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18 2016

ジェリー・ダガン&サルバ・エスピン他/デッドプール Vol.8:オール・グッド・シングス

デッドプールオール・グッド・シングス表紙

「やあ。俺はデッドプール。人呼んで冗舌な傭兵。
 普段は笑顔だけど、今はハッピーってわけでもない。いろいろあってね。
 平和主義のニュー俺ちゃんになってみたけど……やっぱり俺じゃない。
 俺に惚れてるゴージャスな奥さんもいる。親切な友人もたくさんいる。
 こんな俺を慕ってくれる娘すらいる。だけど…
 楽園アスガルドにも行ったけど、本当の自分自身には出会えないのさ。わかる?」


シリーズ最終巻!
冗舌な傭兵、ついに死す!

ネタバレも甚だしいが、我らの愛すべき“俺ちゃん”は本作で死んでしまうのだ!!中東に出かけたデッドプール。単純な傭兵仕事だったはずなのに、それはいつしかオメガレッドとの死闘や、シクラーに関係した古代墓所への探索へと繋がっていく……。さらに、復讐の炎に燃えるアルティメイタムがデッドプールに襲いかかる。アルティメイタムを一人残らず皆殺しにする以外の選択肢は、デッドプールには残されていないのだが……。
過去を描いた特別篇では、クロスオーバー・イベント「インフィニティ・ガントレット」における知られざる逸話を初公開――もしデッドプールがサノスからガントレットを奪ったらどうなるのか?さらに、デッドプールの仲間たちに焦点を当てた短編も収録。『デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント』から始まったマーベル・ナウ!シリーズも一先ずこれにて終了!ご愛読ありがとうございました!


◆収録作品

2015年03月:Deadpool Vol.3 #41
2015年04月:Deadpool Vol.3 #42
2015年05月:Deadpool Vol.3 #43
2015年05月:Deadpool Vol.3 #44
2015年06月:Deadpool Vol.3 #250(#45)


◆関連作品過去記事
【デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント】
【デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター】
【デッドプール Vol.3:グッド・バッド・アンド・アグリー】
【デッドプール Vol.4:デッドプール VS. シールド】
【デッドプール:ドラキュラズ・ガントレット】
【デッドプール Vol.5:ウェディング・オブ・デッドプール】
【デッドプール Vol.6:オリジナル・シン】
【デッドプール Vol.7:アクシス】

◆I can live with this finale.
デッドプール第3シリーズついに完結!!

MADMAX2ポスター

映画『マッドマックス2』のパロディになっているカバーアートの通り、『オール・グッド・シングス』は血と爆発と硝煙満載で締めくくられる最終巻となっておりました。それではさっそく内容紹介!

大切な友人たちができ、シクラーと出会って結婚し、娘も救い出したデッドプール。
幸せな状況なのに違いはないのだけれど、悲惨過ぎる過去や辛い出来事も重なってきた事もあり、心には深い傷を負っている。
そんな中トラップスターから悪徳企業ロクソンの仕事の誘いが入り、中東の無法地帯、アル・ワジラバドでの任務に向かう。
しかし気分転換のつもりで受けたこの仕事は、罪のない地元住民を抹殺しなければいけない汚れ仕事だった!
デッドプールは自分の良心に従い、同じく仕事に乗り気ではなかったトラップスターとともにロクソンを裏切って地元住民を救うために奮闘する!……というお話。
昔のデッドプールなら自分本意な理由で悪サイドにも普通に加担し続けてた(ケーブルに説得されてなんとか一線は超えずに済むんだけど)んで、彼のヒーローとしての成長が垣間見えてすごく良い。

※参考エピソード
【ケーブル&デッドプール:青の洗礼】
【X-MENユニバース:シビル・ウォー】

しかし敵も雑魚な傭兵ばかりではない。同じくロクソンに雇われていたオメガレッドがデッドプールの裏切りを察知するやいなや、「かつて自分の家族を殺害した憎むべき仇」として襲い掛かってくる!

オメガレッドVSデッドプール

「オメガレッドにそんな設定があったの?」と思ったのだけれど、本作で登場しているのは二代目のオメガレッド。オリジナルのオメガレッドは2009年『Wolverine: Origins #39』にてウルヴァリンによって殺されており、2012年の『Uncanny X-Force #25』で初代のDNAを基にして作られた3体のオメガレッドが現れたとの事。偽の記憶を植え付けられており、それ故にデッドプール達を恨んでいるのだとか。
記憶を弄られ暗殺者として利用されている、ある意味では自分と同じような境遇にあるこのオメガレッドのクローンに同情もしているデッドプール。#44での決戦後、命までは取らずに説得を試みるデッドプールの会話シーンは是非実際に読んでほしい。

さらにこれだけでは終わらず、6巻でフラッグスマッシャーを徹底的に脅しつけた事で片付いたと思われたアルティメイタムが、今度はデッドプールへの復讐心に燃えて彼と大切な周囲の人間を皆殺しにせんと動き出す。
愛する人を全員守るため、デッドプールはアルティメイタムを完全に壊滅させるために戦うのだった!!
最終話に相応しい大激戦のスタートだ!!!!!

