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08 2017

凶悪

凶悪予告編凶悪
2013年【日】


雑誌ジャーナリスト・藤井に託された、死刑囚からの手紙。
そこには驚愕の内容が記されていた――


自分は死刑判決を受けた事件の他に、誰にも話していない3つの殺人に関わっています。
そのすべての首謀者は、自分が“先生”と呼んでいた男です。
そいつが娑婆でのうのうと生きているのが許せない。
この話を記事にしてもらい、先生を追い詰めたい。


3つの殺人事件、先生と呼ばれた男、死の錬金術師。そして明かされる、驚愕の真相――。
すべては、ある死刑囚の告白から始まった。

スクープ雑誌「明潮24」の記者として働く藤井修一は、東京拘置所に収監中の死刑囚 須藤純次から届いた手紙を渡され、面会に行き話を聞いてくるよう上司から命じられる。
面会室で向かい合った須藤は、「私には、まだ誰にも話していない余罪が3件あります」と話しはじめる。その余罪とは、警察も知らず闇に埋もれた3つの殺人事件だった。そして、これらすべての事件の首謀者は、“先生”と呼ばれる木村孝雄という不動産ブローカーであり、記事にしてもらうことで、今ものうのうと娑婆でのさばっている“先生”を追いつめたいのだと告白される。
半信半疑のまま調査を始める藤井だったが、須藤の話と合致する人物や土地が次々と見つかり、次第に彼の告発に信憑性がある事に気付き始める。死刑囚の告発は真実か虚構か?先生とは何者なのか?藤井はまるで取り憑かれたように取材に没頭していくのだが……

ノンフィクション小説『凶悪―ある死刑囚の告発』を原作としたスリリングな人間ドラマ。実際に起きた凶悪事件『上申書殺人事件』を基とした作品です。
主人公のジャーナリスト、藤井修一役に山田孝之、“先生”こと木村孝雄役にはリリー・・フランキー、存在感抜群の元暴力団組長の死刑囚、須藤純次にはピエール瀧と、やろうと思えばこの面子でコメディが出来そうな豪華なキャスティング。

しかし内容はこれ以上無いほどに陰惨。暴力描写がとことんエグく、一人の人間をバラバラに解体して焼いて始末した後に家族とともに肉料理でワイワイと食事を楽しむ二人の犯人の姿には恐怖を覚えた。
リリー・・フランキーのサイコな怪演、任侠然としてはいるものの、カッとなると凄まじいまでに凶暴化する死刑囚役のピエール瀧。
「こんな凶悪犯を野放しにしておけない」という義憤に駆られて取材を続け、だんだんと事件に異常な執着を見せ始める主人公役の山田孝之の演技も素晴らしい。

先生が暖かい家庭を築いているマイホームパパでもある一面を持っていたのに対し、正義感から行動している主人公が事件にのめりこみすぎた結果どんどん家庭を顧みなくなっていくというのは実に皮肉。
藤井がここまで事件を追いかけ続けられた理由は究極的には「興味本位」であり、真相に近づくに連れて本来無関係な自分が須藤以上に先生に殺意を持つようになるというのもエグい。
何気なく凶悪事件や未解決事件を調べ、胸糞悪さを覚えて事件の犯人に殺意を抱いたり、口には出さずとも非現実感のある事件のあらましを読んで「面白さ」を感じた経験を持つ人は多いんじゃあないだろうか。

R-15指定なのもあって暴力描写がキツく後味の悪い終わり方をするので強く勧めづらい映画ですが、どの役者も演技力が非常に高く、人間の持つ残酷な一面を緻密に映し出しているので、抵抗がなければ是非観てみてほしい一作です。

【大ヒット『凶悪』の原作者、宮本太一「確かに取材を楽しいと感じている自分がいた」】

 
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2 Comments

No Name  

いつも面白く拝見してます

この映画キャスティングすごいですね。もの凄くハマってますね
特に山田孝之演じる主人公が事件に触れる事でどんどん人の暗部に引き込まれていく様子だったり、奥さんの告白とか普通の人でも、ふとした切っ掛けで簡単に暗部に落ちる描写が凄かったです

それで、この映画見終わった後に主人公のモデルとなった原作者の宮本さんのインタビューがあったので読んでみたのですが、もの凄く穏やかな印象を受ける方で映画見た後だとかなり印象変わりますよ

2017/01/12 (Thu) 04:21 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
>もの凄く穏やかな印象を受ける方で映画見た後だとかなり印象変わりますよ
ググってそれっぽいインタビューを見つけたので読みました。ついでに記事中にリンクも追加しちゃったり。
さすがに事件にのめり込んで狂気に陥っていったという下りはフィクションなんですねー。そりゃそうか。なんかホッとした!

2017/01/15 (Sun) 14:16 | EDIT | REPLY |   

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