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10 2016

ポール・ジェンキンス&ラモン・バックス他/フロントライン:シビル・ウォー BOOK2

フロントライン第二巻表紙

『その日、アメリカが…あらゆる人類が…悟った。
 これを境に全てが変わる。変わらなければならないのだと。
 もし今の道を進み続けるのならば、
 ヒーローが守るべき世界の方が滅んでしまうからだ。
 戦いが終わってから程なく、
 キャプテン・アメリカが投降したとの知らせが入った。
 各地の衝突は沈静化し、コスチュームの人々の半分は闇に消えた。
 我々は歴史の目撃者となったが…
 あまりにも忙しく、気づく余裕はなかった』


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

「シビル・ウォー」の真相を伝えるべく懸命の取材を続けるベン・ユーリックとサリー・フロイド。

内戦の報道に文字通り、記者生命を懸けた二人だったが、その先に待つ真実は二人の予測を裏切るものだった。

一方、一命を取り留め、投獄されたスピードボールは、想像を絶する生き地獄を味わう。

あの時、自分も死んでいれば…。その願いを余所に、彼の存在は超人登録法の象徴となっていく。

混迷を極める「シビル・ウォー」を、鋭く切り裂く衝撃の完結編!

君はどちらに付く?


◆収録作品

2006年12月:Civil War: Front Line #7
2007年01月:Civil War: Front Line #8
2007年02月:Civil War: Front Line #9
2007年03月:Civil War: Front Line #10
2007年04月:Civil War: Front Line #11


◆関連作品過去記事
【シビル・ウォー】
【フロントライン:シビル・ウォー BOOK1】

◆CHOOSE YOUR SIDE
シビル・ウォータイインの中でも屈指のボリュームである『フロントライン:シビル・ウォー』の第2巻が届きました。

前巻に引き続き、二人の記者、ベンとサリーの視点からシビル・ウォーを描く『EMBEDDED』、シビル・ウォーのきっかけを作り、一人生き残ったことで世間から大きな非難を受ける立場となってしまったスピードボールを描く『THE ACEEUSED』、人間社会に潜伏していたアトランティス人と、そこから起こる事件を描いた『SLEEPER CELL』、現実の戦争の歴史をシビル・ウォーの展開に擬えて描いたタイトル未設定の短編……この4つのエピソードがそれぞれ並行して描かれていく構成です。

本記事では前回の記事に引き続き、本作『フロントライン:シビル・ウォー』のメインエピソードである『EMBEDDED』と『THE ACEEUSED』の2編のあらすじを紹介!

◆EMBEDDED(組み込まれたもの)
ダニー・グランビル刑事から、「トニー・スタークが政府から多額のキックバックを受け取っている可能性がある」との大ネタを聞いたベン・ユーリック。
一方、潜伏中のキャプテン・アメリカの方から接触を受け、独占インタビューをする事になったサリー・フロイド。
さらに彼女はミズ・マーベルことキャロル・ダンバースから、この国の内部で何らかの陰謀が動いている証拠を受け取り、内戦に隠された真実に少しつづ近づきつつあった。
二人の記者は互いの情報を整理しあう事に決める。
国を揺るがしかねないこの大ネタを扱うために、二人は今勤めている会社を辞めるほどの確固たる意志を持っていた。

辿り着いた真実

このスーパーヒーロー同志の内戦には、大きなカラクリが隠されている。
オズボーンがアトランティスの使節団を銃撃し、アトランティスとの戦争を引き起こしかけた事件も、ある人物が裏で手引きしていたのだ。
ベンとサリー、二人の記者が掴んだシビル・ウォーの真実とは果たして?

◆THE ACEEUSED(非難を受ける者)
スタンフォードでの爆発事件について証言するために議会に向かう途中、遺族である男……爆発事件で死亡した娘の父親、ストリッカーからの銃撃を受けて重傷を負ったスピードボール。
彼はすぐさま救急車で搬送される事となったが、病院に向かう途中で何かのエネルギーが暴走し、救急車が電気系統の大きな故障を起こし、他の車に激突するという大事故が発生した。

意識を失ったスピードボールはシールドに保護され、ファンタスティック・フォーのリードによる分析を受ける。
その結果、彼は極端な刺激を受けたことで未確認の新たなパワーが発現しつつある可能性がある事が判明する。
だが、スピードボールをこのままにしておけないシールドのマリア・ヒルはリードにモルヒネを投与させて強制的に目覚めさせる命令を出し、さらに監獄……再建されたラフトに再移送させる決断を下す。

