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23 2016

ポール・ディニ&イブル・ギチェット他/バットマン:ハーレイ・クイン

バットマンハーレイクイン表紙

「お前はどうだDr.クイン?何がお前を犯罪に導く?
 どうしてジョーカーの虜に…?」

「当然でしょ。真の愛を教わったんだものォ!
 カリスマで知的で女の子を笑わせる術に長けてて…誰だってイチコロだわ」

「裏で糸を引かれてもか?」
「操り人形に見える?服はそうでもアタシは違う、バチューラ伯爵!」
「法を破るのが楽しいのか?それともヤツを喜ばせたい一心で?」
「自由の味を知らないのねェ…
 いつどこで何をするのも思いのまんま!気分次第でいられる力は格別だわ!」

「その衣装の意味は?」
「見ての通り」
「お前の視点で語ってほしい」
「ピエロだけが世の本質を見抜いてるからよ。全ては…ジョークと」


DON'T YA WANNA REV UP YOUR HARLEY?

アニメの1話限りのゲストキャラクターから出発し、映画『スーサイド・スクワッド』では、メインキャストにまで出世したハーレイ・クイン。

そんな彼女のコミックブックでのデビュー作を中心に、長短合わせて10本の主演作を集めたアンソロジー集が登場!

バットマンもジョーカーもタジタジのオバカな悪女がコミックシーンを席巻する!


◆収録作品

1999年10月:Batman: Harley Quinn
2001年04月:Batman: Gotham Knights #14
2002年08月:Batman: Gotham Knights #30
2007年06月:Detective Comics #831
2007年12月:Detective Comics #837
2010年08月:Joker's Asylum #1
2013年11月:Batman Black and White #1
2013年11月:Detective Comics Vol.2 #23.2: Harley Quinn
2014年01月:Batman Black and White #3
2014年02月:Legends of the Dark Knight 100-Page Super Spectacular #1


◆NEW KID IN THE CELL
アニメバットマンジョーカーの陰謀

1992年のアニメ『バットマン』の第22話『ジョーカーの陰謀(Joker's Favor)』にて歴史的な初登場を果たした女ビラン、ハーレイ・クイン。
当初は一話限りの使い捨てキャラで終わるはずだったのですが、脚本家のポール・ディニがハーレイを気に入った事で準レギュラーとして起用し続けた結果、アニメバットマンを代表するキャラクターの一人にまで昇格。
その1年後にはアニメのコミカライズである『Batman Adventures』の#12にも登場、94年にはハーレイのオリジンを描いた『Batman Adventures: Mad Love』も発表され、押しも押されもせぬ人気キャラクターに成長したのでした。
本書はそんなハーレイ・クインがアニメ版準拠の世界観ではなく、メインストリームであるDCユニバースのコミックでのデビュー作から現在に至るまでのエピソードを厳選して収録したアンソロジー集!

ハーレイの正史世界でのデビューは意外と遅く、99年のバットマンのクロスオーバーイベント『ノーマンズ・ランド』のタイインを兼ねたちょっと特殊なエピソードで初登場。
大地震をきっかけに他の囚人と同じくアーカムから脱走し、愛するプリンちゃん……ジョーカーの元を訪れたはいいが、利用するだけ利用されて殺されかけた事に怒り、ポイズン・アイビーの協力を得てジョーカーに復讐するというお話です。
まさか初登場からいきなりジョーカーに愛想を尽かす姿が描かれているとは思わなかった。
まあオチは案の定チョロい性格してるなハーレイ……って感じなんだけど!

