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30 2016

デビッド・ラッファン&スタジオ・F他/デアデビルvsパニッシャー

デアデビルvsパニッシャー表紙

『デアデビルは餓鬼だ。ゲームで遊んでる餓鬼だ。
 その間にハンマーヘッドやジャッカルが、街を屈服させようとしてる。
 いっそデアデビルが連中の側なら…話はすぐ片付くのに。簡単に。
 だが奴は結局ただの馬鹿だ。馬鹿は犯罪じゃない』


THE BATTLE THE SOUL OF HELL'S KITCHEN!

同じく正義を求める身でありながら、その実現の方策を巡り、長年、対立が続いてきたデアデビルとパニッシャー。

顔役たるキングピンの投獄で暗黒街が混乱に陥った今を好機と見た二人は犯罪の撲滅に乗り出すが、彼らを阻む最大の障害は皮肉にも彼ら自身だった。

あくまでも己を貫こうとする二人のクライムファイター。
彼らの最終決戦の時が刻一刻と近づいてくる………。

マーベルコミックスを代表する二大クライムファイターが己の全てを懸けて激突する話題作、ここに登場!


◆収録作品

2005年09月:Daredevil vs. Punisher #1
2005年09月:Daredevil vs. Punisher #2
2005年10月:Daredevil vs. Punisher #3
2005年11月:Daredevil vs. Punisher #4
2005年12月:Daredevil vs. Punisher #5
2006年01月:Daredevil vs. Punisher #6


◆INNOCENCE OF HEROISM

Netflixにて配信中のドラマ『デアデビル』シーズン2にパニッシャーが登場するという事もあり、ヴィレッジブックスからデアデビルとパニッシャーが対峙するという読みきり作品『デアデビルvsパニッシャー』が刊行!
タイトルこそデアデビルという名前が先に来ていますが、実際に読んでみると本作はパニッシャー視点で進む場面がかなり多めで、実質パニッシャーが主役の邦訳本といっても過言ではない一冊です。

ところで長年ヴィレッジの邦訳本では、「PUNISHER」を一般的に用いられているパニッシャー表記ではなく「パニシャー」と表記して翻訳されてきたのですが、本書でようやくこの表記が見直されてゲームや映画で使われてきた「パニッシャー」表記に改められました。
(ちなみに小プロの邦訳本では一貫して「パニッシャー」表記)
その理由が語られたヴィレッジの石川氏のツイートを引用しておきます。

読者の要望に応えたとかではなく、過去に何度も映画化されてきたPUNISHERが「今後もしかしたらドラマ化の可能性があるかも?」という理由でやっとパニッシャー表記に修正されたというのが正直言うとなんかよく分かんないんですが、でもとにかく表記が改められたのは良かった。
パニシャーっていう表記は字面がなんかイマイチで個人的に好きじゃなかったんで……

本書のレビューに入る前に、パニッシャーのオリジンを簡単に解説。
パニッシャーことフランク・キャッスルは元海兵隊員で、4年もの間ベトナムに従軍しており、名誉勲章を授かるほどの活躍をしていた人物でした。
ちなみに本当の名前は「フランシーン・キャステリーノ」なのですが、禁じられた三度目のベトナム行きを実現するためだけにフランク・キャッスルと法的に改名したほど任務に忠実な性格だったのだとか。
その一方でフランクは若くして結婚した妻と二人の子供を持つ良き父親としての一面もあり、ベトナムから帰国した後はニューヨークの基地で教官の仕事をしていたのですが、ある日一家で出かけたピクニック中にギャングの抗争に巻き込まれ、愛する家族全員を失ってしまったのです。

もう戻らない幸せな日々
二度と帰ってこない家族との幸せな日々

この出来事をきっかけに犯罪を憎むようになったフランクは、犯罪者を容赦なく殺害する死刑執行人・パニッシャーと名乗り、一人孤独に犯罪と戦い続ける道を選んだのだった……

本作は裏社会の顔役であるキングピンが失脚し、次の皇帝の座を狙って動き始めている犯罪者でひしめく街・ヘルズキッチンを訪れたパニッシャーが、この街を活動拠点としているクライムファイター、デアデビルと遭遇するところから始まります。
一方は犯罪者であれば命を奪うことに一切の迷いが無いクライムファイター。
もう一方はあくまで法に乗っ取って活動し、命を奪う事はしないクライムファイター。
悪を許さないというは心は同じなものの、それぞれが持つ倫理観の違いから対立する事は必然。

キングピン失脚後、頭角を現してきたハンマーヘッドという男を殺害するために行動するパニッシャーだったが“仕事中”に必ずデアデビルが介入してくるため、衝突せざるを得なくなってしまう。

デアデビルVSパニッシャー本気の一戦

しかし昼の顔は弁護士であり、悪人の裁きはあくまで法に委ねるやり方で街を守ってきたデアデビルからしてみれば、「悪は犯罪者を消すことでしか根絶できない」という極端な考えで街に現れたパニッシャーは混乱の種でしかない。
実際作中ではパニッシャーの行方を追う事を目的とした悪人たちが、罪の無い人々を巻き込んで暴れだす始末ですからね。
そしてパニッシャーとデアデビルが互いの主義主張をぶつけて戦っている間にも、悪は街をどんどんと侵食していく……

◆感想
不殺を貫くデアデビルと、悪人を冷酷に殺害するパニッシャーの対比が実に丁寧な一作。
んでもって本作のストーリー展開では、どちらの行動が正しいとも言えないように描かれているのがミソ。
パニッシャーのようにとにかく悪人を殺す極端な行動を取り続けていると、どこかで罪の無い人々までが巻き込まれ大量の血が流れ続けるだけの結果となってしまう。
かといってデアデビルのように犯罪者を仕留めず、あくまで刑務所に送るやり方を取っていると、今度は収監された悪人が刑務所内で組織を構築し、刑務官に賄賂を渡して独自に要塞を作り上げてしまう始末。

本作ではパニッシャーとデアデビルだけでなく、ひょんな事から銃を手にしたマーティンという少年が物語のキーパーソンとなっており、パニッシャーと出会ったことで彼の人生に大きな転機が訪れる……のですが、そこからは大きな悲劇に巻き込まれていくハードな展開が待ち受けております。

マーティン少年

とことんダークで重苦しい構成となっているエピソードですが、読み応え満点の作品でした。ラストはある程度精神的に救われる描写になっていますしそこはちょっとホッとした。オススメ!

あ、それと本作登場のビランにブッシュワッカーが居たのが個人的に嬉しかったり。
かつてアーケードで稼働していたカプコンのベルトスクロールアクション『パニッシャー』をプレイしていた人は微妙にテンションが上がるかもしれない。僕みたく。

カプコンブッシュワッカー
ずっとブッシュワッカーは改造手術を受けた人間だと思ってたんだけど
本作でサラッと「実はミュータントだった」と判明し能力もそれ由来だと語られててビックリ

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