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ガース・エニス&クレイトン・クレイン他/ゴーストライダー:破滅への道

ゴーストライダー破滅への道表紙

「なるほど、元軍人の聖職者…ささいなしくじりが見つかって、魂を売ったのか。
 ゴーストライダーと五十歩百歩だな。
 まったく…どうして人間はちょっと問題が起きたくらいで、
 さっさと悪魔崇拝者に転向するんだ?」
「愚かだからさ。どいつもこいつも見苦しく、浅ましく、いかがわしい。
 いつも言ってるとおりだよ、ダニエル。
 恐竜で満足しておくべきだったんだ…」


闇の底から求めるのは、自由
悪魔を捕らえ、運命を変えることはできるのか!?

末期ガンを患った恩人の命を救うため、悪魔に魂を売ったジョニー・ブレイズ。彼を待ち受けていたのは想像を絶する苦痛に満ちた日々だった。ゴーストライダーとなり、地獄のハイウェイで永遠に悪魔に追いかけられる毎日。二年の月日が経った頃、彼の前に天使マラキが現れ、取引を提示する。マラキに協力し、悪魔カザンを捕らえることができれば、地獄から解放し、自由を約束すると。
しかし、天国と地獄の双方から優秀な追跡者が現れる。はたしてゴーストライダーは誰よりも早く悪魔カザンを捕らえ、自由を手にする事ができるのか?


◆収録作品

2005年11月:Ghost Rider Vol.5 #1
2005年12月:Ghost Rider Vol.5 #2
2006年01月:Ghost Rider Vol.5 #3
2006年02月:Ghost Rider Vol.5 #4
2006年03月:Ghost Rider Vol.5 #5
2006年04月:Ghost Rider Vol.5 #6


◆The Road to Damnation
1995年に3冊ほど邦訳本が刊行されていたものの、2007年の実写映画公開時にも、そして2013年の続編映画公開時にもまったく邦訳本が発売されなかったゴーストライダーですが、なぜだか今年3月に唐突にゴーストライダー第5シリーズの邦訳版が登場!
実に22年ぶりとなるゴーストライダー邦訳本が出た理由は、「今年は映画ゴーストライダー1作目が公開されて10週年のメモリアルイヤーだから」なのだとか。

それにしたって唐突な邦訳刊行でビックリ。めちゃくちゃ嬉しいけども!
加えて言うと本作『ゴーストライダー:破滅への道』は映画『ゴーストライダー2』の原案となった作品でもあります。

※ゴーストライダー2パンフレットより引用

本作には原作クレジットがないが、ベースとなったコミックがある。それが2006年の「Ghost Rider : The Road to Damnation」だ。監督たちは、この作品が映画制作に当たってもっとも影響を受けたコミックだと語っている。これは天使がゴーストライダーを欺き、魔界の存在を討伐させようとする物語である。映画にはストーリーは採用されなかったものの、カソリック風世界観のなかで、善悪の存在がゴーストライダーを挟んで対立するという構造が引用されている。そこに勧善懲悪という概念はなく、善も悪も己の都合のためだけに動き、ゴーストライダーを利用しようと画策する。だが彼はそれを断固として拒否し、巨大すぎる存在も狭間を切り裂いて己の道を突っ走ることを選ぶのである。


2を鑑賞した当時本ブログでは「これの邦訳出して!」的な事を書いたんですが、まさかそれが叶うとは思ってもみなかった。
しかもライターは最近色々な邦訳がちょこちょこ出ているお気に入りライターのガース・エニス。
実は当時のゴーストライダーは個人誌の刊行が途絶えており、他作品のゲスト出演も途絶えていた状況だったらしいのですが、第5シリーズである本作により人気が回復、完結後すぐに第6シリーズが開始することになったのだとか。
それではそろそろ内容を紹介!!

