ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

18 2017

トム・キング&ミケル・ハニン他/バットマン:アイ・アム・スーサイド

バットマンアイアムスーサイド表紙

『未確認の航空機1048に告ぐ』
「ベイン。サイコ・パイレートの件で来た」
『貴機は主権国家サンタ・プリスカの領空を侵犯している』
「助けたい人がいる。そのためには奴が必要だ」
『ただちに着陸して空軍士官に投稿せよ。さもなければ…』
「引き渡しに応じれば、すぐに帰る。拒否するなら…」
『…貴機を撃墜する』
「…お前の背骨をへし折ってやる」


バットマン、決死の特攻任務に挑む

コウモリを倒した唯一の男にして監獄島の独裁者──彼こそはベイン。そしていま、彼はバットマンが求めるある人物を手中に収めている。その人物と接触するため、バットマンは自殺同然の特攻任務に身を投じる。天才的犯罪者の牙城に侵入するために、バットマンは犯罪者をかき集めた部隊を結成する。
アーカム・アサイラムの深奥から選ばれた連中は、危険でイカレた最悪のヴィランばかりだった。そしてそのなかには、キャットウーマンもいた。血塗られた爪を持ちながらも、バットマンを最もよく知る女性だ。
急ごしらえとはいえ、この“自殺部隊”スーサイド・スクワッドの危険性はオリジナルと遜色がない。不安定な精神、欲望、悪癖、そして裏切り……果たして彼らは、ベインの要塞から無事に生還できるのだろうか?


◆関連作品過去記事
【バットマン:アイ・アム・ゴッサム】

◆収録作品

2016年12月:Batman Vol.3 #9
2017年01月:Batman Vol.3 #10
2017年01月:Batman Vol.3 #11
2017年02月:Batman Vol.3 #12
2017年02月:Batman Vol.3 #13
2017年03月:Batman Vol.3 #14
2017年03月:Batman Vol.3 #15


◆Now let's break his damn back.
バットマンが自前の『スーサイド・スクワッド』を作り、彼らと協力して任務にあたる!
……という掴みだけですで面白いトム・キング版バットマンの第2巻。
それが本書、「アイ・アム三部作」の第二部にあたる『アイ・アム・スーサイド』だ!!

今回#7と#8が未収録となっているのは、この2話がバットマン誌とナイトウィング誌、そしてディテクティブコミックス誌の3誌で展開されたクロスオーバー『バットマン:ナイト・オブ・ザ・モンスターメン』という作品のタイイン回であり、そちらのTPBに収録されているからな模様。
前巻での「怪物どもがやってくる」というセリフはこのエピソードの前フリだったらしい。んでもって同じく前巻に登場し事件を引き起こしたヒューゴ・ストレンジ教授との対決もこの作品で描かれているようなんで、邦訳予定が現状無いのがちょっと残念。

モンスターメンストレンジ教授との対決


まあそれはそれとして『アイ・アム・スーサイド』の内容を紹介ね!

***

前巻でサイコ・パイレートによる精神攻撃を受けた結果悪夢に囚われ続けてしまい、非常に精神が危うい状態になりつつあるゴッサムガール。
彼女が囚われている悪夢から解放するためには、再度パイレートに精神操作を受けて恐怖を取り除いてもらう必要がある。
だがヒューゴ・ストレンジ教授と共に行動していたパイレートは取引によって現在はあの宿敵ベインの配下となり、彼が統治する侵入困難な独裁国『サンタ・プリスカ』に引きこもっているのである。

ベインの居城に潜入するという危険で困難な作戦を成功させるため、アーカム・アサイラムから数名の囚人と取引し、独自に“自殺部隊”スーサイド・スクワッドを作り出す。
数年前の悲劇“ジョークとリドルの戦争”の際に8件の殺人を犯し絶対的終身刑となっている、腕人形スカーフェイスに指示されて行動していると思い込んでいる腹話術師のヴィラン、ベントリロクイスト。
2件の殺人罪、仮釈放なしの28年。環境テロリスト集団「リーグ・オブ・アサシンズ」出身であり、一方でとある諜報機関にも所属している……という妄想に囚われているものの、格闘技の腕前は確かなヴィラン、ブロンズタイガー。
4件の殺人を犯し、絶対的終身刑である女ヴィラン、ジュエリー。加えてそのジュエリーの相棒であり恋人でもある変装と脱出の達人、パンチ。