出会った時からママみのあるアイビー
ハーレイとアイビーの初邂逅!
(といってもハーレイがアーカムでインターンをしていた頃からの知り合いではある)
この時点でもうアイビーにママみが溢れているのにも注目

厳密にはこのエピソードよりも先行して98年の『Thrillkiller '62』という作品でハーレイが登場していたりする……のですが、この作品はアース-37を舞台としたエルスワールド物であり、正体もハーレイ・フィッツパトリックという別人なのでノーカン。

この他には釈放が掛かった審理委員会で必死に色々弁明するも毎度ブルース・ウェインに否決されて独房に逆戻りするハーレイが2代目ベントリロクイストに仕事を依頼されるが、利用だけされて殺される事を察して裏切り、バットマンやゴードン本部長と共闘するという珍しいシチュエーションのお話が。
また初代ベントリロクイストはアーカムに収容されて孤独と絶望に苛まれていた時に気を使って声をかけてくれた相手であり、死亡してしまった彼には今なお敬意を払っているという設定も語られたりしています。
結末含めて結構いいエピソードなので是非読んでみてほしい。

あと模範囚でありながらバレンタインデーを理由に大暴れしてアーカムを脱走し、容赦なく人を殺しながら愛するジョーカーの元へ向かうというサイコ可愛いラブコメエピソード、ロリコン誘拐犯から命からがら逃げてきた少女を救うためにアイビーと共闘するエピソードなど本当にバラエティ豊か。

そして嬉しいのがニュー52のクロスオーバーイベント『フォーエバー・イービル』のタイインでもあるイベント『ビランズ・マンス』の一環として刊行された『Detective Comics Vol.2 #23.2: Harley Quinn』の収録!
ニュー52版の設定に倣ったハーレイの新オリジンが描かれており、本書の解説と合わせて読むことでハーレイがスーサイド・スクワッドから自由の身になった理由も分かり、いい感じに『ハーレイ・クイン:ホット・イン・ザ・シティ』のプロローグとしても読める補完エピソードになってるのがありがたい。

マッド・ラブではフマジメな学生がジョーカーにアテられてビランに身をやつすという若干軽いノリのオリジンだったのですが、ニュー52版のオリジンは底辺から抜け出す為に必死に勉強してきた真面目な学生がジョーカーと出会った事で狂い始め、化学工場の廃液槽に投げ込まれてジョーカー同様の白い肌となり、彼女が完全に壊れてしまうまでを描いた不気味さと狂気要素が強い内容に仕上がっています。

ニュー52版ハーレイの新オリジン

ニュー52版オリジンはこれまで刊行されてきた邦訳でも断片的に描かれてはいましたが、本作が一番丁寧にハーレイの過去を掘り下げた内容になっているので、気になる方は要チェック。

過去の邦訳とのダブリは『Batman: Gotham Knights #14(『バットマン:ブラック&ホワイト2』に収録)』に載っていた“賭け”というエピソードなんですが、今回の再録にあたってフルカラー彩色が施されているのが嬉しい。ブラック&ホワイトとは一体。
アニメ版準拠の世界観とアートなのに合わせてしっかりアニメ塗りなのもポイント。
色がついたことでハーレイとアイビーのセクシーさがより強調されていますね……これはたまらん。

賭けフルカラー版
「アーカム内の男全員のキスを奪える」と豪語するアイビー
いつの間にかハーレイとアイビーのどちらが多く男を誘惑できるかという勝負事に発展してしまう

◆感想
面白かった!!
ハーレイ・クインのサイコで最高に可愛い姿をたっぷり堪能できる一冊でしたね……ただ意外とコメディ要素の強い作品はそこまで多くなくて、彼女のサイコな性格と人情味ある一面に着目した作品の方が多くチョイスされていた印象。ハーレイメインといってもハーレイの個人誌からの収録は一個もないというのもちょっと意外。

メインストリームの世界でのデビューが99年というのもあって新しめなエピソードばかりがチョイスされているので、アートや作風含めかなり多種多様なのもオススメポイントかもね。
個人的お気に入りエピソードは前述したベントリロクイスト絡みのお話と、当時更生していて私立探偵となっていたリドラーとの共闘回。
ブルース・ウェインからの依頼で実験中の新薬を盗み出したウェイン・インダストリー勤務の女性、リサ・エレン・ニューマンを追うという話。
彼女が男子禁制であるアテニアン女性支援センターに潜り込んでいる事を突き止めた為、ハーレイに協力を頼むという展開。
当時はハーレイ・クインを引退していたためハーリーン・クインゼルとして戦う姿が拝めたり、ファッションセンスは相変わらずだけど普通に渋カッコいいリドラーがなかなかに魅力的な内容なのだ。

私立探偵リドラー

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