ツルゴアXXX

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29 2016

ダン・スロット&オリビア・コワペル他/スパイダーバース

スパイダーバース表紙 スパイダーバースUSカバー版

「よし、そろったな。スパイダーズ、最後の決戦だ!」
賽は投げられた!
「いやいや、リーダーはボクだ。キメは任せてくれ。
 スパイダーフレンズ、出撃だ!

「おぅよ」


WELCOME TO SPIDER-VERSE

ニューヨークの路地裏から海底王国アトランティス、銀河の彼方のスクラル星まで、無限に広がるマーベルユニバース。
同時にこの世界は、多元宇宙、マルチバースでもある。
マルチバースを構成する無数の宇宙は、それぞれに固有の特徴を備えている。ある宇宙では看守だった人間が、ある宇宙では囚人であるように。
今日もニューヨークを騒がせる、“あなたの親愛なる隣人”スパイダーマンもまた、マルチバースの住人だ。
最も広く知られるスパイダーマンはアース-616の住人。それが、アース-833ではイギリス人で、アース-51778では巨大ロボットを操っている。
住む世界によって、スパイダーマンの姿も様々なのだ。

これまで、各々の世界のスパイダーマンは、個別に活動してきた。目の前の敵を倒せば、それでよかった。だが、今や事情が変わった。何者かが、マルチバースを巡ってスパイダーマン狩りを行っているのだ。

このままではスパイダーマンが全滅してしまう!今こそ、全スパイダーメン団結の時だ!次元を超えた壮大なバトルが今、幕を開ける……

スパイダーバースへようこそ!


◆収録作品

2015年01月:Amazing Spider-Man Vol.3 #9
2015年01月:Amazing Spider-Man Vol.3 #10
2015年02月:Amazing Spider-Man Vol.3 #11
2015年03月:Amazing Spider-Man Vol.3 #12
2015年03月:Amazing Spider-Man Vol.3 #13
2015年04月:Amazing Spider-Man Vol.3 #14
2015年04月:Amazing Spider-Man Vol.3 #15


◆AN EMISSARY FROM HELL, IRON CROSS KILLER, A MAN WHO SHED TEARS FOR THE CHILDREN WITHOUT HOMES, A MAN MOVED BY THE LOVE FOR ANIMALS, DESTROYER OF THE MUSHROOM, WORLD MARTIAL ARTS CHAMPION, SPIDERMAN!
地獄からの使者スパイダーマン!

◆HERE COME THE SPIDER-MEN!
2015年1月、アメイジング・スパイダーマン第3シリーズを中心に、大規模なクロスオーバーイベントがスタートしました。
そのイベントの名は、様々な並行世界……マルチバースのスパイダーマンが時空を越えて一堂に会するという壮大なストーリーが展開される『スパイダーバース』!!
これまでも並行世界の自分と競演するというエピソードはいくつか制作されてきたのですが、(少し前に邦訳された『アイデンティティ・ウォー』もそういうお話)、ここまでの規模で並行世界の自分と競演するという作品はこのスパイダーバースが初。
複数のスパイダーマン関連誌ともタイインしており、ボリュームも実に膨大なお祭り作品となっております。

この邦訳版では、なんとカバーイラストがあの村田雄介先生による描きおろし!わざわざ専用カバーを作ってしまう辺り、ヴィレッジブックスの本邦訳版にかける気合の入れようが伺えます。
(トップ右のUSオリジナルカバー版はブリスター豆魚雷でのみ販売されている限定本)

アルティメット・コミックス……アース-1610のスパイダーマン、マイルズ・モラレスや、2099年の近未来で活躍するスパイダーマン、ミゲル・オハラ、しゃべる豚という特異なスパイダーマン、スパイダーハム、1930年代を舞台としたフィルム・ノワール風味の世界の住人であるザ・スパイダーマン、日本の漫画からはかつてコミックボンボンで連載されていた山中あきら先生のスパイダーマンJまでも参戦しており(しかもわざわざスクリーントーンを用いた白黒仕様)もう挙げはじめるとキリがないレベルで多くのスパイダーマンが登場。

