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29 2011

ジェフ・ローブ&ティム・セイル/バットマン : ロング・ハロウィーン

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「これぞミステリー」「バラバラのジグソーパズル」「手強いナゾナゾ」「手の込んだパズル」
「ナゾだねぇ」

犯罪渦巻くゴッサムシティに降り立った闇夜の騎士バットマン。あらゆる権力を腐敗させ私腹を肥やしてきた組織犯罪のボス達にとって、買収など及びもつかないクライムファイター、バットマンの登場は、予想だにしない脅威だった。“スーパー”ヒーローの誕生で変わりゆくゴッサム。しかしその一方では、バットマンの誕生に応えるかのように、新たな種類の悪がゴッサムに跋扈し始めていたのである。

バットマン史上に残る名作『バットマン:イヤーワン』の続編にして、屈指のミステリー大作『バットマン:ロング・ハロウィーン』が待望の邦訳!

ハロウィーンの夜に始まった謎の連続殺人事件。真相を暴かんと共に立ち上がったバットマン、ゴッサム市警の警部ジェームズ・ゴードン、地方検事ハービー・デントの三人は、深まり行くゴッサムの、そして己の闇に何を見るのか?


◆関連作品過去記事
【バットマン イヤーワン/イヤーツー】

◆収録作品

○Vol.1
1996年10月:Batman: The Long Halloween #1
1996年11月:Batman: The Long Halloween #2
1996年12月:Batman: The Long Halloween #3
1997年01月:Batman: The Long Halloween #4
1997年02月:Batman: The Long Halloween #5
1997年03月:Batman: The Long Halloween #6
1997年04月:Batman: The Long Halloween #7

○Vol.2
1997年05月:Batman: The Long Halloween #8
1997年06月:Batman: The Long Halloween #9
1997年07月:Batman: The Long Halloween #10
1997年08月:Batman: The Long Halloween #11
1997年09月:Batman: The Long Halloween #12
1997年10月:Batman: The Long Halloween #13


◆連続殺人鬼『ホリデイ』
本書、『ロング・ハロウィーン』『イヤーワン』の直接の続編となっています。
別に読んでいなくても充分に楽しめるのですが(僕が本書を読んだのは『イヤーワン』を購入する前だった)
例えるなら第1巻を読まずにいきなり第2巻を購入しちゃう感じ?

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三人寄ればなんとやら

イヤーワンで刷新された設定で、なおかつ前作の登場人物が重要なファクターとなって再登場していますので、
まずはイヤーワンを読んでおくのをおススメします。
読んでなかったのもあって僕はデント(トゥーフェイス)が、
バットマンとゴードンの二人と普通に手を組んでるのを見てちょっと戸惑いましたし。
(それまではハナからヴィランとして登場する作品しか見たことが無かった)
といってもきちんとイヤーワンのあらすじが掲載されているので未読でも安心。

『ロングハロウィーン』では、ゴッサムを支配している暗黒街の帝王、
『カーマイン"ローマン"ファルコーネ』の一味が、次々に謎の殺人鬼に殺害されていきます。

犯人は祝日の度に犯行を重ねていくため、いつしか殺人鬼は『ホリデイ』と呼ばれるように。

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現場に残された証拠

殺害現場には毎回のようにホリデイが証拠を残していきます。
断片的に犯行が描かれていくため、
読者がホリデイの正体を推理するミステリー的な楽しみ方が出来る本書。
登場人物の誰もが怪しく見えるように描写されているため、犯人を推察するのは容易ではないですが。

ちなみに、本作品は映画『ダークナイト』の原点となった作品でもあります。
要所要所で『ダークナイト』で見たようなシーンが散見されるので、
ダークナイトの監督、『クリストファー・ノーラン』が本作品にどれだけ影響を受けたかを垣間見る事ができます。

