ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

15 2016

ジャスティン・グレイ&ビリー・トゥッチ他/ヒーローズ・フォー・ハイヤー:シビル・ウォー

ヒーローズ・フォー・ハイヤーシビル・ウォー表紙

「全員、よく聞いて。
 私達は、世界最強のヒーロー達が起こした内戦に巻き込まれたの。
 役者が劣る私達は…ほら、アレ…
 『特攻大作戦』の主人公連中のタイツ版みたいなものよ。
 好きなだけ侮らせておけばいいわ。
 誰を信用すればいいかもわからず右往左往してる彼らと違って、
 私達には…信頼だけは有り余ってるから」


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

コネチカット州スタンフォードで発生した爆発事件をきっかけに巻き起こった超人への反感は、超人登録法として結実した。

登録法への対応を巡って超人コミュニティが割れる中、この事態を歓迎する者達もいた。
超人達の影に怯えてきた小悪党達である。

大物ヒーローが内戦にかかりきりになっている間に一儲けを目論む彼らだったが、そうは問屋がおろさない。
ニューヨークには、報酬と引き換えに街を守るヒーローズ・フォー・ハイヤーの面々がいるのだ。

ミスティ・ナイト率いる雇われヒーロー達を待っている新たな“仕事”とは?

シビル・ウォーの裏側を描いた異色のクロスオーバー!

ペーパーバック未収録のタイイン『ブレイド』#5も同時収録!

君はどちらに付く?


◆収録作品

2006年10月:Heroes for Hire Vol.2 #1
2006年11月:Heroes for Hire Vol.2 #2
2006年12月:Heroes for Hire Vol.2 #3
2007年01月:Heroes for Hire Vol.2 #4
2007年02月:Heroes for Hire Vol.2 #5
2007年03月:Blade: The Vampire Hunter Vol.6 #5


◆関連作品過去記事
【シビル・ウォー】

◆マイナーヒーロー&マイナービラン総登場のタイイン
さすがに映画『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』で再燃していた周囲のシビル・ウォー熱も大分落ち着いてきたような感じがあるのですが、ヴィレッジブックスのシビル・ウォークロスオーバーの邦訳の勢いは止まらない!
止まらなさすぎてタイトルのチョイスがかなりマニアックになってきたのがアメコミファン的には結構嬉しかったりします。これまで邦訳が無かったヒーローにどんどんスポットが当たってるんだもの!
今月の定期購読の邦訳は、雇われヒーロー達で構成されたヒーローチーム『ヒーローズ・フォー・ハイヤー』を主役としたシビル・ウォータイイン『ヒーローズ・フォー・ハイヤー:シビル・ウォー』

本作のレビューの前に、まずは『ヒーローズ・フォー・ハイヤー』について簡単に解説を。
元々は拳法家ヒーローであるアイアンフィストがパワーマン(ルーク・ケイジ)とコンビを組み、雇われヒーロー事務所『ヒーローズ・フォー・ハイヤー』を立ち上げたのが全ての始まり。そこに女性ヒーローのミスティ・ナイトとコリーン・ウィングも参加して、日々人々からの依頼を受けて活動していたとのこと。
【パワーマン&アイアンフィスト#54】

ヒーローズ・フォー・ハイヤー第1シリーズ#1

その後96年のクロスオーバーイベント『オンスロート』にて様々な大物ヒーロー達が行方不明になるという事態を受け、アイアンフィストは新生ヒーローズ・フォー・ハイヤーを再結成。しかしオーナーであるスターク=フジカワ社から前科持ちのメンバー(2代目アントマンとルーク・ケイジの事)の脱退を求められ、全メンバーがそれに反発。結果全てのメンバーがヒーローズ・フォー・ハイヤーから脱退し、短い期間でチームでの活動が終了したのでした。
【ヒーローズ・フォー・ハイヤー第1シリーズ】

で、今回邦訳されたのは『シビル・ウォー』を受けて新創刊された『ヒーローズ・フォー・ハイヤー』の第2シリーズ。
メンバーがこれまたガラッと変わった第二次ヒーローズ・フォー・ハイヤーの活躍を描くシリーズであり、リーダー格のヒーローもアイアンフィストとルーク・ケイジではなく、前述したミスティ・ナイトとコリーン・ウィング。
母体となっているのも彼女らの事務所『ナイトウィング・レストレイションズ』であるため、かつてのチームとの繋がりはそもそも無かったりします。
ヒーローズ・フォー・ハイヤーのざっくりとした説明はこれくらいにして、そろそろ本作のあらすじを。

◆HEROES IN DESPARATION
ヒーロー同士の内戦という混乱に乗じてB級ビラン達がここぞとばかりに犯罪に勤しみ、街は荒れるばかり。
アイアンマンやファンタスティック・フォーなどのヒーローに応援を頼もうにも、彼らは内戦にかかりきりになっている。
そこに現れたのがミスティ・ナイト率いる雇われヒーローのチーム『ヒーローズ・フォー・ハイヤー』

