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17 2011

文藝別冊 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪

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あづま表紙_convert_20110817024125ちょっと前に購入したこの本を紹介。

本書は吾妻ひでお先生の魅力を徹底的に特集しているムック本です。
幅広い吾妻先生の作品を徹底的にピックアップ。さらに本人への2万5千字に及ぶインタビューや、
吉田秋生先生、山本直樹先生との対談も収録。
様々な作家陣からの特別寄稿も充実しています。
(ただし過去に別誌で掲載されたものの再録だったりする)

吾妻先生と萩尾望都先生による描き下ろし合作マンガ「愛のネリマ・サルマタケ・ゾーン」や、
吾妻先生の数々の未発表・未収録作品も多数掲載しており、まさに吾妻ファン必携の1冊となっています。


収録内容

・巻頭カラーマンガ 「SF玉手箱」
・吾妻ひでお 2万5千字 ロングインタビュー
~現代日本的美意識「かわいいエロ」の創造者~
・吾妻ひでお+萩尾望都 描きおろし合作マンガ「愛のネリマ・サルマタケ・ゾーン」
・漫画家からの特別寄稿
 諸星大二郎/すがやみつる/高橋留美子/ゆうきまさみ
 まつもと泉/とり・みき/竹本泉/赤井孝美
・スペシャル対談
 1.吾妻ひでお×吉田秋生「深夜の美女・SF対談」
 2.吾妻ひでお×山本直樹「リスペクト対談」
・未発表・単行本未収録含む貴重なマンガ
・池猫/陽はまた昇る/チーねずみ/おおおおお
 どくたい/変容 transfiguration/乞食/虚空のモナー
・デビュー前に描いた未発表の初期作品「すぷりんぐ」~吾妻ひでおの解説付き!~
・アイデアノート&ラフスケッチ 大公開!
・作家・アーティストからの特別寄稿
 坂本龍一/菊地成孔/いしかわじゅん/手塚眞/大塚英志/新井素子
・身内が語る 吾妻ひでおの素顔
 妻・アシスタントA/娘・アシスタントB
・徹底研究 
吾妻ひでおはいかにして「おたく文化の祖」になったか
・カラーイラストギャラリー
・吾妻ひでお 50作品 徹底解説(1970~2009年)
・吾妻ひでお 全430作品リスト


チーねずみ_convert_20110817195212
未発表の原稿や貴重なマンガが収録されているのもあって文章以外の楽しみも充分にあります。 左の作品は、『2002年頃にまんだらけオークションに突然原稿が出品されたのちに所在不明となった幻の作品』『チーねずみ』です。去年先生のお宅からコピーが発見された事でめでたく復元、本書に収録されたという経緯を持っています。
オークションに出品されたという話は聞きましたが所在不明になっていたとは知らなかった。

【廃墟通信 2003年01月06日:吾妻さんからの賀状】(外部サイト)
落札価格が495100円にも上っていたというのがまたとんでもない。
企画段階で頓挫した『日刊漫画』(日刊漫画社)のための原稿が紛失ないし流出したものと推測されているようです。

『チーねずみ』は4P程の作品で、引越しをした父と息子が借りた家には、アミタイツを穿いているねずみっ娘が住み着いていたというドタバタコメディ。企画が頓挫せずにいたら2話目も読めたんだろうなーと思うとちょっと歯がゆいです。

虚空のモナー_convert_20110817202009
もう一つ個人的に収録が嬉しかった作品がこの『虚空のモナー』
『2ちゃんねるぷらす』という誰が読んでいたんだと言いたくなるような雑誌に10回に渡り連載されていました。他にもリアルにネラーである小林源文先生の作品も載っていたようです。
初出の当時にその連載を知らなかったので全10話全て読めたのはありがたい。リアルタイムでは唯一の商業誌連載という事もあって微妙に話題になっていたとか。

「モナー穴」「楽しい国語」「タシーロ」ネタや「電車男」パロなど今見ると微妙に懐かしいものが多いです。
モナーのパートナーとして『ななこSOS』ななこが登場しているのも特徴。

◆感想
『吾妻ひでお 2万5千字ロングインタビュー』は、吾妻先生の2011年までの年譜を参照しつつ、
先生の作品の基礎となっているSF小説の話や漫画家になることを決心してからのお話、伝説のロリコン同人誌『シベール』の話題や日本的な『かわいいエロ』の誕生の瞬間など、先生が生み出してきた作品の源泉を探る内容となっています。

『吾妻ひでお大全集』(1981年)に収録されていた『吾妻ひでお×吉田秋生「深夜の美女・SF対談」』は好みの女の子やSF話、結婚観や漫画談義を、
『吾妻ひでお×山本直樹「リスペクト対談」』では山本直樹先生の『吾妻ひでお愛』が溢れんばかりの主張が炸裂。

また、『身内が語る吾妻ひでおの素顔』という章も必見。
「アシスタントAが妻でBが娘」ということが本書で明記されている点にも注目。
アシスタントB_convert_20110817211529
妻・アシスタントAさんに対しては吾妻先生との出会いやアシスタント時のエピソード、先生が失踪してしまったときの印象深いエピソードなどなかなか興味深いQ&Aが掲載されています。
娘・アシスタントBさん(ぢがちゃん)は父親の印象や失踪から帰ってきたときのエピソードを4コマ漫画で回答しています。
もっとも身近な先生の家族のインタビューというものあって読んでいて面白いですよ。

再録分で結構ページを取っているのもあって、ディープな吾妻ファンには新鮮な内容が少ないのかもしれませんが、こうやって一冊に纏めて発行されたのは嬉しい限りです。
個人的にはディープな内容でお腹いっぱい。
幻の漫画「チーねずみ」「すぷりんぐ」の収録、吾妻ひでお作品解説&全430作品リスト(初出誌、初出年月日も完備)、先生のアイデアノート掲載ともうとにかく感心しました。
とにかく吾妻作品が好きな人が編集したってことがよく伝わる本です。

ラフスケッチ_convert_20110817211539吾妻ファンなら絶対買うべき!
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2 Comments

マイケルムラタ  

吾妻ひでおさんがデビュー前に描いた漫画「すぷりんぐ」だけじゃない

実は吾妻ひでおさんが漫画家デビュー以前に描いた作品と言えば「すぷりんぐ」ですが、他にもデビュー以前の未発表作品が計3本ありました。

最期の男 1966年?

殺し屋マック 1968年?

我れらのアイドル ポップタン 1969年?

2011/10/28 (Fri) 16:49 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>マイケルムラタさん
らしいですね~。僕はネット始めてから知ったクチなんですけど(にわか)。
単純に単行本未収録(同人誌でのみ発表)の作品も多いようなのでその内上記3作品も含めて一気に収録した書籍とか出して欲しいです。

2011/10/28 (Fri) 21:30 | EDIT | REPLY |   

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