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15 2010

田亀源五郎/田亀源五郎【禁断】作品集

“田亀源五郎”という漫画家の名前を聞いてピンと来ない人でも、下記のAAは知っているのではないでしょうか。
このAAは田亀先生の『俺の先生』という作品内のワンシーンです。

布団を敷こう、な!

ただAAのシーンは生徒が熊先生の胸に飛び込んだシーンであり、セリフを発言したシーンではありません。

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実際にセリフを発したシーンはこちら

今回紹介するのは、『田亀源五郎【禁断】作品集』という成年向け漫画です。

◆コアでディープな部分に迫った作品集
田亀先生は日本を代表するゲイ・エロティック・アーティストの一人であり、
筋肉隆々とした毛むくじゃらの男などをメインに書かれています。
その絵は丁寧かつ緻密、そして濃厚なセックスの描写…絵や作品は海外でも評価されており、
特にフランスでの人気が高いそうです。
フランスの新聞「Liberation」ではイラストが無修正で掲載されたのだとか)

禁断の表紙

今回紹介する作品、『田亀源五郎【禁断】作品集』は発表された作品の中でも特に表現が過激かつディープな内容となっております。

SM短編集であるこの本では拷問・切断・人体改造等のハードエロティックな男色の世界が描かれています。

とにかく猟奇的
ハードなSM短編が9作品収録されています。

【収録作品】
『闘技場[アリーナ]』
『瓜盗人』
『KRANKE』
『猛き血潮 中里和馬の場合』
『猛き血潮 坂田彦造の場合』
『NIGHTMARE』
『ZENITH』
『だるま憲兵』
『衣川異聞』


そして、エロ漫画ではややおざなりにされがちな気もするストーリーですが、
田亀作品ではストーリーも目を引く内容となっております。
闘技場[アリーナ]

空手家である丹波信明が武者修行として「本当のリアルファイト」の出来る極秘の大会に参加するという内容。
闘技場(アリーナ)は『ルールもレフェリーも一切無い、どちらかがギブアップするまでファイトを続け、
しかも主催者側はいかなるアクシデントにも責任を持たない(死に至るものであっても)』という危険な世界。
しかし丹波はその条件に臆さず契約を交わす。

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彼はすでにピークを過ぎているが、無茶が出来る年齢のうちに自分の本当の力を試したいとの事

丹波は空手の師範代であり、実力も確かなもの。
第一戦の相手は『五、六年前に引退したパンチドランカーのボクサー』であり、
「ロートルに負けるはずはない」と普通なら勝てる試合であるはずなのだが…

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ロートルとは思えないパンチの速さと重さ、そして耐久力の前に丹波はなすすべも無くK.Oされる

この後、敗北してしまった丹波は対戦相手に無理やり犯される。
しかも、その光景はアリーナの観客に見られる上、カメラで録画されるという始末。

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この映像記録を抹消するには
次の試合で勝利し、
契約を破棄する権利を得なければならない。


『自分の意思で終了できる』はずの契約には映像著作の条項があった。
『記録映像の著作権・使用権等全ての権利は主催者側が所有するものとする』という、
敗者にのみ適用される条項であったため、丹波はもう一度試合に参加し戦うことを余儀なくされてしまう…。

丹波はアリーナで戦い続けるのですが『一流とは言いがたい相手になぜか一勝もできない』という見えない壁にぶち当たる。
そして、自分の力を信じて戦う第4戦では…

この後、作品の見所でもある人体実験のシーンに進んでいきます。
80ページ以上の大ボリュームで描かれるこの作品は、
主人公の自信を、プライドを容赦なく叩き折り、突き放していきます。
試合に負けて犯され続け、
人体実験も重ねられた結果丹波がどうなってしまったかは…是非自分の目で確かめてください。
瓜盗人

