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14 2011

スコット・ロブデル&ジョー・マデュレイラ他/X-MEN:エイジ・オブ・アポカリプス

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「彼の名はチャールズ・エグゼビア。私の知る最も偉大な男だ…
 死の間際、彼は私に自分の夢を託したのだ。
 人類とミュータントが共に暮らす世界を作るという夢の実現をな…
 あれから二十年の時が過ぎた…
 天からこの世界を見下ろして、彼は何と思うだろう」


本作品『エイジ・オブ・アポカリプス』は、1995年の初頭を飾る一大クロスオーバー作品として発表されたものである。クロスオーバーとは、複数のタイトル間でストーリーが連続していく、アメリカンコミックス独特の作劇スタイルであるが、全39冊という膨大なボリュームと、それぞれのストーリーが密接に絡み合う展開の広大さは、かつてない規模だといえるであろう。

Xメンに始まり、Xファクター、Xフォースなど、多数の時系列を持つXメンシリーズは、これまでにも『インフェルノ』、『フェイタル・アトラクション』といったクロスオーバーを行ってきたが、今回の『エイジ・オブ・アポカリプス』は、基本設定の大胆さからして、従来のクロスオーバー作品とは一線を画している。

――Xメンの創始者であるプロフェッサーXが、Xメン結成前に殺害されたために歴史が改変され、本来のXメンの世界とは異なるもう一つの世界が誕生した。

全く新たな作品世界の構築。これが『エイジ・オブ・アポカリプス』のメインテーマである。本来のXメンの世界においては、Xメンは人々から差別され弾圧されるミュータントの自由を勝ち取るために戦ってきた。しかし『エイジ・オブ・アポカリプス』の世界においては、ミュータントこそが支配人種であり、人類は滅亡の淵に追い込まれている。そしてXメンは、その人類を破滅から救うために戦うのだ。

1963年にXメンがスタートして以来、30余年にわたるストーリーの流れを断ち切るとはあまりに大胆な試みであるが、その衝撃はファンに驚きと称賛を持って迎えられた。

世界の破滅へと突き進む緊迫感あふれるストーリー。読者の予想を裏切る斬新なキャラクター設定。この『エイジ・オブ・アポカリプス』で、クロスオーバーの醍醐味を存分に味わってほしい。


◆収録作品

○Vol.1
1995年02月:X-Men: Alpha
1995年03月:Astonishing X-Men #1
1995年03月:Amazing X-Men #1
1995年03月:Generation Next #1
1995年04月:Astonishing X-Men #2
1995年04月:Amazing X-Men #2
1995年04月:Generation Next #2
1995年04月:Age of Apocalypse: The Chosen
1995年05月:Astonishing X-Men #3
1995年05月:Amazing X-Men #3
1995年05月:Generation Next #3
1995年06月:Astonishing X-Men #4
1995年06月:Amazing X-Men #4
1995年06月:Generation Next #4

○Vol.2
1995年03月:Weapon X #1
1995年03月:Factor X #1
1995年03月:X-Man #1
1995年03月:X-Men Chronicles #1
1995年04月:Weapon X #2
1995年04月:Factor X #2
1995年04月:X-Man #2
1995年05月:Weapon X #3
1995年05月:Factor X #3
1995年05月:X-Man #3
1995年06月:Weapon X #4
1995年06月:Factor X #4
1995年06月:X-Man #4

○Vol.3
1995年03月:Gambit and the X-Ternals #1
1995年03月:X-Calibre #1
1995年04月:Gambit and the X-Ternals #2
1995年04月:X-Calibre #2
1995年05月:Gambit and the X-Ternals #3
1995年05月:X-Calibre #3
1995年05月:X-Universe #1
1995年06月:Gambit and the X-Ternals #4
1995年06月:X-Calibre #4
1995年06月:X-Men Omega
1995年06月:X-Universe #2
1995年06月:X-Men Chronicles #2


THE AGE OF APOCALYPSE
1995年に発表され、全39冊というボリュームで展開された一大クロスオーバー作品。
この翻訳版は97年に全3巻で発売されました。
本作は基本設定からして今見てもかなり大胆なものとなっています。

