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29 2016

アダム・グラス&フェデリコ・ダロッチオ他/スーサイド・スクワッド:悪虐の狂宴(THE NEW 52!)

スーサイドスクワッド悪虐の狂宴表紙

『信頼できるのは自分しかいない。
 ずっと一匹狼だった俺が加入させられたのは…スーサイド・スクワッド。
 刑務所から拉致され、ナノ爆弾を埋め込まれ、
 極秘任務に送られたスーパーヴィランたち。
 俺の仲間はクズばかり。
 素人。野獣。正義漢。パープリン女』


スーサイド・スクワッド――
それは減刑と引き換えに、政府の極秘任務を押しつけられた
スーパーヴィランの特殊部隊。
命令に服従させるために、首にはナノ爆弾を埋め込まれている。
命の価値はゼロ、倫理観もゼロ、死と暴力は日常茶飯事。
奴らの最初の標的は6万人の生体兵器。
世界規模の脅威を解決できるのは、スーサイド・スクワッドだけ。
ただし、奴らが仲間同士で殺し合わなければ……。


◆収録作品

2011年11月:Suicide Squad Vol.4 #1
2011年12月:Suicide Squad Vol.4 #2
2012年01月:Suicide Squad Vol.4 #3
2012年02月:Suicide Squad Vol.4 #4
2012年03月:Suicide Squad Vol.4 #5
2012年04月:Suicide Squad Vol.4 #6
2012年05月:Suicide Squad Vol.4 #7


◆KICKED IN THE TEETH
実写映画版の情報も増え、じわじわと注目度が上がっているDCコミックス作品『スーサイド・スクワッド』


この映画公開に先駆けて、小プロからニュー52版(第4シリーズ)の邦訳版が刊行!映画版はキャラチョイスを見るにこのニュー52版が下敷きになっているようなんで嬉しい限り。
以前にヴィレッジブックスから発売された『NEW52:エッジ』で1話だけ、小プロから発売された『ジョーカー:喪われた絆〈上巻〉』で14~15話が邦訳されていましたが、単行本が丸々1冊翻訳されたのは今回が初。

レビューの前に、まずは「スーサイド・スクワッド」についてざっくりと解説。

初代スーサイド・スクワッド

「スーサイド・スクワッド」の初出は、1959年9月に刊行された「Brave and the Bold」誌の#25。
当時のスーサイド・スクワッドとは、政府の秘密機関タスクフォースXに所属する二人の軍人、そして二人の科学者からなる隠密部隊であり、世界各地に潜む怪獣や謎の存在と対峙していくというアクション物で、全7回に渡って連載されました。

ただ結果としてあまり人気が得られなかった事もあり、人々に忘れ去られかけていたチームだったのですが……その後1987年に創刊された「スーサイド・スクワッド」の新シリーズは大きく注目を集めることに!

スーサイド・スクワッド新シリーズ

このシリーズは旧来のシリーズとは大きくコンセプトを変更し、スーパーヴィランで構成されるチーム物に変化。
政府からの減刑や恩赦と引き換えに雑多に集められたスーパーヴィランがスーサイド・スクワッドに参加し、自殺的な過酷過ぎる任務に挑むという内容に様変わり。
容赦なく戦死者が出る展開と、様々なヴィランのバックグラウンドが掘り下げられていくという作風が好評を博し、長く続くシリーズ物にまで成長したのです。

今回邦訳されたのは、2011年にスタートし、設定や世界観が変更され完全な仕切り直しが図られたニュー52版(第4シリーズ)。
歴代初の参加者となるハーレイ・クインが新メンバーとして大暴れする、大注目の一冊です。

開幕拷問

第1話はいきなり任務に失敗し、チームメンバーが敵に拷問されているというシーンからスタート。
拷問描写がとことん痛々しくてグロく、合間合間に各メンバーがどういう経緯でスーサイド・スクワッドに参加する羽目になったのかが語られる内容。
しかも命令に逆らえないよう、メンバーの首には時限式のナノ爆弾が埋め込まれているという鬼畜な設定。
ただでさえ命賭けの任務ばかり振られているのに、万が一の時は自動的に爆死せざるを得ないというのがほんと酷い。ヴィランの命はトイレットペーパーよりも軽い。

参加メンバーは一癖も二癖もある奴らばかりで、まさにヴィランな狂人もいれば既に更生した人格者もおり実に多種多様。
中核メンバーであるデッドショットはニヒルな暗殺者。
炎を操るエル・ディアブロは過去の罪を償い、善人になる努力を惜しまない男。
ジョーカーの名パートナーであるハーレイ・クインは今作では非常にサイコでエロティック。
ブラックスパイダーは容赦なく悪人の命を奪ってきたことで投獄されたビジランテ。
そしてサメ頭がインパクト大なキングシャークは人肉を喰らうカニバリスト。

この他にも様々なヴィランや敵キャラが登場するのですが、ちょっと油断するとあっさり命を落としていくのでとことん展開が読めない。
チームメンバー同士の信頼関係も無いに等しい為、あっさり切り捨てられる事もザラな乾いた作風。
と思ったら意外な形で生存が判明したりで驚かされる。
兎にも角にも、ジャスティス・リーグのようなスーパーヒーローチーム物とは全く正反対の魅力に溢れている一作なのは間違いないです。

制限時間がカツカツ過ぎる

◆感想
面白かった!

バイオレンス要素の強い「エッジ」カテゴリーの作品なだけあってグロいわ殺伐としてるわな過激な作風ですが、そういうのに抵抗がない、むしろ大好物だという人には超オススメ。いつ誰が命を落とすかわからないハラハラ感も堪らないね。
DCヴィランが入れ替わり立ち替わりで登場する賑やかさも楽しいし、悪辣なヴィランたちや、彼らに冷酷な指令を下す女指揮官アマンダ・ウォラーが作中でほんのり見せる人間臭い部分も話を盛り上げるスパイスとして良い感じに機能していると思う。

あとハーレイ・クインのニュー52版オリジンが作中で描かれているんですが、精神分析医時代の下りは以前刊行された『DCキャラクターズ:オリジン』よりも密な描写となっているのでハーレイファンは要チェックかも。

ハーレイ・クイン新オリジン

詳細は省きますが、旧来の「ジョーカーと対話を続けている内に心酔するようになった」という設定なだけでは無くなり、ハーレイが恋に落ちた理由の説得力がより増した感じに。

本作、スーサイド・スクワッド第4シリーズは全30話。
すごく面白い作品だったんで、できる事なら今後も刊行が続いて欲しい……
とりあえず2巻目までは刊行の意志があるみたいなので、まずは無事発売される事に期待したいな!

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