俺はもう迷わない

◆感想
面白かった!!
もう今のデッドプールは間違いなくヒーローだね。4巻ぐらいまでの頃はヤケになって暴力に走りすぎるきらいがあったけれども、この8巻では人間的にも精神的にも成長したデッドプールの姿が拝めます。
いくら蘇生能力があるとはいえ、痛々しいまでボロボロになりながら激闘をくぐり抜け続け、ようやく掴み取った愛する人達との平穏。
デッドプールからただのウェイド・ウィルソンに戻り、最終話のタイトル通りあとは『大団円』を迎えるだけ……

だと思ってたのになんだこのあんまりすぎる突然のバッドエンディングは!?
完全にハッピーエンドの流れだったのにラスト3ページで画太郎の漫画かと見紛うほどの唐突な全員死亡エンドで締めくくられて目が点になったわ!

……ただこれにはちゃんと理由がありまして、2015年のマーベルユニバースでは多元世界同士が引かれ合い消滅するという大事件、『インカージョン』が起こっていたのです。ここから大型クロスオーバーイベント『シークレット・ウォーズ(未邦訳)』へとつながっていくのだとか。
個人的にそういう展開はデッドプール誌以外で描いて、この結構シリアス成分が強かった第3シリーズは綺麗な終わり方をしてほしかった……
うーんでもある意味ハチャメチャなデッドプール作品らしいオチっちゃあオチなのか……?
それでもエリーとデッドプールの親子関係の掘り下げが思ったほど行われず、シクラーが何かを企んでいる伏線を本巻で張っておきながら打ち切りエンディングのような結末になったのはちょっと不満。

このイベントの結果マーベルユニバースの世界観が様変わりし、様々な作品が新シリーズとしてスタート。
デッドプール誌もジェリー・ダガンを続投して第4シリーズがしれっとスタートしており、現在も連載中とのこと。
回収しきれなかった伏線(前述したシクラーの野望、吸血鬼との戦い、脳内人格の正体だったマッドキャップのその後など)は第4シリーズの方で描かれてたりするのかな……?


第4シリーズ単行本
第3シリーズはとんでもないバッドエンディングで終了したものの、
何事もなかったかのように復活してデッドプールは活躍中

最終話の後は様々なライターが描き下ろした短編エピソード群を収録。
現代社会を理解するためにシクラーがキャプテン・アメリカからスター・ウォーズなどの映画を借りたりする話や、ホークアイ第4シリーズに登場する犬のラッキーを意識したパロディ短編、悪事を働こうとしても何故か結果的に善行につながってしまうエバン君のお話とかどれもコミカルで面白い。

そして最後を締めくくるのは「過去に描かれたお蔵入り作品」という体の新作エピソードである、91年のクロスオーバーイベント『インフィニティ・ガントレット』のデッドプールタイイン回。
インフィニティ・ガントレットを手にしたデッドプールが自分を苛めてきた連中に仕返しするために、ヒーローやヴィランを大勢集めてマーベルユニバースをディスる毒舌批評会ローストを開催するというエピソード。
ケーブルの毒舌が普通に辛辣だったり、スパイディのジョークがことごとく不発だったり、ウルヴァリンが魔法でセクシーなコス1989年の「インフェルノ」でのマデリーン・プライヤーのコスを着させられたりなど、楽屋ネタも満載で実にカオス。

91年作品(という設定)なのに普通にデッドプール第3シリーズのキャラがバンバン登場しているのは、当時の脚本家チームが24年後に向けた伏線を張っていたからというぶっとんだ理由がつけられています。
そしてギャグで終わるかと思いきや、最後の最後に自分のクソな人生を見て楽しんでいる読者に対してデッドプールが一言物申してくる演出が盛り込まれていて少しゾクリとした。
どちらかと言えばこの最後に収録されたエピソードの方が第3シリーズの最終回的な感じがあるかも。

デッドプールの毒舌批評会

第1巻が邦訳された時点ではまさか完訳までこぎつけるとは思わなかったこのデッドプール第3シリーズ。
本当にお疲れ様でした!

【デッドプール:オール・グッド・シングス 補足】
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