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13 2016

ダン・スロット&ジュゼッペ・カムンコリ他/エッジ・オブ・スパイダーバース

エッジ・オブ・スパイダーバース表紙 エッジ・オブ・スパイダーバースUS表紙

「多元宇宙から多くのスパイダーメンを集めた。
 お前や私ほどの合理主義者ばかりではないが…
 有能な特殊技能の持ち主もいる。
 彼らを軍団に仕立て、あの怪物に立ち向かうつもりだ。
 そこで私と同様に…躊躇せず必要な事を遂行する人物が欲しい」

「アレックスを置いては…」
「お前の女か?その者やこの世界を大事に思っているなら私と来るのが一番だ。
 怪物の目標は我々スパイダーズだけだからな。
 言う事は以上だ。私は臆病ではないが、無謀でもない。一緒に来るか?」

「奴を殺すと約束するか?」
「あやつが死ぬか、我らが全滅するか、二つに一つだ」
「なら俺も加わろう」


ROAD TO SPIDER-VERSE

インヘリターズとの戦いに集った数多のスパイダーメン。
彼らにもそれぞれ、語られざるドラマがあった。
彼らは如何なる道筋を辿ってスパイダーバースに辿り着いたのか、スパイダー大戦勃発までの秘話の数々が、ここに明らかになる!
時間流に飲み込まれた挙句、スパイダーアーミーの結成に走るスーペリア・スパイダーマン。
自らの運命と向き合う決意を固めるスパイダーグウェン、そして、スパ//ダー。
インヘリターズと激突するスパイダーマン・ノワール、スパイダーマン2099.
おなじみのピーター・パーカーが若きスーパーヒロイン、Ms.マーベルに、ヒーローの手解きをする一方で、運命の波に押し流され、闇に消える者もいる。
スパイダーバースに至る幾つもの運命の旅路を辿れば、大戦の全貌が見えてくる。大いなる世界の周縁、“エッジ・オブ・スパイダーバース”から、物語は始まるのだ!


◆収録作品

2014年06月:Free Comic Book Day Vol 2014 #Guardians
2014年10月:Superior Spider-Man #32
2014年11月:Superior Spider-Man #33
2014年11月:Edge of Spider-Verse #1
2014年11月:Edge of Spider-Verse #2
2014年11月:Edge of Spider-Verse #3
2014年11月:Edge of Spider-Verse #4
2014年12月:Edge of Spider-Verse #5
2014年12月:Spider-Man 2099 Vol.2 #5
2014年12月:Amazing Spider-Man Vol.3 #7
2014年12月:Amazing Spider-Man Vol.3 #8


◆関連作品過去記事
【スパイダーバース】

◆ANOTHER DAY, ANOTHER SPIDER
東映版スパイダーマン&レオパルドン登場でめっちゃくちゃに話題をかっさらったスパイダーマン関係の大型イベント『スパイダーバース』。
しかし邦訳はまだまだ終わらない!今度は前日譚となるエピソードを纏めた一冊『エッジ・オブ・スパイダーバース』が刊行!!
本書には東映版スパイダーマンは登場しませんが、スーペリア・スパイダーマン、スパイダーマン・ノワール、スパイダーグウェン、アサシン・スパイダーマン、ザ・スパイダーマン、スパイダーマン2099など、個性的な別世界のスパイダーマンを主役にしたエピソード群をたっぷり堪能できる一冊になっています。

戦前の大恐慌時代を舞台とした世界『アース-90214』で活躍するスパイダーマン・ノワールは本編終了後を舞台とし、ミステリオと戦うエピソード。
恋人グウェン・ステイシーを殺されたことで、ピーターが『悪人は容赦なく殺害すべき』という意志を固めた世界『アース-8351』のスパイダーマン、アサシン・スパイダーマンは師であるウルヴァリンをインヘリターズのカーンに殺され、なんとか手を付くして敵を撃退しようとするエピソード。
メカメカしいクモのスーツを身にまとい、日々街を守るために戦う天才科学者『ザ・スパイダーマン』ことアーロン・エイクマンというキャラが主人公であり、周辺人物も独自のキャラが登場する一風変わった世界観『アース-31411』などなど挙げればキリがないボリューム。

