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09 2018

ジェフ・ローブ&マイケル・ターナー他/スーパーマン/バットマン:スーパーガール

スーパーマンバットマンスーパーガール表紙

「皆はどんな話をしてると思うの?」
「私をこの先、どうするのかでしょ」
「疑問の余地はないわね。
 あなたはクリプトン出身の“スーパー”な力の持ち主、でもまだ女の子…」

「ねぇ、今はその話やめない?」
「そう言うなら…あのね、私、ここに初めて来た時、迷ってたの。
 過去や未来を見通せるのに、これからの人生をどうするかなんてさっぱりで…
 この力も自分にはまるで無力だった。
 そんな私をダイアナは躊躇なく受け入れてくれた。
 頼るべき人が必要なら彼女を信じてみて」

「それなら…ライラ、あなたも皆も私を受け入れてくれてるわ。
 はるばる銀河を旅した甲斐があったわ。
 皆に会えた…これからもずっと友達だって思うの」


スーパーガール降臨
空から降りてきた、鋼鉄の乙女!

各地に落下したクリプトナイト隕石の調査を行うバットマンは、海中で不思議な宇宙船を発見する。所属不明のその機体に刻まれた文字は、滅亡した惑星クリプトンのものだった。一方その頃、街角では全裸の少女が騒動を巻き起こしていた。弾丸を跳ね返し、空を飛ぶ彼女の正体とは?スーパーマンの故郷クリプトンにまつわる謎に挑むスーパーマン&バットマンは、思いもかけない強敵と対峙することになる。好評の人気コンビ、シリーズ第2弾登場!


◆収録作品

2004年05月:Superman/Batman #8
2004年06月:Superman/Batman #9
2004年07月:Superman/Batman #10
2004年08月:Superman/Batman #11
2004年09月:Superman/Batman #12
2004年10月:Superman/Batman #13


◆関連作品過去記事
【スーパーマン/バットマン:パブリック・エネミー】

◆LONG WAY EARTH
邦訳本『スーパーマン/バットマン』第2巻は、ニューアース版スーパーガールが初登場と相成るエピソード、『スーパーマン/バットマン:スーパーガール』!!

アクションコミックス252

本書の紹介の前に、まずは女性版スーパーマンといえる存在、スーパーガールの歴史についてざっくりと振り返っておきましょう。
スーパーガールの歴史的初登場回は、1959年5月の『Action Comics #252』
ただ初登場の時点ではスーパーマンの従姉妹、スーパーガールことカーラ・ゾー-エルは、スーパーマンの『秘密兵器』として世間的には存在が伏せられ訓練の日々を送ることになります。
それから時は過ぎて、1962年2月の『Action Comics #285』にて訓練の終了したスーパーガールのお披露目が行われ、サブキャラクターとしての活躍が増えていくことに!

アクションコミックス285よりスーパーガールの活躍

そうして活躍を重ねてきた結果人気が高まったスーパーガールは、1972年11月にとうとう個人誌も獲得!
さらに1984年にはヘレン・スレーター主演で実写映画化も果たし、まさに人気絶頂の名スーパーヒロインに成長したのであります。


……しかし、1985年の一大クロスオーバーイベント『クライシス・オン・インフィニット・アース』での戦いでスーパーガールは戦死。加えてこのストーリーの終了後、DCユニバースは生まれ変わることになり、『ニューアース』と呼ばれる新たな世界がメインの正史世界に変更。そして設定や世界観も新たになったこの『ニューアース』では、スーパーマンが改めて『惑星クリプトンの唯一の生き残り』というものに再設定されたのです。

それからは何度かスーパーガールを思い起こさせるキャラクターがニューアースを舞台としたエピソードでも数名登場することはあったものの、クライシス以前のスーパーガールに近いオリジナルの人物は復活せず、長い時間が経過することになったのでした。

しかし2004年!本書収録のエピソードでついにニューアース版の、スーパーマンの従姉妹であるスーパーガールことカーラ・ゾー-エルがついに完全復活!!
前巻ではニューアース版のスーパーマンとバットマンがようやく本格的にチームアップするという、『かつてあった設定を復活』させたのですが、この第2巻では『スーパーガールの復活』が描かれていく事になるのです。
昔あった設定を現代的なものにアップデートして復活させるこの『スーパーマン/バットマン』誌は、リアルタイムで読んでいた人たちにとってはどれだけテンションの上がるものであったかは想像に難くない……!