そもそもの事の発端は、20年前に生き別れたプロフェッサーXの息子・リージョンが、
「マグニートーが父を裏切らなければ今頃は父の夢が実現されていたはずだ」と考え、過去にさかのぼってマグニートーを暗殺しようとした事から始まります。
そしてリージョンは過去のチャールズ(プロフェッサーX)エリック(マグニートー)の前に姿を現し、エリックを殺害しようとするのですが、ここでチャールズが親友であるエリックを庇ったことで代わりに死亡してしまい
本来のXメンの世界とは異なるもう一つの世界が誕生してしまったのでした。
(※この辺の前日譚は過去に邦訳・出版された『マーヴルクロス』6巻~9巻に収録)

『エイジ・オブ・アポカリプス』の世界は本来の歴史とは異なりアポカリプスの侵攻が早まり、アメリカ全土はミュータントが支配人種となり、人類は絶望の淵に追い込まれているという絶望的かつ退廃的な世界。

そしてこの世界ではなんと、マグニートーがXメンの創始者となり、プロフェッサーXの遺志を受け継いで人類を破滅から救うために戦っているのです。

1巻マグニート_convert_20111014182134
改変された世界の中で唯一
『時間旅行』というミュータント能力を持つビショップのみが元の世界の記憶を持っており、
このAOAの世界のマグニートーに本来の世界の記憶を見せる

そんでもって本来の歴史の環境とは異なっているものですから、同じキャラクターでも性格や外見がかなり異なっていたりします。

Xメンとしてミュータントと戦い続ける、粗暴だが根は優しいというウルヴァリンポジのセイバートゥース。
マグニートーの妻で息子チャールズを生み、Xメン別働隊のリーダーも勤めるローグ。
アポカリプスの部下であり、エリート・ミュータント部隊のリーダーとなっているサイクロップス。
マッドサイエンティストと化し、人の命を玩具のように弄ぶビースト。
赤いコスチュームに身を包み、次世代のXメン『ジェネレーション・ネクスト』を育成しているコロッサス。
片腕を失ってなおフリーランスとしてウェポンXと名乗り戦い続けるウルヴァリンなど、
元のキャラを知っていれば知っているほど各キャラの性格や所属する陣営などの立ち位置の異なりが楽しめる内容となっています。

大きく人間関係が再構成されているために、「キャラは知ってても細かい人間関係に詳しくは無い!」という状態だった僕でも相関図が飲み込みやすかったのもポイント。

◆アート
1巻アストニッシングX-MEN_convert_20111014052622

アーティストの一人、ジョー・マデュレイラは日本の漫画に色々影響を受けているらしく、そのアートはアメコミ率7:日本漫画率:3ってな感じの絵柄です。
アメコミには珍しく(珍しくって言い方は失礼な気もするけど)ゴツさよりも美しさのほうが際立っている女性絵になってます。

2巻ウェポンX_convert_20111014183625

『アダム・キューバート』は戦闘シーンの派手さを表現するのにうってつけな画風となっており、ウルヴァリンの魅力を際立たせてくれます。

3巻ガンビット&X-ターナルズ_convert_20111014184014

スペイン出身の『サルバドール・ラロッカ』のアートは、最初の頃は線が細めのちょっと気になるアートでしたが、ストーリーが進むごとに線が整理されてその描き方もメリハリがついたものになっています。

◆重厚なエピソード
2巻ファクターX_convert_20111014184531

『エイジ・オブ・アポカリプス』多くのタイトルのストーリーが同時進行するという膨大な作品量となっているため、さすがに全部のエピソード収録する事は出来ず、一部のエピソードは簡単に文章で紹介されるのみとなっています。
しかしそれでも全タイトルの主要エピソードを収録している邦訳本なためボリュームは相当なモノ。読み応えありです。
三冊合わせて1000ページ以上にも昇るすさまじい厚さ。

厚い!_convert_20111014104640
超分厚い。

この『AOA』の特殊な世界観を表現するために、本来のシリーズ全てが一旦休刊し、この世界を舞台とする新タイトルを展開させたという徹底振りは伊達じゃないです。
『AOA』というタイトルの独自性と特殊性がよく現れているのではないでしょうか。

そしてこの翻訳本も膨大すぎて最終決戦のエピソードにたどり着くまでが長いだけに、様々なタイトルのキャラクターがようやく集結するエイジ・オブ・アポカリプス最後のタイトル『XメンΩ』の展開が堪らないです。
あまりに熱い展開なんてゾクゾクしちゃいます。
いやほんと堪んない。こういう展開大好きです。

