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27 2015

マーク・スメラク&グリヒル他/パワーパック:デイ・ワン

パワーパック表紙
『アレックス!ジュリー!ジャック!ケイティ!
 我らがパワー四兄妹に宿るは、
 異星人より託された驚異のミラクルパワー!
 地球の平和は、ゼロ-G、ライトスピード、
 マス・マスター、エナジャイザーに……
 宿題しちゃうからちょっと待ってて!
 最年少ヒーローチーム“パワーパック”参上!』

GRAVITY, VELOCITY, DENSITY and ENERGY...
WE HAVE THE POWERS!


重力を自在に操るゼロ-G!
光速で空を駆けるライトスピード!
密度を変化させるマス・マスター!
人間蓄電池エナジャイザー!
スーパーパワーの4人組、その名はパワーパック!

だが、彼らには重大な秘密があった。
このパワーの事は、両親には内緒なのだ。
だって4人は……子供だから!

未成年どころか、ティーンですらないお子様ヒーローのオリジンストーリー『パワーパック:デイ・ワン』と、大先輩のアベンジャーズと競演した『アベンジャーズ・アンド・パワーパック・アセンブル!』をカップリング!

日本人アーティスト、グリヒルの魅力が詰まった待望のシリーズ、ついに日本上陸!


◆収録作品

2006年06月:Avengers and Power Pack Assemble! #1
2006年07月:Avengers and Power Pack Assemble! #2
2006年08月:Avengers and Power Pack Assemble! #3
2006年09月:Avengers and Power Pack Assemble! #4
2008年05月:Power Pack: Day One #1
2008年06月:Power Pack: Day One #2
2008年07月:Power Pack: Day One #3
2008年08月:Power Pack: Day One #4


◆ALL-NEW, ALL-DIFFERENT POWER PACK
ここ最近はアメコミファンぐらいしか知らなさそうなキャラが主役の邦訳が充実してきています。
その流れは未だとどまることを知らず、今度はヴィレッジブックスからヒーローチーム「パワーパック」の邦訳コミックが刊行!!
しかも邦訳版のカバーは本作のアーティスト、グリヒルの描き下ろしだ!
(あと本書同封のグリヒルインタビューのペーパーの裏面にも描き下ろしが)

パワーパックは別に日本国内で大きく話題になったわけでもなく、向こうで映像化されてるわけでもないのにこのチョイス……一体何が起こっているんだ……
基本バットマンぐらいしか邦訳が出なかった一昔前を思うと信じられない状況ですね。

レビューの前にこのヒーローチーム、「パワーパック」について簡潔に説明。
パワーパックは1984年にデビューしたヒーローチーム。
主人公は宇宙人によって超能力を与えられた、ティーンですらないパワー家の4人兄妹の子供たち!

自分自身や他の物体の重力を操ることが出来る、ゼロ-Gこと長男アレックス、12歳。
飛行能力だけでなく超スピードで動き回ることが可能な、ライトスピードこと長女ジュリー、10歳。
身体の質量を自在に圧縮、分散させる能力を持つ、マス・マスターこと次男ジャック、8歳。
そして最後はエネルギーを吸収して放つことができる能力のエネジャイザーこと次女ケイティ、5歳!
まさに子供版ファンタスティック・フォーといえるコミックに仕上がっています。
アメコミのヒーローチームには珍しく、戦隊ヒーローのような色分けがなされているのも特徴……っていうかアメコミではこういう色分けが珍しいっていうのは解説冊子で初めて知ったんですけども(受け売り)。

パワーパック第1シリーズ
記念すべき第1シリーズ 62号まで続く人気作品にまで成長した

ただこの作品、子供が主役といっても内容的にはやや高めの年齢層の読者を想定しており、いじめ、家庭内暴力、麻薬などといった子供に絡めた社会問題を取り上げていくという結構シリアスなコミックだったのだとか。

パワーパック第2シリーズ
こちらは2000年に復活した第2シリーズ
全4号のミニシリーズであり、少しだけ成長したパワーパックが描かれた

シリーズが終了して以降、パワーパックの露出は減りつつあったのですが……21世紀初頭のマーベルは児童層に向けたタイトル群の展開に取り組み始め、その一環として2005年にパワーパックの第3シリーズを刊行!
新人ライターのマーク・スメラク、そしてこれまた新人の日本人アーティストユニット、グリヒルを起用し、今度は明確に子供を対象とした作品としてリメイクしたのでした!

