ツルゴアXXX

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04 2016

ビル・フィンガー&ボブ・ケイン他/ジョーカー アンソロジー

ジョーカーアンソロジー表紙

「お前がバットマンの正体をつかんでないのは明白だ…
 もし知っていたら殺す!誰にも暴かせやしねぇ…絶対にな…
 …楽しみを奪わせねぇ…完璧な敵との一騎打ちのスリルを!」

「お前が奴を…守るのか?(ストレンジのように!!)」
「バットマンはジョーカーのものさ!
 いいや、バットマンこそジョーカーに相応しい!
 単なる警官どもを蹴散らして何が楽しい?
 俺こそ史上最大の犯罪者なのだ!HA HA HA HA!
 そして俺以外にバットマンに手を出す奴は無価値だ!」


バットマンの宿敵ジョーカー
彼のすべてを知るための究極の書

最狂ヴィランジョーカー初登場から現代までの犯罪記録クライム・クロニクル18選!!

DCアンソロジーシリーズ第3弾は、読者の皆さまからご要望が大変多かった1冊、あの最狂ヴィラン、ジョーカーの初登場から近代までの時代ごとのエピソードを収録した『ジョーカー アンソロジー』が登場。
映画『スーサイド・スクワッド』でも、自殺部隊の主要キャラクターとして活躍してくれるであろうジョーカーが時代とともに見せたさまざまな狂気をたっぷりと含んでおりますので、閲覧注意(!?)な一冊になること請け合いです。


◆収録作品

1940年06月:Batman #1
1944年03月:Detective Comics #85
1946年10月:Batman #37
1951年02月:Detective Comics #168
1952年10月:Batman #73
1965年07月:Detective Comics #341
1973年09月:Batman #251
1978年02月:Detective Comics #475
1980年03月:Batman #321
1982年11月:Batman #353
1987年01月:Detective Comics #570
1990年07月:Detective Comics #617
1994年   :Batman Adventures Annual #1
2001年02月:Robin Vol.4 #85
2005年04月:Batman: The Man Who Laughs
2007年09月:Countdown #31
2013年11月:Batman Vol.2 #23.1: The Joker


◆TROISIÉME PARTIE - RONDE MACABRE
バットマンの宿敵といえば、ジョーカーをおいて他にはいない。
狂気のヴィラン、ジョーカーが74年にも渡って起こしてきた様々な犯罪の中から18のエピソードを抜粋し、1冊に纏めたアンソロジーの邦訳が『バットマン アンソロジー』『DCコミックス アンソロジー』を刊行してきたパイ・インターナショナルから発売されました!

ジョーカーといえば押しも押されもせぬDCコミックスの人気ヴィランの一人ですが、意外にもこの手のジョーカーメインの傑作選的な邦訳は今まで刊行されてこなかったんですよね。ジョーカーメインの邦訳自体は色々あるけれども。
本書『ジョーカーアンソロジー』は過去の邦訳との被りが2005年の『Batman: The Man Who Laughs』くらいで、あとは全て今回が初邦訳ばかりなのも嬉しい。

んでもって被りエピソードである『Batman: The Man Who Laughs(バットマン:笑う男)』はかつて小プロから邦訳が刊行されたものの、現在は絶版になっちゃってるんで、そういう面でもなかなかありがたいチョイスになっているのではないでしょうか。当然本書と小プロ版では翻訳者が異なるので、小プロ版を持っている人は訳の違いを楽しむのもオツだと思う。
【エド・ブルベイカー&ダグ・マーンキ他/バットマン:笑う男】※昔書いた小プロ版のレビュー。

ジョーカー初登場ジョーカーの歴史的初登場エピソードから、ニュー52でのジョーカーのエピソードまでを存分に堪能できるこの1冊。時代ごとに何度も再定義されていくジョーカーのキャラクターをざっくりとはいえ把握できるので、全360ページというボリュームもあって読み応えは充分。

左の画像はジョーカー初登場エピソードである『Batman #1』。もうこの初登場の時点でジョーカーの基本デザインが完成されてたり、変装の名人という設定が用意されていたり、笑気ガスを使って狙った相手を笑顔で死亡させたり等、現在のジョーカーのイメージとさほど変わらないキャラクターが出来上がっている事に驚く。これ70年以上も昔に作られたエピソードなんだぜ……

ただこの後、コミックス倫理規定委員会の検閲が厳しくなりしばらくバットマンの作風も変化。ジョーカーのキャラも危険な狂人というよりはコミカルな性格の泥棒になってしまいます。
でもこのトムとジェリーのような追いかけっこやってるノリのバットマンも読んでみると結構面白かったりする。ジョーカーの「そりゃないぜ!!」というセリフで終わるトホホオチなんか昭和アニメ感あって笑う。アイリスアウトが似合いそう。

