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27 2016

スコット・スナイダー&グレッグ・カプロ他/バットマン:真夜中の事件簿(THE NEW 52!)

バットマン真夜中の事件簿表紙

「今、私がここにいて、他の善良な警官たちも立ち上がろうとしてる。
 すべては“ザ・バットマン”…あの男のおかげだ。
 お前も先週ここで彼の姿を見ただろう。だからこそ、今夜連れて来たんだ。
 市民たちは彼が都市伝説だと思ってる。マスコミが仕組んだ話題作りの一つだと。
 それを変えるんだ。さもないと、この街の未来に希望はない。
 未来のヒーローたちに希望を与えねばならん」


騎士の戦いは一度限りにあらず。闇の騎士もまたしかり――

昼には昼の驚異が訪れ、夜には夜の悪夢が忍び寄る。
戦友たちが斃れるそばで、新しき仲間たちが立ち上がる。
恨みを抱えた仇敵たちが、さらに強くなって舞い戻る。
こうしてゴッサムの魂を守る闇の騎士の戦いは、否応なく激しさを増す。

今回の舞台はブラックゲート刑務所やアーカム・アサイラム。戦う相手はクレイフェイスやキャットウーマンなど。
闇の騎士はスーパーマンと共闘し、ロビンの死を悼む。
悪と戦う若き戦士たちに勇気を与えつつ、ゼロイヤーの混沌たる世界で自らの戦いを開始する。

だが、どんな試練が待ち構えていようとも、屈服の二文字は許されない。悪人には恐怖を、善人には希望を与えねばならない。
バットマンが人間以上の存在であることを示さねばならない。
そう、バットマンとは正義の概念であり、概念は永久に不滅なのだ。


◆関連作品過去記事
【バットマン:梟の法廷】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】
【バットマン:喪われた絆】
【ジョーカー:喪われた絆〈上・下〉】
【バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街】
【バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街】
【バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏】

◆収録作品

2012年12月:Batman Vol.2 #0
2013年05月:Batman Vol.2 #18
2013年06月:Batman Vol.2 #19
2013年07月:Batman Vol.2 #20
2013年09月:Batman Annual Vol.2 #2
2014年04月:Batman Vol.2 #28
2014年10月:Batman Vol.2 #34


◆Bright New Yesterday
スコット・スナイダーが脚本を手掛ける、ニュー52バットマン誌の単行本の邦訳もとうとう6巻目!
過去編『ゼロイヤー』が終了し、また現代に戻って新エピソードを展開……と思いきや、この第6巻はこれまで収録が後回しにされていた短編&中編エピソードなどが纏められた一冊となっています。

気づいていた方も多いでしょうが、これまでの単行本はストーリーの連続性を優先して一部エピソードが未収録だったりしていたんですよね。
第3巻となる『失われた絆』が#17まで収録で、その次の第4巻『ゼロイヤー 陰謀の街』はいきなり#21からの収録となっていたため、「合間のエピソードは何処にいったんだ?」と気になっていた人も多かったはず。多分。
第5巻『ゼロイヤー 暗黒の街』も#28だけが飛ばされていて「?」となった人もいるでしょう。

すっ飛ばされたエピソードがどんな作品だったのかずっとモヤモヤしていたのですが、この第6巻で一冊に纏められたのでようやくその内容が拝めて嬉しい限り。
それではさっそく内容を紹介。

冒頭に収録された『新しき昨日』『後継者たち』という作品は、ニュー52一周年として刊行された『Batman Vol.2 #0』(2012年12月)に収録されていたもの。
この企画は当然バットマン誌以外でも行われており、様々な作品が過去編となる短編エピソードを発表しておりました。
【DC Marks The New 52's Anniversary with ZERO MONTH】

内容的には、まだバットマンではなくひっそりと自警活動に勤しんでいた『ただのブルース・ウェイン』がレッドフードギャングと対峙するというゼロイヤー編のプロローグとなるエピソードなのですが、ゼロイヤー編に突入するのは2013年の8月からなのでストーリー的にはかなり先行してたことになりますねコレ。
実際はまだジョーカー編をやっていた時期ですし。

また、この#0ではロビンとなる前の3人の少年……ディック、ジェイソン、ティムの過去も少し描かれているのに注目。
近年のラノベ主人公かなにかのような天才少年っぷりを見せつけるティムや、リランチ前の車ドロボーからさらに悲惨で業の深い境遇となっているジェイソンを見てぜひ曇ってほしい。

