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21 2016

ダン・スロット&ウンベルト・ラモス他/ワールド・オブ・スパイダーバース

ワールド・オブ・スパイダーバース表紙 ワールド・オブ・スパイダーバースUS表紙

「メイ伯母さん、ベン伯父さん、クモに咬まれた、
 ミッドタウン高校、ESU、デイリー・ビューグル」
「同じ、同じ、同じ…」
「ハリー・オズボーン」
「親友だ」
「その父親」
「グリーンゴブリン」
「みんなを助けに行かなくちゃ、違いはわからないままか」
「あぁ、けど構わないさ…そんなの些細な事じゃないか。
 行くよ、ピート!」

「よしきた、パーカー!」


IN A CORNER OF SPIDER-VERSE

スパイダーアーミーとインヘリターズが激突したスパイダーバースの戦い。
多元宇宙を股にかけた激戦の裏では、幾つもの知られざる戦いが繰り広げられていた。
インヘリターズに無限の命を与えるクローン施設の破壊に赴いたスカーレット・スパイダーら、ピーター・パーカーのクローン達。
密命を帯びて、インヘリターズの本拠地へと潜入したスパイダーウーマンとシルク。
インヘリターズ打倒の鍵を未来世界に求めたスパイダーマン2099とレディ・スパイダー。
一方で、そんな死闘が展開されているとも知らず、気ままな日常を過ごすスパイダーもいれば、戦列に加わる事すらなく、敢え無く潰えた者もいる。
各々が各々の生を生きた末に交錯するスパイダー達の運命。
インヘリターズとの決戦に向け、史上最大のスパイダーアーミーが結成される!
スパイダーバース本編をも上回る数のスパイダーが登場するスパイダーバースの集大成、ワールド・オブ・スパイダーバース。
三部作を締めくくるシリーズ最大のボリュームでついに登場!


◆収録作品

2015年01月:Spider-Verse #1
2015年01月:Spider-Verse Team-Up #1
2015年01月:Spider-Woman Vol.5 #1
2015年01月:Scarlet Spiders #1
2015年01月:Spider-Man 2099 Vol.2 #6
2015年02月:Spider-Woman Vol.5 #2
2015年02月:Spider-Verse Team-Up #2
2015年02月:Scarlet Spiders #2
2015年03月:Spider-Verse #2
2015年03月:Spider-Verse Team-Up #3
2015年03月:Spider-Woman Vol.5 #3
2015年03月:Scarlet Spiders #3
2015年03月:Spider-Man 2099 Vol.2 #7
2015年04月:Spider-Man 2099 Vol.2 #8
2015年04月:Spider-Woman Vol.5 #4


◆関連作品過去記事
【スパイダーバース】
【エッジ・オブ・スパイダーバース】

◆DOES WHATEVER SPIDER-MAN CAN
邦訳版スパイダーバースもいよいよこれで最終巻!!
スパイダーバースの戦いを締めくくる邦訳版スパイダーバース第3巻、『ワールド・オブ・スパイダーバース』を紹介します。

前巻『エッジ・オブ・スパイダーバース』が本編開始前、一部並行スパイダーマンのオリジン等を描く前日譚集だったのに対し、本書は本編開始頃の時系列となる各スパイダーマン達の別サイドの戦いを描く、本編を補完するサイドストーリー集となっております。
とはいえ、あまり本筋に大きくかかわらない並行世界を舞台にしたショートコミックも幾つか収録されていて、その中にはなんとカプコンの『VS.シリーズ』世界のスパイダーマンがモーランと対決するエピソードも!

MVCスパイディVSモーラン

マキシマムスパイダー
ゲーム特有の技をゲーム同様技名を叫びながら繰り出すVSシリーズ世界のスパイダーマン
果たして勝負の行方は!?というかモーランに負けちゃったら今後MVC4が出ても出場が危ぶまれるぞ!

