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01 2017

クリス・ヘイスティング&グリヒル他/グウェンプール:こっちの世界にオジャマしま~す

グウェンプール表紙 グウェンプールコミコン限定カバー

『アタシの事、興味あるよね?なら残念だけど、オリジンはまた今度かな。
 オリジン系はお腹一杯っしょ?
 ルッコラを食べた回数以上にベン伯父さんが死ぬのを見た。
 新参者だけど、準備はちゃ~んとできてるもんね』


BELIEVE IT

私立探偵ハワード・ザ・ダックに奇妙な依頼が舞い込んだ。怪盗ブラックキャットが、自分から盗みを働いた謎の小娘を捜し出して欲しいというのだ。
いやいやながら捜査に乗り出したハワードは、マーベル史上、稀に見る奇天烈なヒロインと出会う事になる……。
銃も格闘技もからっきしのくせに、コミックブックのオタ知識だけは満載の超次元ヒロイン、その名はグウェンプール!


◆収録作品

2016年02月:Gwenpool Special #1
2016年06月:Unbelievable Gwenpool #1
2016年07月:Unbelievable Gwenpool #0
2016年07月:Unbelievable Gwenpool #2
2016年08月:Unbelievable Gwenpool #3
2016年09月:Unbelievable Gwenpool #4


◆OVERNIGHT SENSATION
グウェン・ステイシーといえば!!
『スパイダーマン』ことピーター・パーカーのかつての恋人であり、ピーターとは相思相愛の仲だったものの、宿敵グリーンゴブリンの卑劣な罠によりその命を落としてしまった悲劇のヒロイン。
スパイダーマンの歴史を語る上で外すことのできないエピソードであり、アメコミではなんだかんだ死亡したキャラは復活する事が多い中、このグウェン・ステイシーはベンおじさん同様、復活することのないキャラとして扱われ続けてきました。
【過去記事:スパイダーマン:ステイシーの悲劇】

しかし、2015年に行われたスパイダーマン関連誌での大型イベント『スパイダーバース』にて、並行世界のスパイダーマンとしてスパイダーウーマンとなったグウェン・ステイシーが登場するという意外な形での復活が!
【過去記事:スパイダーバース】

秀逸なキャラデザインとキャラ設定も相まって瞬く間に人気を獲得し、やがてこのスパイダーグウェンは個人誌を獲得。
彼女が主役のコミックは現在も連載中であり、すっかり押しも押されぬ人気キャラクターに成長したのです。
【過去記事:スパイダーグウェン】

……で、グウェン・ステイシーというキャラクターに改めて注目が集まったというのもあり、マーベルはヴァリアントカバー企画として2015年8月発売分の20タイトルのコミックで『グウェン・バリアント』という「グウェン・ステイシーがもしも○○だったら?」なカバーアートを発表したのでした。

グウェン・ステイシーバリアント
グウェンがアイアンマンになったりキャプテン・アメリカになったりハルクになったり……
ほんまアメコミは公式が二次創作やでぇ……

そんな中、特に人気となったバリアントカバーがこの『デッドプールになったグウェン・ステイシー』。

デッドプールなグウェン・ステイシー
いやもうこれグウェンかどうかよく分かんないだろ!!

兎にも角にもこのグウェンバリアントはマーベルファンを楽しませる単なる一回きりのネタ企画で終わるはずだったのですが、なんと別にコミックで活躍しているわけでもないこのグウェンプールがファンの間でコスプレとして大流行に。
【gwenpool cosplay】

この人気の高さを知ったマーベルは急遽ライターのクリストファー・ヘイスティングにキャラ造形を任せ、2016年のハワード・ザ・ダック第6シリーズ#1-3での同時収録の短編で、グウェンプールは正式にコミックデビューを果たしたのでした。
(本書ではこのデビュー短編全3話を一つに纏めたリーフ『Gwenpool Special #1』を収録している)
個人誌を獲得する経緯がすごすぎないコレ?初登場から個人誌ゲットまでの流れが早すぎてもうシンデレラガールやんこんなの。

本作のアートを担当するのはダニーロ・ベイルース、トラビス・ボンビレイン、そして日本人アーティストのグリヒル。
このグリヒルの描くグウェンプールがもうね……記事トップの邦訳版描き下ろしカバーアートを見ただけでも伝わると思うんだけれどもとにかく可愛らしい!!
本編のアートもほぼこのグリヒルが担当しているという点も実に嬉しい。
※記事トップ右の邦訳カバーは2017年12月の東京コミコンにて販売された限定カバー。イラスト自体は原書でも使われていたもの。

元ニートのスーパーヒロイングウェンプール

グウェンプールはマーベルコミックスの大ファンであり、平凡にニート暮らしを満喫していた普通の女の子。
しかし彼女は、現実の世界から何らかの理由でこのマーベルユニバースに迷い込んでしまった……のだが、悲しむどころかコミックスの世界に入り込んだ事実に興奮し、このマーベルの世界で好き勝手に大暴れするのだった!!……というのが本作のストーリー。
何故現実世界の人間であるグウェンプールがマーベルユニバースに入り込んでしまったのかは現状不明。

