ツルゴアXXX

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24 2011

マーク・ミラー&ジョン・ロミータJr./キック・アス

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「よし… ヤツらのケツを蹴っ飛ばしてキック・アスやろうぜ!」

倫理コードギリギリの超問題作、
ついに日本語版で登場!!


平凡なオタク青年のデイヴは、ある日ヒーローになることを決意した。
ネット通販で揃えた自前コスチュームでさっそく街へ出るデイヴだったが、
なんの特殊能力もない彼は、逆に街のチンピラにボコボコにされてしまう。
が、その捨て身の行動がYouTubeにアップされ、ヒーロー“キックアス”として一躍時の人に!
やがて彼は、高度な訓練を受けた殺し屋少女“ヒットガール”と出会い…?


◆収録作品

2008年04月:Kick-Ass #1
2008年05月:Kick-Ass #2
2008年07月:Kick-Ass #3
2008年10月:Kick-Ass #4
2009年02月:Kick-Ass #5
2009年06月:Kick-Ass #6
2009年10月:Kick-Ass #7
2010年03月:Kick-Ass #8


◆KICK “THEIR” ASS!
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小ネタ混じりのセリフ回しが非常に多い

本作品、『キック・アス』は、マーベルコミックスの『アイコン』レーベルから発売された作品です。
この『アイコン』レーベルは、『作者の権利保持を認めた作品を発売する』ために起こされたレーベルであり、普段のマーベル作品とは違い自由に作品作りができるというものであります。
それもあってか普段のマーベル作品では見られないような描写が多いのも特徴。

この『キック・アス』ゴア描写がかなり強烈です。
戦闘シーンでは大量の血が飛散し、
刃物で切りつけるシーンでは容赦なくモツが飛び出し身体の切断面まで描かれているほど
拷問シーンも痛みが伝わってきそうなほどエグい

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活躍がYoutubeにアップされて有名になるというある種リアルなシーン

主人公のデイヴは取り柄なんて何も無いごく普通の高校生。
コミックを読みふけっているオタクタイプの人間です。
しかもクラスでの地位は低く、好きな女の子にもストーカー扱いされていいとこ無しな境遇。
そんな彼はある日、「何故誰もスーパーヒーローにならないんだ?」と疑問を持ち始めます。

ヒーロー活動を実際に始めるためにeBayで自分が着るそれっぽいコスチュームを購入。
スーパーヒーロー『キックアス』となり、実際に犯罪と戦うために行動を起こします。

ヒーローになる理由がホントにしょぼく、まさに『オタクが自分の妄想を実行に移しちゃった』といった展開。
最初はチンピラに喧嘩を売って返り討ちにされてしまう上に車にひき逃げされるという散々な目に遭ってしまうのですが、
搬送された病院での手術で金属板を埋め込まれた事によってある程度の耐久力を得ることになります。

そして退院後に行った今度の自警活動は成功。
その活躍が野次馬によってYoutubeにアップされ、一躍時の人となるのです。

『実際にヒーローが現れたら?』といった際の周囲の反応は『ウォッチメン』『バットマン』以上に現実的に描かれているのではないでしょうか。

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ヒーローとは言いがたい戦い方をする二人

その後の展開ではキックアスと違い、
さらに本格的な戦闘術を身につけた二人のヒーロー、『ヒットガール』『ビッグダディ』に出会います。
彼女らの戦い方が本当に容赦の無いものとなっており、
ゴア表現の殆どは彼女らの戦闘、拷問シーンが占めているといっても過言ではありません。

キックアス3_convert_20110724104515

そしてキックアスに影響を受けたというヒーロー、『レッドミスト』も登場。
ヒーロー活動を続ける彼らは、この後大きな組織を敵に回すことになってしまうのです。

『キック・アス』のストーリーはとにかく陰鬱。
登場人物の性格がとてもじゃないですが綺麗なものとは言えないし、あまりスカッとする展開もありません。
何かしら胸に突っかかる感じの嫌な余韻が残るようになっています。

グロテスクな描写が多くて悲惨な展開がてんこ盛り
そしてストーリー展開が暗い方向に現実的な本作。
そういうのに抵抗感が無い人にはおすすめ。

◆映画『キック・アス』
【映画公式サイト】
映画キックアス_convert_20110724105807

原作とは違い、陰鬱な展開や設定が取り除かれ、
痛快&爽快なアクション映画になっている映画版キック・アス。
ストーリー展開も序盤こそ原作にけっこう忠実なのですが、ストーリーが進むにつれオリジナル展開が色濃くなっていきます。
なにより主人公のデイヴが『ヒーロー活動を行うことによりいわゆるリア充に変貌していく』というのがデカイ変更点です。
ゴア表現も(R-15ではありますが)原作に比べるとまだまだ抑え目。
かなり万人に受け入れられやすい作品に変貌していますよ。
けっこう原作コミックとの違いが大きいのですが、それらが決して悪い方向には働いていないので、
『原作は原作』『映画は映画』と二通り楽しめる感じですね。
登場人物のコスチュームも微妙に異なっているのですが、その中でもビッグダディのコス変更は衝撃的

ビッグダディ_convert_20110724110950
バットマンっぽいのは絶対狙っているハズ。

◆余談
綺麗にまとまって終わっている作品ですが、映画もコミックも続編を匂わせて終了するので続きが待たれる作品です。

続編コミック_convert_20110724111222

現在向こうでは『KICK-ASS2』のコミックが刊行中。
映画も続編の制作予定があるそうなので、その内翻訳される事を期待したい!

続編コミック2_convert_20110724111238

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2 Comments

ピーマン男  

映画から入ったのでこれ読んでちょっとびっくりしました。
全体的に登場人物の性格が嫌な感じになってますよね・・・w
映画版とあまり変わらないのはヒットガールとデイヴくらいでしょうか。
バットマンが誕生した背景には両親が殺害された・莫大な遺産・ゴッサムという犯罪都市、といった様々な要因が絡んだ綿密なストーリーがありましたが、そのバットマンよりも「ヒーローになりたいからやってみた」って感じの軽いおバカなノリで生まれたキック・アスの方が現代的というのは、どこか時代の流れを感じますw
アイコンレーベルがどんなものかも、キック・アス2が出版されていることも知りませんでした。
いやぁ、ツルゴアさんとこの記事は本当にタメになりますなぁ!

2011/07/25 (Mon) 13:17 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>ピーマン男さん
キック・アス2はまだ未完結の作品なようです(#4が2011年10月26日に発売予定)。
全6巻の予定のようですから翻訳が出るとしてもまだまだ先になりそうですねー。
あ、それとアイコンレーベル云々は小冊子の解説にもあるので僕が調べたとかそういうのではないんですスイマセン。

登場人物ですがデイヴのキャラも後半は映画とコミックで大きく異なってきている感じはします。
映画では悪人と戦う際に相手を殺害するほど好戦的で、その後の生活もまさにリア充って感じですが、コミックでは最後まで殺人は犯さず、全てが終わったら元通りの暗~い生活(というかもっと最悪な状況?)に戻っちゃいますしね。
コミックの『現実なんてこんなモン』って終わり方は良い感じに不快感が残りました(笑)。

2011/07/25 (Mon) 20:34 | EDIT | REPLY |   

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