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20 2015

ジェリー・ダガン&デクラン・シャルベイ他/デッドプール Vol.3:グッド・バッド・アンド・アグリー

デッドプールグッドバッドアンドアグリー表紙
「プレストン、俺は過去の記憶が複数あるんだ。
 笑える過去。恐ろしい過去」

「どれが真実なのか、まだわからないわ」
「ここの設備は紛れもない現実だ。
 だが、最低なのはそれじゃない」

「なあに?」
「お前はクズだと言われると、自分でもそう思い始める。
 俺を汚したのは赤の他人じゃない。俺自身だ」

「かもしれないわ。
 でも、それはあの外道たちがあなたの記憶や思考力を故意に歪めたからよ」

「ああ。バトラーだろうが、キルブルー博士だろうが、絶対に許しゃしねぇ。
 ただ、俺自身にも責任はある。
 俺自身が愚かだったから、手玉に取られた。
 だが、今は違う」

明かされるデッドプールの過去、
ミュータント遺伝子を移植された被験体…
某国が極秘裏に進める新兵器計画にデッドプールの怒りが炸裂!

極東アジアの某国で進む極秘の実験。それは、人間を兵器化するための非道な人体実験だった。
デッドプールが、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリンと共闘し、その強大な陰謀に立ち向かう。
「マーベル・ナウ!」シリーズのデッドプール第3巻は、シリアスなドラマとド派手なアクションが絡み合う必見の一作!


◆収録作品

2013年09月:Deadpool Vol.3 #13
2013年10月:Deadpool Vol.3 #14
2013年10月:Deadpool Vol.3 #15
2013年11月:Deadpool Vol.3 #16
2013年11月:Deadpool Vol.3 #17
2013年12月:Deadpool Vol.3 #18
2014年01月:Deadpool Vol.3 #19


◆関連作品過去記事
【デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント】
【デッドプール Vol.2:ソウル・ハンター】

◆Dの悲劇
意外とギャグはほどほどでシリアス度が高めなデッドプール第3シリーズの邦訳本第3巻、『グッド・バッド・アンド・アグリー』が発売になりました。
お気づきの方も多いでしょうが、タイトルの『グッド・バッド・アンド・アグリー(The Good, the Bad and the Ugly)』は映画『続・夕陽のガンマン』の原題を引用しております。
意味は「善玉、悪玉、卑劣漢」

1巻はゾンビ大統領、2巻は悪魔と契約した人間達という風にキワモノな敵とばかり戦ってきましたが、この第3巻で対峙する相手はなんと北朝鮮。

とうとう来るところまで来てしまった感がある……ちなみに流石に北朝鮮という名前を直接出すのは危ないと判断されたのか、小プロの公式サイトや通販の内容紹介では「極東アジアの某国」とややボカシ気味の表現がなされております。
でも本編ではしっかり「北朝鮮」という固有名詞を出している模様。大丈夫なのか!?

……とまあ、これだけ見ると相変わらず危険なネタで読者を楽しませていく作風に思われそうですが、実はこの第3巻、前2巻以上に相当シリアス。大笑いできるギャグをやってくれるのは序盤2話のルーク・ケイジ&アイアンフィストとの共闘回ぐらいなんですが、この回も後のシリアス展開に関わる大事な伏線を張っているエピソードなのです。
このギャグ回はルークとアイアンフィストコンビに勝手に仲間意識を持って絡むデップーがウザ面白い。

ギャグ回に見えて現代のシリアスエピソードに繋がる重要回
1977年に制作されたもののスタン・リーの判断でお蔵入りにされた……
という体で描かれたデッドプールの過去エピソード
相手を石にしてしまうホワイトマンとの戦いを描くハチャメチャなギャグ回なのだが、
これが今回のシリアスなメインストーリー「北朝鮮編」の超重要展開に繋がっていく

時系列が現代に戻り、頻繁に自分を襲撃しては臓器を回収していく謎の傭兵軍団を指揮していた人物がかつての超人兵士計画……ウェポン・プラス絡みの人間、バトラーという人物である事を掴んだデッドプールは、逆に彼を返り討ちにするために同じくウェポン・プラスによってスーパーパワーを得たウルヴァリン、そしてキャプテン・アメリカに共闘を要請する。
そして遠く離れた極東アジアの国、北朝鮮でデッドプールが見たものは、自分のDNAを用いてX遺伝子を移植され、無理矢理超人に仕立てあげられた無残な姿の兵士たちだった……

自分を実験動物のように扱ったバトラーに怒るデッドプール。
さらに、これまでウェポン・プラスでの実験で投与された数々のドラッグの所為で記憶を失っていたが、自分にはエレノアという娘がおり、現在はこの北朝鮮の施設に収容されているという衝撃の事実を知る。

デッドプールはようやく存在を思い出した生き別れの大切な娘を救うため、同じく家族を収容されて働かされている北朝鮮の超人兵士たち、そしてウルヴァリン、キャプテン・アメリカと協力して大反乱を起こすのだった!

