ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

18 2019

スパイダーマン:スパイダーバース

スパイダーバース予告編スパイダーマン:スパイダーバース
【原題】Spider-Man: Into the Spider-Verse 2018年【米】


スパイダーマンが存在することは秘密でもなんでもない。みんなが知っている。でもみんなが、いや、スパイダーマン自身も知らないこと──スパイダーマンは一人だけじゃない。なぜならこの世界にはいくつもの次元(ユニバース)が存在するから。私たちはマルチバースに生きていて、そのほとんどが私たちの住む次元に似ているけど、微妙に違ってもいる。
ヴィジョンアカデミーの生徒マイルス・モラレスは、ブルックリンに住む13歳の黒人の少年。マイルスは成績は優秀だが、新しい学校に馴染めず女の子にも声をかけられない、ごく普通の男の子だ。

ある日のニューヨーク。マイルスは叔父のアーロンの元を訪ね、地下鉄のトンネルに落書きをしているときに奇妙なクモに噛まれてしまう。次の日、彼は人生が一変したことに気づく。壁を這うようにして登ったり、大きく飛び跳ねたりできるのだ……まるでスパイダーマンのように!自分の体に何が起こったのかを突き止めるため、マイルスはふたたび地下鉄のトンネルへと向かうと、そこはスパイダーマンと巨大なグリーン・ゴブリンの壮絶な戦いの真っ只中だった。偶然と偶然が重なり合い、マイルスは全く新しいスパイダーマンとなることを余儀なくされ、恐ろしい敵たちに立ち向かうことに。でも、そんなに怖いことじゃない。だって、マルチバースから突然彼の次元に姿を現したスパイダーたちが助けてくれるから。

超能力を見につけ戸惑うマイルスの前に現れたのは、中年になり人生にくたびれたスパイダーマン、ピーター・B・パーカーだった!彼は、闇社会を牛耳るキングピンが時空を歪めたことで、別の次元からやってきたのだ。マイルスは中年ピーターの指導を受け、ヒーローを目指していくなかで、スパイダーグウェン、スパイダーマン・ノワール、スパイダーハム、ペニー・パーカーとSP//drら4人の異次元のスパイダーマンも加わる。これはすごくいいニュースだ。でも、悪いニュースもある。スパイダーたちが一つの次元に集まると、マルチバースが滅びる可能性があるという──!?
キングピンのヴィラン軍団との対決が迫る仲、マイルスをある悲劇が襲う。果たしてマイルスは。真のヒーローになれるのだろうか!?

***

マーベルコミックスの『スパイダーマン』を原作とする、映画スパイダーマンとしては初のCGアニメ作品となる一作。
また、原案となっているコミック作品はピーター・パーカーが主役のスパイダーマンではなく、ピーターの後を継いでスパイダーマンとなった黒人の少年、マイルス・モラレスが主役の『アルティメット・スパイダーマン』そして多数の並行世界のスパイダーマンが競演するクロスオーバー作品『スパイダーバース』です。

※関連作品の邦訳レビュー過去記事。
【ダン・スロット&オリビア・コワペル他/スパイダーバース】
【ダン・スロット&ジュゼッペ・カムンコリ他/エッジ・オブ・スパイダーバース】
【ダン・スロット&ウンベルト・ラモス他/ワールド・オブ・スパイダーバース】
【ジェイソン・ラトゥーア&ロビー・ロドリゲス他/スパイダーグウェン】
【ジェイソン・ラトゥーア&ロビー・ロドリゲス他/スパイダーグウェン:グレイター・パワー】

映画の主役はマイルス・モラレスという13歳の少年。彼がスパイダーマンとして覚醒するまでのオリジンを丁寧に描きつつ、並行世界のスパイダーマンたちとの出会いを通して成長していくというかなり王道で、王道だからこそ心躍る脚本。

本作で特筆すべきは凄まじくオシャレでスタイリッシュなアニメーション!!日本アニメ風のペニー・パーカーや、カートゥーンアニメ風のスパイダーハムという絵柄の違うキャラクター同士を違和感なく同時に存在させたり、CGアニメでありながらコミック風のモノローグや擬音、コマ割り、カラートーンや原色感強めのエフェクトを交えていくなど、ポップ・アートを意識した映像を眺めているだけでもため息が出るほどに美しくカッコいい!!

主役であるマイルス以外の各スパイダーマンたちのキャラクターも非常に立っていて面白い。
プライベートが上手く行かずすっかりやさぐれてしまい、いまや中年で腹も出ているピーター・B・パーカーがマイルスと出会った事で図らずも師匠役を務める事になり、その過程で少しづつベテランヒーロー、そして良き大人としての姿を取り戻していくところや、元の世界での悲劇が原因で他人と親しくなることを避けていたスパイダーグウェンがマイルスの一番の友人になっていく姿、ハードボイルドで渋くカッコいいスパイダーマン・ノワールはギャップのある一面で愛嬌を見せてきたり、スパイダーハムは一人だけカートゥーンアニメのノリで見ていて楽しい。そして日本アニメ風のペニー・パーカーは表情や立ち振舞いでの可愛らしさが徹底されていてもう堪らない。
(パンフレットによるとこの子だけは『リミテッド・アニメーション』で作成されているとか)
ちなみに、ペニーだけはSP//dr含めたデザインや性格が原作コミックから大きく乖離したキャラクターだったりするんだけど、元の方は露骨にエヴァンゲリオンのパロディキャラなのでそれはまあ仕方ないかもしれない(詳しくは上記の『エッジ・オブ・スパイダーバース』のレビューで)

スタン・リーの最後のカメオ出演があり、サム・ライミの映画スパイダーマンや原作コミックからのネタも豊富に盛り込まれ、色んなスパイダーマンが共演するエンタメとしても、そしてマイルス・モラレスが初の主役を務めるスパイダーマン映画としても最高の出来な作品でした。超オススメ!!!!!
興行収入次第では続編も検討しているらしく、さらなる並行世界のスパイダーマンの活躍が拝めるかと思うと期待してしまいますね……。エンドロール後のおまけ映像を見ると余計にね。

【【ネタバレ】『スパイダーマン:スパイダーバース』ポストクレジットシーン&カメオ出演者解説】
【【ネタバレ解説】『スパイダーマン:スパイダーバース』にみる「サム・ライミ版3部作」の痕跡 ─ なぜ過去作品が引用されるのか?】
【【ネタバレ注意!】あなたが見逃したかもしれない『スパイダーマン:スパイダーバース』の28のイースターエッグ!】
【『スパイダーバース』続編に日本版スパイダーマン登場は?監督を直撃】
【【ネタバレ】『スパイダーマン:スパイダーバース』にスタン・リーが遺したもの ─ カメオ収録秘話、複数の登場シーン、作り手の思い】
【ネタバレ】『スパイダーマン:スパイダーバース』スタン・リーの「未公開セリフ」内容が判明
【SPIのアニメーター8名がふり返る!「アニメーターファースト」なカルチャーが根付く『スパイダーマン:スパイダーバース』の制作舞台裏(前編) | インタビュー | CGWORLD.jp】
  
関連記事

0 Comments

Leave a comment