ツルゴアXXX

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22 2017

スコット・スナイダー&ジェイソン・ファボック他/バットマン:エターナル<上>

バットマンEternal上表紙
「お前の仲間はすべて倒された。
 見ろ、お前の街が燃え落ちるぞ。
 一つ、また一つと…お前からすべてを奪い取った。
 見ろ、ブルース。すべてを失う時だ」

ゴッサムシティの良心
ジム・ゴードン、逮捕――


この事件を皮切りに、ゴッサムの街は変わってしまった。裏社会では、街に舞い戻った旧悪カーマイン・ファルコーネとペンギンの間で血で血を洗うギャング抗争が勃発。治安が悪化するさなか、ゴードンの代わりを務めるゴッサム市警新本部長にはマフィアの傀儡が就任してしまう。日増しに不穏さを増していくゴッサムを救うために奔走するバットマン。
しかし、それらの事件の背景には、ブルース・ウェインを陥れるための遠大な陰謀が隠されていた……。


◆関連作品過去記事
【バットマン:梟の法廷】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】
【バットマン:喪われた絆】
【ジョーカー:喪われた絆〈上・下〉】
【バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街】
【バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街】
【バットマン:真夜中の事件簿】

◆収録作品

2014年06月:Batman Eternal #1
2014年06月:Batman Eternal #2
2014年06月:Batman Eternal #3
2014年06月:Batman Eternal #4
2014年07月:Batman Eternal #5
2014年07月:Batman Eternal #6
2014年07月:Batman Eternal #7
2014年07月:Batman Eternal #8
2014年08月:Batman Eternal #9
2014年08月:Batman Eternal #10
2014年08月:Batman Eternal #11
2014年08月:Batman Eternal #12
2014年09月:Batman Eternal #13
2014年09月:Batman Eternal #14
2014年09月:Batman Eternal #15
2014年09月:Batman Eternal #16
2014年09月:Batman Eternal #17
2014年10月:Batman Eternal #18
2014年10月:Batman Eternal #19
2014年10月:Batman Eternal #20
2014年10月:Batman Eternal #21
2014年11月:Batman Eternal #22
2014年11月:Batman Eternal #23
2014年11月:Batman Eternal #24
2014年11月:Batman Eternal #25
2014年12月:Batman Eternal #26
2014年12月:Batman Eternal #27


◆『バットマン:エターナル』のティザーイメージ
バットマンエターナルティザー

2013年11月の感謝祭シーズンに発表された本作のティザーイメージ。
ジーン・レオン・ジェローム・フェリスによる絵画『最初の感謝祭』がモチーフとなっているこの絵には、『バットマン:エターナル』のストーリー展開を示唆する要素がそこかしこに散りばめられている。

◆ゴッサムシティに未曾有の災厄、襲来――
バットマン生誕75周年記念作品として全52話という大ボリュームで刊行された『バットマン:エターナル』。
ライターはニュー52版『バットマン』誌を手がける安定のスコット・スナイダーと、ジェイムズ・タイノンIV!原書の単行本は全3巻だったんだけどこの邦訳版は上下巻で刊行上巻で600ページもあるとんでもなさ過ぎな一冊に仕上がっております。これ今までの邦訳アメコミの中でも一番分厚いんじゃないかな……

ストーリーはゴードン本部長が犯人を追跡する際、地下鉄が走る駅構内に追い詰め、犯人の持つ銃を狙ったはずが発砲した弾が変圧器に当たり、大規模な列車事故を引き起こして162人もの人命が失われ、さらに30名が病院で生死を彷徨うという大失態を招いてしまうところから始まる。
しかも映像記録によるとゴードンが追い詰めた犯人は銃など持っておらず、丸腰の犯人に向かって銃を撃った事実が明らかになる。
ゴードンは過失致死で逮捕されてしまうが、彼の事を信じているバットマンは無実を証明するために事件の調査に動き出す。
だがこの事件は、バットマンことブルース・ウェインを陥れるための巨大な陰謀の幕開けに過ぎなかった……という内容。

時系列的には『喪われた絆』の後、『エンドゲーム』の前となっている模様です。ナイトウィングことディック・グレイソンが存在には言及されるものの全く登場しないのは『フォーエバーイービル』の事件の後だかららしい(詳しい事情は『グレイソン』で)

5年前ペンギンによって追い出された、かつてゴッサムを支配していたマフィアのボス、『ロング・ハロウィーン』で強い印象を残した悪人、カーマイン・ファルコーネの帰還。
バットマンと同じく父ゴードンの無実を信じ行動するも、怒りで目が曇りつつある危険な状態のバットガールことバーバラ・ゴードン。
リランチ前の世界ではバーバラの後を継いでバットガールとなったステファニー・ブラウンもニュー52にとうとう登場。
父親であるアーサー・ブラウンが実はクルーマスターと呼ばれるヴィランである事を偶然知ってしまい、父とその仲間のヴィラン達に命を追われる羽目になるという彼女の逃走劇も並行して展開されていきます。

俺がクルーマスターだ!
現在進めている犯罪計画を阻害されぬよう実の娘であっても躊躇なく始末せんとするクルーマスター
そこまでして仲間と共に慎重に進めている計画とは一体何なのか

ニュー52での新キャラであるアルフレッドの娘、ジュリア・ペニーワースが初登場したり、これまでの邦訳スナイダーバットマンではやや影が薄かったハーパー・ロウがレッドロビンと組んで活躍したり、引退したデイヴィッド・サビンビの後を継いで新たなバットウィングとなったルーク・フォックス(ウェイン産業のCEO、ルシアス・フォックスの息子)がスペクターことジム・コリガンと組んで今現在ゴッサムで起きているオカルト絡みの事件に携わったりなどなど……おうどんさん代替わりしてきつねうどんになってたんだ(小声)

