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17 2018

ジェフ・ジョーンズ&イーサン・ヴァン・スカイバー他/グリーンランタン:シネストロ・コァ・ウォー Vol.1&Vol.2

シネストロ・コァ・ウォー1巻表紙 シネストロ・コァ・ウォー2巻表紙
「恐怖の浸透は…秩序の浸透…我らが秩序の。
 ガーディアンズは宇宙に秩序をもたらすべく数十億年もの歳月を費やした挙句…
 しくじった。
 これからは、我らが光を広める番だ。我らが支配する番なのだ。
 混沌を崇拝するであろう者達に恐怖を植えつけてやるのだ。
 だがその前に、邪魔立てする輩を焼き尽くす」

BURN LIKE MY POWER SINESTRO'S MIGHT!

漆黒の陽の下も輝ける夜の闇も、
光となりし己が恐怖を畏れよ
正義を阻まんとする者どもは、
我が力の如く燃えたぎれ…
シネストロの力能が如く!

不死なるガーディアンズ・オブ・ユニバースが組織した銀河警察機構グリーンランタン・コァに最大の危機が訪れた。
かつて最狂のグリーンランタンと謳われたシネストロが自身の軍団を率いて全面攻撃を仕掛けてきたのだ。
しかもその軍団には、サイボーグ・スーパーマン、スーパーマン・プライム、アンチモニターという強者までもが名を連ねている。
果たしてグリーンランタン・コァに反撃の秘策はあるのか、そして、シネストロの真の狙いとは?


GREEN LANTERN LIGHTS AGAIN!


◆収録作品

○Vol.1収録
2007年08月:Green Lantern: Sinestro Corps Special
2007年09月:Green Lantern Vol.4 #21
2007年09月:Green Lantern Corps Vol.2 #14
2007年10月:Green Lantern Vol.4 #22
2007年10月:Green Lantern Corps Vol.2 #15
2007年11月:Tales of the Sinestro Corps: Parallax
2007年11月:Green Lantern Vol.4 #23
2007年11月:Green Lantern Corps Vol.2 #16
2007年12月:Tales of the Sinestro Corps: Cyborg Superman
2007年12月:Green Lantern Vol.4 #24

○Vol.2収録
2007年07月:Green Lantern Vol.4 #18 ※短編「Tales of the Sinestro Corps: Despotellis Spreads Fear」を収録。
2007年07月:Green Lantern Vol.4 #19 ※短編「Tales of the Sinestro Corps: Never Alone Again」を収録。
2007年07月:Green Lantern Vol.4 #20 ※短編「Tales of the Sinestro Corps: The Fear Within」を収録。
2007年08月:Green Lantern: Sinestro Corps Special ※短編「Tales of the Sinestro Corps: The Greatest Once, the Greatest Again」を収録。
2007年12月:Green Lantern Corps Vol.2 #17
2007年12月:Tales of the Sinestro Corps: Superman-Prime ※短編「Tales of the Sinestro Corps: Fear is a Baby's Cry!」も同時収録。
2008年01月:Green Lantern Corps Vol.2 #18
2008年01月:Green Lantern Vol.4 #25
2008年01月:Tales of the Sinestro Corps: Ion
2008年02月:Green Lantern Corps Vol.2 #19


◆関連作品過去記事
【クライシス・オン・インフィニット・アース】
【グリーンランタン:リバース】
【インフィニット・クライシス】

◆THE CORPS STRIKES BACK
ジェフ・ジョーンズが2004年に執筆した『グリーンランタン:リバース』にてハル・ジョーダンはグリーンランタンに復帰。続く物語でグリーンランタン・コァの再編と世界観の再構築が行われた事で『グリーンランタン』という作品はジワジワと人気を上げ、その勢いが最高潮に達したタイミングで発表されたのが本作、『グリーンランタン:シネストロ・コァ・ウォー』です!!
グリーンランタン各誌で展開されたクロスオーバーである本作の邦訳版は、本編はもとより各タイインやそのエピローグ、外伝的なエピソードまで全てを収録した完全版!!