北朝鮮版X=MEN
北朝鮮版X-MENのみなさん
◆感想
デッドプールという男を生み出した超人兵士計画、そしてこの計画によって失う事になった彼の家族……この2つの重要事項を密接に絡ませながらデッドプールの過去が解き明かされていくという重くシリアスな一作。
そのためデッドプールのいつもの軽口もかなり控えめ。でも本当に面白いエピソードだった。

1巻の解説冊子で語られていたのですが、デッドプール第3シリーズのテーマは“家族”なんですよね。
読み始めた当初は孤独なデッドプールのキャラ的に意外すぎるテーマだと思っていたのですが、これが予想していた以上にストーリーに馴染んでいる。
同じく家族がおり、現在はデッドプールの脳内に住み着く羽目になってしまったプレストンとの掛け合いがまた良いんだ。

「バトラーがいろいろ言ったけど、あれが真実かどうかはまだわからないのよ」
「デッドプール、あなたはこの穴倉で満足かもしれないけど、わたしには家族がいるのよ」
「わたしたちはコンビよ。もう少しだけ一緒に頑張りましょう」


デッドプールが生き別れの大切な娘、エレノアを救い出すことができたかどうかは是非本編で。

あと、過去編やら何やらでやたらとヒーロー達に「仲間じゃない!」と怒鳴られるデッドプールなんですが、事件解決を通して少しつづ認められていく様にじーんと来る。
同じウェポン・プラス組のウルヴァリンとキャップにも同様の態度を取られていたのですが、本作での出来事を通して友情が生まれる光景は必見だと思う!
デッドプールがキャプテン・アメリカに「わが友よ」と呼ばれる場面はなんか読んでて嬉しくなったぞ!

デッドプールの悲劇的な過去

「第四の壁を破壊できる」「常に軽口を叩きまくる」などのおちゃらけ気味な設定が強いのもあって完全なギャグキャラというイメージが蔓延しているけども、そもそもオリジンが重いのもあってシリアスな部分も結構多いですよねデッドプール。
今回ギャグ成分はやや少なめ(というか前述したホワイトマン戦にほぼつぎ込んでいる)な代わりに、この鬱気味な展開がデッドプールというキャラに深みを与えている傑作エピソードなので是非読んでいただきたい。
デッドプールを読み始めようと思っている人にはこの「マーベル・ナウ!」のシリーズを薦めればいいんじゃないかなと思う今日この頃です。

小プロのデッドプール邦訳ラッシュは本書でひとまず一区切りとなりましたが、付属の解説書では次巻以降も邦訳していく意志を匂わせておりますし、公式ブログの発言を見る限り来年以降もまだまだデッドプールを推してくれる模様です。
これは楽しみ!
【デッドプール:グッド・バッド・アンド・アグリー 補足】

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3 Comments

久仁彦  

いつになくシリアスかつきつい描写がてんこ盛りでしたが面白かったですねー。
私的には「彼女の意思を尊重してやれ」というシーンがお気に入りです。
普段はウザいくせに肝心なところでカッコいいデップーさん萌え。

解説にはその後の展開がちょいちょい書かれていますがやはり実物が読みたいですね。
小プロの推しキャラ繋がりで『Deadpool vs Hawkeye』なんかもその内訳されないかな…。

2015/12/20 (Sun) 17:59 | EDIT | REPLY |   

がいこつ  

今回の話はアクションシーンも満載で、私も好きな1巻です。
特にデッドプールがねぐらに使っていた家でのウルヴァリンとの共闘と、スナイパーとしての腕前を見せてからキャプテン・アメリカ、ウルヴァリンとの息の合った連携は見ていて「おお」と声が出ますね。

2015/12/21 (Mon) 08:50 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>久仁彦さん
>普段はウザいくせに肝心なところでカッコいいデップーさん萌え。
ギャグはギャグで全力投球なのにシリアスになるとガチになるデップー……
まるでジャンプ漫画の主人公みたいだ……

>『Deadpool vs Hawkeye』なんかもその内訳されないかな…。
なんかさらっと邦訳されそうな気がしますねー。いや根拠とかはまったく無いんですけど。小プロ普通に出してくれそう。

>>がいこつさん
この作品でウェポンプラス組がより好きになりました!
もっとこの3人の絡みが見たいですなぁ。

2015/12/26 (Sat) 21:20 | EDIT | REPLY |   

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