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31 2016

ブライアン・マイケル・ベンディス&マイケル・ゲイドス他/ジェシカ・ジョーンズ:エイリアス AKA 謎の依頼者

エイリアス表紙

『鍵とかリモコンとかなくす事があるわよね?
 家中ひっくり返して探し回って…
 けど見つからなくてキレそうになる事が。
 でも家のどこかにあるはずで…
 それから突然…探し物が目の前のテーブルにずっと置かれていた事に気づく。
 そしてそれが異次元から来たかのように眺める。
 信じられないのだ。目の前の品物にずっと気づかなかった自分の間抜けぶりが。
 目の前にずっとあったなんて。
 私はホントに宇宙一の間抜けだ』


SHE WAS A COSTUMED SUPER HERO
- -
BUT NOT A GOOD ONE


ニューヨークの路地裏で小さな私立探偵事務所を営むジェシカ・ジョーンズ。
どこにでもいる平凡な外見の彼女には、もう一つの顔があった。
彼女はスーパーパワーの持ち主だったのだ。
彼女はなぜ、コスチュームを捨てたのか。
彼女の過去には何があったのか。
謎めいた過去を秘めたジェシカを、さらなる闇が呑み込んでいく。

ドラマ化で話題の新感覚のクライムコミック、ここに登場。


◆収録作品

2001年11月:Alias #1
2001年12月:Alias #2
2002年01月:Alias #3
2002年02月:Alias #4
2002年03月:Alias #5
2002年04月:Alias #6
2002年05月:Alias #7
2002年06月:Alias #8
2002年07月:Alias #9


◆BREAKING WITH COME
本作『エイリアス』の主人公は、スーパーヒーローである事を辞め、探偵業を営んでいる独り身の女性、ジェシカ・ジョーンズ。
これまでの邦訳だと主にニューアベンジャーズシリーズルーク・ケイジの奥さんとして何度も登場していたキャラですね。
そういうのもあって自分としては完全な脇役キャラというイメージの強い人物だったのですが、Netflixオリジナルのマーベルドラマ第2弾としてまさかの主役実写化。
ヴィレッジブックスからドラマの原作コミックとして、本作が邦訳される運びとなったのでした。

『エイリアス』は、ジェシカ・ジョーンズの歴史的初登場となるコミックであり、いきなり主役としてデビューしていたキャラだったというのが地味に驚き。
(厳密には後付け設定で1963年9月の「Amazing Spider-Man #4」に出てた事になってるけど)
しかも私立探偵という設定のジェシカを主役にしたリアルなサスペンス物というだけでなく、18歳以上を対象とした大人向けのレーベル……“MAX”レーベルでの刊行でありながら、独自の並行世界を用意せず正史のストーリーとして展開していくのだからまた挑戦的。

大人な会話
ルーク・ケイジとのオトナな会話
この頃はまだ夫婦どころか恋人同士ですら無いのだが……

作中の描写もかな~り危険な部分をスレスレで描いているという印象で、それがまた面白い。
最初のエピソードは「行方が分からなくなった妹を探して欲しい」という依頼を受けるという物なのですが、その調査の過程でジェシカはキャプテン・アメリカの正体を掴んでしまい、政治的影響力の塊である彼の正体を抑えたビデオの扱いに悩む羽目になった上、捜索対象者である依頼人の妹が何者かによって殺害、依頼人も行方が掴めなくなり、いつの間にか自分が殺人事件の容疑者として警察に疑われる事になるという、明らかに何か大きな陰謀が潜んでいる展開に。

上記のエピソードは#6で完結し、#7からはハルクのサポートキャラとして有名なリック・ジョーンズが絡むエピソードが展開。
リックの妻を名乗るジェーンという女性の依頼で、行方不明になったリックを探す事になったジェシカ。
足を使った調査であっさりリックの居場所は判明するのだが、リックの話を聞くと彼は「自分の命を狙う異星人のクリーやスクラル」から身を隠しているらしく……というお話。
リック・ジョーンズというキャラクターに大きく踏み込んでいくエピソードになるかと思いきや、まさかのオチが待ち受けているこれまた捻られた一作でした。

戦争犯罪者リック・ジョーンズ

キャプテン・アメリカもリック・ジョーンズも他作品で活躍しているキャラクターであり、変に扱いを間違えれば設定に大きな影響を与えてしまいかねないのですが、それでも正史作品として世界観を共有する事を優先したのですから実にチャレンジブル。

◆感想
ヒーロー物というよりはほぼノワール物の作品なので、同じくライターを担当しているベンディスのニューアベンジャーズのような作風を期待して読むとまず面食らうかもしれない。
ベンディスは純粋なヒーロー物を得意としているイメージがあったんですが、本来は犯罪物志向な方なのだとか。
でも大量の吹き出しを用いて行うとりとめのない会話劇……通称ベンディス会話は本作でも健在。
それとニューアベンジャーズのジェシカは快活な性格の女性だったので、本作のやさぐれキャラな彼女の姿はなかなか新鮮でしたね。

謎と陰謀が渦巻くミステリアスで暴力的な展開と、ドロドロした内容や会話が続いていく一方で事件解決後のラストシーンは中々爽やかという、絶妙なバランスが堪らない一作でした。
単純にサスペンス物が好きな人にもオススメしたい!18歳以上が対象のレーベルといっても基本的には下品なセリフ回しが解禁されているというだけであって、そこまでショッキングな描写は無いです。

ちなみにですが、エイリアスは全28話のコミックであり、本書単独ではジェシカがコスチュームを捨てた理由やその過去についてははっきりとは明かされずに終わってしまいます。
一応作中で起こる事件が解決するキリの良い所までは収録されているんですけどね。できることなら最後まで邦訳されてほしい次第……!

ジュエル時代の写真
気になるジェシカのスーパーヒーロー時代……『ジュエル』としての過去

  
TPBでは全4巻 今回邦訳されたのはこのバージョンの第1巻

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