そしてバットマンが最後に潜入メンバーとして選んだのは、237件もの大量殺人を犯し、既に薬殺刑が決定している最凶最悪の犯罪者……キャットウーマンことセリーナ・カイルであった……

バットマン版スーサイドスクワッド

***

……という流れで『アイ・アム・スーサイド』のストーリーは始まります。
ゴッサムガールを救うためにヴィランたちと手を組んでサイコ・パイレート奪取の任務に挑み、その過程であのベインとも対峙するという非常に盛り沢山な内容。ゴッサムヴィラン好きには堪らない。
そしてキャットウーマンがいつの間にかとんでもない凶悪犯になっていて驚く。

邦訳でバットマンを追いかけている身としては、これまでのキャットウーマンは半分義賊として活動してたり、『バットマン:エターナル』のストーリーの流れでギャングのボスであり実の父であるライオンことレックス・カラブレーゼの組織を継いでボスに君臨していたり、ハーレイ・クインとポイズン・アイビーとの3人でワイワイ旅行している姿ばかりを見ていたので今回いきなり大量殺人犯になっていて衝撃だったのだ。

まあもちろんキチンとキャットウーマンが凶悪な殺人犯としてアーカムに収監されていた理由もストーリー後半にはしっかり説明されます。
本書ラストに収録されているバットマンとキャットウーマンの逢引を描くこの前後編がまた良いエピソードなんだ……

◆PICK UP キャラクター パンチジュエリー
パンチとジュエリー
「愛してるぜジュエリースイーティー」「あたしだって愛してるもん、パンチキン」

ぶっちゃけ存在を知らなかったので今回初登場の新ヴィランかと思ってたんですが、実は歴史的初登場が1967年の『キャプテン・アトム』#85という相当な古株ヴィランなカップルです。
とはいえ現在の世界、『プライムアース』では本作が初登場。コミックデビュー時のコスチュームを良い感じにアレンジしてのお目見えとなっています。

で、このパンチとジュエリーというヴィラン。サンタ・プリスカ潜入という超危険で重要な任務中だというのに隙あらばイチャイチャしまくっていて、一緒に行動しているブロンズタイガーを苛つかせるバカップルっぷりを見せつけてくれます。
しかしパンチはこの独裁国サンタ・プリスカから唯一脱獄した経験を持つ相当な実力者。
ジュエリーも普段の言動はおバカ女そのもので相棒パンチを失うと昏迷状態になるほど精神が脆いものの、コンビを組んだ時の機敏さは計り知れない。
んでもって今回の任務では一瞬のミスが命取りな状況に居るっていうのにこの二人は余裕で延々とプライベートな会話をし続けている……ってのがもう最高に堪らないんですよ。

『ゴールデンカムイ』の坂本慶一郎&蝮のお銀、『未来日記』の戦場マルコ&美神愛といい、僕はこういうバカップルな敵キャラがかなり好きなのかもしれない。

◆感想
2巻もホンット面白かった!!!
こう、本来なら敵対するヴィランと目的のためにあえて手を組むという展開は王道だけど実際読むと相当アツイものがありますね……!
バットマン版スーサイド・スクワッドのメンバーチョイスがやけに渋く、その一方で誰が欠けても作戦は成功しないであろう絶妙なチョイスであることがだんだん分かっていくというのも良い。

あと、この『アイアム三部作』は読み進めていく内にタイトルの『アイ・アム・○○』の『○○』に込められた真の意味が判明する……って演出が最高に痺れる!
ただ日本語訳だとどこでタイトル回収しているのか若干分かりにくい気がするので、該当セリフに「アイ・アム・スーサイド」とルビを打った方が良かったんじゃないかとは思う(提案)。
※ネタバレ反転:P.87の「死を選んだ男」というセリフが原書では「I am suicide」となっている。

トム・キングのバットマンはこの2巻まで読んだ感じ、スナイダーバットマンに比べてミステリー要素は若干薄めだけど、色んなキャラを登場させて意外な人物に大きな見せ場を与えるという見事な話運びには感服させられます。
本当エンタメ部分は相当なクオリティだと思いますよ!

一緒にヤツの背骨をへし折るとしよう

関連記事

0 Comments

Leave a comment