ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

11 2016

スコット・ロブデル&ケネス・ロカフォート他/レッドフード&アウトローズ(THE NEW 52!)

レッドフードアンドアウトローズ表紙

「本音を言っていいかな」
「何なりと」
「師匠は俺の自尊心を救ってくれた。
 命を奪うことは命を与えるのと同じく大きな責任が伴う行為であり…
 …過去と現在と未来は、切っても切り離せないと教えてくれた。
 それに関しては俺は師匠に心から感謝してる」

「で?」
「けど、今でも俺を殺した野郎をブッ殺したい!
 ジョーカーを殺したくてたまらない!
 俺の復讐をしなかったバットマンも許せない!
 復讐こそ…俺のすべてだ!」

「完璧な人間などどこにもおらぬ。お前の旅はまだ始まったばかりじゃ。
 お前の暗い魂はいつか光り輝く。その日が楽しみじゃ」


法律を敵に回し……世界を敵に回せ!

≪レッドフード≫元ロビンで、復活後は生きる意味を求めてさまよう男。
≪スターファイアー≫あいまいな記憶で仲間を混乱させる異星人の王女。
≪アーセナル≫社会の最底辺に落ち、再起を誓う元サイドキック。

心に傷を負った3人のヒーロー、レッドフード&アウトローズの間に不思議な友情の絆が生まれる。だが、その絆は世界を救えるほど強いものといえるのか……。レッドフードを訓練した神秘組織オール・カーストと、邪悪な古代種族“無銘者”との間で戦争が勃発し、彼ら3人が巻き込まれてしまう。レッドフード&アウトローズは戦う意味もわからぬままに、ゾンビと化した戦士僧、改造手術を受けた異星人排斥主義者、そして不死の暗殺者と戦うことになるのだが……。

これは、救済を求めて戦う3人のヒーローの姿を描いた物語である。


◆収録作品

2011年11月:Red Hood and the Outlaws #1
2011年12月:Red Hood and the Outlaws #2
2012年01月:Red Hood and the Outlaws #3
2012年02月:Red Hood and the Outlaws #4
2012年03月:Red Hood and the Outlaws #5
2012年04月:Red Hood and the Outlaws #6
2012年05月:Red Hood and the Outlaws #7


◆関連作品過去記事
【バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー】
【バットマン:アンダー・ザ・レッドフード】

◆“I FOUGHT THE LAW AND KICKED ITS BUTT!”(法律なんかブッ飛ばせ)
かつてバットマンの相棒……サイドキックとしてゴッサムで活動していた少年ヒーロー、2代目ロビンことジェイソン・トッド。
いささか攻撃的すぎるきらいがある少々危なっかしい性格ではあったが、その中には確かに正義の心が灯っており、バットマンの事もよく慕っていた純真な少年であった。
しかしジョーカーの卑劣な罠にかかってしまい、ようやく再会出来た母親と共に爆弾で殺害されてしまう。この出来事はバットマンの心に深い影を落とす事となった。

だが、それから数年後……ゴッサムに『レッドフード』と名乗る、赤い覆面を被った謎のアンチ・ヒーローが現れる。
「クズが更生することはありえない」という考えのもとに容赦なく悪人を殺害していくこの男の正体は、なんと死んだと思われていたジェイソン・トッド本人だった。
自分を殺害したジョーカー、そして自分の仇を取ろうとしてくれなかったバットマンに対して強い怒りと恨みを抱え、独自に活動するようになったジェイソン。
二人に対する復讐心を抱えながら世界を彷徨う彼が向かう先は果たしてどこなのだろうか……?

***

ぼろぼろなジェイソン・トッド

復活後に強烈な個性が付与され、2代目ロビン時代とはまったく異なる魅力が創りだされたジェイソン・トッドというこのキャラクター。
レッドフードというアンチ・ヒーローらしいダークなカッコよさが存分に詰まったこの設定とキャラデザインに惹かれない人はまず居ないのではなかろうか。こう……良い感じに心の中に眠る中二心が刺激されるというか……!

