ツルゴアXXX

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31 2015

スコット・スナイダー&ジム・リー他/スーパーマン:アンチェインド

スーパーマンアンチェインド表紙

『第一に、レイスの存在を知った。
 少なくとも彼の存在を示唆する十分な材料を手に入れた。
 だが、スーパーマンに関する発見はそれ以上の驚異だった。
 それまで見た彼の様子から私が期待したのは、
 確固たる信念のために戦う男の姿だった。
 自分を知り、何が最善かを確信した人物の姿が浮かび上がると思っていたのだ。
 だが観測結果から浮かんだ彼の行動は、試行錯誤の連続だった。
 独裁者を倒す。するともっと悪い後継者が現れる。
 以後はそんな事をせずに紛争への介入を避ける。
 すると事態は悪化する。以後は早期に関与する。
 それでわかった。彼に信念など存在しないのだと。
 彼は、手探りで人生を生きる普通の男なのだ。
 人々を導くまばゆい灯台などではない。
 せいぜい、足下を暗く照らすかすかな蝋燭と言ったところだ。
 そしてご存じの通り…蝋燭の火は消えやすい』


BIGGEST
SECRET
UNCHAINED
AT LAST!


不可解な衛星同時墜落事件が発生。
対策に奔走したスーパーマンは、
意外な真相に辿り着く。

事件の裏には、75年もの間、
合衆国政府と軍が秘匿し続けてきた
極秘計画が存在していたのだ。

スーパーマンの生存にすら関わる
その計画の目的とは、果たして何か……。

現代のDCコミックスを代表するトップクリエイター、
スコット・スナイダーとジム・リーが手を組んだ
スーパーマン生誕75周年記念超大作、
ここに登場!


◆収録作品

2013年08月:Superman Unchained #1
2013年09月:Superman Unchained #2
2013年10月:Superman Unchained #3
2013年12月:Superman Unchained #4
2014年01月:Superman Unchained #5
2014年04月:Superman Unchained #6
2014年07月:Superman Unchained #7
2014年11月:Superman Unchained #8
2015年01月:Superman Unchained #9


◆N O M O R E H I D I N G !
2014年11月に開催された『海外マンガフェスタ』でのジム・リーのトークライブで邦訳版が刊行されることが判明した、スーパーマン生誕75周年記念作品『スーパーマン:アンチェインド』
「再来年(2016年)頭に刊行する」という公約よりも少し早い、2015年12月26日に邦訳版が発売されたのでした!

ライターはニュー52版バットマンのストーリーを手掛ける実力派のスコット・スナイダー。
そしてアーティストは未だ衰えることなくスタイリッシュでダイナミックな絵を描き続けているジム・リーが担当!
なんだこの黄金コンビ!?最高かー!!

で、本作『スーパーマン:アンチェインド』なんですけども、75周年記念作品という事でスーパーマンの歴史を俯瞰したり、様々なキャラが総出演する集大成的なコミックになっているかと言うと別にそういうわけではありません。
世界観も別アースにしているわけではなく、きっちりニュー52の正史に組み込まれた一編としてストーリーが展開していきます。ニュー52版スープスのイメージを壊さない、もうホント王道なアクション物。
(解説によると本作は当初アクションコミックス誌、スーパーマン誌に続く第3のレギュラー誌として想定されていたとか)

ですがそこはスコット・スナイダー。生誕75周年を記念した作品である事をしっかり意識した作りに仕上げており、要所要所でスーパーマンというキャラクターと歴史の重みを再認識させるギミックを盛り込んでくれています。

本作に登場する異星人レイスは、スーパーマンが地球にやってくる遥か昔……75年も前に地球に到達した人物。
ルドルフ将軍という軍人に拾われた彼はザ・マシンという研究機関に保護され、アメリカ政府の意志に従って動く軍の秘密兵器として長きに渡り活動し続けているのです。

スープスとレイス
レイスは世界平和の維持に貢献してきた人物であり、
ある意味ではもう一人のスーパーマンといえる存在
アメリカに従ってその身を尽くすレイスの姿はメタ的な見方をするならば、
ある種スーパーマンをよく知らない一般層が持つスーパーマンのイメージに近いキャラ

ヒロインのロイスが大事件に首を突っ込んで危険な目に遭ってしまいスーパーマンに救われる下りや、持ち前の頭脳であっさり脱獄し、スーパーマンを始末するために計画を練るルーサー、「鳥だ!」「飛行機だ!」「スーパーマンだ!」という有名フレーズを挟みこんだりなど、おなじみな要素も色々。
あと狙っているのかは分からないけど、#7で披露する異星の装備に身を包んだスーパーマンの姿は実に90年代テイストに溢れていました。

90年代のエクストリーム感溢れる装備に身を包むスープス
どうですかこの90年代アメコミ感溢れるボデー!

嫌いじゃないこのゴテゴテ感。

◆感想
ちょっと驚いたのはスコット・スナイダーがここまで王道で爽快なアクション活劇を書ける人だったという点。
普段は邦訳バットマンのスナイダー作品ばかりを読んでいたんで、アクションはやや控えめでサスペンス方面を得意とするライターだと思い込んでいたんですよね。こういう熱い作風も普通にイケる人だったんだ……
その上でアートがジム・リーなんだからもう最高だよね(2回目)。

あと、レイスがスーパーマンに「地球人への変装は長くは続かない」と指摘するシーン。
異星人であるスーパーマンは地球人と同じように年を重ねることはできない。

老いていく周囲と若いままの自分
ばれないように若さを隠した化粧はするが、周囲が老いていく一方でスーパーマンは若いまま
次のページでは誰も居なくなったデイリー・プラネットの扉を開けてこちらを見つめるスーパーマンの姿が

アマゾンのレビューにも書かれている方がいるんですが、この場面は地球人として生きる事の無意味さをレイスが説いているというだけではなく、いつまでも連載が続いていくスーパーマンのコミックと、年を重ねて老いていく読者との関係性を描写しているのではないかとメタ的に解釈もできる切ない1シーンに映らなくもない。
こういう「メタ」な部分を自然に描いているのも本作「スーパーマン:アンチェインド」の魅力の一つであると思います。
他人の為に全力を尽くし、常に犠牲を出さない最善の方法を模索して戦い続ける高潔なヒーロー、スーパーマンの活躍を存分に味わえる一作でした。

ちなみに本作はスーパーマン物ではありますが、バットマンも結構活躍する場面が多いのでバッツファンは要チェック!
例によって強力なガジェットを用いて人外の強敵と普通に渡り合ったり、あと大量の自動操縦バットモービルを繰り出して攻撃するド派手な戦闘シーンがたまらなすぎるので是非見てみて欲しい。

♫バッツ
このシーンのバッツが楽しそうで良い

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2 Comments

No Name  

NEW52!のスーパーマンって従来のそれにくらべてどこか頼りないところがあるんですよね。でも最後のほうのルーサーがスーパーマンの行動をプロファイルしているシーンでその理由もはっきりする。NEW52!での彼が初めてよくわかった一冊でした。

2016/01/08 (Fri) 16:03 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
ルーサーによるスーパーマン評の下りはかなりの名長台詞でしたねー。
高潔なヒーローというイメージは変わらないけれども、ニュー52のスーパーマンは年齢設定の引き下げもあり、リランチ前とはまたちょっと違う魅力があって大好きです。

2016/01/12 (Tue) 17:24 | EDIT | REPLY |   

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