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09 2018

ロブ・ウィリアムズ&ジム・リー他/スーサイド・スクワッド:ゴーイング・セイン

スーサイド・スクワッドゴーイング・セイン表紙
「よく聞いて。刑務所のコンピュータ・システムがまともに反応しないの。
 今、ゾッドが黄色太陽の人工照明を浴びてるわ。
 クリプトン人に超能力を与える太陽光よ。
 研究室に行ってスイッチを切るつもりだけど…いつまで正気を保てるか…
 私ではできそうにない。あなたが研究室に行って照明を切って。
 ゾッドを止めるのよ。みんなのために。
 世界を救えるのはあなただけ」

異次元の球体ブラック・ヴォールトに慈悲なきゾッドあり。

特殊部隊スーサイド・スクワッド、別名タスクフォースXは世界各地で様々な敵と戦ってきたが、今回は彼らの本部が主戦場となった。冷酷な長官アマンダ・ウォラーの命令により、スーサイド・スクワッドは深海にある世界一厳重な刑務所に侵入し、“ブラック・ヴォールト”という奇妙な異次元の球体を本部まで“救出”してきた。この不気味な球体には、世界の破滅を目論むクリプトン人最強の指揮官ジェネラル・ゾッドが封印されていた。ウォラーたちは全宇宙で最も危険な存在と対峙しなければならなかった。彼らが慎重に事を進めるなかで事件は起こった。ブラック・ヴォールトの狂気の波動が本部にいるすべての者たちの精神を蝕み、仲間内で殺し合いが始まったのだ。だが、その波動が渦巻くなか、唯一正気に戻った者がいた。そう、狂騒の道化王女ハーレイ・クインだ。彼女は、たった一人でこの狂乱を鎮め、強敵ゾッドを倒すことができるのか……。


◆収録作品

2016年06月:Harley Quinn and the Suicide Squad April Fools' Special
2016年12月:Suicide Squad Vol.5 #5
2017年01月:Suicide Squad Vol.5 #6
2017年01月:Suicide Squad Vol.5 #7
2017年02月:Suicide Squad Vol.5 #8


◆関連作品過去記事
【スーサイド・スクワッド:ブラック・ヴォールト】

◆BEAT ON THE BRAT
リバース版スーサイド・スクワッド邦訳第2巻は前巻に引き続き、『ブラック・ヴォールト』を巡る物語が展開!!

スーサイド・スクワッドを使ってクリプトンの暴君ジェネラル・ゾッドが封印されているブラック・ヴォールトを見事国内……ベル・レーブ刑務所に持ち込む事に成功し、このゾッドを世界大戦の大きな切り札……アメリカを内外の脅威から守るための強力な武器として利用する事を画策するNSAのハーコートと長官のアマンダ・ウォラー。
だが、実はブラック・ヴォールトはその球体から“狂気の波動”を放出しており、周囲にいた職員やスクワッドの隊員たちが殺意に取り込まれ、互いに殺し合いを演じる事態に発展してしまう。
しかし、唯一この狂気に囚われるどころか正気を保った……いや、狂気が反転して正気となった人間がいた。それは狂騒の道化王女ことハーレイ・クイン!

この第2巻『ゴーイング・セイン』はハーレイがたった一人でこの大混乱を、そしてスーサイド・スクワッドのメンバーの猛攻を掻い潜りながら、再度覚醒してしまったゾッド将軍を食い止めるという困難なミッションに挑むストーリーが展開されていきます。
今回はハーレイというより精神科医のハーリーン・クインゼルとしてその頭脳を駆使し、カタナやデッドショットといった敵に回すと厄介な相手を作戦によって凌いでいく戦闘シーンがなかなか格好良い。
言動もまともになり、服装もハーリーンのスタイルになっているのがポイント。

正気を取り戻したハーレイ

まあたった一人といっても厳密にはなんとかギリギリの状態で正気と狂気の狭間を揺れ動いているアマンダや、とある方法で正気を保っているリックが登場したり、前巻から新キャラとして登場した『物質をデジタル変換する能力』を持つハックが驚きの活躍を見せたりするので、ちゃんと色々なキャラに見せ場は用意されています。
『アイツ』の意外な形での復活劇にも驚いたし、微妙にしまらない絵面があったりで笑う。

巻末には『April Fools' Special』として刊行された短編『フラッシュバック:イービル・アノニマス』という、またもハーレイが主役なエピソードが収録。
ヴィラン専門の精神科医としてセラピーの仕事をすることになったハーレイ・クイン。「サイコな彼らの気持ちが誰より分かる自分の天職だ!」となったハーレイはさっそくこの仕事に打ち込むというコミカルなお話で、最初はジム・リーがアートを担当しているのですが途中からショーン・“チークス”・ギャロウェイという方のカートゥーンチックな可愛らしいアートに変化するのも見どころ。

イービル・アノニマスハーレイ

……実はこのアートの変化には演出的な意味があり、最後の“オチ”がなかなか狂気に溢れていてスーサイド・スクワッドの闇が垣間見える怖いエピソードでもあったりします。これは実際に読んで確かめてほしい。

◆感想
面白かった!!
ハーレイの活躍が多く、実質ハーレイ主役のハーレイ本といった構成の第2巻だったため、リバース版ハーレイ誌単行本の邦訳刊行が2巻で打ち切りになった哀しみも結構埋めることが出来ました。ハーレイ何回言うんだ。

今回もバックアップ・ストーリーが収録されており、ハーレイのファンとしてスーサイド・スクワッドに半ば無理やり押しかけてきた女性、ハックのオリジン、エンチャントレスの能力を使ってとある人質事件の解決に向かわされることとなったジューン・ムーンのお話、そしてキラー・クロックの少年時代の短編を読むことができます。

キラー・クロックは少年時代、その先天的な肢体異常により周囲からいじめられており、その時心の支えとなってくれたのがエマ・ブルーという少女だったのですが……彼の“子供に優しい人情家”という性格が形成されたきっかけが分かる悲劇的なエピソードに仕上がっており、プライムアース版キラー・クロックがかなり好きなヴィランとなっている僕としてはなかなか刺さる内容でした。

キラー・クロックの子供時代

第2巻も読み応えがあって実に楽しかった!こうなると3巻の刊行も楽しみ……と思いきや、リバース版スーサイド・スクワッドの邦訳刊行はこの第2巻でいったん終了だ!!(ええ……)

ShoPro公式アメコミブログ『アメコミ魂』2018年3月6日分の記事より。
『本日紹介したこれらの作品は、物語の区切りもいいのでこの第2巻で邦訳版はいったん終了します。ですので、まだ本シリーズを読んでいなくてもすぐに追いつけます。この機会にぜひ読みはじめてください(ハーレイ・クイン誌だけは、ニュー52から読むとかなりの巻数ですが……汗)。』


まあ厳密にはスーサイド・スクワッドの次のエピソードは現在邦訳が刊行されているクロスオーバー『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド』にあたり、本書にもそのプロローグとなるエピソード『ジャスティス・リーグ VS. スーサイド・スクワッド序章 温かい心』が収録されています。とはいえスーサイド・スクワッド誌の邦訳単行本の刊行はここで一旦終わりとのこと。
面白いのに続きが読めないのは辛い……!ただジム・リーがアートを担当している分はこの2巻までなので、そこまで読めただけでも良かったといえば良かったかもしれない。
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