本作『レッドフード&アウトローズ』は2011年に行った『ニュー52』と呼ばれる大規模な再編でスタートした、レッドフードとその仲間達、アーセナルスターファイヤーの活躍がメインとなる新しいシリーズ。
「ニュー52って何?」って方は過去に下記の記事内で解説しているのでこっちで。
【ジェフ・ジョーンズ&ジム・リー他/ジャスティス・リーグ:誕生(The New 52!)】

ただニュー52は世界観も設定も新たにしているため、冒頭に記載したジェイソン・トッドの旧設定含めた簡単なキャラ解説がニュー52でもそのまま当てはまるかは不明だったり。
復活の経緯も旧設定では明確にされているのに対し、本作ではぼかされたままとなっているので結構テコ入れされてるかもしれない。
そもそも外見からして旧世界観とは大きく異なってるし。

キャラデザが不安定なジェイソン
※全て同一人物です
右下が本作のニュー52版ジェイソン・トッド ハチャメチャにイケメンと化している

バットマンといえば基本的にはアクションミステリーな作風。
狂人が巻き起こす事件を常人である主人公が探偵として捜査し、様々なガジェットを駆使して事件を解決していく、わりとリアル寄りな作品です。
しかし本作『レッドフード&アウトローズ』はバットマン関連誌でありながら作風が結構ファンタジー寄り!
神秘組織オール・カーストのメンバーが古代種族“無銘者アンタイトルド”に襲撃されたという話を聞き、かつて復活後にオール・カーストに身を寄せ世話になっていたジェイソンが仲間と共に立ち上がるというのが本作のストーリー。
ゾンビと戦ったり怪獣と戦ったりと対峙する相手は人外ばかり!相手が人間じゃないのもあってか容赦なく敵を殺害していくのがある種爽快だったり。

んでもってバットマンとは違いレッドフードは銃を持っているためガンアクションも堪能できるのですが、それ以上にインパクト抜群なのがレッドフードのソードアクション。
なんか太極剣オール・ブレイドとかいう自分の血を与えることで強そうなオーラ的な物を纏い始めるソードを装備して戦うシーンは他のバットマン関連誌とは雰囲気が異なり過ぎてて若干シリアスな笑いがこみ上げてきちゃう。

チャラい若者たちのドタバタ感ある戦いの旅

レッドフードも弓術の達人アーセナルも惑星タマランの王女スターファイヤーもみんなどこかしらチャラさのある性格で、若者特有の軽い会話や行動もちょくちょく描かれるのがまた楽しかったりします。
「わたしとSEXしたい?」なんて発言するヒロイン(スターファイヤー)なんてそうそう見れないぞ!
なかなか異端なバットマン関連誌だぜ『レッドフード&アウトローズ』!!

◆感想
アートはもう言うことなし!ロカフォートのスタイリッシュなアートがレッドフードと相性抜群でもう終始カッコ良すぎる!
記事内に貼った表紙などの画像だけでも魅力が充分伝わると思う。
一方でストーリーはこの1巻の時点では「これから盛り上がっていくのかな?」って感じの展開に留まっていて、まだそこまでテンションが上がる内容ではなかったかも……1巻に登場するヴィランもそこまで強い魅力があるわけではないし。

ただそれでも第4章で描かれているレッドフードやアーセナル、スターファイヤーの回想シーンは必見。
先んじて邦訳されていた『ジョーカー:喪われた絆』のレッドフード編でアーセナルとキラークロックが親しい仲になっていた経緯が本作で判明してたり、奴隷時代のスターファイヤー(幼女)の猛犬っぷりがもうね!
そしてジェイソンがロビンだった時代。
インフルエンザに罹ってしまってブルースに活動禁止を言い渡されジェイソンは拗ねていたものの、ブルースもその日だけはバットマンとしての活動を休んで共に過ごしてくれた……という少年時代の思い出が描かれてます。
これ絶対涙腺緩むヤツじゃないか……
正直この1シーンを読めただけでも個人的には満足感があったりする。

ホロリとくる回想シーン

2巻以降の刊行は残念ながら未定。1巻の時点では無銘者との戦いも全然途中で伏線も大量に残ったままなので、全巻刊行は難しくてもキリの良い所までは邦訳されてほしいかな……!
ただ本作の大きな魅力の一つであるロカフォートのアートを堪能できるのが#11までというのもネックなんだよね……(それ以降はカバーアートのみ担当)
関連記事

0 Comments

Leave a comment