他にも現在でも連載が続いている新聞漫画版スパイダーマンがモーランと戦う、まさかのオチが魅力のエピソード(新聞漫画版スパイダーマンについては『アメコミくえすと』様の記事にて詳しい紹介があるのでそちらで)、1975年~83年までコミックに掲載されていたホステス社のお菓子の広告漫画世界のスパイダーマンが戦闘するパロディコミックがあったりこれまたバラエティに富んでいる。スパイダーバース本編がシリアスなので、ギャグ作品であるこちらの3作はちょっとした息抜きにもなってます。まぁブラックユーモアな内容だけれども。
このホステス社広告コミックのヤツはまとめサイトもあるので興味のある方はどうぞ。
【Seanbaby.com - The Hostess Page】

もちろん本編を補完するスカーレット・スパイダー編、スパイダーウーマン編、スパイダーマン2099編のそれぞれの重要度も高い。
というかクロスオーバー物の例に漏れず、本編であっさり気味に処理された下りがこっちで丁寧に掘り下げられていますからね。
スカーレット・スパイダー編はただでさえ強敵であるインヘリターズが復活する要因である、彼らのクローン製造装置を破壊するという重要ミッションとインヘリターズの一人であるジェニクス戦が描かれ、加えてピーター・パーカーのクローンであるベン・ライリーの命懸けの活躍にも注目して欲しいエピソード、スパイダーウーマン編はインヘリターズの本拠地であるルームワールドに向かい、彼らの秘密を暴く偵察任務に就くエピソード、そしてスパイダーマン2099編は仲間を集めるために2099年の世界に戻るもインヘリターズの一人デイモスの襲撃を受け……という、パニッシャー2099も登場し活躍も拝める必見なエピソードとなっています。

そして本編の補完に終わらず、スパイダーバースを真に締めくくる、インヘリターズの統治が終わったルームワールドでの後始末を描くエピローグ『Spider-Woman Vol.5 #4』も収録。
このエピソードでスパイダーバースは真に完結するので是非読んで欲しい!

上記の収録作品を見ての通り本書『ワールド・オブ・スパイダーバース』は全3冊の中でも話数が多く、最も分厚い360ページものボリュームに仕上がっているので満足感も相当なもの。
バラエティに富んだエピソードが楽しめるのもあって読んでいてダレないのがまたスゴイ。

『スパイダーバース』初登場の「パンクロックで体制転覆を試みるヒーロー」、スパイダーパンクを主役にした短編はこれまた前巻レビューで紹介したスパ//ダー同様、世界観と設定とアートが尖っていて実にツボ。
もう本書収録の短編だけで話が完結しちゃってるきらいがあるけども、このスパイディも個人誌とか獲得して欲しいね……

アナーキック・スパイダーマン

◆『ワールド・オブ・スパイダーバース』のネイモアさん
並行世界のスパイダーマンが一同に会するスパイダーマンの為のお祭り作品でありながら我らのおうさまネイモアさんはちゃっかり登場。
本作のとある並行世界に登場する脇役キャラが最後の最後に実はその世界のネイモアさんだった事が判明するのです。
本筋にあんま関係無いにもかかわらず突然のサプライズで読者の注目を一気に集めるそのカリスマっぷりはさすがおうさまと言った所でしょうか。
画像を貼るとネタバレになるので是非本書を読んで確認して欲しい。

◆感想
面白かった!!
なんかスパイダーバースの感想は「面白かった」ばっかり言ってる気がするけども実際面白かったのだから仕方ない。

どうしても本編で活躍させる事ができなかった(出番を与える事ができなかった)スパイダーマンも本書で一気にフォロー!
池上遼一版スパイダーマンの小森ユウ、実写映画スパイダーマン(サム・ライミ版とマーク・ウェブ版)、CBS-TVで1977年に放送されていたドラマ版スパイダーマン(日本では劇場公開、その後2作がビデオスルーとなった)も存在だけは言及されたり、さらには他社のマリブコミックスのヒーロー、プライムがスパイダーマンと合体した『スパイダープライム』(94年にマリブはマーベルに買収されているため競演が実現できた)に、1963年にベン・ハーパー社から発売されたスパイダーマンのハロウィーン用コスチュームを身につけたスパイダーマンが登場したりと、『今日まで存在が確認されているスパイダーマンをとにかくギリギリまで詰め込もうぜ!』という本気の気概が改めて伝わってくる一冊でした。

