ツルゴアXXX

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22 2016

ベッキー・クルーナン&カール・カーシル他/ゴッサム・アカデミー

ゴッサムアカデミー表紙

『もう、我慢の限界。たまにはキレたっていいはず。
 たまには、暗闇に身を委ねたって…
 そう…私はママの娘だから』


ゴッサム・アカデミーへようこそ。

そこは歴史と秘密の渦巻く、ゴッサムシティきっての名門校。
どこか普通じゃないこの学園に通う2年生のオリーブ・シルバーロックも、やっぱりどこか普通じゃなかった。夏休みに起こった謎の事件がきっかけで、すっかり人が変わってしまったのだ。おまけに、なぜかコウモリ恐怖症に……。

そんななか、新入生マックスの面倒を見ることになったオリーブ。ビミョーな関係にあるボーイフレンド、カイルの妹であるマップスとの関係はギクシャク、クラスでも浮きがちで憂鬱……さらには、学園に幽霊が徘徊しているというウワサまで聞こえてきて……。

二人の友情の行方は?そして、学園にひそむ謎を解き明かせるのだろうか……?


◆収録作品

2014年12月:Gotham Academy #1
2015年01月:Gotham Academy #2
2015年02月:Gotham Academy #3
2015年03月:Gotham Academy #4
2015年04月:Gotham Academy #5
2015年05月:Gotham Academy #6


◆バットマン×学園コミック!!
スーパーヒーローが多数存在するDCユニバース。
しかし、DCコミックスが刊行している作品は必ずしも全てがヒーローを主役にしたコミックばかりというわけではありません。
今回紹介するのは、“ゴッサムシティを舞台にした学園モノ”という異色作、『ゴッサム・アカデミー』です。
世界観も本作のために用意したパラレルワールドなどではなく、しっかり正史世界で話が展開していくのだから実に挑戦的なタイトル。

ゴッサムシティという事で当然バットマンことブルース・ウェインも少し登場する(ウェイン財団としてこのゴッサム・アカデミーを支援しているという設定)のですが、本作の主役はスーパーヒーローというわけではない一般人の褐色少女、『オリーブ・シルバーロック』
まあ主役という事で色々と複雑なバックボーンが設定されてはいるけれども。

去年の夏休み、突如起こった謎の火災事件に巻き込まれ、何故かその時の記憶も抜け落ちてすっかり暗い性格になってしまったオリーブ。
そんな彼女が好奇心旺盛な新1年生、マップス・ミゾグチの世話係に任命され、図らずも今学園を騒がせている“幽霊騒ぎ”の謎に関わっていくことに。
そして学園の謎を追い続けていくうちに、オリーブは火災事件の真実と、離れ離れになった母について知るのだった……というのがこの第1巻のストーリー。

オリーブとマップス
とある理由からオリーブはコウモリ恐怖症かつバットマン嫌いに
オリーブはTRPG好きというちょっぴりオタクな一面を持っている

マップス以外にもやたらとオリーブに突っかかってくるポメリーン、怪しげな商売をしたり危険物をやたら持ち込んでくる問題児のコルトン、マップスの兄でオリーブの元カレでもある心優しい好青年のカイル、怖がりなルームメイトのルーシー、オリーブの事を知っている謎の青年トリスタンなど、個性的なキャラクターたちが話を盛り上げてくれます。

さらに登場する教師陣は心なしかゴッサムヴィランに似ている人がちらほらと。
校長のハマーはラーズ・アル・グールにそっくりだし、スカーレット先生は『怪鳥人間バットマン』のブックワーム似なデザイン。
(似ているというだけで同一人物というわけではなさそうですが)
ただ科学教師のマイロは化学兵器を用いて戦うヴィラン、プロフェッサー・マイロその人だったり。
このニュー52世界では別にヴィランとは化していないみたいで少しビックリ。でもそのうちヴィラン堕ちしそう(小声)。

あとオリーブが学園の謎を調べていくうちに母の事を知っている“とあるヴィラン”と対面する展開があるのですが、それがまた意外な人選で驚く。
ネタバレになるので名前は出しませんが、ニュー52以前と比べて性格設定や立ち位置が見直されていて新しい魅力が付与されたヴィランになってるなぁという印象が。
『ジョーカー:喪われた絆』に登場した時も思ったけど少年少女に対してかなり優しい。なんでこの人ヴィランなんだ。

本作がジュブナイル風味な学園モノとはいっても、舞台となっているのはゴッサムシティ。
基本的にはユーモラスに冒険ミステリーを展開しつつもほの暗い不気味な雰囲気も同居させており、しっかりバットマン関連の設定とキャラクターを丁寧に絡ませていて、一見異色作に思えるものの、やはりこれもバットマン誌の一つである事を再認識させられました。

一緒に冒険するパーティー

◆感想
バットマン関連誌らしいダークアクションは皆無な作風なのに、ゴッサムシティの歴史、アーカム・アサイラムと学園の繋がりなどといった要素を絡ませ、コミカルな中に不気味さを漂わせるエッセンスをプラスした事でしっかりバットマン的な雰囲気が確立されている。
バットマンの新たな方向性を生み出した秀作であることは間違いない一作です。
あとカール・カーシルのカートゥーンテイストなアートがほんと可愛らしい!(これを特に強調したかった)
まずはアートに釣られてみても良いんじゃないでしょうか。ストーリーも丁寧に作られており、とりあえずこの1巻だけで作中で起こる事件自体は綺麗に解決しちゃいますし。
本書を読む前に必要な事前知識がほぼ不要というのも大きい。

2巻からは現ロビンのダミアンがこの学園に入学するという新展開が待ち受けてるみたいでまた面白そう。
これは続きも邦訳されて欲しい……!あ、でも邦訳的にはその前に『ロビン:ライジズ』を出してもらわないとちょっとアレかな?

仲間を得たオリーブ

◆本作の翻訳者、内藤真代氏によるオリーブとマップスのイラスト

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2 Comments

GENTLE  

はじめまして!
以前からこのブログを拝見してアメコミに興味を持っていたのですが、先日ゴッサムアカデミーを購入いたしました。
邦訳アメコミはだいぶ割高だと思ってましたが、絵は綺麗だしストーリーも面白く満足でした。日本の漫画と比べて映画みたいな感じがしますね。
続きも是非出版して欲しいです。

2016/06/16 (Thu) 09:03 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>GENTLEさん
初めまして!
ゴッサムアカデミーは2巻以降も面白いと聞き及んでいるので是非とも刊行されて欲しいですね~。
バットマン関連誌なのに明るい雰囲気!でもバットマンらしくダークな雰囲気もしっかり織り交ぜられている!
小プロさんは邦訳希望の声をかなり参考にしているようなので、アンケートなどで積極的に要望すれば2巻も翻訳されるかも……?

2016/06/16 (Thu) 11:01 | EDIT | REPLY |   

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