日本刀の使い手であるコリーン・ウィング。
害虫を操って戦うハンバグ。
カンフーの達人シャン・チー。
剣の達人なだけでなく、マーシャルアーツとグレイシー柔術を極めているタランチュラ。
女怪盗であり、情報収集役であるブラックキャット。
海底王国アトランティス出身な怪力の持ち主、オルカ。
ナンパな性格である正体不明の傭兵、パラディン。
そして、右腕に取り付けたバイオニック・アームとアイアンフィスト仕込みの拳法で戦う元婦人警官、ミスティ・ナイト。
彼女たちは、ビラン退治にまで手が回らない大物ヒーロー達に代わって街を守るため、アイアンマンから物資と権限の保証を受けて日夜ヒーロー活動に勤しんでいたのであった。

そんな最中、登録法反対派であるゴライアスが賛成派の用意したソーのクローンにより殺害されるという事態が起こってしまう。
ゴライアスの死によりさらに内戦がもつれる事に不安を感じたミスティ・ナイトは、アイアンマンからの依頼を受け、登録法反対派のリーダー、キャプテン・アメリカを説得する事に決める。

キャプテン・アメリカたちが潜伏している隠れ家を古代中国の怪物・ピクシウに尋ね、直接対話を試みるヒーローズ・フォー・ハイヤー。
メンバー全員でキャプテン・アメリカの説得を行っていたのだが、そんな中一人のメンバーがヒーローズ・フォー・ハイヤーを裏切り、彼を確保するために攻撃を仕掛け始める。
突然の事態にキャプテン・アメリカも同席していたルーク・ケイジも、そしてヒーローズ・フォー・ハイヤーの面々も後手に回ってしまい、一方的に裏切り者の攻撃を受けてしまうのであった。
果たしてヒーローズ・フォー・ハイヤーは、この裏切り者の手によって全滅させられてしまうのか……?

キャプテン・アメリカの説得を試みる

◆感想
実はそこまで楽しみにしてたタイトルじゃなかったんだけど、読んでみると存外面白かった……!
悪い言い方をすると普段あんまり活躍させる事ができないマイナーヒーロー達を寄せ集めた感じのタイトルで、各メンバーの能力も第一線で活躍しているヒーローらと比べるとやや見劣りするものばかり。
しかしそんなメジャーヒーローとの格差はヒーローズ・フォー・ハイヤーの面々の“キャラの濃さ”“ややぶっ飛び気味なストーリー展開”で十二分に補われていて、本作ならではの独自の魅力を持った一作に仕上がっていました。

実は本書、シビル・ウォータイインを兼ねているのは#3までであり、#4以降はシビル・ウォー関係の話と並行して進めていたB級ビラン達の陰謀を叩きのめすというメインストーリーに復帰するため、基本シリアスに寄りやすいシビル・ウォータイインには珍しく快活な内容になっています。
ヒーローズ・フォー・ハイヤーは登録法賛成派だけれども、反対派を逮捕していくというアイアンマンやシールドのやり口には否定的で、あくまで穏便な手段を取ろうとしているのも好感触。
(こういうタイプの人が何故か少なくて皆一様に喧嘩っ早くなっちゃってるからシビル・ウォー本編は読むのが辛い)
それとシリアスをやりつつギャグシーンも合間合間に挟まれているので、読んでいて快活で楽しいのだ。

キッツイツッコミを喰らうハンバグ
ブラックキャットからのきっついツッコミを喰らうハンバグ

登場するB級ビランの面々もいちいちインパクト抜群でツボだったり。
頭に鉄球を装着して戦う殺し屋・シャドウストーカー
殺虫剤で戦うというあまりに限定的な攻撃をしてくるインセクトサイド。
黄金に魅せられたという全身金ピカな怪盗ゴールドバグは、子供の養育費の為に早めに金を貯めて引退したいと考えている所帯染みたビラン。
この他にも赤ちゃんプレイが楽しめるクラブを経営し、自身も赤ちゃんの格好をしている生粋の変態であるトドラーというビランが登場したりするなど、一回見たら忘れられないビジュアルや性格のキャラがてんこ盛りでほんとクラクラします。
本作が初登場だったりするビランもちらほらいますが、多くは昔から登場しているキャラだったりするのだから驚きだ……!

最後に原書TPBには未収録だったおまけの1話、ブレイド第6シリーズ#5も軽く紹介。
何度も映画化され、アニメも放映されて知名度はけっこう高めでありながら何故か邦訳本は全く刊行されてこなかったブレイドの個人誌が(1話だけとはいえ)日本語でついに来た!

「吸血鬼の情報を提供する代わりに登録法に違反しているウルヴァリンを倒して欲しい」というシールドのマリア・ヒルからの依頼を受けたブレイドがウルヴァリンと対峙するというエピソードです。
ブレイドは98年の映画化以降、現在までウェズリー・スナイプス風に描かれるようになっていたのですが、ことこの第6シリーズに限ってはアートを担当したハワード・チェイキンの拘りなのか、まるでウェズリー感を感じないデザインになっているのが印象的。

ブレイドVSウルヴァリン
このブレイドのデザインは初期シリーズのそれを意識しているのだろうか

実はウルヴァリンとの初共演エピソードでもあり、過去にウルヴァリンとのちょっとした因縁があった事も判明するという興味深い一作でもあります。
それにしてもウェズリー・スナイプス風の方に慣れてると第6シリーズのブレイドはほんとゴツいな……
関連記事

0 Comments

Leave a comment