ツルゴアXXX

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25 2018

グレッグ・ルッカ&セルジオ・カリエロ他/バットマン:ノーマンズ・ランド 4

ノーマンズランド第4巻表紙

「君の秘密を教えろと迫ったことはない。そうすべきだったよ。
 だが、君はこのわたしをうまく利用して……“道具”に仕立て上げた」

「君は相棒だ」
「嘘八百はやめてくれ」
「本当だ」
「そう思いたいだけだろう。事実じゃない。
 相棒とは同格の存在だ。君は私を同格として扱ったことがあるか?
 相棒なら計画を話すべきだ!情報も共有する!
 人が話してる途中で消えるようなマネもしない!」

「…………さよならを言うのは苦手なんだ」


かつての栄光取り戻せ

街に戻ったバットマンは、ゴードンとの友情を再び取り戻そうとする。
一方、オラクル、アズラエル、ハントレス、ロビン、
さらには気まぐれなキャットウーマンですら、無垢な一般市民を守るために、
ジョーカー、キラークロック、ミスター・フリーズ、トゥーフェイス、ペンギンといった
悪人たちとの戦いに身を投じていく。
かつてゴッサムと呼ばれた街を舞台に、
さまざまな勢力が最終決戦の準備を進めるなか、
ゴッサムの再建を目論む謎のスポンサーの正体がついに明らかとなる。
しかしそれは、バットマンとゴッサムにとっては暗黒の未来を意味するものだった……。

一大巨編「ノーマンズ・ランド」サーガ、ここに完結!


◆収録作品

1999年09月:Batman Chronicles #18
1999年12月:Batman #572
1999年12月:Detective Comics #739
1999年12月:Azrael: Agent of the Bat #59
1999年12月:Catwoman Vol.2 #75
1999年12月:Nightwing Vol.2 #38
1999年12月:Batman: No Man's Land #0
2000年01月:Batman: Legends of the Dark Knight #125
2000年01月:Nightwing Vol.2 #39
2000年01月:Batman #573
2000年01月:Detective Comics #740
2000年01月:Azrael: Agent of the Bat #60
2000年01月:Catwoman Vol.2 #76
2000年02月:Catwoman Vol.2 #77
2000年02月:Azrael: Agent of the Bat #61
2000年02月:Batman: Legends of the Dark Knight #126
2000年02月:Batman #574
2000年02月:Detective Comics #741
2000年02月:Robin Vol.4 #73
2000年02月:Batman: Shadow of the Bat #94


◆関連作品過去記事
【バットマン:ノーマンズ・ランド 1】
【バットマン:ノーマンズ・ランド 2】
【バットマン:ハーレイ・クイン】
【バットマン:ノーマンズ・ランド 3】

◆Endgame: Silent Night
1年近くもの間連載され、作中の時間も実際に1年経過させたというバットマンサーガの一大叙事詩、クロスオーバー大作『ノーマンズ・ランド』の邦訳版もとうとうこれで最終巻!!!!!
めっちゃ面白い一方で邦訳の刊行が死ぬほどスローペースだったので、正直乾ききって死ぬかと思いました。邦訳第1巻が刊行されたのってもう3年以上も前ですからね。
最終巻を読めないまま……喉が渇いて……倒れるかと……

1巻から3巻までは様々なライターが短編、中編を執筆し、ノーマンズ・ランドという途方もないボリュームのクロスオーバーイベントの物語を盛り上げておりましたが、ストーリーがいよいよ締めくくりに入るこの最終巻は殆どのエピソードをグレッグ・ルッカが担当しております。もう実質グレッグ・ルッカの本じゃないか!
色々な伏線が回収されるエピソードはほぼこの方の仕事な上に、どの話も名シーンと名セリフが怒涛の勢いで襲い掛かってくるため、その筆力に驚かされる事請け合い。

1巻から長らく続いたゴッサム市警のレニー・モントーヤとトゥーフェイスとの関係、そして彼に協力を仰いでしまったゴードン本部長との確執に決着がつく『施設裁判』というエピソードでは、家族を人質に取られたレニーが廷吏かつ証人として、そしてゴードン本部長が被告人として、トゥーフェイスによる理不尽な裁判に参加されられてしまうという内容。
下手な発言をすればトゥーフェイスの手によりゴードンが死刑となってしまう、緊張感のある一編に仕上がっております。
レニーが反対尋問の機会を要求し、ゴードンは『ある知り合いの弁護士』に弁護を依頼するのですが、そこからのストーリーの流れが逆転裁判もかくやと言わんばかりの展開でかなりアツい。
トゥーフェイスファンは絶対に読んでおいたほうが良い。

そして流れるように続くのが、ようやくバットマンとゴードンが互いに腹を割って話し合う『和解』というエピソード。
長い長い、落ち着かない沈黙の後、取り留めのない話をしてから、ようやく本題に入るゴードン。
ゴードンの方はバットマンの事を信頼できる友人として接してきたが、バットマンの方は自分の事を友人と思っていなかったのではないかと疑念を抱いていた。
“ゴッサムを守る”という志を同じくした仲間だと思っていたのに、ゴッサムの崩壊が本格的に始まってしまった時、バットマンは行方をくらませていた。その結果、ノーマンズ・ランドという現在の状況に至ってしまった。
「相棒と思っているのなら計画を話し、情報を共有すべきだ」と怒りをぶつけるゴードン。