スーパーマンの父であるジョー-エルのきょうだい、ゾー-エルはジョーと同じく、惑星クリプトンの滅亡を予期していた科学者。
彼はカーラを船に乗せて地球へと脱出させていたのですが、残念ながら船は惑星クリプトンの重力を振り切ることができずに岩の中に閉じ込められるという事態に陥ってしまいます。
そして船は停滞モードに移行し、カーラは眠ったまま何年もかけて岩塊は銀河を旅することに。そして、ようやく岩が砕けたころに船が地球に向けて落下し、本書で描かれるエピソードでの登場に繋がるのです。

実は惑星クリプトンが爆発した頃はカーラは10代でスーパーマンことカルは赤ん坊だったのですが、この宇宙船の事故によって肉体年齢にズレが起き、今現在地球に居る二人の年齢はカルが30代、カーラは10代半ばという状態。
カーラの方が年長の『従姉』でありながらスーパーマンよりも年下という面白い設定になっております。
年下の姉とか……こんなん萌え漫画の設定やん……

従姉妹のカールとクリプトン語で会話
勝手の分からない地球に降り立ち彷徨っていたところをスープスとバッツに保護されるカーラ
ちなみにクリプトン語はまんまアルファベットに対応しているので簡単に訳せる文字だったり
(翻訳もちゃんと解説書や巻末に載ってます)

ニューアースでは『孤独なクリプトン人』という要素が強まっていたのもあってか、同胞かつ従姉妹と再会できたのもあってちょっぴりテンションが高いスーパーマンが描かれる一方で、バットマンは強大なスーパーパワーを持つ彼女が突如地球に現れた事に警戒する。
ワンダーウーマンもバットマンの意見に賛成なようで、力こそあれまだまだ無垢すぎるカーラが何者かに利用される危険性を警戒している状態だったり。
読者からすればカーラがスーパーマンの従姉妹であることはもう分かりきってるようなものではありますが、突然現れた彼女に対し、スーパーマンは会話しただけで「直感的にカーラが従姉妹である」と考えただけであり、早々に自分の正体を晒しかけたり額面通りに物事を受け取ったりするなど、バットマンが作中でも指摘するとおりにスーパーマンがヒーローとしてはやや迂闊な行動が目立っていたりします。
このスーパーマンの弱点ともいえる部分が、作中でどういう展開に繋がっていくのかは本編で……

◆感想
本作は中盤~後半からは大物ビランであるダークサイドが登場し、惑星アポコリプスを舞台に大型クロスオーバーイベントかと見紛うほどのスケールの大きな戦いに発展していくのも見どころの一つ。

あとスーパーマンがカーラと出会い、彼女を保護しようと考えるあまりに感情的な行動が多くなるという、人間味の強い描写が多々見られるのも注目ポイントですかね。ワンダーウーマンがカーラに力の使い方を指導するために一時的にセミッシラで稽古をつける場面があるのですが、ちょっと危なっかしくなるとそこにスーパーマンが割って入るなど、彼の短気かつ過保護気味な絵がちょこちょこと出てくる。

過保護気味なスーパーマン


しかし話の尺の都合もあってか異様にストーリーのテンポが早い!もっとじっくりしっかりスーパーマンとスーパーガールの関係性に尺を割いてあの展開に持っていってほしかったと思わなくもないほどにサクサクと話が進んでいくんですよね。楽しんで読んだけど駆け足感は強かったかも。

本作のアーティストは2008年に37歳という若さで逝去された名アーティスト、マイケル・ターナー。
コミック的なデフォルメを交えつつ男性キャラはとにかくカッコよく、女性キャラはやや細めに美しく描かれておりとても魅力的!
これまでの邦訳本ではカバーアートくらいでしか氏のアートを拝めなかったので、全編アートを担当している本書は控えめに言って最高だと思う。
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