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01 2011

スコット・ミッチェル・ローゼンバーグ&ルシアーノ・リマ/カウボーイ&エイリアン

カウボーイ&エイリアン

「…お前らの存在は進化の邪魔でしかない」
「運命は変えられない。この惑星の運命もな」

1873年、アリゾナ。西部開拓時代、それは、銃ですべてを決めていく時代。
ヨーロッパからの入植者たちは新天地を勝ち取るために、原住民たちは自らの土地を守るために攻防戦を繰り広げていた。だが、そこに新たな敵が出現。地球征服をたくらむ未知なる侵略者たちに、人類はこのまま奴隷にされるのか......。
西部に未知の敵が襲来するという想像を絶するストーリーの結末はいかに!


『カウボーイ&エイリアン』は、2006年にプラチナ・スタジオ・コミックスから刊行されたコミックスです。
この邦訳版のカバーアートは岡崎能士先生

カウボーイとエイリアンという組み合わせだけでやたらと目を引くこの作品、
巨匠・スティーブン・スピルバーグには「なぜ映画化されなかったのか不思議なほどすばらしい原作」とベタ褒めされ、
アイアンマン監督、ジョン・ファヴローをして「この原作を見つけたときに、すぐにでも取り組むべきだと思った」とまで言わしめて、さっそく映画化されたほどの評価を受けています。

大物2名にここまで言わせるこの作品はいったいどんな内容なのか?
ちょっと紹介していきたいと思います。
アパッチVSカウボーイ_convert_20110901004954

時は1873年、西部開拓時代。
主人公、ジークとその相棒のカウガール、ヴェリティが西部(シルバーシティ)を目指す移住民達をアパッチ族の襲撃から護衛しているシーンから始まります。
その余りの猛攻っぷりに手がつけられなくなってきたとき、いきなり謎の轟音が。
アパッチ達がその音に気を取られている隙に何とか主人公達は逃げ切ることができました。
エイリアン登場_convert_20110901005026
司令官、ラドー・ダーとその部下達
轟音がなんだったのか気になって仕方が無いアパッチ達。
音の鳴った方に向かってみると何と巨大な宇宙船が不時着していました。
そしてその中からぞろぞろとエイリアンが!!
エイリアンは接触を試みたアパッチ達を容赦なく未知の兵器で撃ち殺し、この地球が生存可能な惑星と知るやいなやさっそく地球征服をもくろみだします。

ついさっきまでアパッチ族との戦いだったのにすぐにエイリアン侵攻のストーリーにシフト。
なかなかテンポが速いです。
尺が100ページほどの短めな作品というのもあるんですけど。
エイリアン来襲_convert_20110901005136

じわじわと地球侵攻を進め、ついにシルバーシティを襲撃し始めたエイリアン達。
苛烈な敵の攻撃になすすべが無いように思われたのですが、ジークが拾ったエイリアンの武器を用いて戦ったことでそこそこ善戦。
しかし敵部隊の数があまりに多いため捌ききることはできず、移住者を引き連れて撤退を余儀なくされることに。

撤退の道中、アパッチ族の首長、カラスの呪医と遭遇。
アパッチ族の土地に一時的に匿ってもらえる事に。
そこにエイリアンの艦隊から離反してきたカイ・チャク・ラも加わり、
お互いの共通の敵、エイリアンとの決戦の準備を行うことになります。
アパッチ&エイリアンと協力_convert_20110901005202
敵の敵は味方

撤退戦でエイリアンから手に入れた武器も用いて、いよいよ最後の戦いへ…というストーリー。
内容的には>さして凝ったストーリーは展開されないです。
終始ずっと戦闘シーンがメイン。
登場人物の細かいバックボーンはいちいち説明されません。
純粋に登場人物のアクションを楽しみ、頭を空っぽにしてエイリアンとの交戦の行く末を見守るのが良いんでしょう。
何というか購入前の予想通り、マイナーなB級アクション映画を鑑賞しているような錯覚を覚えました。

本作の冒頭では、『領土拡大を目指して侵略行為を行ったのはアメリカも同じ、征服する側にしてみれば自身の正義を通しているだけのこと』と語られています。
こうなると『エイリアン側を単に悪として見て良いのか?』という深いテーマ性を感じる事ができる…気はします。

でもまあ実際の所、
あまりストーリーには期待しすぎず、軽い感じで読むのが一番いいんじゃないでしょうか。

個人的な感想を言うと、『そこまで持ち上げるほど面白かったかなぁ…?』というのが本音。
原作とはストーリーが別物な映画版がどうなっているのか期待。

あ、ちなみに本書も解説は『アスガルドの伝説』の邦訳のときみたくコマの枠外に書かれていたのでテンポを損なうことが無く読みやすかったです。
今後もこの方式を取るんでしょうか。
それとも単に解説する部分が少なかったからこうしただけ?

本作は2007年に続編『Cowboys and Aliens: Worlds at War (or Cowboys & Aliens II)』が出ており、WEBコミックとして公開されています。
【Cowboys and Aliens II】

かわかわ_convert_20110901014335

アーティストが途中で変わる作品。
こっちもそのうち邦訳してほしいのですが、3年間更新が止まっておりストーリーも停止中。
コメント欄で読者の不満が爆発してます。
未完になるんじゃないか不安な作品。
映画『カウボーイ&エイリアン』

カウボーイ_convert_20111023001642
【公式サイト】

カウボーイ表紙_convert_20110828042242『カウボーイとエイリアン』という突飛な組み合わせであるせいか、公開前は「イロモノ映画」さをちょっぴり期待されていた感もあるこの作品。
実際に見てみると、『未知の強大な力を持つエイリアンに対して明らかに劣勢な人間が立ち向かっていかなければならない』という展開が普通に熱いです。
ただそれだけなら原作と同じなんですけど、特に目を引くのがストーリー展開。
なんと映画版は原作ストーリーガン無視の脚本。
「映画と原作は違って当然」というのはありますが、本作はさらに登場人物も完全オリジナルという思い切りっぷり。
(主人公の名前だけ『ジェイク・ロネガン』という原作主人公『ジーク』に近い名前ですけどキャラは別物)

スタッフは上記の原作コミックの表紙アートを見て着想を広げたらしく、良くある『原作コミックが良かったから、人気だから映画化した』というのとは経緯が違うようです。
とにかく『カウボーイとエイリアン』という組み合わせにビビっときたのだとか。

そんなわけで原作とは『カウボーイとエイリアン』という組み合わせ以外に共通項が無い脚本でしたが、
映画のストーリーはかなり面白いです!

記憶喪失で、何故か強力なビームを放つことが出来る腕輪を装備している謎が多い主人公。
西部劇の世界から一転、強大な敵に立ち向かわなければいけなくなる絶望感。
原作とは違い、エイリアンから武器を入手する展開が無いため、純粋に人間の力だけで立ち向かっていくという熱い展開。
(唯一主人公だけ強力な武器を持ってるけど)

感想としては正直原作コミックより面白い作品に仕上がっていたと思います。
…原作コミックはストーリーを盛り上げる演出に欠けてる気がするんですよ。
エイリアン周りの設定もこの映画版のほうが好みです。

本映画は一部説明不足な描写があったりエイリアンの強さにややバラつきがあったりちょっぴり突っ込みたくなるシーンはありますが新感覚のSFアクション映画として十二分に楽しめる作品になっています。
個人的に当たりな映画。

ちなみに、(考えすぎかもしれませんが)一部のストーリー展開には原作リスペクトな部分もあったり。
しかし原作ガン無視で原作越えて…原作の立場が…
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