知ってる人は知ってる通りグリーンランタンの邦訳本はあまり充実していないため、1巻の方には『グリーンランタン:リバース』以降の各グリーンランタン誌の、本作『シネストロ・コァ・ウォー』に至るまでのあらすじが記載された冊子が同封されています。本作を読む前に、まずはこの冊子に目を通しておくのがオススメ!
そして今回解説冊子は第2巻の方に1巻の分も含めて掲載という形になっているため、まず1巻だけ買って「解説冊子がない!」と焦った人は安心してほしい(僕は焦った)

惑星コルガーに舞い戻るシネストロ

『恐怖』がパワーの源となるイエローのリングを用いて宇宙中のビラン達をかき集め、独自の軍団『シネストロ・コァ』を結成したシネストロ。
あのサイボーグ・スーパーマンスーパーボーイ・プライム、そしてアンチモニターといった強敵ビランまでもを自軍に引き入れ、「恐怖で統治する事こそが宇宙の秩序に繋がる」と各地のグリーンランタンたちに一斉攻撃を仕掛ける。かくしてグリーンランタン・コァとシネストロ・コァとの戦争が始まった!……という物語です。
しかし、シネストロの真の狙いは「恐怖での統治」だけにはとどまらないようで……?その謎は本編で。

話の筋自体はシンプルに見えますが、かつて他ライターによって描かれた設定を大幅に膨らませたり、ハル・ジョーダンやカイル・レイナーといった主役級キャラ以外の見せ場も多く用意してきっちり描く脚本の丁寧さ、ヒーローサイドだけでなくビランサイドの掘り下げも欠かせないなど、大ボリュームの物語に様々な要素を詰め込めるだけ詰め込み、かつ退屈させない怒涛の展開が押し寄せてくる堪らない作りになっています。
グリーンランタンの物語では敵も味方も想像を遥かに超えてくるビジュアルだったり能力を持っていたりするキャラがいるので、能力バトル物として見てもかなり楽しめたりします。

ただグリーンランタンの隊員たちはリングの制約で殺人を禁じられており、万が一にでも怒りに任せて殺人を犯そうとすれば違法行為と認識されて、リングに強制ロックがかかり使用不可になってしまうのだ。つまりどれだけ敵が殺意全開で襲いかかってきても、グリーンランタンはあくまで警察機構として逮捕するしかない。不利過ぎる!
それもあってグリーンランタン・コァは苦戦を強いられるのですが……この辺りもストーリーが進むにつれて、コァの上司でもあるガーディアンズが思い切った判断を下すことに。

ちなみに「そういえばそうだったっけ……」な事実なんですが、グリーンランタン・コァは『クライシス・オン・インフィニット・アース』の時は惑星クワードでの作戦に就いていたため、アンチモニターと顔を合わせて戦うのは本作が初めてだったりします。

アンチモニターとのまさかの再戦

◆PICK UP キャラクター スーパーボーイ・プライム(スーパーマン・プライム)
シネストロ・コァ・スーパーマン・プライム「戻ったぜ。バカども」

出自がファンタスティック・フォーのブラックなパロディであるサイボーグ・スーパーマン、『クライシス・オン・インフィニット・アース』でバンバン並行宇宙を消してきた最強最悪のビランが弱体化して再登場(それでも強いけど)アンチモニターと、再生怪人的なノリでシネストロ・コァのメンバーとなり襲いかかってくる彼らの出現も相当なんだけれど、『クライシス・オン・インフィニット・アース』の時の偉大なヒーローの姿はどこへやら、インフィニット・クライシス』で過去に類を見ない悪辣なビランと化し、ラスボスとして襲いかかってくる姿で読者に強烈なインパクトを残したスーパーボーイ・プライムの再登場はやはり外せない!
本作では『スーパーボーイ』ではなく、『スーパーマン』を自称して大暴れしまくるぞ!

言動の粗暴さも更に磨きがかかっており、アンチモニターを意識したアーマー、そしてシネストロ・コァの制服に身を包んだ彼の姿は、スーパーマンそっくりのはずなのにスーパーマンらしさが失われた絶妙なデザインになっています。
『S』マークは肉体に直接刻み込み、スーパーマンと同等か、状況によってはそれ以上を誇るらしい強さは本作でも相変わらずで、スーパーヒーローが一斉にかかっても叶わない強敵っぷりを見せつけてくれる。

注目なのは、本書にはスーパーマン・プライムのオリジン回も収録されているという点。
並行世界『アース-プライム』は彼以外のスーパーヒーローが存在しない世界であり、スーパーマンやバットマン、グリーンランタンといったヒーローはコミックの中だけの存在という設定が掘り下げられたり、彼の両親、そしてガールフレンドについても触れられたりと見どころが多い内容です。