スパイダーバースを象徴するキャラクター、スパイダーグウェンメインのエピソードも当然収録。
正史世界では死亡してしまったピーターの恋人、グウェン・ステイシーがスパイダーマンとなっているこの世界『アース-65』は彼女のオリジンがダイジェストで描かれており、リザードと化したピーター・パーカーと交戦し、詳細は不明だが何らかの事故が起きて死亡、JJJのいつものネガティブキャンペーンにより「スパイダーグウェン(グウェンがスパイダーマンである事は秘密なため、この世界ではスパイダーウーマンと呼ばれている)がピーターを殺害した」という誤解が広まってしまっているのだとか。
また驚いたことにこの世界のデアデビルことマット・マードックは、暗黒街の顔役キングピンの協力者である悪徳弁護士として登場。

単純にグウェンをスパイダーマンに置き換えただけでは済まさず色々設定が面白いことになっており、スパイダーバースのみで終わるのは勿体無いキャラクターだと感じました……と思ってたら既に個人誌が制作されており、2016年現在では既に第2シリーズに突入と、現在かなり勢いづいているスパイダーマンな模様。
【Spider-Gwen Vol 1】
【Spider-Gwen Vol 2】

あと、スパイダーバースでのもう一人の主役といえる、中の人物がスパイダーマンの宿敵、Dr.オクトパスことオットー・オクタビアスなスパイダーマン『スーペリア・スパイダーマン』。
全31話で2014年6月に完結していたスーペリア・スパイダーマン誌でしたが、スパイダーバースの為に新たに32話と33話が制作され、本書ではインヘリターズに対抗するために並行世界を渡り歩き、スパイダーマンのチーム、『スパイダーアーミー』を結成していくというエピソードが収録されています。

強敵カーンとの戦闘
仲間を集めてスパイダーマンを付け狙うカーンを撃退しようとするが、
ろくに攻撃が通らないため毎回撤退戦を余儀なくされてしまう

吸血鬼一族インヘリターズの一人でありながら一族を放逐されたという異端児カーンは本編ではほとんど対峙せず、終盤急に仲間になるという若干読者が置いてけぼりな扱いでしたが、この『エッジ・オブ・スパイダーバース』ではしっかり対決が描かれ、カーン自身の人物像についても掘り下げられております。
……まあ仲間になった経緯は前日譚メインの本書では描かれていないんですけど。これは次巻の『ワールド・オブ・スパイダーバース』で分かるはず……だよね?(まだ読めてない)

『エッジ・オブ・スパイダーバース』には本編未参戦のスパイダーマンもちらほら登場するのですが、まあ本編で戦闘できなかったという事は彼らがどうなったかはお察しという事で……
個人的になかなかショッキングだったのはアニメ『スパイダーマン&アメイジングフレンズ』のスパイダーマンとその仲間が容赦なくインヘリターズに殺害された場面でしょうか。
『スパイダーマン&アメイジングフレンズ』は昔のカートゥーンアニメらしいゆるくツッコミどころの多い展開と異様なテンポの良さ、そしてわりと平和的な雰囲気が見ていて楽しい作品だったのですが、80年代の作品で今更続編が作られる事がまず無いとはいえ扱いがえげつない。

アメイジングフレンズにも容赦無い
ピーターのペット『ミスライオン』の鳴き声が悲しく響く

ただ流石に趣味が悪すぎるという判断なのか、ここで殺害されたのは『スパイダーマン&アメイジングフレンズ』の世界に酷似しているだけの別世界『アース-1983』のスパイダーマンという設定な模様です。
(アニメ『スパイダーマン&アメイジングフレンズ』の世界は『アース-8107』)
他にも過去に作品が作られている殺害されたスパイダーマンの一部も、『よく似た別世界である』という設定にして鬱すぎる展開を多少和らげているのだとか。
ちょっとだけホッとした。殺された世界のスパイダーマンが可哀想過ぎるのは変わらないけども。

◆PICK UP キャラクター スパ//ダー
スパィダー「私は十代の兵器」

様々な並行世界のスパイダーマンが活躍する大型イベント『スパイダーバース』。
その中でもひときわ異彩を放っているスパイダーマンといえば、亡き父が遺したという特殊なパワードスーツに見を包んで戦うこのスパイダーマン、『スパ//ダー』をおいて他にないのではないだろうか。ちなみに『スパ//ダー(sp//dr)』は『スパィダー』と発音するらしい。
中の人は14歳の女子中学生、ペニ・パーカー。

このスパ//ダーが活躍する世界『アース-14152』の最大の特徴は、世界観や設定、キャラデザインもろもろが完全に『新世紀エヴァンゲリオン』のソレだという点。
パワードスーツのデザインはエヴァ風にアレンジされたスパイダーマンそのもの、対峙するビラン、ミステリオは『使徒』を意識したデザインの兵器で街を襲うし、作中に登場する司令室はネルフを多分に意識しているし、挙句の果てにはモブにエヴァのキャラクターが登場するなど実にやりたい放題なエピソードに仕上がっています。

