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07 2018

ピーター・J・トマシ&パトリック・グリーソン他/スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン

スーパーマンサン・オブ・スーパーマン表紙

「ほら!やっぱり!無理だよ。できない。前だって…」
「こっちを見なさい。大丈夫。軽いやけどだ。よし、もう一度。
 お前ならできる。お前は私の息子だ!」


壮大なスケールで展開するヒーローの“継承”の物語──

鋼鉄の男が第二の故郷を守るために命を落とした時、彼の体現する真実と正義は永遠に失われたかに思えた。しかし、それを遠くから見つめるもう一人のスーパーマンがいた。より年齢を重ね、経験と知恵を身につけたスーパーマンだ。さらに彼は妻のロイス・レーンと、息子のジョナサン・ケントを伴っていた。
こうして、とある消え去ったユニバースから逃れてきた彼が、表舞台に現れる。いまは亡きもう一人の自分の名前を継承して、地球で最も偉大なヒーローとして飛び立つために。だが、この次元にたどり着いたクリプトン星の生き残りは、彼だけではなかった。“エラディケイター”として知られる人工知性体が、エル家の生存者を追う。彼の目的はクリプトン星人の遺伝情報の保存のみであり、他の生命体に対する考慮は一切ない。たとえそれが、カル=エル──つまりクラーク・ケントの血を継ぐ者であったとしても。果たしてスーパーマンの息子は、目覚めたばかりの能力を使いこなして、地球人としての自分をまっとうすることができるのか?


◆収録作品

2016年08月:Superman: Rebirth
2016年08月:Superman Vol.4 #1
2016年09月:Superman Vol.4 #2
2016年09月:Superman Vol.4 #3
2016年10月:Superman Vol.4 #4
2016年10月:Superman Vol.4 #5
2016年11月:Superman Vol.4 #6


◆関連作品過去記事
【フラッシュポイント】
【ジャスティス・リーグ:ダークサイド・ウォー 2】
【DCユニバース:リバース】

◆最強の遺伝子を受け継ぐ少年ジョナサン・ケント登場!
DCユニバース全体が新展開に突入した『DCユニバース:リバース』後、スーパーマン誌も第4シリーズに突入!
邦訳で追える分でのリバース直前のスーパーマンといえば『ダークサイド・ウォー2』のラストで、これまでの戦いで肉体を酷使した結果クリプトナイトの悪性腫瘍を患ってしまい死期が近くなっていることが判明しておりました。

スーパーマンはやがて死ぬ

「スーパーマンは一体どうなってしまうのか」と読者としては非常に気がかりな展開だったわけですが、結論から言うとスーパーマンは死にました。
もうばっさり書いちゃう。本書が出る以前からこれに関連するスーパーマンのエピソード『ファイナル・デイズ・オブ・スーパーマン』の邦訳予定が無いのもあってか、伏線が張られた『ダークサイド・ウォー2』の解説書でばっさりと無慈悲なネタバレがなされていたのでもうはっきり書いちゃいます。
これに触れないと本作のレビュー出来ないし……

『ファイナル・デイズ・オブ・スーパーマン』は、デニー・スワンという元囚人の男がとある隕石の影響により、スーパーマンの記憶を手に入れた“ソーラー・スーパーマン”へと変貌。精神的に不安定となった彼はスーパーマンを偽物と断定して襲い掛かってくるという物語。

で、このエピソードで重要なのは、このニュー52世界である『プライムアース』に、かつてのクロスオーバーイベント『フラッシュポイント』で消滅してしまった昔の正史世界……『ニューアース』のスーパーマンが加勢する展開があるという点。
ニューアース版スーパーマンと数々のヒーロー達との共闘によりソーラー・スーパーマンを撃破するも、この世界のスーパーマンは完全に力尽き、仲間に別れを告げてこの世を去ってしまいます。

第3シリーズスーパーマン死亡のシーン
スーパーマン第3シリーズ#52より、スーパーマンが死亡するシーン
長らく隠遁生活を送っていたニューアース版スーパーマンは顎髭を生やし、
黒いコスチュームに身をまとっている
ニューアースのスーパーマンは己の事情を説明することなくその場を後にした

ニュー52にてスタートしたスーパーマンの物語は『スーパーマンの死』という悲しい結末で締めくくられたのですが、ニューアース版のスーパーマンが本格的にストーリーに絡んだことにより、新たな物語の幕開けも示唆しました。

このニュー52以前の世界、『ニューアース』のスーパーマンがプライムアースに初登場したのは過去の並行世界が復活するという2015年のイベント『コンバージェンス』であり、こちらではDCユニバースを守るために戦っていました。
ブレイニアックによってニュー52世界……プライムアースにやってきたスーパーマン一家のその後はミニシリーズ『スーパーマン:ロイス&クラーク』にて描かれていた模様。
この世界では『スミス』という姓名を名乗り、メトロポリスからは離れた場所で妻ロイス・レーンと息子のジョナサン・ケントの三人で、ひっそりと農家をやりながら生活しているようです。

そして本書、『スーパーマン:サン・オブ・スーパーマン』にて、ニューアースのスーパーマンはこの世界のスーパーマンの秘密基地である『孤独の要塞』を訪れる。
そこで彼が死ぬ前に残した遺言の映像を確認し、ニューアースのスーパーマンは、このプライムアースの“スーパーマンの精神”を引き継ぐことを決意するのだった!!……という流れで、かつての正史世界で活躍したスーパーマンが今現在のDCユニバースにヒーローとして復帰するんです!!