とある村に瓜を盗みに畑荒らしにやってきた落武者。
しかし盗みは失敗し、村人に捕えられ鎧をはぎ取られ、体を縛られ野ざらしにされてしまう。

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村人にいいように体を弄り回される落武者。

夜、とある男が落武者の前に現れる。
その男は昼に体を弄り回した女の亭主だった。
男は詫びを入れろとばかりに飲尿や口淫を強要する。

最後には、瓜と引き換えに衆道の契りまで行なうのであった。


落武者が何故ここまで瓜一つで恥辱に耐えるのかは話の最後に明かされます。
身分や立場が違う相手を弱みに付け込んで犯すってのはエロ漫画のテンプレ展開ですね。
KRANKE

車に撥ねられ、気を失ってしまう主人公。
目が覚めた時、彼はある病院のベットに寝かされていた。

体が動けない事をいいことに、男の尿道に極太の導尿カテーテルを挿し、謎の注射を腕に、さらに酢酸を使用した苦しい高圧浣腸を行なう医者。

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実は男を撥ねたのはこの医者で、実際は軽傷だった所を手術で弄って身動きが取れないようにしたのであった。
脳細胞を壊す薬を投与され、前立腺を刺激させる装置を取り付けられて十時間の間放置される主人公。

何度も何度もイキつづけ、突然目の前が真っ暗になった。
そうして三ヶ月の月日が流れ…


恐ろしすぎる非日常なシチュエーションの短編。
医療機器を用いて人体改造SMを行なうという内容ですがエロさよりも苦しさの方がとことん強く伝わってくる内容でした。
猛き血潮 中里和馬の場合

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帝国軍人である主人公・中里和馬。
丸裸で鞭を討たれながら市中を引きまわされながら処刑場へと誘導される。
そして衆人の目の前で男性器に針を刺され、さらに亀頭に釘を打ちつけられるという拷問を受けるのであった。


1960年代に『風俗忌憚』や会員誌『薔薇』で発表された芦立鋭吉氏のゲイSM小説のオマージュとなっている作品です。
終始男性器のみを徹底して虐め抜く一編。切り裂かれた男性器に直接指を突っ込んでイカせるシーンは見ててキツいです。
猛き血潮 坂田彦造の場合

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ヤクザの構成員である彦造は、親分の女房を連れ出したという疑惑を掛けられ拷問を受けていた。
竹刀で叩かれても、耳を切り落とされても何も語らない彦造。
拷問はさらに過激なものに変化していく。
熱した鉄板を体や男性器に押し付けられ、次には尿道と睾丸に金串を通される。
しかしそれでも何も吐かない彦造。
そこに、組の構成員からある一報が入る。


これまたエロシチュというよりはある種リアルな拷問描写が徹底的に描かれる一作。
船山三四という作家のパスティーシュとなっている作品だとか。

NIGHTMARE

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毎晩のように捕虜として拷問される夢を見るという主人公。
その夢は日を追うごとに過激な拷問となっていく。
指に釘を埋め込まれたり、乳首と男性器をペンチで潰されたり、大量の水を飲み込まされた後にボーリングの球を腹に落とされたりするというもの。

夢の中で気を失えば目を覚ます事が出来る。
眠ることが怖くなり、カウンセラーに相談する主人公。
二度と悪夢を見ることが無いように暗示療法を受けるのだが…


このあたりで本書の収録作は過激な順番に並べているんじゃないかと思い始めました。
拷問シーンは映画『マラソンマン』の影響が強いのだとか。
ちょっとしたショートショート作品のような面白さもあるホラーな一作。
ZENITH

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反体制ゲリラの幹部である主人公は軍に奴隷として捕らえられてしまう所から話は始まる。

主人公は前立腺にコントロールデバイスを打ち込まれ、閣下の声一つで勃起してしまう体に改造される。

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しかし、快楽云々ぐらいで堕ちてしまう男ではなかった。
そこで閣下は別の奴隷を見せることで自分が置かれている立場を知らしめるため、おぞましい姿に改造された人間達を男に見せるのであった。

『歯を全て抜き、手足を切断、
まぶたを縫合し鼓膜を破って作られた生体口淫機』
『門括約筋と直腸壁を加工、口も擬似性器に改造、
さらに痛みを快感に変えられた生体性具』
『目や口に男性器を埋め込まれ、
睾丸を異常なまでに肥大化させられ壁の中に埋め込まれた生体彫像