ご本人登場
ご本人登場

エヴァだけにとどまらず、天元突破グレンラガンのシモン、AKIRAの金田、攻殻機動隊のバトー、素子、サイトーがモブとして唐突に登場しており、エピソード自体は凄くシリアスな雰囲気なのに日本アニメのパロディ全開なため、どこか笑いがこみ上げてくる一作になっておりました。

とはいえ設定がエヴァでもスパイダーマンらしさはしっかり盛り込まれており、メイ伯母さんとベン伯父さんも登場、お馴染みのスリングアクションもスーツが巨大な分大迫力に、ペニのパートナーとして『D』なる人物(要はこの世界のデアデビル)も現れて、なかなか新鮮な面白さのあるスパイダーマンと言えます。
というかベン伯父さんが死んでいないって結構貴重なアースですねここは。

今のところスパイダーバース以外では今年刊行の『Web Warriors Vol 1 #9』ぐらいでしか再登場していない模様。
エヴァっぽい世界観のスパイダーマンとかあまりに尖っててツボすぎるので個人誌とか獲得して欲しい。

◆感想
面白かった!!
スパイダーバースは色々なスパイダーマンが登場するのが大きな魅力のストーリーですが、本書ではそんな各スパイダーマンを主役に据えて、世界観や作風をそれぞれ変えて色んなアプローチを仕掛けてくるのが最高に楽しい。
あと『エッジ・オブ・スパイダーバース』4話の舞台『アース-51412』のスパイダーマンのエピソードも尖っててなかなか面白かったです。
ピーターに似た人物『パットン・パーネル』がスパイダーマンになるというお話なのですが、一昔前の怪物ホラーのような雰囲気でストーリーが進行していく一作なんですよこれが。

勿論正史世界『アースー616』を舞台にしたエピソードもちゃんと収録されています。
並行世界のスパイダーマンがインヘリターズの襲撃を受けている頃、アース-616のピーターは新たなMs.マーベルとしてデビューしたばかりの女の子、カマラ・カーンとチームアップしてビランと戦っていた!という内容。
スパイダーバースとのストーリー的なリンクは少ないものの、この頃のピーター・パーカーの状況(スーペリア・スパイダーマンが作った会社パーカー・インダストリーズを図らずも引き継ぐことになり、会社の社長となってしまった)を簡単に知ることができるエピソードであります。

カマラchangとチームアップ!
ヒーローを題材にした二次創作小説を書くほどの熱烈なヒーローオタクである
Ms.マーベルことカマラchangを宜しく!

あとシルクの初期コスチュームがエッチすぎるのにも注目するといいと思う。
また原因は不明なものの、同じクモに噛まれて力を得たのが何らかの影響を及ぼしているのか、互いに側にいると“動物的衝動”が刺激されて無意識に求め合ってしまうという設定もいやらしさ満点だと思う。

あーダメダメエッチすぎます
あーダメダメエッチすぎます

前日譚……っていうか実際本書に収録されているエピソードはスパイダーバース本編開始前に制作されたものばかりなので、読み順としてはまず本書『エッジ・オブ・スパイダーバース』に触れて、その後先に発売された『スパイダーバース』に手を出す方が良いかもしれない……とは思うんだけど、まあその辺はお好みで!
以上、後半キャラ萌えトークしかしていないレビューでした!!
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4 Comments

トワリミ  

わかるわ
シルクの糸で作った初期コス最高ですよね
パワーガールも最近胸開きやめちゃって勿体無い

2016/08/14 (Sun) 22:33 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>トワリミさん
>パワーガールも最近胸開きやめちゃって勿体無い
えっ…辛い…生きる意味を…失う…

2016/08/15 (Mon) 15:34 | EDIT | REPLY |   

No Name  

パットンスパイダーは”怪奇!蜘蛛男!”(仮面ライダーのアレ)なキャッチフレーズが似合うキモいデザインでしたね…
あのスパイダーマンには同情できないけどあの世界のヒロインだけは不憫でな…

2016/08/16 (Tue) 09:36 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
サラジェーンはパットンに対してずっと優しかったのに色々こじらせてるパットンは「君にもずっと無視されてきた!」とキレだしててホントにもう…って感じでしたねー。
話のオチもエグいしでなかなかの不憫さ。なんちゅうアースだ。

2016/08/21 (Sun) 19:37 | EDIT | REPLY |   

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