ちなみにX-MEN関連のキャラクターだけでなく、3巻後半ではアイアンマン『トニー・スターク』マイティ・ソー『ドナルド・ブレイク』、そしてファンタスティック・フォーのキャラも登場する『Xユニバース』という作品も収録。

Xユニバース_convert_20111014120957

人工心臓で生きているトニー・スタークや、医療活動で人々に貢献しているドナルド・ブレイク医師、リードとジョニーを失ったスーザンとベン・グリムにまさかの味方キャラと化したドゥーム。そして変身の度に場をかき乱すハルク。
設定が改変されている上に本来の世界とは違いスーパーヒーローと化していないキャラも多いためかなり新鮮な光景です。
『「人類最高会議」のメンバーとしてアポカリプスに立ち向かう』という独自の設定で活躍。
ハルク以外は普通の人間です。

このXユニバースという作品は本編ED後に収録されているため、
もう一つの最終決戦と言えるような構成に。

◆感想
1997年4月20日、10月1日、11月28日と約1年かけて邦訳された『AOA』
訳者の石川裕人氏も「アメコミ邦訳の歴史に残る金字塔だと思います。読者の熱気、出版社の意欲の双方が頂点にあったからこそ可能だったんだと思います。」とまでコメントする作品。

近年刊行されたクロスオーバー作品の『ハウス・オブ・M』とか『シビルウォー』は本編のみ(シビルウォーはクロスオーバーの邦訳検討中)の翻訳ですし、『AOA』のようにガッツリ邦訳して欲しかった…

本書は関連タイトルも完訳されているおかげで「登場人物が多すぎてキャラがおざなりになってる!」という不満は感じませんでした。
マーベルの一大クロスオーバー作品で相当な傑作のこの作品。
今現在Amazonの中古でも1巻以外は定価よりも安い中古価格で売ってるようなので(2011年10月現在)まだ購入は容易なタイトルではないでしょうか。

ストーリーの流れが割りとアメコミというより日本漫画のノリっぽいのもあっておススメのタイトルです。

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◆PICK UP キャラクター コロッサス
AOAコロッサス_convert_20120201005245「くそっ!今日ここで死ぬのなら妹の側で死ぬ!」

本名をピョートル・ニコライビッチ・ラスプーチンという、全身を生体金属の鎧で包む能力を持つXマン。
本作AOAでは次世代のXメン、ジェネレーションネクストの訓練を妻のシャドウキャットと行なっているという設定で登場。
AOAでは様々なキャラが微妙に性格や外見を変えて登場しますが、コロッサスはコロッサスでかなり印象に残るキャラクターになっています。

本家のようにデンジャールームなんてものは持っていないため、屋外に出て『生徒VS教師』という形で妻のシャドウキャットと一緒にガチで殺しにかかる実戦練習を行うほどのスパルタぶりを見せつけてくれます。

また、妹イリアナに対するシスコンっぷりはた迷惑なレベルになっているのも特徴。
イリアナがこの世界を救う鍵と言う事を知り、彼女が居るコア・ポートランドという強制収容所のような所に生徒と救出に向かい見事成功させるのですが、代わりに生徒が大量の敵に囲まれて大ピンチになっているのを見るや否や即見殺しに。
多少葛藤したかのようには描かれるものの、「やるだけやった…残念だ」と妻に報告するその姿には多くの読者がドン引きしたのではないでしょうか。

そして各キャラクターが集結して最終決戦に挑む『XメンΩ』では、イリアナを犠牲にする事で世界が救われるという事が判明しコロッサスは暴走。
敵との最終決戦中という大事な場面でアイスマンを粉々に粉砕し、目の前に現れた妻シャドウキャットを踏み殺してからようやく我に返るというイカレっぷり。
正気に返った所を狙い、ガンビットがコロッサスを殺害して出番終了という扱い。

AOAのコロッサスは良くも悪くも印象に残りまくるキャラとして立ち回り続けたのでした。

そして、彼のこの立ち回り方と陰惨かつ引き込まれるストーリー展開により、クロスオーバーの中でも『Generation Next』誌は特に評価が高いとか。
  
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