そして本記事の冒頭に画像を引用しておりますが、1970年後半に日本で放送された東映による特撮版スパイダーマン……通称『スパイダーマッ』当然のように登場。
このインパクト抜群なサプライズ参戦は普段アメコミを読んでいない層の中でも大きな話題となり、各ニュースサイトでも大きく取り上げられるほどの事態となりました。

それだけには終わらず、本作が初出となる新たなスパイダーマン達もバンバン登場。

並行性のスパイダーマン大集合

正史ではグリーン・ゴブリンに殺害されてしまったピーターの恋人・グウェンがまさかのスパイダーマンとなっているアース-65のグウェン、スパイダーウーマン。
亡き父が残した巨大なパワードスーツ『スパ//ダー』を着用して戦う、アース-14152出身の14歳の女子中学生、ペニ・パーカー。
暴力でアメリカを支配するオズボーン大統領に反旗を翻し、パンクロックの力で体制の転覆を目指しているという、アース-138から来たロックなスパイダーマン、スパイダーパンクなどなどこれまた挙げるとキリがない。
ちらっと背景などに登場するモブレベルのスパイダーマンの中にはデッドプールと化したスパイダーマン、ベノムと化したスパイダーマン、ウルヴァリンと化したスパイダーマン、あげくの果てにはロールシャッハと化したスパイダーマンも居たりして実にフリーダム。

ロールシャッハスパイディ
(会社が違うだろ!)

◆PICK UP キャラクター インヘリターズ
インヘリターズ
「黙れ!パーカー!口が過ぎるぞ!」
「なぜ…僕の名を…?」
「また質問か。飽き飽きだ、お前達全員に!
 いつになれば学ぶのだ?お前達は我々の…食料だ!」
HAHAHA!よく言った、息子よ…では…饗宴を始めようぞ!
 喰らえ、子供達よ!貪り尽くせ!」

本作で全並行世界のスパイダーマンたちが対峙する事になる強敵、それが彼ら、“相続者”インヘリターズを名乗るビランの一族。
彼らインヘリターズはスパイダートーテムの生命エネルギーを摂取して生き続けている存在であり、本作では並行世界アース-001『ルームワールド』を拠点に、マスター・ウィーバーが紡いだグレート・ウェブを伝って各マルチバースを襲撃してはスパイダーマン狩りを行っている。
だが、彼らの真の目的はあらゆるスパイダーマンを殺すことに留まっているわけではなかった……のですが、その辺の詳しい動機は是非本編で。

んでインヘリターズのスペックなんですが、もうとにかく滅茶苦茶強い。
インヘリターズ1名に対し、スパイダーマン数十名で戦闘すればなんとか勝てるかもといったレベル(しかもせいぜい追い返す程度)加えてこちらに犠牲者が出るのは免れないという恐ろしさ。
本作では相当な実力を持つ切り札的存在のスパイダーマンも数名居るのですが、彼らと対峙すると約2~3ページで葬られてしまうのだからもう絶望しかない。そのスパイダーマンがかませ役だったんじゃなくてインヘリターズが強すぎるのだ。
なんとか一人撃破しても、彼らは肉体と記憶のバックアップを取ったクローンを作ってすぐに復活してしまうもんだからただ倒すだけじゃ決定打には成り得ない。
インフレってレベルじゃないこのビランを如何にして倒すのかというのも本作スパイダーバースの見どころの一つです。

次にインヘリターズの一族の紹介を。
上記の家族写真には不在ですが、一族の父である家長のソラスは並外れた巨体を持つ男。
長兄デイモスはやや自信過剰な所があるものの、これまた相当な実力者。
次男のモーランは2001年のスパイダーマン第2シリーズ#30で初登場。スパイダーマンを瀕死の重傷にまで追い込むも敗北してしまった人物で、正史世界であるアース-616にはかなり入れ込んでいる模様。
ジェニクスは研究者で、一族のクローン化を任されている重要人物。
やたらセクシーな服を着ている女性、ヴァーナは猟犬……というか奴隷の格好をしたマッチョ達を手足のように使いこなすアブナイ人。
一族の最年少である双子の兄妹、ブリックスボーラはスパイダーマン狩りをゲームのように楽しんでいる、どんなバトル漫画にもまず存在するタイプな性格のキャラ。
そして最後、仮面をつけているカーンというこの男は一族から放逐され、流浪の旅を続けている人物なのですが……本ストーリーでかなり重要な立ち位置にいるキャラクター。

