ツルゴアXXX

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02 2016

ガース・エニス&ルイス・ラローサ他/パニッシャーMAX:ビギニング

パニッシャーMAXビギニング表紙
『クズを狩りに出るにはもってこいの晩だ。
 ナディーンの話からすると…
 チンピラどもはマフィアというタガが外れて舞い上がってる。
 自分達がボスになったつもりだ。
 ポン引きに詐欺師に売人。
 適当に間引いて震え上がらせたほうがいい。
 だが、そんなのは本筋じゃない。
 本命はあくまでも大物だ。あいつらが商売を束ねてる。
 上の奴らを消せば、末端のクズは勝手に干上がる。
 その穴を埋めようと別の奴らが…ロシア人あたりが現れたら…
 また俺が面倒を見てやるまでだ』

PREPARE TO BE PUNISHED!

犯罪との孤独な戦いを続ける暗黒街の私刑執行人、パニッシャー。

家族を喪った痛みを胸に、終わりのない戦いを続ける彼に、密かに注目する者達がいた。

彼らの目的は何か、パニッシャーに何を求めているのか。

パニッシャーの修羅の旅路は、彼をどこに導くのか・・・・。

マーベルユニバースを代表するアンチヒーロー、パニッシャーの魅力が炸裂するバイオレンス巨編、堂々の邦訳!


◆収録作品

2004年03月:Punisher Vol.6 #1
2004年03月:Punisher Vol.6 #2
2004年04月:Punisher Vol.6 #3
2004年05月:Punisher Vol.6 #4
2004年06月:Punisher Vol.6 #5
2004年07月:Punisher Vol.6 #6


◆THEY LAUGH AT THE LAW, BUT THEY DON'T LAUGH A'T ME
まずは『パニッシャー』ドラマ化決定おめでとうございます。

こないだもパニッシャーメインの邦訳本『デアデビルvsパニッシャー』が刊行されていましたが、今度はパニッシャーの個人誌が邦訳!パニッシャー主役の邦訳は待ち望んていた方も結構多いのではないでしょうか。
(一応以前にもシビルウォータイインの『パニシャー・ウォージャーナル:シビル・ウォー』が出たりはしましたけど)

で、本作『パニッシャーMAX:ビギニング』パニッシャー第6シリーズの第1巻にあたる一冊……なんですけれど舞台となっているのは正史世界のアース616ではなく、超人が存在しない現実的な世界観である平行世界のアース200111。
パニッシャー以外のヒーローは出てこない完全に隔離されているユニバースでありながら、パニッシャーのシリーズとしてきちんとカウントされているというやや特殊な扱いの作品です。
まあ厳密にはアース200111にもファントメックスファントム・イーグルニック・フューリーローガン(ウルヴァリン)といったヒーローは存在するみたいなんですが、本作には全く絡んでこないんで気にする必要は無いかも。

マザーファッカー!

ライターはハードボイルド&ブラックユーモア満載な作風で読者を魅了する、あの『ヒットマン』を手がけたガース・エニス!
本作は18歳以上を対象とした大人向けレーベル、『MAXレーベル』で刊行。過激なセリフや強烈なゴア描写が解禁されており、ガース・エニスの作風が存分に発揮できる条件が整っているのが堪らない。
ただこのパニッシャーMAXはかなりシリアス寄りで、ブラックユーモア要素はかなり薄め。
とはいえ、変態染みたキャラがちょいちょい登場するあたりはやはりガース・エニス作品って感じだ。
(ちなみに本作以前にエニスが手がけた第4シリーズあたりはギャグも結構盛り込まれているらしい)

ストーリーはいつもの様に大物マフィアのドンとその部下たちを大量虐殺したパニッシャーが、腕利きを集めた少数精鋭のマフィアの残党と、『とある目的』のためにパニッシャー捕獲に動き出したCIA、2つの勢力に追われながら戦うというシンプルにバイオレンスな内容。
さらにCIAにはかつてパニッシャーに協力し、共に“仕事”に勤しんでいた旧友、マイクロことデビット・L・リーバーマンの姿もあった……。

この旧友マイクロは正史シリーズにも登場していて、長きに渡ってパニッシャーのサポートキャラとして活躍していた人物。
しかし95年の『Punisher War Journal Vol.1 #79』にて死亡。
『パニッシャーMAX』はあくまで平行世界なので、『パニッシャーのやり方では犯罪を尽きさせることは出来ない』と判断して彼に協力するのをやめ、本作で久々に再会したという設定になっています。
パニッシャーと再会し、彼を自陣に引き込むために内面にまで踏み込んで説得しようとするという重要なポジションを与えられたマイクロ。
ストーリーを盛り上げる大きなファクターである人物なので注目されたし。

◆感想
つまり君は殺人が好きなのさ

本記事で引用した画像は序の口なレベルで残虐なゴア描写に、「ファック野郎!」「ビッチ」「マラ舐め野郎」「ジーザス・クライスト」などといった普段のマーベルコミックスではそうそう拝めないセリフが飛び交いまくる過激な内容と、犯罪に対して容赦が皆無なパニッシャーのために用意されたかのような世界観が最高すぎる作品。

ただグロくて口汚いから最高ってわけじゃなくて、政治的陰謀が絡むストーリー、パニッシャーがパニッシャーにならない道もありえたという可能性の提示、パニッシャー自身が『犯罪者を皆殺しにしていくという極端な手段』を正しいと信じきれているのかどうかにも触れていたりなど、パニッシャーという人物をこの6話までのエピソードでほんの少しとはいえ掘り下げにかかっているのもナイスな作り。

このパニッシャー第6シリーズは全65話、5年もの間連載が続いた長期作品。
もうめっちゃ面白かったんで、序盤も序盤な6話まででも話的にはキリ良く終わってはいますが、個人的には2巻以降も是非刊行してほしいところ。事前知識が不要な作風というのも大きいオススメの一冊です。
ただガース・エニスが本作を担当していたのは#60までで、ラスト5話にかけてはまた別の方がライターになっていたみたいなんですけどね。
【Punisher Vol 6 - Marvel Database - Wikia】
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4 Comments

アウル  

割とスラングの訳が直接的になってるんですね(´_ゝ`)
1巻はあくまでパニッシャーとはという内容ですが、後半はパニッシャーでお馴染みの(映画でしか知らない人にはマニアックな)ヴィランたちが登場するので、個人的にはぜひ翻訳希望です(原作読んだ感想っす)

2016/05/03 (Tue) 22:34 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アウルさん
続き読みたいですね~。マフィアとの戦いもいいけどヴィランとのガチな戦いも見たい!
パニッシャーのドラマが始まる頃に2巻目あたりを刊行してくれないかしらん。

2016/05/04 (Wed) 13:52 | EDIT | REPLY |   

アメショ  

パニッシャー以外のヒーローが出てこないことや事前知識が不要な作風というのは良いですね。
アメコミに興味はあるけど、クロスオーバーのやり過ぎや唐突な別ヒーローの登場が苦手なので、滅多にアメコミは買わないんですよ。
でも、このレビューを読んで凄く買いたいと思いました。ありがとうございます。
シリーズ完結まで翻訳希望したいです!

2016/05/05 (Thu) 10:57 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アメショさん
僕もあんまりキャラを把握していない頃はクロスオーバー物の作品を読んだ時、ヒーローの多さにテンション上がる前に人間関係を把握するのにてんやわんやしてましたね…
登場人物が絞られてる個人誌の方が話に比較的入り込みやすいっていうのは確かにあるかも?

2016/05/12 (Thu) 22:31 | EDIT | REPLY |   

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