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16 2016

GANTZ:O(ガンツ:オー)

GANTZO予告編GANTZ:O
2016年【日】


理不尽な死、巻き込まれるサバイバルゲーム

東京・渋谷――
炎が吹き上がり繁華街のビルを赤く染めている。その中心で暴れているのは、頭に角を持つオニ星人。そこにオニ星人に戦いを挑む黒スーツの男女が現れる。そのなかのひとり――玄野計が言う。「誰かがやるしかない」。そして玄野はオニ星人を倒す。自分の命と引き換えに……。
その日、加藤勝はケーキを手に家路を急いでいた。街頭テレビに、大阪で非常事態宣言が起きたという速報が流れる。だが加藤はその異変にはまだ気づいていなかった。今日は弟、歩の誕生日なのだ。
駅のホームで歩に電話する加藤。その時、悲鳴が響き渡る。足から血を流しながら転がる老人。通り魔だ。周囲の人間が逃げ出すなか、加藤は傷ついた老人を助け出そうと駆け寄る。物陰から、血まみれの包丁を手にした男が現れる。加藤は男に襲われ、二度三度と包丁で刺される。歩き去る時、通り魔は加藤が持っていたケーキを蹴り飛ばす。薄れ行く意識の中で加藤が最後に目にしたのは、ぐちゃぐちゃに崩れた歩のバースデーケーキだった。
気がつくと加藤はマンションの一室にいた。
「俺、生きてるのか」
予想外の事態に混乱する加藤の前にやってきたのは初老の男と若い女。女は、人気アイドルのレイカだ。初老の男――鈴木良一の説明によると、この部屋に現れた人間はみな事故や病気で一度死んでいるのだという。
不意に部屋にある黒い玉――ガンツから歌が流れ始め、指令が示される。
「てめえ達は今から、この方をやっつけに行ってくだちい。ぬ・ら・り・ひょん」
ガンツの両脇から武器とスーツが出て来る。動揺する加藤に、鈴木とレイカが説明する。
自分たちはこういうサバイバルゲームを何度も戦ってきていること。先日の渋谷での騒動にも関わっていること。そこでリーダーだった玄野計を失ってしまい、今は鈴木、レイカ、そして西丈一郎だけになってしまったこと。
そして、転送が始まった。
黒スーツを着た加藤が姿を現したのは大阪・道頓堀。商店街には死体が転がっている。異様な静けさのなかで遠くから走ってきたのは、妖怪のお歯黒べったりだった。その妖怪を、中学生とは思えないほど冷酷な西が一撃で倒す。
そして加藤は知る。
この謎のゲームは、制限時間内に敵を倒さなければ「死」あるのみ、だと。

***

奥浩哉による漫画『GANTZ』の中でも特に評価が高いエピソードである「大阪編」を原作としたフル3DCGアニメ映画。
とはいえ96分という尺に収めるためと、初見でも設定をある程度把握しやすくするために原作から色々改変している要素が多めな一作。
あらすじにもあるように玄野計が死亡する経緯が変わっていたり、東京チームのメンバーが加藤、レイカ、鈴木、西の4名、大阪チームも島木、室谷、岡、杏の4名に絞られてたり、それに合わせて登場する妖怪の数も原作から削られております。
厳密には東京チームの風とタケシ、大阪チームのドS三人組はちらっと出てるけどね。
加えて本作はPG-12指定の映画であり、原作よりもグロ演出はやや控えめでエロシーンはオミット。
(エロはカットといっても下記のぬらりひょん第三形態はちゃんとあるし、グロい戦闘シーンも上品かつクールに演出されてます)

まあ原作通りあのセックス依存症の桑原が出ちゃってたらもはやポルノ映画になっちゃうし仕方ないかもしれぬ。
ぬらりひょん第三形態寄せ絵っぽいあれ)に興奮してイラマチオして吐き出される原作の下りはアホ過ぎて好きなんだけれども。

セックス依存症桑原
ぬらりひょんに実力者である島木があっさり殺され一瞬恐怖していたはずなのに
結局性欲の方が勝ってしまう桑原

しかし原作から削られた要素が多くて物足りない感じになっているかと言われれば決してそんな事はない。
アクションのスケールと強敵だらけの絶望感が格段に大きくなる大阪編の空気感を完璧に再現しており、アクションに次ぐアクションがてんこ盛りな構成。勿論ドラマパートもあるけれども、終始大迫力の戦闘がメインな作りになっていて目が離せない。
あと3DCGのクオリティが本当に高い。実写映画風のフォトリアルスタイルを採用しており、人間はまだちょっとCGって感じがあるものの、建物や武器、妖怪などのCGは極まっており、壊されていく大阪の街、非現実的な妖怪の造形や動きなどを心ゆくまで堪能できる。実写では難しそうなカメラワークもバンバン使ってるし、この辺りは3DCG映画ならではの強みな気がする。

それと本作、大阪チームの声優がお笑い芸人のケンドーコバヤシ、レイザーラモンHG&RGだったりするんですが、これがまた普通に演技力高くて驚く(ケンコバは岡八郎、HGは島木、RGは室谷を担当)
絶妙なガラの悪さとイカレ具合の演技がキャラにハマってて実にナイス!

原作要素で大事な部分を抽出して再構成し、一本のSFアクション映画として丁寧に作られたハイレベルな3DCG映画でした。もうめっちゃくちゃ面白かった!

……とはいったものの、本作はやっぱり原作既読者向けな映画ではあったと思う。大阪編の評価が高くて印象深いのは、これまでの星人との戦いとは違う高得点な星人の大量登場、強力な新兵器の登場、そしてぬらりひょんがこれまでの星人の強さを遥かに上回るかつてないまでの強敵で、なおかつこれまでのエピソードで描かれてきた東京チーム以上の実力を持つ大阪チームがまったく太刀打ちできないという絶望感があり、大阪編以前の状況とは大幅に異なる雰囲気になっていたからこその面白さだった。ですんで初見の人がいきなりこの大阪編から見ても若干ノリきれないんじゃないかとは思ったり。
映画パンフの脚本家インタビューによると、当初は大阪編ありきで東京編、大阪編の二部作にする予定だったらしいんですけどね。
(東京編全てを映画の尺に収めるというのは困難だったため、結局大阪編一本でいくことになったとの事)
そういうわけなんで、僕個人としては原作を読んでから本作を鑑賞することを薦めたい!

※おまけ:WEBインタビュー記事リンク集
【デジタル・フロンティア-Digital Frontier | CG MAKING | GANTZ:O | PAGE01】
【「すこしふしぎ」なジュブナイルを目指して作品を作っている「GANTZ:O」原作者・奥浩哉さんにインタビュー】
【初監督で「GANTZ:O」を絶妙なフルCGアニメ映画として完成させた川村泰監督インタビュー】
【「GANTZ:O」をGANTZを知らない人でもわかる映画に作り上げたさとうけいいち総監督にインタビュー】
【映画「GANTZ:O」原作者・奥浩哉×川村泰監督インタビュー「これは僕の宝物です」 】
【映画『GANTZ:O ガンツ:オー』:原作者の奥 浩哉が語る「まだ誰も観たことがない」世界の魅力】
【ドレスコーズ×「GANTZ:O」志磨遼平×奥浩哉対談 (1/3) - コミックナタリー Power Push】
【大人気コミック『GANTZ』の【大阪編】をフル3Dアニメ化!劇場版『GANTZ:O』公開記念、レイカ役・早見沙織インタビュー!】

    
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