その後意識を取り戻し、新たに発言した能力を使用してラフトで起こった囚人たちの暴動を抑えたスピードボールは登録側に付くことを職員に話し、ついに釈放。彼は自由の身となった。
そしてスピードボールは、自分を撃ったことで刑務所に収監されている男、ストリッカーと面会する。
超人登録法のシンボルとなったスピードボールは政府に登録する際、「オレが登録する代わりにストリッカーを放免しろ」という条件を突き付けていたのだ。
だが無罪放免となったところで、ストリッカーが爆発事件で大事な娘を失ったことに対するスピードボールへの憎しみが消えるわけではない。

遺族の憎しみ

泣きわめくストリッカーを尻目に釈放されたスピードボールは、手を差し伸べようとするリードの助けを断り、スピードボールとしてのコスチュームを焼き捨てて、新たなコスチュームを用立てる。
そのコスチュームは、スタンフォードの爆発事件で死んだ犠牲者の数と同じ612ものスパイクが内部に仕込まれ、身体に食い込んでいくという想像を絶する苦痛を伴う物である。
加えて、サラ・ストリッカー……先ほどの男の娘にあたる少女の分のスパイクは心臓のすぐ横に配置されている。

スピードボールが新たに発現した能力は、苦痛と引き換えに爆発を起こす事ができるというスーパーパワーだったのだ。
罪の無い人々の死を忘れないようにするため、彼は身体に刺さる棘で自らに苦痛を与え続けるコスチュームを身にまとう事に決めた。
この日、ロビー・ボールドウィンという男は死に、スピードボールというヒーローも死んだ。
今ここに立っているのは、痛みを感じることでしか能力を発現できない『ペナンス(贖罪)』という男である。

ペナンス誕生

◆感想
絵面は少々地味だけども、ストーリー展開はこれまで刊行されたシビル・ウォータイインの中でも屈指のデキ。
どちらに正義があるのかを単純には推し量れないクロスオーバーイベントであるシビル・ウォーをより丁寧に補完している一作でした。
本編や一部のタイインだけを見ると政府寄りのアイアンマンが“悪”に見えなくもないんだけど、本作では理想に拘る反対派のキャプテン・アメリカが否定的に描写されている一方で、(行動の是非はともかくとして)アイアンマンがいかに大局を見据えていたかが描かれています。
必ずしもどちらかが正しくてどちらかが間違っているというわけではない。
「WHOSE SIDE ARE YOU ON?」という本クロスオーバーシリーズのキャッチコピーが一番ハマっているタイインだと思いましたね。

あと、スピードボールのその後を描く『THE ACEEUSED』は、シビル・ウォーというクロスオーバーイベントを『ペナンス』という新たなダークヒーローの誕生譚……オリジンにするという試みが本当に面白かった。
個人的にフロントラインで一番読み応えのあるエピソードでしたよ!
しかし、陽気で口数の多いポスト・スパイダーマンとして作られたヒーローであるスピードボールが、こんな思い切ったテコ入れを施されるとは。

ちなみにこれ以降のペナンスはオズボーンに洗脳され、彼の下で未登録のスーパーヒーローを狩るサンダーボルツの一員となるもののチームを脱走。
爆発事件を起こした元凶であるビラン、ナイトロがラトベリアのドクター・ドゥームの城に居ることを掴み、ウルヴァリンの協力を得て対峙する事になります。
そして激闘の末ナイトロを打倒し、彼にペナンスのコスチュームを着せて内側にあるスパイクの数がスタンフォードで死亡した人間の数である事を説明、見事復讐を果たすのですが……ロビーの精神は不安定になってしまい、キャンプハモンドに身を寄せる事に。


それからは色々あって、スピードボールとしてヒーローに再度復帰するのですが(雑説明)。
復帰後の彼の姿は邦訳では『アントマン:シーズンワン』に同時収録されている『Avengers Academy #1』でほんの少し確認できます。
気になる人はこちらも是非。
あと、ペナンスの活躍は邦訳『シークレット・インベージョン』でも一応拝めます。
大量に描かれているキャラのうちの一人ってだけだけど。
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