センター』に向かうという展開に。
そして多くの伏線が未回収のまま全6話で終了します。
このドラマはシーズン2、シーズン3と続いていくようなんで、シーズン1なんてまだまだ序盤にすぎないんでしょうね。
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