ゴーストライダーとマラキ

ついに悪魔に捕らえられ、地獄へと連れ去られてしまったゴーストライダーことジョニー・ブレイズ。
毎晩ゴーストライダーは地上に戻れる地獄の門へと必死にバイクを走らせるが、地獄でもトップクラスに最悪な追跡者達に追い回され、彼を引き裂き、ちぎり、踏みつけ、犯し、魂まで粉々にしていく。
しかし夜が明けるとゴーストライダーの肉体は元に戻る。この地獄のような責め苦は毎日毎日続くのだ。

そんなある日、ゴーストライダーの前に天使マラキが現れ、地上に解き放たれた悪魔カザンを捕らえて地獄に戻して欲しいと依頼をされる。
カザンを捕らえることができればゴーストライダーの呪いから解放され、残りの人生はジョニー・ブレイズとして過ごせる。さらに二度と地獄に戻る事が無いよう取り計らってもらえるというのだ。
人間の世界には直接干渉できないというマラキの代わりに動くというこの取引を受け、カザン捕獲の為に一時地上に帰ってきたゴーストライダー。
だが時を同じくして、地獄の使いである悪魔ホス、そして天国でもトップクラスに無慈悲な大天使ルツも悪魔カザンを追跡していた。
ゴーストライダーはこの二人を出し抜いて獲物であるカザンを捕らえ、ゴーストライダーの呪いから解放される事ができるのか!?……というストーリー。

自身の四肢麻痺を回復するため、そして“来るべき世界”で高い地位を得るために悪魔カザンを召喚してしまったグスタフ石油の会長グスタフ、軍人時代に犯した罪を隠すために悪魔と取引してしまった神父アダムという人間も登場。天使と悪魔の諍いに地上世界が巻き込まれる大迷惑な大事件が勃発してしまうのであった!

実質ヴィランとして登場する大天使ルツは職務のためなら人間なんて路傍の石程度にしか思っていない女性。
自分が天使であることに気づいた子供の目を容赦なく潰したり、仕事の邪魔になるゴーストライダーと悪魔ホスを殺すために人間が大勢乗車しているバスを放り投げたりなど血も涙もない。
一言も喋らないクールな雰囲気の美人だけど実に空恐ろしいキャラクターだ。

止む無くホスと一時的に手を組む
「ルツを出し抜いて悪魔カザンを倒す」という目的は同じなため、
已む無く悪魔ホスと一時的に手を組むゴーストライダー
それにしてもこのハイウェイでの戦闘シーンは映画版2を思い出す

一見シリアス風味が強そうだけど、ガース・エニス作品らしく合間合間にユーモラスな会話が挟まったり、ギャグ的なノリで人が死ぬ描写もちょこちょこあったり。
とある一般人の黒人が白人である彼女のKKKな父親に危うく殺されかけていた所を地上に戻れてハイテンションになったゴーストライダーがひき逃げして救うというハイスピードなギャグシーンは色々黒すぎてほんと笑う。

◆感想
お前がいるべき場所は地獄だ

ガース・エニスの書くダークなストーリーとクレイトン・クレインの超絶美麗なアートが合わさった最高のコミックだった!

悪魔は当然として天使ですらマトモなヤツが登場しないというダークな作風は相変わらずのガース・エニス。作中では色々宗教関係を絡めているのにそれが全部負の方向の描写に振れまくっている辺りがもう、カソリック文化に浸かって育ちながらも「絶対神は信じない」と公言してるライターなだけはある。
オチのやりきれなさもまた物凄かった!まあそりゃ本作のストーリーでハッピーエンドだとジョニー・ブレイズのゴーストライダー自体が完結しちゃうけれども!

第5シリーズといっても本作はミニシリーズであり、もともと本書収録の6話しか無いのでこれ単独で十分楽しめます。解説書がゴーストライダーの歴史解説なのもありがたい。
本書の刊行を皮切りに今後も色々ゴーストライダーの邦訳が出てくれるといいなぁ。
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