……バットマンは街を守るために必死になって行動している一方でこう、コミュニケーション能力の低さが災いして人間関係のトラブルに繋がってしまう事がちょくちょくありますね……
1巻の時点では命を落とす危険がより高まってしまっている現在のゴッサムにロビンとナイトウィングを関わらせまいと、殆ど一人で戦ってたりしてましたし。
兎にも角にもすれ違いが起き続け、言葉だけで信用を取り戻すのは難しいと考えたバットマンは、言葉よりも行動で「ゴードンの事を信用しているし相棒とも思っている」事を示そうとする……

行動は言葉に勝る

長く続いたノーマンズ・ランドの日々も、一人ではなく、オラクル、スーパーマン、アズラエル、キャットウーマン、ロビン、ナイトウィング、ハントレス、謎のバットガール、レスリー・トンプキンスと、数多くの仲間たちと手を取り協力したことで、ようやくゴッサムの再生まであと一歩というところまで近づいたバットマン。
ここから一気に様々な確執に決着を付け、『ノーマンズ・ランド』という一大叙事詩の終幕に向かっていく。
そのストーリーの熱量といったらもう……凄まじい!

『ゴッサムを守るための方法』でゴードンと意見が一致せず袂を分かった、暴力を辞さない姿勢の過激な思想を持っていた男、ビリー・ペティットとの決着。
ノーマンズ・ランドが起こっていた時、バットマンがどこで何をしていたのか、そして黙々とバットファミリーに協力するバットガールの正体とは誰なのかが語られるエピソード『グラウンド・ゼロ』
そしてゴッサムに『ミス・ホワイト』という謎の女性と協力者ベインを送り込み、動かない政府に変わってゴッサムの再建を目論み新たな支配者にならんとする『黒幕』の正体もついに判明。
黒幕に街を奪われないために、バットマンはファミリーと協力して様々な策を張り巡らせる頭脳戦を展開しつつ、ノーマンズ・ランドの最終章『エンドゲーム』に突入していく!!

いよいよノーマンズ・ランドも終わりに近づいてきたこの状況で、「俺様抜きでこのパーティが終われるか!」とばかりに最後の大事件を引き起こすジョーカー。
衝撃のクライマックスに向かい収束するその瞬間を目に焼き付けろ!!

メリークリスマスブタども!
「メリークリスマス……ブタども!」

◆感想
めっちゃくちゃ面白かった!!!!!
ノーマンズ・ランドの1巻~3巻は色々なライターが短編、中編を執筆してストーリーを積み上げていくという作りであり、エピソードの質は結構ピンキリだったりしたのですが(とはいえ基本的には良質なエピソードが多くて楽しんで読んだけども)、この最終巻はストーリーを締めくくり、黒幕と対峙し、ゴッサム復興に向けて一気に動き出していくため盛り上がりが最高潮に達しております。
読んでるときのその高揚感たるや前3巻の比ではない。邦訳刊行をかなり待たされたというのも相まってだけど。

最終巻のエピソード群はほぼほぼ本筋のソレですが、単独で楽しめる短編もなくはないです。
一番最初に収録されている『命の価値』というエピソードは、唯一縄張り争いとは関係ない、休戦協定が結ばれている病院地区で医者として日夜働き続けているレスリー・トンプキンスが主役。
レスリーは善悪の区別なく、思いやりの心を失わないように行動している。

で、急いで輸血しないと死んでしまう患者がいるという事でバットマンは必死に発電機用の燃料と血液を手に入れて彼女の元に持ってきたのですが、その患者が殺人鬼のツァスツであることを知り、「この外道のために散々苦労させられたというのか?さっきの血液はこんな奴のためには使わせんぞ!」と激昂する。
それでもレスリーは医者としての信念を貫き、彼女もやや感情的になって「信念の人はあなただけじゃないのよ。あなたの働きには感謝してるけど、その方法は認めない。わたしはあなたを立派に育てるどころか、わたし自身が…あなたと同じレベルに墜ちたのよ!」と返してしまう。
やむなくバットマンはバットガールに病院地区の警護を任せ、その場を後にする。

「泣いている」バットマン
「泣いている」バットマン

そして輸血と治療のかいあって、とうとうツァスツが目を覚ますのだった……
このエピソードはバットマンが「ブルース・ウェイン」として、幼い頃から面倒を見てくれたレスリーと対話する場面がラストシーン含めて非常に素晴らしい一編です。
本筋に突入する前にこういうエピソードを挿入する構成がたまらない。

この他にも、結構コミカルなノリだった『キャットウーマン』誌も、キャットウーマンの部下として働き続けた印象的なキャラである『ムーニー』絡みの話が意外な結末を見せるのにも注目。ギャグキャラとして描き続けといてあのオチはずるいっ……!

一大ボリュームであるこのクロスオーバー『バットマン:ノーマンズ・ランド』が3年以上かけてついに完訳されたというのは本当に嬉しいし、膨大なエピソード量のアメコミでも完訳されるという例がまた一つ増えたのが喜ばしいです。
もうほんとオススメの作品なんで、バットマンファンは絶対に読んでほしい!!高いけど(小声)。
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2 Comments

No Name  

No title

マイコー氏がそこまで推すンなら、しャあねェ買ッてやッか…
アメコミは本当サイフに悪いね!

2018/03/02 (Fri) 20:29 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
早く買って読むと良い。
そしてバッツ×ゴードンの会話の尊さに打ち震えると良い。

2018/03/04 (Sun) 19:20 | EDIT | REPLY |   

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