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14 2016

ロベルト・アギーレ-サカサ&エンジェル・メディーナ他/ピーター・パーカー、スパイダーマン:シビル・ウォー

ピーター・パーカースパイダーマンシビル・ウォー表紙

「メリージェーン、出かけるの?」
「あら、メイ!そんな暗い所でどうしたの?」
「暗い?気がつかなかったわ…考えていたのよ、可哀想なピーターの事を。
 最近あの子の身に起こった事を。
 あぁ、メリージェーン…あの子はこれ以上耐えられるかしら…」

『言い換えれば、“私はこれ以上耐えられるかしら”という事だ』
「私は…甥御さんを見くびりたくはないわ。
 どんな攻撃を受けても、彼は必ず立ち上がると信じてる…
 どんなに強烈でもね」


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

超人登録法を巡り対立する賛成派と反対派。
その狭間で揺れ動くスパイダーマンは、この内戦の最大のキーマンであり、犠牲者でもあった。

尊敬するトニー・スタークに勧められるまま、その素顔を公表した彼は、思わぬ苦境に立たされる事になる。

彼が何よりも大切に守り続けてきた家族、妻のメリージェーンと叔母のメイが、宿敵達の復讐の標的となったのだ。

己の軽率な行動に苦悩するピーター・パーカー。その一方で、家族もまた、各々の身の振り方に戸惑う事になる。

スーパーヒーローである事、その家族である事の意味を鋭く問いかける、スパイダーマン主演のシビルウォー・クロスオーバー第2弾、ついに登場!

君はどちらに付く?


◆収録作品

2006年09月:Sensational Spider-Man Vol.2 #28
2006年10月:Sensational Spider-Man Vol.2 #29
2006年11月:Sensational Spider-Man Vol.2 #30
2006年12月:Sensational Spider-Man Vol.2 #31
2007年01月:Sensational Spider-Man Vol.2 #32
2007年02月:Sensational Spider-Man Vol.2 #33
2007年03月:Sensational Spider-Man Vol.2 #34


◆関連作品過去記事
【ロード・トゥ・シビル・ウォー】
【シビル・ウォー】
【アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー】

◆THE DEADLY FOES OF PETER PARKER
ヴィレッジブックスの定期購読シリーズの一つ、シビル・ウォー:クロスオーバー第3期もとうとうスタート!
「まだシビル・ウォーを引っ張るのか」という気持ちも多少無くはないけれど、もうここまでクロスオーバーを翻訳しまくったのなら一通り訳してしまうのも確かにアリかもしれない。
そんなシビル・ウォー:クロスオーバー第3期の1冊目を飾るのはなんとスパイダーマン。

スパイダーマンのシビル・ウォークロスオーバーは既に関連作品過去記事の欄にも記載している『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』があるわけなんですが、あちらはシビル・ウォーをスパイダーマン視点から描くことに注力していたのに対し、本作『ピーター・パーカー、スパイダーマン:シビル・ウォー』は、正体を明かした後の素顔のピーター・パーカーと、身内である妻のメリージェーンとメイ伯母さんを襲う様々なトラブルを描いていく、つまりピーターの家族に焦点を当てたストーリーが展開される、また趣が異なった一作に仕上がっています。
戦う相手もヒーローではなくスパイダーマンビランが中心。
それではさっそくあらすじを。

◆PORTRAIT OF THE FAMILY
自分がスパイダーマンである事をとうとう世間に公表した、ミッドタウン高校の臨時教師ピーター・パーカー。
自身の正体を明かすという事は、自分だけでなく、身内を危険にさらす事にも繋がる。
この決断に至るまでにはかなり長い葛藤があったのだが、ピーターは愛するメイ伯母さんとメリージェーン二人の意見も聞き、悩んだ末に取った行動だったのだ。

怒れるドクオック

そして当初の予想通り、ピーター・パーカー=スパイダーマンである事を知ったビランが引っ切り無しに襲ってくる日々が始まってしまった。
トニー・スタークは「過去に戦った相手が一斉に君を目指して群がってくる事はないさ」と楽観的な予想を立てていたが、現実はそう甘くはない。
ビランはピーターだけでなく、メリージェーンも付け狙ってくる。
様々なビランが襲撃を続けてくるのは、彼ら個人個人が単発で行動しているだけなのか。それとも誰か一人のビランが大きな計画を企てており、その計画の一部に過ぎないのか、ピーターは優秀なサイキックであるマダム・ウェブに助言を仰ぐのだが、現在の彼女は特定のビジョンに取り憑かれてしまっており、ピーターが望む回答は得られなかった。

そうこうしている内にもビラン達はピーターを追い詰めんとするため、今度はメイ伯母さんをその毒牙にかけようと行動し始める。
ピーターはブラックキャットと共闘し、この危機を切り抜けようとするのだが……

卑劣な手段を取るビランに怒るピーター

◆感想
スパイダーマンというスーパーヒーローを家族に持ったメリージェーンとメイ伯母さんの強さと悩みを丁寧に描いた、前述した『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』とはまた違う魅力を持つ一作に仕上がっていると思いました。

スパイダーマンを夫に選んだことも、そしてビランに命を狙われる危険がある今の状況を選択した事に後悔はないメリージェーン。
しかし、スーパーヒーローの妻の多くが同じくスーパーパワーを持っているのに対し、自分にはそういう心の支えがなく葛藤する日々。
愛しい甥がスーパーパワーを持つヒーローであっても、日々傷つき続けている事はやはり悲しく、また自分が非力なただの人であるがために見守るという行動しか取れない事に不安を覚えるメイ伯母さん。
そして、「正体を明かす」という道を選んだのはやはり軽率な行動だったのではないかと後悔し始めるピーター・パーカー。

スパイダーマンという作品の魅力は、スーパーパワーを持ちながらもスーツを着ているのは等身大の人間であるという部分。
共感を覚える人間ドラマがしっかり描かれるのが読者の胸を打つのだと思う。
かつてスパイダーマンと恋愛関係にあったブラックキャットが、本作でピーターのために奮闘し必死にサポートしてくれる様にも個人的には注目して欲しいポイント。元カレとその家族の為にここまで尽くしてくれるとかいい女すぎる……

この後にピーターに起こった悲劇、そしてその悲劇を変えるために大きな決断をする展開は過去に邦訳が刊行された『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』、そして『スパイダーマン:ワン・モア・デイ』で詳しく描かれているので、気になる人は要チェック。

幼いピーターを抱きしめるメイ伯母さん
「わかっているわ。
 けれど私にとってあの子の一部は今も昔のまま…
 痩せて怯えた小さな男の子なのよ」
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2 Comments

がいこつ  

今回の第3期分を合わせても、まだ全部じゃないというのが、向こうのクロスオーバーの層の厚さを思わせますね。
個人的には発端のさらに前日譚となる『Civil War Prelude: New Warriors』は翻訳してほしかったところなのですが。

2016/08/15 (Mon) 08:33 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>がいこつさん
ニューウォーリアーズのタイインもあったんですか!
てっきりスルーされたのは『Civil War Companion』『Civil War: Script Book』『Civil War: What If...?』の3冊だけだと思ってました……
https://en.wikipedia.org/wiki/Civil_War_(comics)#Trade_Paperbacks

そういえばこのリスト見て気づいたんですけど、「ゴーストライダーとムーンナイトのタイインを纏めた日本独自編集!」と謳ってる『アンダーサイド:シビル・ウォー』って普通にCollected editions『Civil War : The Underside』を底本にしてるっぽいですね。ダブってる収録作品を削ってるだけで。

2016/08/15 (Mon) 15:44 | EDIT | REPLY |   

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