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18 2016

チップ・キッド&アレックス・ロス他/バットマン VS. スーパーマン:ベストバウト

バットマンスーパーマンベストバウト表紙

『考えてみろ…あり余るほどの時間と金があって、
 いつか戦うかもしれない相手がいる…
 そいつは自分より素早く、頑丈で強力だ。でも頭はそうでもない。ただ強いだけ…
 …彼なら絶対に、そいつから力を奪う方法を見つけだすと思わないか?
 それが太陽を覆い隠すことだとしても…』


いつもは無二の親友である二人の対決、それは頭脳と肉体を駆使した極限の戦いになるだろう。普通の人間が、神にも等しい力の持ち主にどうやって立ち向かうのか?
『バットマン:ハッシュ』『ジャスティス・リーグ:誕生』、そしてアレックス・ロスの未邦訳だった短編――数々の名作群からハイライトをお届けする、初邦訳エピソードも含む必読の一冊!
スーパーマンVS.バットマン――果たして勝つのはどっちだ!?


◆収録作品

1986年11月:Man of Steel #3
2003年04月:Batman #612
2005年11月:Mythology: The DC Comics Art of Alex Ross
※短編作品「TRUST」を収録。
2011年01月:Superman/Batman #78
2011年11月:Justice League Vol.2 #2


◆WHO WOULD WIN?(どっちが勝つ?)
1986年のクラシックな作品から2011年までに発表された作品の中で、「スーパーマンとバットマンが対決する」というシチュエーションのエピソードを独自にチョイスして纏めた一冊が小プロから発売!しかも980円+税という邦訳コミックらしからぬ低価格!

ただ本書は日本オリジナルのベスト選集な本というわけではなく、ちゃんと底本が存在しています。
この邦訳本は『Batman vs. Superman: The Greatest Battles』という本を底本とし、かつ一部収録作品を削った一冊。
といっても未収録となったのは『BATMAN: THE DARK NIGHT RETURNS #4』と『Batman Vol 2 #35-36』の3編であり、『BATMAN: THE DARK NIGHT RETURNS #4』は過去に翻訳済み『バットマン:ダークナイト』に収録)、そして『Batman Vol 2 #35-36』は未邦訳作品ではあるものの、ニュー52のスナイダーバットマン7巻に収録されているエピソードなので、現在6巻まで邦訳が刊行されている事を考えると、今回あえて収録が見送られたのも割と納得できるのではないでしょうか。

1986年のクラシック作品
画像は1986年『Man of Steel #3』
以前の作品では友人同士という設定だったのだが1985年に大幅にDCユニバースが刷新、
世界観や設定も大幅に変更された為、このエピソードが二人の初の顔合わせという事になった

正義の心を持っているという点では同じなものの、互いに持つ根本的な価値観が違うために衝突する事もあったスーパーマンとバットマン。
上記の『Man of Steel #3』ではバットマンのやり方を認めてはいないものの、悪人を捕まえるためにひとまず共闘するという、今見ると逆に新鮮なバットマンに対するスーパーマンの態度を拝むことができます。

『Batman #612』はバットマンがヴィランのポイズン・アイビーに操られてしまったスーパーマンと戦うエピソード。
必死に洗脳に抗っているため全力では無いものの、それでも強力無比な力で襲い掛かってくるスーパーマンに対し、あくまで人間であるバットマンは如何にして彼に立ち向かうのか!
このエピソードは様々な策やガジェットを駆使してスーパーマンと対等に渡り合うバットマンの姿が実にカッコいい。

『Justice League Vol.2 #2』は世界観が再度一新されたニュー52のエピソードなんですが、こっちでは洗脳とかそういうアレではなく、誤解が原因で本気のスーパーマンと戦う事になる中々恐ろしい展開。
バットマンは高速移動が可能な能力を持つヒーロー、フラッシュや、パワーリングと呼ばれる特別な指輪の能力を駆使して戦うヒーロー、グリーンランタンと協力してスーパーマンに立ち向かうんですが3人が全力でかかっても全く歯が立たないのが現実。凄まじいまでの力量差を突きつけられるというね。
改めてスーパーマンのハイスペックっぷりに驚かされる。

面白いのが『Superman/Batman #78』の「どっちが勝つ?」というエピソード。
これは二人のギークな少年が、「スーパーマンとバットマンがルール無用で戦ったらどっちが勝つんだ?」というのを真剣に討論しちゃうという、面白おかしくちょいブラックな一作です。

ギーク同士の熱い討論
ロビンが殺されて怒ってるバットマンに対するスーパーマンのツッコミがひどい

あくまで少年たちの想像とはいえスーパーマンに勝つために様々な奥の手を用意しているバットマンの姿が堪らない。こないだ邦訳された『パブリック・エネミー』の巨大ロボットも登場しちゃうよ!というかどのエピソードでも基本バットマンはスーパーマンをいいところまで追い詰めてますねこれ……
ラストシーンでご本人同士が交わす会話もフフッとなります。

◆感想
低価格な分ボリュームも抑えめで、しかも半分以上が過去に邦訳済みのエピソードで占められているというのもあり、正直物足りなさの方が強い一冊かも。
(といっても『Man of Steel #3』の翻訳が収録されていた『バットマン/スーパーマン No.2』は僕は未所持なので、5作品中3作品が初めて読むエピソードだったのですが)
でも今回初めて翻訳されたアレックス・ロスの『TRUST』はアートは勿論のこと、8ページと短い作品ながらスーパーマンとバットマンの強い信頼関係が丁寧に描かれててめっちゃ良作。
個人的にはこれと、さっき紹介した『どっちが勝つ?』を読めただけでも結構満足しました。

アレックス・ロスの短編
何者かの手によって操られたスーパーマン
彼を止めるためなら『銃を使わない』という誓いを破る事を厭わないバットマン

アメコミを読んだことがない人が「アメコミってどんな感じなんだろう?」とお試し感覚で手を出してみる分にはちょうどいい邦訳かもしれない。安いしね!
『Batman #612』と『Justice League Vol.2 #2』は長編エピソードの一部を切り出したものとなっているんで、続きが気になった人は是非本編に触れてみて欲しい。どっちも良作ですよ!
【バットマン:ハッシュ 完全版】
【ジャスティス・リーグ:誕生(The New 52!)】

今後もちょくちょく低価格路線の一冊を出してってほしいねー。
……ただ、出来る限りは初邦訳エピソード優先でお願いします。
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2 Comments

久仁彦  

未邦訳だった二作がどちらも良作だったのでこれだけで買う価値ありましたねー。
中でも『TRUST』はアレックス・ロス画だけで何となく得した気分になるけどお話もよかったのでスゴク気に入りました。
本のタイトルは物騒なのに、のっけからめっちゃ仲良くて和む。

この手の廉価本をちょいちょい出していずれはコンビニ流通も…というのはさすがに高望みかな?

2016/03/18 (Fri) 21:18 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>久仁彦さん
>未邦訳だった二作がどちらも良作だったのでこれだけで買う価値ありましたねー。
『TRUST』のやりとりも最高だし、『どっちが勝つ?』でのやりとりも最高だしで「もう最高かよ~~~!!」って感じでした(失われていく語彙)。
ベストバウトってタイトルなのに友情描写で読者を魅了していくとは…ナイスなタイトル詐欺でしたね…

2016/03/19 (Sat) 21:16 | EDIT | REPLY |   

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