それと『バットマン:インコーポレイテッド』からは日本のバットマン、『治次郎』とアルゼンチンのバットマン『エル・ガウチョ』が登場!
『世界のバットマン』って結局モリソンバットマンぐらいでしか登場してないな……と思ってたので本作でこの二人が再登場を果たしててテンション上がったりしました。

あとファルコーネとの因縁や父親の存在について踏み込んだ描写がなされるキャットウーマンや、不在となったゴードンに代わり、ゴッサム市警で正義を成そうとするデトロイトから赴任してきた警部補ジェイソン・バードと、ファルコーネと癒着し美味い汁をすすり続ける汚職警視のジャック・フォーブスとの戦い、刑務所ブラックゲートで同房となった男・レオとゴードンの交流など見どころが多すぎて何から挙げていいかもう分からん!もう、分からん!!(レビュー記事らしからぬ発言)
本来なら数作品発表できそうな要素を『バットマン:エターナル』という一作に詰め込んでるんだぜ!贅沢過ぎる!

75周年記念というお祭り企画なだけあって登場するヴィランも数多いです。ただ大昔から活躍している有名所のベテランヴィランよりも、わりとデビューが最近な新顔のヴィランが多めなのが個人的に嬉しいポイントでもある。
ライターがスコット・スナイダーなだけあって彼が創造したヴィランはだいたい登場。『ブラックミラー』からはタイガーシャークにロードランナー、ジェームズ・ゴードン・ジュニアが、『ゲート・オブ・ゴッサム』からはアーキテクトとまさかの再登場が嬉しい。
モリソンバットマンのクラブ・オブ・ヴィランズからスコーピアナが登場したり、モリソンバットマンで強烈なインパクトを残したピッグ教授に至っては本作ではメインヴィランの一人として場をかき乱しまくってくれています。
モリソンはホントとんでもないヴィランを産み落としてくれましたね……「病気になりたい!」

ファルコーネさんの牧場で
今回本当に出番が多い エターナルはピッグ教授難民救済作品

未邦訳タイトルからだと助祭(ディーコン)・ブラックファイアというヴィランも登場。
『Batman: The Cult』というタイトルの通りカルト的な作品として高い評価を受けているミニシリーズのヴィランです。
モリソンバットマン第2部『バットマン:ブルース・ウェインの帰還』に出てきたミアガミ族の初出もこの『The Cult』なんだ!(豆知識)いつか邦訳されないかな……
『喪われた絆』ラストで地下に落ちたジョーカーの顔の皮を拾い誕生した少女ヴィラン、ジョーカーズ・ドーターも登場したり、全部名前を挙げてるとキリがないくらい本当に登場ヴィランが多いです本作。ゴッサムは魔窟やでホンマ……

あと本作、週刊タイトルというのもあってか色んなアーティストが代わる代わるアートを担当しているんだけれども、その中でも個人的に気になったアーティストが『IAN BERTRAM(イアン・バートラム)』って方。
かなり癖の強いアングラコミック風味なアートなんですが、表情や不気味なシーンの迫力が凄くて惹かれるものがある。

イアン・バートラム

ググるとなかなか禍々しいアートがちらほら飛び出してくるのですがどれも思わず見入ってしまう。また一人魅力的なアーティストを知ってしまったぜ……
【IAN BERTRAM 画像検索結果】

◆感想
最高に面白かった!!
いやもう……下巻が発売されてからまとめ買いすればよかったと軽く後悔するくらいストーリーが面白かったです。本作は週刊タイトルとして刊行されてきた作品なんだけど、毎話毎話ストーリーのテンションを維持し続けているのも凄いわ……600ページもあるのにすらすらと読み終えてしまった。
様々な思惑が複雑に絡み合うストーリー展開と、登場人物が多いのにヒーローとヴィランの双方にしっかり焦点が当たる構成、『事件の黒幕は一体誰なのか?』という謎に少しずつ迫っていく盛り上げ方の上手さなどがもう……
この上巻の終盤で事件の黒幕とされているヴィランが姿を現してはいますが……それでも#27までの収録だからなぁ。どうなんだろう。どう考えてもまだ展開に一捻りありそう。

本作単独でも絶対に楽しめますが、バットマンの集大成的な内容なだけあって「これまでのバットマンの邦訳」をある程度読んでおくとより場面場面でテンションが上がる事が多くなると思います。
少なくともスナイダーのバットマンだけでも抑えておくと良いかも。

バード警部補とバットマン

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2 Comments

てけてけ  

いつもレビュー楽しみにしています。

michaelさんのレビューを見て、買うのを忘れていたことを思い出し、急いで本屋に走りました。
周りに人がいるにも関わらず「分厚っ」と口に出してしまう厚さ…。

読んでいるとロンハロやらブラックミラーやら読み返したくなって全然先に進みません…。
下巻も楽しみですね!レビュー待ってます!!

2017/01/24 (Tue) 21:13 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>てけてけさん
ヴィランのチョイスが絶妙で過去の登場作を読み返したくなっちゃいますよね、分かります!分かり身~!
本当はやく続きを読みたいです。下巻発売までぐっとこらえてまとめて購入すればよかった…!(まだ言ってる)

2017/01/27 (Fri) 13:22 | EDIT | REPLY |   

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