能力はマーベルオタクなので全ヒーロー、そして全ビランの正体を把握しているというもの。そして現実世界出身であるため、パロディ元のデッドプール同様『自分がコミックの登場人物である事を把握している』
で、自分がいるこの世界がコミックだと自覚しているために自分の行動にあまり責任を持とうとせず、戦闘スキルなんて皆無に等しいのに平気で危険な重火器を振り回す。
デッドプールとはまた違った方向性の危険人物かつコメディリリーフなキャラに仕上がっています。

並行世界のグウェンなのは間違いないんだろうけども、彼女、本名がグウェン・ステイシーではなく名前そのものが『グウェン・プール』というらしく、性格やビジュアルを見てもぶっちゃけグウェン要素が名前以外残っていないキャラクター。
キャラクターがあまりに違いすぎてるんで、あえて『正史世界のグウェンらしさ』みたいな部分は描こうとしてないのかな。

無軌道な行動が目立つグウェンプール

んで本作の面白い部分は、こんなに尖りに尖っているキャラクターを主役としているのに舞台となるアースを並行世界に設定せず、正史世界に紛れ込ませているという点。
この時期にデビューしたばかりの女ソーの正体を早くも突き止めていたり、新Ms.マーベルことカマラ・カーンと親しげにしていたりなど、新世代のキャラクターたちと積極的に絡ませており、もはや単なる並行世界のグウェンではなく、『グウェンプール』という完全新規のキャラクターとしてしっかり描いていこうという意志が見て取れる感じがします。

◆感想
こう、キャラクターから受ける第一印象もあってもっとハチャメチャでめちゃくちゃ暴れまくるコメディかと思ったら、実際読んでみると突然コミックの世界で生きていくことになり、加えて命がけの日々を送る事になる恐ろしさで身をすくませたりなど結構ほどほどにシリアスな部分も含んでいたのが意外でした。

まあそれでも基本は「ヒーローに憧れている女の子がマトモな戦闘スキルが無いなりに成長して頑張って活躍していく」って流れをコミカルに描いている作品であります。
グウェンプール自身はヒーローを目指そうとしていたのに、流れに流れてビランのモードックが率いる傭兵部隊に就職。んでもって戦闘方法を教えてくれる師匠ポジがB級ビランのバトロックだってんだから面白い。

バトロックとグウェンプール
「使えない素人が混じっていては命取りだ」といいつつグウェンプールに訓練をしてやるバトロック
彼女の「この世界の登場人物の秘密を知っている」能力に注目しているというのも差し引いても
やたら面倒見がよくてなんかほっこりする

本作『Unbelievable Gwenpool』誌は現在もまだまだ連載中。
この邦訳版も次の新展開への『引き』を作ったところで終わっているので、是非とも2巻以降も邦訳されてほしいところ。

ちなみに、以前に小プロから刊行されたハワード・ザ・ダックの第5シリーズ『ハワード・ザ・ダック:アヒルの探偵物語』が本書第1話として収録されている『Gwenpool Special #1』の前日譚にもなっているみたいなんで、本作を読んだついでについでにハワード・ザ・ダックが気になったりしたのであれば手を出してみるのもいいかもしれない。っていうか僕もまだ未読なんでそのうち読もう……

◆?
グウェンプールアースTRN

これ過去の記事や自分のツイッターでも何度か突っ込んでる事なんですけど一応。
本書の解説に「グウェンプールの出身はアース-TRN565である」と書いてあるんですが、この「アース-TRN○○」っていうのは『Marvel Database』というファンダムウィキ公式にアース名が判明してないアースをページ作成の際に分類できるよう仮につけているナンバーなんですよね。
【Temporary Reality Numbers】
【List of Current Temporary Reality Numbers(アース名が不明な世界のリスト)】

例を挙げると、カプコンとマーベルのクロスオーバー作品である『VSシリーズ』のアース名は以前は公式に設定されていなかったため、このウィキでは『アース-TRN177』と割り振られていたのですが、『スパイダーバース』でアース名が判明して以降は『アース-30847』にリダイレクトされるようになっています。
【Earth-30847 Redirected from Earth-TRN177】

非公式なアース名であるにもかかわらず、これまでのヴィレッジの邦訳マーベルコミックスの解説ではなんかさも公式なアース名であるかのように「このキャラの出身はアース-TRN○○である」、「この世界はアース-TRN○○である」と断定口調で書かれていることがしばしばあるんですよ。

これ僕が知らないだけで、「アース-TRN」という仮のナンバーも公式が仮につけているナンバーだったりするのでしょうか。
詳しい人教えて!
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4 Comments

No Name  

バトロックだと!
キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャーにでてきたあの!

2017/12/07 (Thu) 18:10 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
バトロック難民救済の一冊ですわぁ……

2017/12/08 (Fri) 21:33 | EDIT | REPLY |   

No Name  

No title

買いました!めっちゃ良かったです!
グリヒル先生の描くグウェンが最高なのは当然として面倒見のいいおぢさまポジのバトロックがすごくいいキャラしてましたねえ…続き欲しい…

2017/12/08 (Fri) 22:26 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
>面倒見のいいおぢさまポジのバトロックがすごくいいキャラしてましたねえ…
まさかバトロックというキャラをこういう風に見せてくるとは予想してなかったんで思わぬ収穫でした。
グウェンプールに萌えるために読み始めたのに脇キャラのバトロックが自分のツボを突いてくるとは思わなんだ……!

2017/12/11 (Mon) 22:07 | EDIT | REPLY |   

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