しかし70年代に入ると前述した倫理規定委員会の検閲も緩くなったためバットマンの作風は最初期のダークな雰囲気に再度戻り、物語のトーンも暗くなり、現在の作風に近くなってきます。
90年代のアニメバットマン(Batman: The Animated Series)39話『新種誕生ジョーカーフィッシュ』の原作エピソードである『Batman #251』と『Detective Comics #475』が収録されているのにも注目。

ジョーカーフィッシュ


Detective Comics #475はストーリーが『バットマンアンソロジー』『BATMANオリジナル・コミック日本語版』に収録されていたデッドショットの新コス登場回の続きでもある点もポイントです。たまたま収録作品がそうなっただけとはいえまさか続きが訳されるとは……

んでアニメネタでもう一個。本書には前述したアニメバットマンの世界観を下地にしたバットマン:アドベンチャーズ誌から『Batman Adventures Annual #1』が収録されており、アートもしっかりカートゥーン調なのですが、なんとそのアートを担当しているのはジョン・バーン。
ざっと画像検索を見るだけでも分かりますが、普段のアートは写実的で迫力のある画風なんですね。
それでいてしっかり作品に合わせてアートをがらっと変えてくるあたりやっぱりプロだなぁ。

ジョン・バーンによるカートゥーン調のアート

ニュー52からはヴィランが活躍するクロスオーバーイベント『フォーエバーイービル』開始前の2013年9月に行った『ヴィラン・マンス(悪人月間)』にて発売された特別号が収録されていました。
ゴリラの子供を引き取り、ジャカネイプスという名前を与えて理想の息子として育て上げるというエピソード。
このジャカネイプスはあのモリソンバットマンで描かれた、ダミアンがバットマンとなる暗い未来世界に登場したゴリラヴィランでもあります。
まさかニュー52の正史世界にも登場していたとは思わなんだ。

どうするアイフル
アイフルのCMかな?

自分を虐待して育てた叔母を反面教師にして、自分の理想の子供時代をジャカネイプスに経験させるために愛情をたっぷり注ぐジョーカーの姿が色々新鮮。
でもこのエピソードで語られるジョーカーの子供時代が本当の事なのかは分からない。ジャカネイプスに注いだ愛情が本当の物なのかも分からない。
ゴリラの子を引き取ったのはただの気まぐれであってバカバカしいジョーク的な行動だったのかもしれない。
ジョーカーの心理なんて理解できるはずもない、印象的なエピソードの一つ。

◆感想
1話完結エピソードの中から集めるのは難しかったのか、一部数話完結のエピソードの途中部分を抜き出しておりすっきりしない終わり方をする物もあったりはしますが、ジョーカーという犯罪界の道化王子の活躍を楽しむのには問題ない満足感ある一冊でした。
ジョーカーというヴィランが何故70年以上にも渡ってカリスマ的人気を誇り続けるのかは、この本を読めばだいたい分かるはず。

魅力的なエピソードばかりで正直この記事だけでは紹介しきれないですね……
あとカバーアートが妙にネットで有名なアレの本編も邦訳されてて、個人的にテンション上がったりしました。

Detective_Comics_341.jpg
「バットマン、聞いてるのかい?」
「もちろんさ、ロビン!」

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3 Comments

No Name  

No title

次はスーパーマンのアンソロジーが出るのかな?と思っていたらまさかのジョーカーと言うのが嬉しいサプライズですね。

できればパイインターナショナルさんにはアンソロジーだけで終わらずに他のアメコミも出版して欲しいです

2016/09/05 (Mon) 20:36 | EDIT | REPLY |   

No Name  

やっぱり時代によって色々なジョーカー像があるのが分かりますね。読んでてる時は青野武さんの声が脳内に響いてました^^;。

2016/09/08 (Thu) 11:13 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
>次はスーパーマンのアンソロジーが出るのかな?と思っていたらまさかのジョーカーと言うのが嬉しいサプライズですね。
http://www.urban-comics.com/collection/dc-anthologie/
他にも色々あるアンソロジー!
スーパーヴィランズアンソロジー、フラッシュアンソロジー、ちょっと渋そうなジャック・カービーアンソロジーも気になります。この際全部邦訳しちゃってくれないかな?

>>No Nameさん
>青野武さんの声が脳内に響いてました^^;
やっぱり青野さんのジョーカーが一番印象的ですねー。

2016/09/09 (Fri) 23:25 | EDIT | REPLY |   

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