この奴隷達は全員生きている。
ただし人間としてではなく、一生性処理の玩具として過ごさなければならないのだ。


ここまでのものを見せられて服従しない人間はいない。
男は閣下に許しを請い始め…

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このような作品が読めるのはフィクションならでは。
改造された奴隷の衝撃的な姿ったらもう…
だるま憲兵

1930年台初頭の上海。
心優しい憲兵である日本人・猪狩伍長。
仲の良い友人・王(ワン)と会話を交わしていたある日、彼は爆弾テロに巻き込まれ、病院に運び込まれる。

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目が覚めると彼は両足を失っていた。
そして猪狩伍長の目の前に現れる王と謎の老人。
実は王は上海抗日救済連合会という組織の人間だったのだ。
老人の方は組織のパトロンであり、名を楊という。
日本人が行ってきた暴虐の数々を償わせるため、拷問を受けさせると言う王。

そこで猪狩伍長は組織のメンバーに徹底的に殴る・蹴るの暴行を、さらに楊の趣向で犬に犯されるという屈辱まで受ける。
しかし、猪狩伍長はろくに身動きを取れない状況でも一瞬の隙をつき、組織のメンバーの一人の喉を食い破り殺害する。
一矢報いるもののすぐさま組織のメンバーの怒りに触れ、首を絞められ猪狩伍長はついに死んでしまった…かのように見えた。

三年後、王は楊大人の元を訪れる。
組織はすでに壊滅してしまい、楊も早いうちから田舎の別荘に避難していたのだ。

無事を祝い乾杯する二人。
そして王は楊の内々の者だけで開いていた宴会に参加することになる。
そこには目を疑うような光景が広がっていた…

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本書の収録作の中で一番残酷なストーリーです。
単に残酷な描写ってだけならZENITHの方が上なのですが、こちらは話の救いの無さがトップクラス。
でも、ストーリーの練り込まれ方も含め、個人的に本書の中では一番好きな一篇。

衣川異聞

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義経を逃がすため、義経の影武者となった杉目行信と弁慶は敵の追手を食い止める。

杉目行信の死により見事追手を食い止めることに成功する弁慶。
しかしすぐに義経の影武者であることが判明してしまい、敵は義経の行方を吐かせるために弁慶の拷問を行なう。


『弁慶の立ち往生』ではなく、勃起したまま死んだことから「弁慶の『勃ち』往生として伝わった」という話が描かれるという、この部分だけ聞くとギャグみたいな作品。
ですが、弁慶の義経に対する思いが丁寧に、そしてシリアスに描かれているため、決してふざけた内容にはなっていません。
『闘技場[アリーナ]』から始まり、『だるま憲兵』残酷度と鬱度がピークに達したところに精神的に救いのある描写があるこの短編が最後に来ているため、読者的にも締めの話として良い感じに読める作品でした。

◆感想
どの作品もストーリーと残虐すぎるSM展開が合わさり、主人公たちは徹底的なまでに虐め抜かれます。
最後に主人公がどういう結末を迎えるのか…正直怖いもの見たさな部分もあって読み進めてしまいました。

田亀先生の圧倒的な画力もあって展開が動くごとに手が止まります。

その気(ケ)が無い人であっても、
作品として楽しむことが十分、
いや十二分に楽しむことが出来る良書であることは確かです。

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2 Comments

misia2009  

初めまして。

突然失礼いたします。「田亀」で検索していて辿り着きました。AAを知らなかったので衝撃的に楽しかったです。良く似せて作るものですね……『禁断』を買う度胸は出ませんが、内容を推し量れるとともに田亀先生の緻密な絵を見ることができて目の保養になりました。ありがとうございました。

2011/01/31 (Mon) 05:24 | EDIT | REPLY |   

michael  

Re: 初めまして。

> misia2009さん
初めましてですね。
僕の拙い紹介文で田亀先生の作品の魅力を伝えられたのであれば本当に嬉しいです。
田亀先生の絵とストーリーは本当に読者の目を引きますからね。
実は全年齢向けの本や雑誌でも稀に作品を発表なされているようなのでそちらを見てみるのもいいかもですよ。

2011/01/31 (Mon) 09:17 | EDIT | REPLY |   

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