生きるために仲間と強盗をするが…
一度でいいから見てみたい 幸せそうなジェイソンを

次に収録された『不屈』(Batman Vol.2 #18)は、『バットマン・インコーポレイテッド』での現ロビン……バットマンの息子、ダミアンの死亡展開に絡めた追悼エピソードとなる一作。要はタイイン回。
愛するダミアンを亡くしたバットマンがやり場のない怒りに身を焦がし、冷静さを失ったまま悪党狩りを続けている姿を見かねてハーパー・ロウが忠告に現れるというもの。

梟の法廷編で初登場しながらも、なんだか出番が少なく印象が薄めだったハーパーですが本書での出番はそこそこ多めで、最後に収録されている『ゴッサム・エターナル』(Batman Vol.2 #28)ではなんとバットマンの新サイドキックとして活躍する姿が拝めちゃいます。

新サイドキックハーパー・ロウ
アメコミではファンキーなモヒカン女子をやたら見るんだけど何故なのだろう

ただこの『ゴッサム・エターナル』というエピソードは、スナイダーがバットマン誌と並行して連載していた全52号の週間シリーズ『バットマン・エターナル』絡みの一作であり、いきなりこれだけ読まされても状況がいまいち把握しづらいのが難点。
解説でもあんまりバットマン・エターナルについてはフォローされていなかったのですが、これはむしろ邦訳を検討しているから詳細に説明するのを避けているのだと捉えて良いのだろうか……!?(前向き)

ただ本書収録の『影に潜む悪』というエピソードは、あくまで時系列がバットマン・エターナルと同時期というだけで単独で楽しめる作品になっておりました。
このエピソードではレスリー・トンプキンス先生が登場するのですが、リランチ前はおばあちゃんだった彼女がニュー52ではめっちゃ若返って美人な眼鏡女子になっているというのは堪らない人には堪らないはず。

『存在しない男』『霊光』(Batman Vol.2 #19-20)はクレイフェイスとの対決回、スーパーマンとの共闘回の2編。
「ブルース・ウェインが人質を取って強盗を!?」というスナイダーバットマン特有のインパクト抜群な冒頭シーンや、過去の記録映像を見返してダミアンとの思い出に浸り続けるバットマンの姿など、これまた見どころの多い一作。
個人的に今回の収録作ではこのクレイフェイス編が一番好き。

ダミアンとの思い出
何気にニュー52版リーパーの『姿なき恐怖』以来の再登場回でもある
(でも結局速攻で退場するやられ役なためリランチ前の設定が残っているのかはサッパリ)

『妖婆』(Batman Annual Vol.2 #2)というエピソードはゼロイヤーのタイインなのですが、その割にはゼロイヤーのエピソードとそれほど関連しておらず単体で読める一作。
アーカム・アサイラムが凶悪ヴィランの収容所になる以前……まだ普通の精神病院だった頃から入院しており、今ではすっかり老婆となった女性、アンクレスは、とある出来事をきっかけにバットマンの事を恨み続けており……というお話です。
ラストシーンが少々やりきれない。

◆感想
これまでのスナイダーバットマンのストーリーをいい感じに補完してくれる、読み応えのある一冊でした。
特にブルースが息子ダミアンの死を悼む描写が丁寧に描かれているのが良い……(しんみり)
息子ダミアンの死を描いた『バットマン・インコーポレイテッド』は意外と追悼描写には尺を割いてなくて少々物足りなさを感じてはいたんですよね。ようやく満足できた。

次の第7巻からはいよいよジョーカーが再登場する『エンドゲーム』編がスタートするわけなんですが、現状ではこの邦訳本の刊行は未定。
でも待ってればそのうち普通に刊行されそうな気はする!

【バットマン:真夜中の事件簿 補足】
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2 Comments

No Name  

エターナル邦訳されるんですかね?
あれノーマンズランド並にボリュームがあるから、スパイダーマンのガントレットとグリムハントの様に飛ばされる可能性の方が大きい様な気がします。

2016/02/28 (Sun) 17:36 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
むしろノーマンズランドに着手してナイトフォールの邦訳まで検討してる小プロですから…出してくれると信じてます(勝手な期待)

2016/02/28 (Sun) 21:15 | EDIT | REPLY |   

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