彼らに敗北したスパイダーマンはただ殺されるだけでなく、食卓の上で容赦なく貪り喰われるという滅茶苦茶悪趣味な結末を待つ羽目になっております。普通にえげつないしショッキングな1シーン。
果たしてスパイダーマン達はインヘリターズから勝利を掴むことができるのか……?

◆感想
めっちゃくちゃ面白かった!!!思わずクソデカ大文字を使ってしまうほどに面白かった。
こんだけ多くのスパイダーマンを活躍させて、なおかつストーリー面ではインヘリターズの戦いだけに終わらず、ピーターにとって大切な人たちとの再会というシチュエーションを並行世界を渡り歩くストーリーを上手く使って描いており、本作のライターであるダン・スロットのスパイダーマン愛をひしひしと感じる。

あと本作、なんだかんだでスパイダーマンらしく、作中ではちょっとしたギャグも盛り込まれているのにも注目。
スパイダーマン達が殺されまくってる凄くシリアスな状況なのにアニメアルスパのスパイディとコミックのアルスパのマイルズ君、1960年代のアニメのスパイディが競演してる絵面になるだけでもう吹くからね。

アニメアルスパとコミックアルスパと60年代アニメスパイディの競演

邦訳版スパイダーバースは全3巻構成。
この第1巻は本編エピソードの邦訳で、6月発売の第2巻『エッジ・オブ・スパイダーバース』は、異世界のスパイダーマンたちがどうやってこの戦いに導かれたのかを描く前日譚エピソードを収録した一冊、7月発売の『ワールド・オブ・スパイダーバース』は個性豊かな各スパイダーマンをメインにしたサイドストーリー集となっております。東映版スパイダーマンもこっちでより掘り下げられているとか。

本編だけを楽しみたいのであればこの一冊だけでも充分かもしれないけれども、アース-616のスパイダーマン以外の活躍がこの1巻では色々省略されているので(大型イベント系作品の宿命)、本作でアメコミに興味を持った方は是非とも今後発売されるこの二冊も手に取って欲しい!そしてアメコミ沼にずぶずぶとハマっていって欲しい(手招き)。
まあとにかく本作『スパイダーバース』は超オススメ、イチオシの一作です!スパイダーマンが好きな人なら絶対読んで損はしない。
みんな読もうな!

◆おまけ:スパイダーマンJの山中あきら先生による発売記念マンガ

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3 Comments

No Name  

物語そっちのけでページをめくりながらスパイダーマンを数えるだけで楽しい今作。
個人的なお気に入りはウェブウォリアーズ連中です。危機的状況なはずなのに何故か楽しそうな彼らが暗い本編の清涼剤に、早くタイインで活躍が読みたい!

あとインヘリターズ、強さが場合場合でまちまちだけど一人でノヴァ含むニューウォリアーズをのしているあたりやはり相当な強さ。
基本徒手空拳なのによくこんな相手と殴り合ったなスパイダーズ

2016/05/30 (Mon) 00:39 | EDIT | REPLY |   

No Name  

久しぶりのスパイディの翻訳シリーズなのでワクワクが止まりませんね。

シビルウォーのタイインでもスパイダーマン系列の作品が翻訳されますし嬉しい限りです。
でも欲を言えばマストリードでモーランが登場するストラジンスキー期の作品も出して欲しかったかな。

2016/06/01 (Wed) 18:52 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
今年はヴィレッジの方でスパイディの邦訳がちょこちょこ出てテンション上がりますよね~。
また新しい映画をやる頃には邦訳も充実するかな?

2016/06/03 (Fri) 17:31 | EDIT | REPLY |   

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