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17 2016

ブライアン・マイケル・ベンディス&マーク・シルベストリ他/マーベルユニバース:シビル・ウォー

シビル・ウォーマーベルユニバース表紙

「ジャービス、どう思う?」
「失礼ながら…お二人とも重要な事を忘れておいでかと」
「何をだ?」
「今は再建の時です。そのためにはシンボルが必要なのです。
 よりよい未来を目指し集結したチーム…
 異なる経歴、異なる価値観の持ち主が集うチーム…
 世界にはアベンジャーズが必要です。他ならぬ、あなた様にも。
 そして現在のあなた様の権限を考えれば…
 史上最高のアベンジャーズを結成する事が可能なはずでしょう」


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

合衆国に居住するあらゆる超人を対象とする超人登録法。
その成立は、およそ全てのスーパーヒーローの人生を根底から揺り動かした。

ある者は憤り、ある者は進んで登録を行い、ある者は身を隠す。
そこには、超人の数だけの様々なドラマがあったのだ。

残されたニューウォーリアーズのその後を描く「シーハルク」。
アントマン、デアデビル、ハワード・ザ・ダックら、各々の選択を描いた「チュージング・サイド」。
亡きヒーローの復活を描く「ザ・リターン」。
「シビル・ウォー」の後日譚、「イニシアティブ」。

「シビル・ウォー」にまつわる短編を編んだオムニバス、待望の邦訳!

君はどちらに付く?


◆収録作品

2006年07月:She-Hulk Vol.2 #8
2006年12月:Civil War: Choosing Sides
2007年03月:Civil War: The Return
2007年04月:Civil War: The Initiative


◆関連作品過去記事
【ニューアベンジャーズ:コレクティブ】
【シビル・ウォー】
【マイティ・アベンジャーズ:ウルトロン・イニシアティブ】

◆EVERY HERO, VILLAIN AND ALIEN
マーベルヒーローのキャラクター数は実に膨大。
大型イベント『シビル・ウォー』では様々なタイトルでクロスオーバーが行われており、時には専用のミニシリーズを用意するなどしてシビル・ウォーのタイインが描かれてきたのですが、それでも様々なキャラを主役にしたエピソードを描くにはタイトルの数が足りない。
というわけでマーベルは単発のスペシャル号を発刊し、各ヒーローを主役にした短編エピソードを描くことでシビル・ウォーを補完したのでした。
短編エピソード集ということで色んなキャラの、特に邦訳での活躍がやや少なめなキャラの姿が拝めるのが魅力な本書『マーベルユニバース:シビル・ウォー』
ハワード・ザ・ダックが主役のエピソードが邦訳されるなんて実に貴重な一冊ではないだろうか。
それでは各エピソードのあらすじを簡潔に。

◆CIVIL UNION
Dr.ストレンジの処置により、いつでも自分の意志でシーハルクに変身できるようになったジェニファー・ウォルターズ。
しかし今はスタンフォードでの爆発事件の所為で、ヒーローに対する風当たりが非常に強い世の中。
極力目立つことを避けようとするジェニファーだったが、そんな彼女の前にニューウォーリアーズの残存メンバー、ジャスティスとレイジが現れる。

「スタンフォード爆発事件はニューウォーリアーズの行動が原因」だとする悪意を持った人間が開設したヘイトサイトによって、残ったニューウォーリアーズのメンバーの正体が次々に暴かれ、市民の手によって襲撃され続けているというのだ。
それどころかこのサイトでは次に死亡するメンバーが誰なのか賭けるコンテンツまで公開されている。
ジェニファーは弁護士として、そして同じヒーローであるシーハルクとして立ち上がり、ウェブサイトの閉鎖を求める裁判を起こすのだった。
しかし調査を進めていくうちに、この事件の黒幕は意外な人物である事が判明し……

裁判中のジェニファー

◆CHOOSING SIDES
ベノムことマック・ガーガンが登録法反対派ヒーローを追い詰めるためにビランで構成されたチーム『サンダーボルツ』の勧誘を受けている一方で、ヒーロー達は市街地で内戦を繰り広げていた。
その戦いを遠巻きに眺めていた元シールド隊員のエリック・オグレディは、盗みだしたアントマン・スーツをさっそく自分の私欲のために悪用せんとしていたのだが、市民が内戦に巻き込まれそうになっていたのを見てすぐさま救出に向かうのだった。

***

場所は変わってヘルズ・キッチン。
FBIに逮捕されていたマット・マードックに替わり、代役としてデアデビルを務めていたアイアンフィストのダニー・ランド。
ヒーロー同士の内戦が始まった今も、デアデビルのマスクを被り、デアデビルという役を演じ続ける事を決意する。