サン・オブ・スーパーマン始動!
「スーパーマンが見守っている…世界にふたたびそう知らせるべき時が来た。
 肉体がなくなっても、君の精神は消えない。空を駆ける、この色彩とともに」

スーパーマンの物語は終わらず、主役がスーパーマンからスーパーマンに交代するという、まさに並行世界を数多く、しっかり設定を固めて用意しているアメコミならではの交代劇!!

ニュー52世界……『プライムアースのスーパーマンは完全に死亡して、復活の可能性は無い』と描写されたのは実際悲しい。
しかし人によっては最も馴染み深い、ニュー52以前の世界……クロスオーバーイベント『フラッシュポイント』で消滅するまで続いてきたニューアースのスーパーマンが帰ってきたというのはそれだけでメチャクチャに熱い展開ではなかろうか。
実際僕は様々な経験を積んできたニューアースのスーパーマンの新たな活躍が楽しめるというだけで、本作を読んでいる時はワクワク感がもうずっと半端ない事になっていました。

◆PICK UP キャラクター ジョナサン(ジョン)・ケント
ジョナサン・ケントアイコン「いつか父さんみたいになりたいな」

ニューアースのスーパーマン……クラーク・ケントとロイス・レーンの息子であり、この作品のもう一人の主人公ともいえる少年がこの『ジョナサン・ケント』です。
前述したクロスオーバー『コンバージェンス』のタイイン『コンバージェンス:スーパーマン』#2で生まれ、現在は成長してこのプライムアースで両親とともに暮らしております。
父スーパーマンのスーパーパワーを引き継いでおり、幼いながらも強力な力を有しているのですが、まだその力を上手く扱うことはできず、ストーリー序盤では己の力のせいである悲劇を招いてしまう事に……

加えて、父親の超人としての血を引き継いでいる一方で、膝を擦りむいたり頭を打って意識を失ったりなど普通の人間と同じケガを負う事もある。
スーパーマンとロイスから受け継いだ遺伝情報に体がまだ追いついておらず、それもあって耐久性が一貫していないのだとか。

また、両親の方針によりこの世界では母ロイスが正体不明の作家として活動しており、父がスーパーマンであることや、自分が地球人とクリプトン人であることを隠して生活する……自分の存在のせいで世間にウソをついて家族が生きていかなければいけない状況にフラストレーションを感じていたりするなど、純粋で素直な少年なんだけれども危なっかしさも抱えていたりします。

そんなジョンがこの第1巻で遭遇する事になる強敵エラディケイターを倒すため、父親との共闘を通してヒーローとして成長し、『クリプトンの新たな希望』になっていくのが実に熱い!
本作の最後の最後に『あのヒーロー名』を襲名する場面では胸が熱くなったね……!

◆感想

父スーパーマンと息子ジョナサン・ケント
めっちゃくちゃ面白かった!!!

ヒーローとしてはまだまだ未熟で力も上手く扱えない少年ジョナサン・ケントの成長と、ベテランのスーパーヒーローであるスーパーマンの父親としての姿、そしてそんな二人を献身的に支える強い母親ロイス・レーンの三人家族の物語が、心暖まる会話も交えて丁寧に描かれていく。

ニュー52の世界観……『プライムアース』や『ニューアース』の知識があまり無い人にはこの辺の設定がちょっととっつきにくいかもしれないですが、それでも「スーパーマンがめっちゃ好き!」って人には是非読んでほしい一作。家族の物語としても、新たなスーパーマン譚としても一級品の作品なんで……!
クロスオーバーイベント『クライシス・オン・インフィニット・アース』にて生まれた正史世界、ニューアースのスーパーマン……「80年代~2010年代まで活躍したスーパーマンが帰ってきた」という展開の盛り上げ方がもう最高なのだ。

それと作中ではスーパーマンの過去のカバーアートを意識したポーズがちらほら盛り込まれていたりするあたりにも、「あのスーパーマンが帰ってきた」というメッセージを込めているように感じる。
【Action Comics Vol 1 1 | DC Database | FANDOM powered by Wikia】
【Superman Vol 1 6 | DC Database | FANDOM powered by Wikia】

ちなみにですが、ライターのピーター・J・トマシは『ヒットマン』の担当編集者だったのもあってか、本編にはハッケンがゲスト出演しております。
過去にトマシがライターを務めた『バットマン&ロビン』第2シリーズ#27にもハッケンが登場していたため、『ヒットマン』という作品への思い入れが強いのかもしれない。

ハッケンとビッボ
友人であるビッボと酒を飲むためにメトロポリスにやって来ていたハッケン
その結果スーパーマン一家とエラディケイターの戦いに巻き込まれる事になってしまう
ちなみに一緒にいるビッボという男は元ボクサーの酒場経営者で、スーパーマンの熱烈なファン

この作品は主役を交代しての新シリーズなので、プライムアースのスーパーマンが登場する過去作品を読んでいなくても問題なく話に入り込めます。
【スーパーマン:アクション・コミックス Vol.1】
【スーパーマン:アンチェインド】
【ジャスティス・リーグ:誕生(The New 52!)】

とはいえ『関連作品過去記事』の欄にも挙げていますが、まずこの本を読む前に最低でも『DCユニバース:リバース』だけは読んでおいてほしい!
『DCユニバース:リバース』にはこの『サン・オブ・スーパーマン』の前日譚的な描写があり、かつ今後のDCユニバースに大きく関わる人物でこの第1巻でも存在が言及される『ミスター・オズ』が登場しているんで……スーパーマン第4シリーズをより深く楽しむためにも抑えておくことを強くオススメしておきます。
(というか『DCユニバース:リバース』は色々出ているリバース関係の邦訳に手を出す前に読んでおく必要があるタイトルな気がする。多分)
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