その後アンチモニターによってアース-プライムは消滅。『クライシス・オン・インフィニット・アース』で描かれたようにスーパーボーイ・プライムは各宇宙のヒーロー達と協力してアンチモニターを打ち倒し、アレクサンダー・ルーサーが作り出した平和な隔離空間“天国”に移り住んで新たな世界『ニューアース』を見守る事にしたんだけれど、そこからの展開は『インフィニット・クライシス』を見ての通り。
今回シネストロ・コァに所属し大暴れするのは、シネストロが提唱する「新たな多元宇宙の創造」に同意したためとなっているものの、彼の真意はまた別であり……これについては本編でどうぞ。

グリーンランタン・コァの新人隊員『ソダム・ヤット』がこのスーパーマン・プライムと戦う展開もあるのですが、このソダムは古代にクリプトン星から移民してきた人々が住む惑星ダクサム出身という設定なため、一風変わったクリプトン同士の戦闘シーンでもあったりします。

それにしても一線を超え続けて稀代の極悪ビランに堕したとはいえ、そうなった経緯が経緯なためもう少し作中で同情されてもいいのではと思わなくもない。

余談ですが、彼が本作でスーパーボーイ・プライムではなく『スーパーマン・プライム』を自称しているのは、当時スーパーボーイの生みの親であるライターのジェリー・シーゲルの遺族とDCコミックスの間で裁判が起こり、「スーパーボーイの著作権はシーゲル家に帰属するという判決が下された事が関係しているのではないか」という事らしいです。
で、その後2008年の『Final Crisis: Legion of 3 Worlds』ではまたスーパーボーイ・プライムに戻っているので、この時期にはスーパーボーイの名称が使えるようになったとの事。
スーパーボーイの裁判については現在ヴィレッジブックスの邦訳本で翻訳、解説を担当している小池顕久氏のブログ記事が詳しい。
【●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。】
【●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その2】
【●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その3】
【●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その4(余談風)】
【●スーパーボーイは、ジェリー・シーゲルの著作物だった。その5(まだ続いた)】
【●いかにしてシーゲル&シャスターはDCコミックスと和解するに至ったか。】
【●スーパーマンの著作権、シーゲル家に。】

◆感想
めっちゃくちゃ面白かった!!!!!
やっぱりジェフ・ジョーンズによる『熱い展開』の描き方の巧さは頭一つ抜けてると思う!

スーパーパワーでのぶつかり合いをたっぷり見せてからのシネストロとのラストバトル、そこでの『あの展開』に滾らない読者はまずいない。いやこの人が脚本を担当している作品は本当にハズレがないな……マジで信者になりそう(もうなってる)
前述したように本作はクロスオーバー物なので、タイインは当然他のライターが話を書いているんですが、これまたどのエピソードも面白い。
デイブ・ギボンズやピーター・J・トマシによる他ランタンがメインのグリーンランタン・コァの物語、カイルの内面に迫るロン・マーズの短編など、本編の補完にとどまらない濃密な内容で物語を盛り上げてくれる。

いきなり本作から触れると話にノリきれない部分があるかもしれないので、個人的にはある程度グリーンランタン知識を得てから読むか、『関連作品過去記事』に挙げた作品をどれか一つでも……取り敢えず『グリーンランタン:リバース』だけでも読んでおいて欲しいのですが、この本は今絶版になってるんだよね……(悲)ヴィレッジブックスは一刻も早く再販するべきである。

本作で終盤に張られる伏線『7色のランタン・コァ』と『漆黒のランタン』については11月30日発売予定(通販限定)の『ブラッケスト・ナイト』で語られるとの事。まさか今になってヴィレッジブックスがグリーンランタン関係の重要エピソードを訳してくれるとは思わなかったから、ただただ嬉しい!

シネストロ・コァ・ウォーグリーンランタンの光

 
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2 Comments

No Name  

僕も焦った(震え声)
大ボリュームなうえにヴィレッジのDC本ということもあって一冊が高いからなかなか前後編イッキ買いとはいかなかった・・・

2018/06/18 (Mon) 15:48 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
一瞬ヒヤッとするので、公式サイトあたりで解説冊子の有無についてちゃんと記載しておいてほしいですね…(後で調べたらツイッターの方でツイートしてたみたい)

2018/06/18 (Mon) 18:22 | EDIT | REPLY |   

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