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スコット・スナイダー&グレッグ・カプロ他/バットマン:エピローグ

バットマンエピローグ表紙
“ゴッサムは…
 ゴッサムは真っ黒なページ。
 ゴッサムは真っ黒なページ。そこにあなたは白い文字で文章を書く。
 深く…深く…底を目指して。
 そして始まる…
 最後の物語が…
 すべての終わりを告げる”

ついに帰還したバットマンを待つ新たな脅威とは?
ニュー52版バットマン、いよいよフィナーレ!

物語は終幕を迎える。ブルース・ウェインは何ヶ月にもわたって普通の市民として過ごし、その間他のヒーローが代役を務めてきた。しかしついにブルースはゴッサムの正統なる守護者として復帰した。街は喜びをもって救済者を迎え、バットマンと人々は彼の生み出した精神について考える。ヒーローなきゴッサムは存続できるのか?そして、バットマンを抜きにしたブルース・ウェインとは何者なのか……?
ダークナイトが荒廃した別次元の未来で戦い、過去に深く足を踏み入れ、みずからの歴史と伝えるべき本質について思いを巡らせる短編集!


◆関連作品過去記事
【バットマン:梟の法廷】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】
【バットマン:喪われた絆】
【ジョーカー:喪われた絆〈上・下〉】
【バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街】
【バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街】
【バットマン:真夜中の事件簿】
【バットマン:エンドゲーム】
【バットマン:スーパーヘヴィ】
【バットマン:ブルーム】

◆収録作品

2014年11月:Batman: Futures End
2015年11月:Batman Annual Vol.2 #4
2016年06月:Batman Vol.2 #51
2016年07月:Batman Vol.2 #52


◆Trust me, Master Bruce.
スナイダーによるニュー52版バットマン……バットマン第2シリーズがとうとう完結!
ニュー52版バットマンの邦訳はかなり早い段階から着手してくれて、しかもきっちり最終巻まで邦訳しきってくれた小プロには感謝の念しかない。

最終巻となる本書『バットマン:エピローグ』は商品紹介のテキストにもあるように、内容的には短編集的な趣が強めな一冊。クロスオーバーイベント『フューチャーズ・エンド』のバットマンタイインやら年刊号のアニュアル収録、スナイダー&カプロコンビの作品は#51だけであり、第2シリーズ最終話の#52はまた別のライターとアーティストによる作品だったりで基本独立性が強いので、オススメはしない読み方だけどこの最終巻から手を出しても楽しめるっちゃあ楽しめます。

さっそく収録された4つのエピソードを紹介。
まず一つ目は『フューチャーズ・エンド:未来への遺産(Batman: Futures End)』
ライターはレイ・フォークス、アーティストはACO。ただストーリー作成にはスコット・スナイダーも原案として関わっています。

5年後の未来のバットマン
アルフレッドの外見がやけにファンキーなおじいちゃんになっている

ヴィランのダークサイドにより並行世界アース2が消滅。住む世界を失ったアース2の難民がこちらの世界になだれ込み、社会情勢が変化して混迷の渦中にあるという別の可能性の未来5年後が舞台の短編です。
『スーパーヘヴィ』編において重要な存在であったバットマンを永遠の存在とするための“装置”がこの作品でも登場しているんだけど、この辺はスナイダーのアイディアなのかな?

体調を壊し既にボロボロの状態であるバットマンだが、痛み止めと興奮剤を摂取し、さらに身体制御装置を取り付けて40分だけ活動可能な状態に高め、レックスコープから“とある技術”を盗み出すために行動するというお話。
スーパーマンの不完全クローンであるビザロが『フォーエバー・イービル』以来の登場を果たしているのにも注目だ!

お次は時系列的には『バットマン:スーパーヘヴィ』『バットマン:ブルーム』の間に位置する『過去にむしばまれた館(Batman Annual Vol.2 #4)』というエピソード。
ライターはジェームズ・タイノンⅣ。アーティストはロジェ・アントニオ。
まだブルースがバットマンとしての記憶を取り戻しておらず、ただの一市民としてのブルース・ウェインとなっていた時期ですね。

「お前は何者だ?」と問うリドラー

『バットマン:エターナル』でブルースが財産を失い、屋敷がアーカムの移転先にされるという出来事があったのですが、パワーズ・インターナショナルのジェリ・パワーズにより屋敷を買い上げられ、久々にブルースは自身の生まれ育った家に帰ることが出来たという展開。
しかしブラックゲートに再移送されたはずの3人の囚人、リドラー、クレイフェイス、ミスター・フリーズが脱走し、“バットマンを支援するブルース・ウェイン”に逆恨みの感情をぶつけるためにゲームを仕掛ける……って内容です。
この頃のブルースは記憶を失ったただの一市民のはずなんだけど、最後の最後にバットマンらしい狂気がごくわずかながら垣間見えるのが恋人ジュリーの一言も含めて印象的な一編。
第2シリーズが完結間近なので、後任ライターにバトンを繋ぐためにある程度設定を元の鞘に納める意図もあるような感じがする。

