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19 2018

ジョシュア・ウィリアムソン&カルミネ・ディ・ジャンドメニコ他/フラッシュ:ライトニング・ストライクス・トゥワイス

フラッシュライトニング・ストライクス・トゥワイス表紙

「…バリー・アレンについて、いいことを教えてやる。
 あいつは忙しすぎだ。だから時々……間違いを犯すのさ」


世界創り上げた最速──
スピードスター忍び寄る影とは?

とてつもない力の源スピードフォースについて知るにつれ、想像もつかないほどの過去が自分にはあるとフラッシュは気がつく。彼は“フラッシュポイント”を生み、歴史を変えて、新しく“ニュー52”の世界を作り出したのだ。そして、その世界は謎の存在によって監視されていた。

ある日スピードフォースがセントラルシティ全域に解き放たれ、警官を、犯罪者を、そして一般市民を貫いた。すばらしい能力を正しく使うように、フラッシュは新世代のスピードスターたちを導かなくてはならない。

正義の集団としての“スピードフォース”の一員になって、彼とともに犯罪と戦う同志も生まれたが、一方、神にも等しい力を邪悪な目的に使おうとする者もいた。そしてフラッシュは、自分の速度をもってしてもとらえきれない悪の存在を知ることになる……。


◆収録作品

2016年08月:The Flash: Rebirth
2016年08月:Flash Vol.5 #1
2016年09月:Flash Vol.5 #2
2016年09月:Flash Vol.5 #3
2016年10月:Flash Vol.5 #4
2016年10月:Flash Vol.5 #5
2016年11月:Flash Vol.5 #6
2016年11月:Flash Vol.5 #7
2016年12月:Flash Vol.5 #8


◆関連作品過去記事
【フラッシュポイント】
【フラッシュ:新たなる挑戦】
【フラッシュ:ローグズの逆襲】
【フラッシュ:グロッドの脅威】
【フラッシュ:邪悪なる閃光】
【DCユニバース:リバース】

◆今度は「街」が加速する
プライムアース以前の世界のヒーロー、キッド・フラッシュことウォリー・ウェストと再会を果たし、かつて存在していたが消滅した世界……『ニューアース』の頃の記憶を取り戻したフラッシュ。

時間の流れが壊れ、絶望が支配する『フラッシュポイント』の世界が生まれてしまい、フラッシュは世界を元の形に戻そうとしたものの、結果として以前とは異なる歴史の世界が誕生してしまった。
そしてこの世界に存在する皆の記憶も改変され、だれもその事に気づいていない現在の世界がこの『プライムアース』なのだが、実はこれはフラッシュが世界再生に失敗したわけではなく、別次元の謎の存在がDCユニバースの歴史に干渉し、時系列から10年間の歴史を盗み出したがために歪みが生まれた結果だったのだ!

謎の存在に近づける唯一のヒントは、ウォリーが別次元から奪いさり、この世界のバットケイブに運び込む事ができたスマイリーマークのボタンのみ。

謎のスマイリーマークのボタンを調査する

現段階で判明した事実だけで結論を出してそれに飛びつくのは懸命ではない。
バットマンとフラッシュはそれぞれ力を合わせて『ボタン』についての調査をさらに進めつつ、各々のヒーローとしての活動を並行して行っていく事に決めたのだった……

***

……というわけで、リバース後に再スタートを切ったフラッシュの最新作である『フラッシュ』誌第5シリーズ、その第1巻の邦訳『フラッシュ:ライトニング・ストライクス・トゥワイス』を紹介!

『DCユニバース:リバース』で描かれ全読者に衝撃を与えた、DCユニバースの歴史を破壊した『謎の存在』に関する伏線を張りつつ、スーパーヒーロー『フラッシュ』の本編も進めていく重要度の高い新シリーズですよ!
『DCユニバース:リバース』の時も抱いた感想だけど、ストーリーと世界観を再設定して完全なリスタートを切ったニュー52の世界観が一気にゾッとするものに変わったこのDCユニバースの新展開はホント秀逸だと思う。

『ボタン』に関するお話は本書の冒頭に収録された『The Flash: Rebirth』でとりあえず描き、その後はいよいよリバース版『フラッシュ』の本編がスタートするという構成になってます。

今回のお話はセントラルシティ全域でスピードフォースの嵐が巻き起こるという想定外の事態が発生し、フラッシュのような高速移動の能力を得た新米スピードスターが一斉に誕生してしまうという内容。
一見なかなかぶっ飛んだ設定ながら、これがまた面白いのだ。
力に目覚めた友人の刑事、オーガスト・ハートが相棒となり、フラッシュは彼とコンビを組んで高速移動の能力をさっそく悪事に使う小悪党たちの逮捕、そして科学者テロ組織『ブラックホール』を壊滅させるために戦っていく!