ある事件を契機に歪んでしまうデント。
検事として法的にファルコーネを追い詰めようとしていた彼が、いかにしてヴィランとなってしまったのか?
ハービー・デントがトゥーフェイスとなるまでのオリジンが描写されているのも見逃せないポイント。

美しい_convert_20110629204506
イヤーワンに比べると非常に美しくなったセリーナ

『イヤーワン』の時点では売春婦から足を洗ったばかりのセリーナ(キャットウーマン)
そんな彼女がたった半年で上流階級の仲間入りを果たしているのが凄い。
今作でもヴィランとは言い難い活躍っぷりを見せてくれます。

PICK UP キャラクター カレンダーマン
カレンダーマン_convert_20110629211709「カレンダーマンは今や忘れ去られた存在だ。我慢がならんね」

ロング・ハロウィーンには様々なヴィランが沢山登場します。
おなじみジョーカーキャットウーマンソロモン・グランディポイズン・アイビー
リドラースケアクロウマッドハッター
、そしてトゥー・フェイス・・・

しかしその中でも特に意外なチョイスだったのがこのカレンダーマン
本名、ジュリアン・デイ

これ豆な_convert_20110629212628
これ豆な!

祝日や記念日などにこだわって犯罪を行うというやけに個性的なキャラクターで、
コスチュームもわざわざその日に関わりのあるものを着込むという徹底ぶり。
『世の中に記念日を知らしめる』というのが基本的な犯行動機という訳の分からなさがポイントなヴィランです。

本来のコス_convert_20110629212551

本来のコスがバットマンに『犯罪的なセンスの無さ』と評されるほどダサいのも印象的。

そんな彼が本作、ロング・ハロウィーンではカレンダーに拘っているという部分がさらに強くクローズアップされ、
不気味な狂人っぷりを見せています。
精神を病んでいる犯罪者という雰囲気が良く現れておりなかなかに怖い。
祝日や記念日に犯行を重ねるホリデイを追いかけるバットマン達から意見を求められるという
結構重要なポジションに。

解説書で『正直、目立つ悪役ではなかったが~』と紹介されるほどややマイナーなキャラだったようですが、
本作でのカレンダーマンが読者に与えるインパクトはかなり強いです。

◆感想
(※ちょっぴりネタバレな話が混ざるので気になる人はこれ以降の文を読み飛ばしてください)

イヤーワンの発表から10年が経過してから登場した続編、『ロング・ハロウィーン』
バットマン作品の基本的な流れでもある
『事件発生』→『捜査開始』→『推理』の要素がとくに色濃い本作品は、
謎が謎を呼ぶストーリー展開であるために先が気になってしまい一気に読みきることが出来ます。
意外と一コマ一コマの文字数が少ないため、日本漫画のようにテンポ良く読めるのも魅力。

ただ、本作品は『ホリデイの正体などがはっきりと語られないまま終わってしまいます』
それもあってファンの間では積極的に本作品の議論が交わされてきました。
【「バットマン:ロング・ハロウィーン」の謎に迫る!】(WEB魚拓 ネタバレ全開なので読了後にどうぞ)

父の日_convert_20110629205629

人によってはすっきりしないと感じる部分がある作品ではありますが、
それでも細かく作りこまれている上に基本テンポ良く進んで読みやすいので、
上質なミステリー作品として人におススメしたいバットマン作品です。
影のつけ方やこだわりの構図で作品の雰囲気作りに一役買っている、
ティム・セイルのアートも魅力の一つ。


ただ本作品、全二巻となっているのですが、1冊200ページ程度で3360円もするため割高感が強いです。
2冊であっさり6000円越え。
アメコミは高いというのを象徴する2冊でもあります・・・
『バットマン:ダークビクトリー』という本作のさらに続編が発売されているのですが、
こちらも2冊で6000円以上。
原書は1冊に纏めている上に1600円程度なので、
個人的にこの邦訳本もせめて1冊に纏めて6000円以下にはしてほしかったところ。
 
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