ボロボロのレオパルドン
本編でソラスに1ページで完全破壊されたレオパルドンの修復エピソードも収録
東映版スパイダーマン難民もこれで救済

「単純に色んなスパイダーマンが居て賑やかで楽しい」というだけには終わらず、それぞれのスパイダーマンに丁寧なドラマを用意しているのもこのスパイダーバースが名作たるポイントだと思います。
特にグウェンを喪った悲しみから不殺の誓いを捨て、グリーンゴブリンを殺害し、スパイダーマンという存在も殺して自らがグリーンゴブリンとなったアース-21205のピーター・パーカーがスパイダーグウェンと出会う短編は、10ページという短さながら実に心に残る一作に仕上がっていました。

とにかく完訳お疲れ様でした!
全3巻でスパイダーバースが邦訳された事だし、今度は各巻冒頭に記載されている『スパイダーバース タイムライン』を参考にして時系列順に読みなおすのもオツだと思う。僕は読み直します。

◆おまけ1:邦訳版スパイダーバース表紙連結版
邦訳版スパイダーバース表紙連結板
※クリックで拡大

ちなみに、このカバーアートにさらに登場人物を加筆した完全版のポスターが9月頃にブリスター豆魚雷で販売されるとの事。
気になる方は要チェック。

◆おまけ2:シークレットウォーズ版スパイダーバース
昨年夏のマーベルの大型イベントで『シークレットウォーズ』という多数の並行世界が衝突、消滅し、様々な世界がつなぎ合わさった『バトルワールド』が誕生してしまうストーリーがありました。
『シビル・ウォー』『プラネット・ハルク』『ハウス・オブ・M』など過去のイベントをモチーフにした関連誌が多数発表され、その中には『スパイダーバース』もあったのですが……
下記リンクはそんなスパイダーバース第2シリーズに対する読者の反応が纏められたtogetterです。

【シークレットウォーズ版スパイダーバースの錯乱まとめ】

◆おまけ3:『VS.シリーズ』世界のスパイディについてダン・スロットが言及

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4 Comments

森野大吉  

No title

金銭面で私も今頃読んだのですが、スパイダーパンクが良いですねえ。本国ではプラウラーの新シリーズが始まるそうですが、ゲスト出演しないかなあ。

あと、関係なくて申し訳ないですが、発売リストのダークサイドウォーとインジャスティスリーグの発売日が逆になっていると思います。

では久し振りの森野でした。

2016/08/24 (Wed) 05:37 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>森野大吉さん
>発売リストのダークサイドウォーとインジャスティスリーグの発売日が逆になっていると思います。
あらやだうっかり!
修正しました。ご指摘ありがとうございます。

2016/08/24 (Wed) 22:41 | EDIT | REPLY |   

No Name  

 スパイダーマン大集合のお祭りイベントかと思いきや、命があっさり散りまくるハードストーリーでしたね。 スパイディ達のやや軽いノリが無ければキツかったかも。

 個人的にはあのイタリアンスパイダーマンの登場も期待していたんですが、アイツはインヘリターズに拒否されそうな気もする。

2016/09/02 (Fri) 22:34 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
>あのイタリアンスパイダーマン
なんか調べたらダンスロ先生出そうとはしたけど権利的にムリで諦めたとか言う話を見かけました。
もし出場できていたらどんな活躍をしてくれたのだろうか…

2016/09/04 (Sun) 18:13 | EDIT | REPLY |   

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