そして実質的な最終話でもあるスナイダー&カプロコンビの『ゴッサムは(Batman Vol.2 #51)』
合間合間のナレーションや演出が第1巻である『バットマン:梟の法廷』の#1を想起させるものになっているのがシブい。
われこういう演出すき……
ジョーカーに切り落とされたアルフレッドの右手も元に戻ったし良かった良かった。

内容は『突然謎の地震が起こり、ゴッサム全域の明かりが一斉に消えた。ただの地震なんてゴッサムではまず起こらない。何者かの策略であるのなら素早く行動しなければ街に危険が及ぶ……』
というわけで、バットマンは急いでゴッサム中を駆け巡り調査に乗り出すのだった……というお話です。
シリアスな雰囲気を纏いつつもフフッとなる場面が多い、締めに相応しい一編でした。

待つんだ…今夜は違う

そして第2シリーズ最終話、『リスト(Batman Vol.2 #52)』
ライターはジェームズ・タイノンⅣ。アーティストはライリー・ロズモ。
姿を消したり壁抜けが出来るという露骨にB級風味なヴィラン、クリプシスにブルース・ウェインが貸金庫に大切に預けていた『箱』が盗まれた。
貧困層向けの小さな銀行にブルースが大切に預けていた『箱』……バットコンピューターが最優先で警報を発するほど重要な存在であり、長年の付き合いであるアルフレッドですら知らないその中身とは?

その箱の中身は一体?

両親を喪い間もない頃のブルースの思い出……そして箱の中身とラストのブルースとアルフレッドの会話が素晴らしすぎて……
ホント良い最終話だった。
あとライリー・ロズモのアートが個人的にすごく好み。
氏のツイッターアカウントでは色々イラストをアップされております。要注目のアーティストだ!


◆感想
長らく続いた第2シリーズの締めくくりに相応しいエピソードばかりの一冊でした。
書きたいことはもうエピソード紹介の部分に書きすぎてしまった……もう後は「良さみに溢れてる」とか貧弱な語彙の感想しか絞り出せない……
スナイダーバットマンを追い続けてきた人へのご褒美というかそんな感じのエピソード群でしたね。
「この最終巻から手を出しても楽しめるっちゃあ楽しめる」とか最初に書いたけどやっぱりスナイダーバットマンは1巻から順番に追いかけてほしい!
最高のシリーズでした!邦訳刊行お疲れ様でした!!

……ただ一部の伏線は最後まで回収されなかったのが少し心残りではある。

※ネタバレ反転!
まず『バットマン:梟の街』で語られた「トーマス・ウェインJr」を名乗っていたオウルマンは本当にブルースの弟だったのか?」という点。#11で「ブルースが3歳の頃身籠っていた母マーサが自動車事故に遭い、早産となるも一晩だけ生きて死亡した弟がいた」というのが事実である事は明かされていましたが、その後のフォローは無し。

そして『バットマン:エンドゲーム』でのジョーカー。
『ジョーカーはティオニージアムの効果により、400年以上も前から存在している伝説の存在・青ざめた男』と同一人物である可能性を示唆、また大昔の写真のどれにもジョーカーが写り込んでおり、修正の可能性も低いと描写されていました。
まあ最終決戦でティオニージアムに固執するジョーカーの反応を見るに何らかのトリックを使った可能性の方が高そうなのですが、これも結局ちゃんと説明されず謎のままで終わったので非常に気になる……

ただ後の作品で拾えるよう意図的に伏線も放置することもアメコミではままあるので、その内回収されることに期待してる!

兎にも角にもこれでスナイダーバットマンは終了……少し寂しい。

でもね!メインタイトルであるバットマン誌からは離れたけれど、2016年10月にはアーティストにジョン・ロミータ・ジュニアを起用して新シリーズ『All-Star Batman』を開始(こちらは邦訳版も刊行予定)、さらに今年の夏にはグレッグ・カプロと再度コンビを組んでバットマン中心のクロスオーバーイベント『Dark Nights: Metal』も展開中。加えてダイナマイトコミックス『The shadow』とのクロスオーバータイトル『Batman/The Shadow』(今年6月刊行。全6号予定)にもライターとして名を連ねており、今後もまだまだバットマン関係のタイトルには関わり続けてくれる模様。
スナイダーのバットマンはまだまだ楽しめるぞ!邦訳版も……出ると良いな!

スナイダーバットマンはまだまだ終わらない

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