新米スピードスター一挙に誕生
ヴィランチーム『ローグズ』からすればたまったもんじゃない状況
そういうのもあって本作での彼らの出番はここだけ

もちろん全ての新たなスピードスターが悪人になったわけではない。
突如能力に目覚めた人々のため、STARラボがスピードスターの訓練所を作り、ミーナ・ダーワン博士が中心となって力の使い方を教えているのである!
……ってことでフラッシュもスピードスターの第一人者として人々にスピードフォースの知識を与えていくんですが、影響を受けた人の力になれるのが嬉しいのもあってかホントに楽しそうに指導していてちょっと和む。

一方で、バリーのガールフレンドであるアイリス・ウェストのおい……ウォリー・ウェストにも実は以前からスピードフォースとの繋がりが生まれており、スピードスターとして覚醒しつつあります。
ここでのウォリー・ウェストは前述した『ニューアース』のキッド・フラッシュであるウォリーではなく、ニュー52世界……『プライムアース』のウォリーです。キッド・フラッシュの方とは違い、名前とアイリスのおいである部分こそ共通ですが、外見は黒人の少年と大幅に異なっています。

そんなわけで現在この世界には二人のウォリー・ウェストが居るんですが、正直文章にするとややこしいんで今後は本書の解説に倣って『ニューアース』のウォリーをウォリー・ウェストⅠ、『プライムアース』のウォリーをウォリー・ウェストⅡと記述していこうと思います。

ウォリー・ウェストとミーナ
スピードフォースの訓練を受けようと訓練所の前まで訪れるも、
能力を持っている事がバレておばのアイリスに心配をかけてしまう事が不安で二の足を踏んでいた
そこにミーナが現れ、二人で工事現場の事故から人々を救った事をきっかけに秘密で特訓をすることに

色んな人々がスピードスターと化した事でセントラルシティは一時混乱に陥るも、フラッシュによるヒーロー活動と訓練所の存在によって、街はより良い方向に向かい始めていた。
そんなある時、『ゴッドスピード』と名乗る謎のスピードスターのヴィランが現れ、力に目覚めた人々を襲撃してはスピードフォースを盗み、自分の能力を強化していくという事件が発生する……

◆感想
めちゃくちゃ面白かった!!!
プロローグである『The Flash: Rebirth』と、本編が全8話構成の物語というのもあって非常にボリュームのある一冊。
フラッシュとの思想の違いで衝突する本作のヴィラン『ゴッドスピード』との戦いの流れも、ベタながらヒーロー物の王道を突っ走った作りになっていてかなり熱いし少し切ない。
それとフラッシュがニューアースの記憶を取り戻したがゆえに思い悩むシーンもあり、アップデートされたDCユニバースの世界観をどんどん設定に取り入れながら物語が展開していくのがもう本当にたまらないんですよ!

余談ですが、邦訳された前シリーズのマナプル期で未回収だった伏線であるバリーの母親ノーラを殺害した真犯人の正体と、犯人として投獄されてしまったバリーの父親ヘンリーの件は未邦訳分で解決しており、本作の時点ではヘンリーは既に釈放され、バリーがフラッシュである事も知った上で息子の支えになっているというポジションで登場します。この父子の会話がまた良いんだ……

それと本作に顔を全く出していない前シリーズでバリーの恋人として登場していたパティ・スピポットなんですが、どうも前シリーズのストーリーの中で破局した上、2018年5月現在再登場していないのだとか。未邦訳である前シリーズの#40で描かれたとの事(前シリーズの単行本7巻に収録)
邦訳が飛ばされてる間に結構ショックな展開になってた。

パティとの破局

リバースからはアイリス・ウェストがヒロイン的なポジションに戻るというニューアース寄りな設定であり、旧来のそれに近づいた形……なんですが、今のところは付かず離れずな関係性として描かれている感じです。
ただ僕は初フラッシュがニュー52版だったのもあって、バリー×パティのカップルの方が思い入れがあるんだよね……
それもあってけっこうこの状況は寂しい。いくらアイリスが正ヒロインとはいっても。
あと単純にパティの『眼鏡の金髪美女』というビジュアルが凄くツボだったというのもある。

関連作品過去記事に挙げたタイトルの中で『フラッシュポイント』『DCユニバース:リバース』だけは本作の超重要な前日譚となっているので必ずというかもう絶対読んでくれないと僕が困るレベルの作品なんですが、前シリーズであるマナプル期全4巻は読まなくてもストーリーについていけるように作られているため、「こっちは興味があればどうぞ」といった感じです。もちろん前シリーズの設定は本作にも数多く取り入れられているため、読んでおくに越したことはないんですけどね。

ちなみに2巻以降の発売は現在未定!どうも小プロのラインナップ的に、9月20日発売予定のバットマンとのクロスオーバーエピソード『バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン』に繋げるための刊行だった感じが漂う本書なんですが、フラッシュ本編の物語も普通に面白かったので2巻以降の邦訳も続いて欲しいところだ!
この第1巻の時点ではきっちり『ゴッドスピード』との戦いにはケリを付けるけども、例によって色々な伏線が張られたまま終わっちゃうからね……!
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