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01 2017

ル・コルビュジエの家

ル・コルビュジエの家予告編ル・コルビュジエの家
【原題】THE MAN NEXT DOOR(El hombre de al lado)
2009年【アルゼンチン】


椅子のデザインで一躍世界的に有名になったインダストリアル・デザイナーのレオナルドは、ブエノスアイレスの州都ラプラタにあるクルチェット邸に、妻のアナ、娘のロラと暮らしている。ある朝、レオナルドは大きな打撃音で目を覚ます。隣家の住人ビクトルが自宅に向かって、窓を開けようとハンマーで壁に穴をあけていたのだ。ビクトルはフレンドリーだが、レオナルドが違法だと指摘しても動じない。それでも、心配する妻や娘の前で強気に出たレオナルドは、ビニールで覆い穴を塞ぐよう、なんとか約束させる。しかし今度は黒いビニールが気になりだし、ハンマーの音は時間に関係なく響いている。自宅でヨガのレッスンをしているアナは、警察でも弁護士でも呼べばいいと言い、レオナルドは妻と隣人との板挟みで仕事も手に着かなくなる。テレビのインタビューにいらつき、締め切りを過ぎた言い訳を考えなくてはいけなくなるレオナルド。しかし親しみをあらわにするビクトルは、ストーカーまがいのことまでしてくる。そんな隣人に脅威を感じたレオナルドは、防犯用のパニック・ボタンをつけ、妻の父の友人である弁護士に介入を頼む。そしてある日、ついにパニック・ボタンが作動する……

***

本作は隣人トラブルを題材としたアルゼンチン映画。近代建築の三大巨匠の1人であり『ル・コルビュジエ』がブエノスアイレス州都ラ・プラタに建てた邸宅『クルチェット邸』を舞台としたアートな雰囲気も満載な一作。
んでもってこの映画、色んな映画サイトで『シュールな笑い』とか『ブラックコメディ』とか『シニカルな笑い』だとか紹介されているのだけれど、ぶっちゃけ実際に鑑賞してみると全然そんな内容じゃなくて生々しい展開にかなり「うわぁ…」ってなる映画です。

となりの家の住人であるビクトルという男が陽の光を入れるために窓を作ろうとしたことから騒音やプライバシーの問題などが浮かび上がってきてトラブルに発展していくというものなんだけれど、単純に「嫌な隣の住人と戦う」という展開ではないのがミソ。

ぱっと見の印象で粗悪な感じの人物に思われたビクトルは実際の所そこまで話が通じない人物ではないし(まあ言動が粗暴すぎるきらいはあるけど)、どちらかと言えば真に問題なのはこのトラブルが原因で今まで見て見ぬふりをしていた主人公レオナルドの家庭内の不和がどんどん浮き彫りになってきてしまうという点。主人公視点で話が進むからすぐには気づけないけど、互いの人物像が見えていく内に「○○の方がオカシイ」とは単純に決めつけられなくなってくる。
レオナルドとビクトルが窓を巡って駆け引きを続けていく内に家庭に変化が起こり、思わぬ展開に発展していくのである。

どことなく実験映画的な画だったり、話運びのテンポが独特だったりしてちょっと退屈になる場面もあるにはある。話も暗くて人を選ぶ感じがあるけれど、個人的にはなかなかツボな映画でした。

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