パワーパック第3シリーズ
第3シリーズはこれまた全4号のミニシリーズ
しかし第3シリーズ完結後も様々なミニシリーズが刊行されており、
今回の邦訳本はその中から2つのエピソードがチョイスされている

ちなみに本作、リメイク版パワーパックは正史世界アース-616ではなく、並行世界アース-5631が舞台。
完全にこのリメイク版パワーパックのためだけに用意された並行世界なので、基本的には他作品の知識がほぼ不要でストーリーに入り込みやすいのが嬉しいポイント。
ただ作中で登場するアベンジャーズのメンツがほぼ当時のニューアベンジャーズ誌の面々だったりして、非常に正史世界と似通ってはいるんですけどね。

ちなみに現在、アース-616のパワーパックもかなりコミックでの出番は減りましたがたま~に顔を見せています。
そういえばこないだ発売した『デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター』にもちらっと登場していました。

それじゃそろそろ本編部分の紹介を。

最初に収録されているエピソード『パワーパック:デイ・ワン』はヒーローチーム、ファンタスティック・フォーのリーダー、リード・リチャーズの息子フランクリンをパワー家で預かることになり、夜子供たちでお喋りしている流れでパワーパックのオリジンが回想形式で語られていくというお話です。

アレックスたちの父親であり、発明家でもあるジェイムズは膨大なエネルギーを生成する反物質ジェネレーター『アナイアレイター』を開発したのですが、これは使いようによっては兵器にもなる危険なシロモノ。
その結果どこから情報を掴んだのか、この発明の構造を聞き出して宇宙征服に繋げるために宇宙人の種族、スナークが地球に現れてパワー家を襲撃。
なんとアレックスたちの両親が連れ去られてしまう!

しかしそこにスナークのライバル種族であるカイメリアンのホワイティという馬のような外見の宇宙人が介入。
罪のない地球人を宇宙征服の手先にしまいとスナークたちと戦うのですが、ジャックを庇って重態を負ってしまう。
そこでホワイティは最後の力を振り絞り、パワー家の子供たちに自分の能力をひとつずつ分け与え、スーパーヒーローとして覚醒させるのでした!

パワーパック誕生
パワーパックの誕生

果たして子供たちは愛する両親を無事悪の宇宙人から救い出し、さらに地球の危機を救うことが出来るのか……!?

次は2本目の収録エピソード、『アベンジャーズ・アンド・パワーパック・アセンブル!』の紹介。後に収録されているけど『デイ・ワン』よりも前に制作された作品です。
こちらは1話毎に色んなアベンジャーズのメンバーと競演していく内容。

#1の退役軍人の老人ホーム慰問回ではキャプテン・アメリカの戦友であるおじいちゃんと一緒に戦ったり(もちろんキャップも登場)、#2ではAIMの手によってスターク・エンタープライズの倉庫から盗まれた新型アーマーをアイアンマンと一緒に取り戻したり、#3ではとうとうアベンジャーズ全員と共闘したりと実に盛りだくさん!

あのさぁ…
救援にきたヒーローがまさかの子供たちで流石にうろたえるスパイディ

しかも#4ではパワーパックが崩壊した未来世界に飛ばされて、成長した自分たちとチームアップするという実にアメコミらしい展開が待ち受けています。
美人なお姉さんになっているケイティや、完全にアイアンマン化しているマス・マスターの姿は必見。

◆感想
コミックなのに向こうのカートゥーンアニメを見ているような気分になれる楽しい一作だった!
というかもうグリヒルのアートが魅力的すぎる!
ディズニー作品に影響を受けたという氏のアートがほんっとうにカワイイ。

一方でストーリーは対象年齢が対象年齢なので本当にシンプルです。
普段の邦訳タイトルのような濃密な心理描写やストーリーに期待し過ぎるとちょっとあれかも。
ただシリアス過ぎる正史世界の作品を読んでちょっと気が滅入ったときとかの後は、これぐらいあっさりで快活なコミックの方が読みたくなるな!

あと子供向けということで戦闘シーンは多いものの、暴力的表現は徹底的に抑えられています。
タスクマスターが武器を使わなかったりウルヴァリンの爪攻撃が見えづらく描かれていたりと、向こうの表現規制が垣間見れて逆に面白い。

もう単純に爽快なアクションとグリヒルのアートを堪能するための一冊じゃないかな!
「この絵いいな……」と少しでも感じた人は買ってみても損しないと思う。
ディズニーは前にマーベル作品の「ビッグヒーロー6(ベイマックス)」を映画化したわけだし、次はこのパワーパックの3Dアニメとかどうだろうか(提案)。

学習漫画チック
本書の巻末には学習漫画チックなオマケコミックが収録されています
こちらのアートはコリン・クーバーという方

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2 Comments

GMN  

映画「F4超能力ユニット」のDVDに同胞されてたコミックでグリヒル版が、マーヴルクロスの何号か目に載ってた単発のウルヴァリン(バリーウインザースミスがアートの奴)にエナジャイザーが出てたので、そこそこ日本でも知名度はある方じゃないでしょうか?少なくともアルファフライトと同等くらいには(笑)
パワーパックも映画作ってくれないかな~ウルヴァリンとF4もゲストで出せばいけるんじゃ?と昔から思ってるのですが、子役は成長も速いし、シリーズ化は難しそうだからCGアニメとかが良いのかもしれませんね。

2015/12/29 (Tue) 00:15 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>GMNさん
>DVDに同胞されてたコミックでグリヒル版が
知らなかった そんなの…
#3だけとはいえ読んでみたい!

2015/12/31 (Thu) 15:25 | EDIT | REPLY |   

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