一方、登録法賛成派ヒーローであるUSエージェントは、トニー・スタークの下で犯罪者を何人も拘束するという目覚ましい働きを見せていたのだが、突如彼から「カナダに向かいヒーローチーム、『新生アルファ・フライト』のプロジェクトへ参加せよ」との辞令を言い渡されてしまう。
「俺はアンクルサムに忠誠を誓ってんだ!」とその命令を断ろうとするUSエージェントであったが、その後ビランのパープルマンとの戦いに敗北し、彼がカナダに向かった事を知った事で、カナダ行きを決めるのであった。

***

少し時間は戻り、舞台はクリーブランドの街中に。
別世界ダック・ワールドからやってきた知性を持つアヒルで、武術「クァック・フー」の達人である異色のヒーロー、ハワード・ザ・ダックはしぶしぶ登録の手続きを行うために役所を訪れていた。
しかしそこでは案の定、ヒーロー達の長蛇の列が。
並ぶ場所を間違えたり申込用紙の設問に回答したりなど七面倒な出来事を乗り越えて、ようやく自分の番がやってきたのだが……

ハワード・ザ・ダック登録に行く

◆THE RETURN
かつて「クリー/スクラル戦争」で活躍するも、その後ビランのナイトロが使用した神経ガスに触れた事で癌となり、命を落としたヒーロー、キャプテン・マーベルことマー・ベル。
今この地球に彼は存在しない。
しかし別の時間軸にて、反物質宇宙で瞑想していたマー・ベルは時空間に発生した微細な異常に巻き込まれ、現代の地球……自分が死亡してから起こった内戦中の世界にタイムスリップしてしまう。

メンタルがすごいマー・ベル

そこで旧友セントリーたちと出会い、後に自分がこの後癌で死亡する運命と知りつつも、これは自分がヒーローとしての責任を果たす機会を再度得られたのだと考え、この内戦に参加するのだった。

◆THE INITIATIVE
内戦が終わり、国際平和維持組織シールドの長官に就任したトニー・スターク。
彼は新世界建設に向け、スーパーヒーローの訓練と管理を行うプロジェクト“イニシアティブ計画”を実行に移さんとしていた。
アルファ・フライトを全滅させた“コレクティブ”ことマイケル・ポインターは、新設したカナダのヒーローチーム『オメガ・フライト』に加入。
新たにペナンスが参加した超人問題対策班『サンダーボルツ』は、現在も未登録の超人ビジランテを捕縛させるために活動中……

ヒーロー活動を行う権限を持たない人物を容赦なく逮捕するスタンスを崩さないトニーは、執事ジャービスの言葉をきっかけに、今結成可能な史上最高のアベンジャーズを新たに生み出す事を考える。
世界はアベンジャーズを求めている。
世界の守護者となったトニー・スタークが選ぶ、新しいアベンジャーズのメンバーは如何なる人員で構成されるのか。

世界はアベンジャーズを求めている

◆感想
シーハルク、ハワード・ザ・ダック、3代目アントマンのエリック・オグレディが主役のエピソードが読めたというだけでなく、『ニューアベンジャーズ:コレクティブ』で一瞬で全滅したアルファ・フライトのその後、シビル・ウォーの後日譚かつ『マイティ・アベンジャーズ:ウルトロン・イニシアティブ』への橋渡し的エピソードである「イニシアティブ」など、これまたシビル・ウォーの補完エピソードとしてはなかなか重要度の高い一冊じゃないかなと思いました。

シーハルク編はネットリンチを扱ったシリアスな内容でありながらオチにかけて急スピードでハッピーエンドになってて、そのあまりの振り幅にちょっと吹いてしまった。そもそもシーハルク第2シリーズはかなりコミカルな作風なんだとか。
それとハワード・ザ・ダックは基本シリアスになりがちなシビル・ウォータイインには珍しい終始ギャグ一辺倒のエピソードだったので、どうにも暗くなりがちなシビル・ウォーシナリオの中で一種の清涼剤的な役割を果たしていたと思う。
ハワード・ザ・ダックの個人誌とか邦訳されないかな……

あとシビル・ウォー本編最終話で何の説明もなくソーと一緒に登場してた死亡していたはずのキャプテン・マーベル(マー・ベル)の復活の理由も本書でようやく判明。邦訳シビル・ウォーの解説でも一切触れられていなかったのでほんと「ようやく」といった感じです。

しかしあれですね……タイインの邦訳が充実するのは嬉しいけど、できればこれはシビル・ウォー邦訳からあまり間を置かないタイミングで出して欲しかったなぁという気持ちがちょっとある。流石に無茶振りだけど。
タイインを読んでるのと読んでいないのとでは本編の印象が大分変わってくるよねやっぱり。
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